特別支援教育について

山梨県

団体名(受託自治体名)  山梨県

1 概要

1 平成23年度事業の概要

○ 平成22年度「特別支援教育総合推進事業」の成果と課題を踏まえ、県下全体の支援体制整備の充実を図った。

○ 総合推進事業運営会議の設置

  • 年間3回(5月、10月、3月)運営会議を開催し、関係機関からの情報を得ながら連携を図った。

○ 地区及び専門部特別支援連携協議会の設置

  • 北部・南部・中部・東部・富士北麓の5地区、視覚障害・聴覚障害・病弱の3専門部で、計30回の協議会と研修会を行った。

○ グランドモデル地域の指定

  • 峡南5町(市川三郷町・富士川町・早川町・身延町・南部町)をグランドモデル地域に指定し、就学相談員を4人配置するなど支援体制整備を進めた。

○ 専門家チームの設置

  • 報告会議を3回、判断会議を2回、委員によるケース会議を4回開催し、3事例を検討した。

○ 巡回相談の実施

  • 36人を巡回相談員に委嘱・任命した。
  • 電話受理が41件(24校)あり、延べ30回の訪問を行った。
  • 年間3回の巡回相談員連絡会を開催し、相談員の専門性の向上と情報交換を行った。

○ 学生支援員派遣事業の実施

  • 県内の7大学と提携し、52人の学生支援員を2保育園、3幼稚園、13小学校、4中学校に派遣した。
  • 学生支援員の事前研修会(説明会)を6~7月に各大学において開催した。

○ 特別支援教育に関する研修

  • 幼稚園、小・中学校、高等学校の管理職を対象に研修会を開催した。(6月・12月)
  • 幼稚園、小・中学校、高等学校(私立を含む。)の通常の学級担任を対象に、特別支援教育担当者研修会を開催した。(6月・7月)
  • 各市町村が配置した特別支援教育支援員に対して、4教育事務所と甲府市において研修会を開催した。

○ 幼稚園、保育所(私立を含む。)に研修会等で情報を提供し、支援体制の推進に努めた。

○ 特別支援教育コーディネーターの資質向上

  • 小・中学校の特別支援教育コーディネーター協議会を開催し、資質の向上を図った。
  • 高等学校(私立を含む。)特別支援教育コーディネーターの資質向上を図り、校内委員会の活動を高め、支援の充実を図った。

○ 「相談支援ファイル」の一層の活用を促進するため、補助ファイルの検討を行った。

2 平成23年度事業の成果

○ 総合推進事業運営会議、地区及び専門部特別支援連携協議会の設置により、関係機関の連携が図られた。特に、地区特別支援連携協議会では、構成メンバーに各地区の小・中学校等の特別支援教育コーディネーターの代表者を加え、研修会についても特別支援教育コーディネーターの資質向上を目的としたことにより、支援地域内の小・中学校等の特別支援教育に関する理解や取組を推進することができた。

○ グランドモデル地域として指定した峡南地域5町は、南部地区特別支援連携協議会を中心にして、教育、医療、福祉、保健、労働の関係機関の連携を図ることができた。さらに、就学相談員の配置による相談体制を整備するとともに、継続した支援ファイルの内容の見直しを行い、相談支援体制の充実を図ることができた。

○ 専門家チーム及び巡回相談の窓口を県総合教育センター相談支援部に一本化したことにより、教育相談機能の充実を図ることができた。

○ 特別支援教育支援員及び学生支援員に対して専門性の向上を図るための研修会を実施したことにより、活用の充実が図られた。

○ 幼児期から成人期までの総合的な相談支援体制の整備について、福祉保健部局の事業と連携を図り、3市5町で推進した。各市町村において、発達相談員の配置や教育、保健、福祉関係者による連絡調整会議等の支援体制をつくる取組が広まりつつある。

○ 高等学校における特別支援教育の推進については、教員の理解が少しずつ深まってきており、実態把握の実施や校内にある既存の会議等の利用による実質的な校内委員会の取組を行う学校が増えてきている。高等学校における特別支援教育推進事業として、支援関係機関連絡調整会議に高等学校特別支援教育コーディネーターも出席し、ライフステージにおける各関係機関との連携の重要性が認識された。

○ 私立幼稚園等の研修会をとおして、特別支援教育に対する理解啓発を進めることができた。

3 平成20年度「発達障害等支援・特別支援教育総合推進事業」以降の成果と課題(今後の取組予定等)

