大阪教育大学と柏原市教育委員会は、平成16年10月に連携協議会を設置し、教育実習や学生の学校派遣について相互の連携を深めている。大学生による学校支援ボランティアは、柏原市教育委員会が各学校より集約した支援活動を大学側に募集し、学生が応募する形式をとっている。特別な教育的支援の必要な児童生徒への大学生ボランティアは、学校現場にとっては大きな存在となっているが、継続した人材の確保については各学校の創意工夫が見られる。
大学連携 継続的支援 人材の拡がり 校内支援体制 大学生ボランティア スタディ・アフター・スクール
本市の公立学校園は、小学校10校、中学校6校、幼稚園7園である。各小・中学校及び幼稚園に対し、以下のような活動及び支援内容を3期の募集期間に分けて提示している。
本市には、大阪教育大学の他に関西福祉科学大学がある。柏原市教育委員会は、関西福祉科学大学とも連携し、柏原市の教育及び大学における教育・研究の充実、発展を目指している。
関西福祉科学大学にも、大阪教育大学同様の学校園支援活動募集を行ったところ、平成18年度の1学期間(夏季休業中も含む)の支援状況においては、23名の学生が支援活動を行った。
更に、平成18年6月には奈良教育大学とも連携協力を結び、今後の支援活動にもつなげていきたいと考えている。
柏原市立A小学校は、特別支援教育コーディネーターを中心として、校内体制づくりや実際の支援方法についての研修を日々重ねている学校の1つである。校内に特別支援通級指導教室を開設し、支援の必要な児童の学習支援活動を行っている。特別支援教育校内委員会で児童の実態を把握し共通理解した上で、学生ボランティアの募集を行ったが、学校と大学生との日程等調整がうまく折り合わなかったために、1学期は学生ボランティアの活用がない状態であった。
10月、大阪教育大学から養護教諭養成課程の実習生が1名あり、実習後に「支援を必要としている児童に関わってボランティアをしてみないか。」と勧めてみた。すると「ぜひ、やってみたい。」という声とともに、同じ養成課程の学生をもう1名連れて来てくれた。
大阪教育大学は、4年間の積み上げ方式による教育実習を目指しており、今回の実習生は3回生による「基本実習」後の学生たちであった。また、関西福祉科学大学からも学校支援活動の熱心なボランティアが2名集まり、合計4名のボランティアが継続的に支援活動に当たることとなった。これら4名のボランティアを時間割の中に位置付けたことによって、学生たちは、計画的・継続的な支援に当たることができ、児童の実態をよく理解した上でニーズに応じた支援を行うことが可能となった。
柏原市立B小学校は、大阪教育大学にも近く、学生たちにとってはボランティア活動の拠点としての利便性が高い。従来の形式以外に学校支援活動募集を見て、直接B小学校に電話連絡する学生もおり、平成18年度は9名の大阪教育大学生等学生ボランティアが支援活動を行っている。校内のケース会議で支援を必要とする児童について話し合い、支援する優先順位を決定した上で学生たちの支援配置について考慮している。今年度は低学年を中心に、授業への入り込みなどの学習支援活動を展開しており、担任との打ち合せを行いながら、継続的に支援活動を行っている。また、学習支援だけではなく、休憩時間も児童と一緒に遊んだり、話し相手になったりしながら、学生たちと児童との信頼関係を深めている。
多くの学校支援活動の中でも特に特別支援教育における支援活動を希望する学校は、校内支援体制の中で学生ボランティアをどう生かすか、継続的に取り組むための体制をどう整えるか、そのための人材をいかに確保するか等について、苦慮していることが多い。
柏原市教育委員会では、放課後学習推進事業「スタディ・アフター・スクール」モデル事業を平成17年度から実施しており、平成18年度は3つの小学校を実施校としている。この事業で柏原市教育委員会は大阪教育大学との連携を生かして、大阪教育大学生を学習指導員として配置している。事業実施校の1つである柏原市立C小学校は、特別支援教育におけるボランティアとしても「スタディ・アフター・スクール」学習指導員を活用している。学習指導員の中心である学生をキーパーソンとして、ボランティア希望の学生を募り、特別支援教育における人材を確保することができる等、大きな成果を上げている。
柏原市は大学との連携を通して、特別支援教育における学生ボランティアを重要な教育資源として活用しており、ボランティアである学生たちは自分の将来にもつながるものを学びとりながら、熱意をもって活動している。これは、先にも述べた《柏原市の教育及び大学における教育・研究の充実、発展》という相互連携の目指すところとなっている。
-- 登録:平成21年以前 --