平成20年6月に「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等(※)の普及の促進等に関する法律」が公布され、障害の有無にかかわらず児童生徒が十分な教育を受けることができる学校教育を推進することとされた。
中でも、発達障害のある児童生徒の障害の状態は様々であり、教科学習等において、文字や図形を認識したり、書いて表現したりすることができない等の大きな困難が生じている。
このような読み書きに困難のある学習障害の児童生徒が教科学習等において使用する教科用特定図書等、例えばデジタル教材については、縦書きや横書きの形式、字間や行間、文字サイズについて、一人一人の障害の特性・ニーズ等に応じて変更や調整ができることが有効であることや、読み上げ機能を付加する場合の音声形式の在り方がこれまでの実証研究によって明らかになりつつある。また、教科用特定図書等を通常の学級で発達障害のある児童生徒が使用する際の適切な指導法についても、実証研究が進みつつある。
一方、デジタル教材、支援技術が通常の学級に導入されることを想定する場合、学習障害以外の発達障害の児童生徒に対して与える影響を考慮する必要がある。
そこで、本実証研究では、発達障害のある児童生徒が、このような教材等を使用する場合、障害種によってどのような機能が有効なのか、どのような困難が発生するのか、その解消のためには教材等にどのような機能が必要であるのか、それらを利用した効果的な指導方法(教材の導入)や教育効果等について実証的な研究を行うこととし、今後の施策の参考とするものである。
※教科用特定図書等:検定教科用図書等に代えて使用し得るもの
○1 発達障害等(特に、学習障害、高機能自閉症、注意欠陥多動性障害)のそれぞれの障害の状態、発達段階、教科の特性等に応じた教材等の在り方(適切な実態把握に基づく教材等のマッチングを含む)
○2 教科用特定図書等や教材を活用した効果的な指導方法とそれらの教育効果
○3 教科用特定図書等や教材を通常の学級で使用する際の活用方法や配慮事項等
○4 その他必要と判断される内容(例えば、教材等を使用する際の学習環境の配慮等)
受託団体等は、当該研究の客観的かつ実証的なデータを得るため、複数校の研究協力校を選定すること。(下記学校との協力が望ましい。)なお、研究協力校を選定する際には、管轄の都道府県・市町村教育委員会等と緊密に連携を図ること。また、研究に参加する児童生徒及びその保護者に対し、当事業への協力について事前に承諾を得ること。
○1 教科用特定図書等の在り方の研究
○2 通常の学級における活用方法及び配慮事項等
受託団体等は、個別の指導だけではなく、通常の学級における一斉指導において教材等を使用した場合の効果的な活用方法、その際の配慮事項等についても、客観的かつ実証的なデータを得ながら研究を実施すること。
本事業は2箇年の事業であるが、委託期間は、委託を受けた日から当該年度3月末日とする。ただし、2年目については、事業の実績、予算の状況等を勘案し、1年目の実績及び2年目の事業計画書をもとに審査を行い、委託を継続することが妥当と判断した場合、契約を締結する。
初等中等教育局特別支援教育課
-- 登録:平成25年10月 --