【教育委員会の取組】

○ 特別支援教育総合推進事業運営協議会を開催し、本事業の評価及び改善を行ってきた。教育、医療、福祉、保健、労働が連携するためのネットワークづくりの段階から、具体的な支援、今後取り組むべき課題についての情報を共有することもできた。平成24年度についても継続開催し、本事業の実績を検証し、平成25年度以降の取組に繋げて行く予定である。

○ 地区及び専門部特別支援連携協議会を特別支援学校が事務局となり運営し、地域の支援体制の構築を推進するネットワーク形成について成果を上げることができた。平成24年度も継続開催し、これまでの取組の取りまとめを行い、平成25年度以降の特別支援教育の推進に係る検討を行う予定である。

○ グランドモデル地域については、平成20~22年度に甲府市を指定し、専門家チームの設置、巡回相談の実施、発達相談員の活用に取り組んだ。指定終了後は、市単独の事業として継続実施されている。平成23年度からは利用できる関係機関が少ない峡南地域を指定し、小規模自治体が相互に連携し、地域としての支援体制構築のモデルとするために事業を進めてきており、就学相談員の活用等をとおして幼稚園、保育所、小・中学校への支援の充実を図っている。この取組については、平成24年度も継続する予定である。

○ 専門家チームについては、平成22年度以降は、県内の医療体制の充実により発達障害等の診断ができる場が増えてきたため、その機能を発達障害等の有無の判断から、教育的な対応及び環境整備についての判断に重点を移すこととした。また、巡回相談、市町村の発達相談員、特別支援学校のセンター的機能による小・中学校等への支援と連携し、困難事例についての検討を行う機能を果たすことができている。平成24年度も継続設置し、判断依頼のあった事例の検討に加え、今後の専門家チームの在り方についても併せて検討を行う予定である。

○ 巡回相談については、特別支援学校のセンター的機能の活用、市町村における福祉・保健・教育の支援体制の構築、発達相談員の配置等がなされてきていることにより、今まで巡回相談が果たしてきた機能が市町村の支援体制として充実してきている。今後は、これまでの事業を検証し、相談員の配置がない小規模の自治体への巡回相談の実施等、事業内容を焦点化する予定である。

○ 幼稚園・保育所、小・中学校へ学生支援員を配置することにより、市町村教育委員会や学校にその有効性が認識され、市町村と大学の直接の連携による取組に繋がってきている。このような現状から、平成24年度以降は県としての取組は終了する予定である。

○ 平成22年度以降は、福祉保健部局の事業と連携し市町村の支援体制づくりを進めてきている。今後も引き続き福祉保健部局と連携しながら市町村単位での支援体制づくりを進めていく予定である。

【幼稚園、小・中学校、高等学校における支援体制整備の推進】

○ 全ての公立幼稚園、小・中学校、高等学校における校内委員会の設置、特別支援教育コーディネーターの指名等の支援体制整備については完了をしている。

○ 小・中学校においては、全県下の特別支援教育コーディネーターを対象とした研究協議会を開催し、校内支援体制の機能の一層の充実を図るとともに、全ての公立幼稚園及び学校のコーディネーター名簿を作成し、学校間の連携を促進するなどの取組を進めてきた。また、市町村単位で、特別支援教育コーディネーター協議会等を開催する等の取組も進みつつある。

○ 私立幼稚園が約94%を占めている本県の現状から、私立幼稚園協会が主体となって企画・運営する研修と連携し、特別支援教育に関する理解・啓発を図ることができた。この取組は今後も継続する予定である。また今後は、保育所への理解・啓発について、一層取り組む必要がある。

○ 高等学校については、特別支援教育コーディネーター協議会の開催などにより、意識の向上が図られてきた。学校間における格差はあるが、校内委員会を複数回開催し、支援内容の検討や関係機関との連携を進めるなどの取組が進んでいる。

○ 就学前から高等学校卒業までの一貫した支援を行う学校間連携については、十分に機能をしていないため、今後、具体的な対応を行っていく予定である。

【特別支援学校における特別支援教育の推進】

○ 特別支援学校においては、センター的機能を校内分掌に明確に位置づけ、複数の特別支援教育コーディネーターを配置し、地域のセンター校として機能を果たしている。

○ 市町村との連携により、特別支援学校のセンター的機能を発揮することで、地域の幼稚園・保育所、小・中学校等への支援に成果を上げている。

○ 今後は、特別支援教育のセンター的機能コーディネーターの専門性及び人材の育成に継続して取り組む予定である。

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)

-- 登録:平成24年10月 --