特別支援教育について

新潟県

団体名(受託自治体名) 新潟県

1 概要

1 平成23年度事業の概要

(1)総合推進事業運営協議会の設置(障害福祉課による発達障害者支援体制整備事業検討委員会と合同開催)
  • 会議は年2回開催
  • 第1回:本年度事業の取組について、「中間とりまとめ」の整理と検討、「発達障害者等支援に関する事例報告会(連携体制研修会)」の実施について
  • 第2回:連携体制ワーキンググループの成果と課題、各事業の取組報告、今後の取組について
(2)ワーキンググループ(障害福祉課と合同開催)
  • 連携体制ワーキング:連携体制マニュアル「チームアプローチのすすめ」の作成
  • 連携体制研修会の企画検討
(3)巡回相談の実施
  • 幼稚園、小中学校、高等学校からの要請に対応し、諸検査等の実態把握や指導に関する助言等の実施
(4)コーディネーター養成研修
  • 各地域の特別支援学校10校を主管校として、地域の幼稚園、小中学校、高等学校のコーディネーター等を対象に、その専門性を高める研修会の実施
(5)理解・啓発研修会
  • 各地域において特別支援学校が主管となり、発達障害を含む各障害に関する専門研修会の実施
(6)連携体制研修会
  • 連携体制支援に関する巡回説明会の実施(県内5地域)
(7)就労支援研修・連絡会等
  • 就労支援検討委員会の開催(年2回)
  • 各地域における職業教育に関する研修会や外部講師による専門指導の実施
  • 企業等に対する職場実習依頼のパンフレット作成
  • 先進地調査
(8)学生支援員
  • 支援を必要とする幼児児童生徒に対して、大学生又は地域のボランティア等を募集し、学校・園の要請に応じて派遣する。

2 平成23年度事業の成果

(1)運営協議会

 障害福祉課の発達障害者支援体制整備事業検討委員会と共催で、教育、福祉、医療、労働、保護者団体等の関係者からなる委員にて、本年度実施計画と事業報告について協議を行った。協議内容では、相談担当者の資質向上をさらに図るため、福祉サービスの研修やライフステージに応じた各学校種別の研修(高等学校に特化した研修など)、教育と福祉等が連携した具体的研修の充実が挙げられ、各事業の取組で実施することとした。
 また、状況調査から本県の支援体制整備も整ってきたことを確認すると共に、グランドモデル地域を中心に各市町村が独自の相談ネットワーク整備、学校ボランティアの活用、相談支援ファィルの作成などが見られるようになり、今後は県と各市町村、諸団体の役割を整理し、新たな支援体制作りの段階に入ることを確認した。(6月、2月開催)

(2)ワーキングクループ

 障害福祉課と協同で実施している「連携体制ワーキング」では、連携マニュアル「チームアプローチのすすめ」を本年度完成させ、県内の関係機関に配布したり、県のホームページに掲載したりして広く周知した。
 また、相談支援ファイルの活用調査では、2/3市町村が様式等を定め整備をしていたが、実際の活用については課題が残された。これらの状況から、教育・福祉等の連携した支援について理解を深め活用が図られるよう、巡回説明会の実施について検討を行った。(10月、1月開催)

(3)巡回相談

 本年度は、小・中学校教員65人、特別支援学校教員89人の計154人に専門相談員を委嘱し、巡回教育相談を実施した。
 巡回教育相談の実施状況では、1月末現在で645回となり、昨年度の2倍近くの活用があった。一方で、市町村独自に相談ネットワークを整備し実施しているところがさらに増加している。
 本事業による巡回相談の活用状況では、地域で大きな差が見られた。要因としては、市町村独自で予算付けをして相談支援を実施しているところは活用が少なく、本事業を活用しながら相談ネットワークを整備しているところは活用が高いと考えられる。
 併せて、特別支援学校の外部からの相談依頼件数は4,011件となり、センター的機能の発揮により、より地域の相談支援体制に貢献している状況が見られた。
 全体的に、本県の相談支援体制の広がりと活用度が高まっている状況が確認された。

(4)コーディネーター養成研修

 本年度も研修対象者は幅広く、コーディネーターの他、幼稚園、保育所、小・中学校、高等学校の教員等を対象にし、上越地区、中越地区、下越地区、新潟市地区において10校の特別支援学校が主管校となり実施した。(総計40回:1,725人参加)
 本年度は、運営協議会の意見を受けて、福祉サービスや高等学校に特化した研修内容を追加し各地域で実施し充実を図った。

(5)地域における理解・啓発研修会

 発達障害を含む各障害に関する専門研修を、広く地域の関係者を対象に各特別支援学校で実施した。総計36回で2,264人の参加者があった。主な研修内容は次のとおりである。

  • 〔障害理解〕視機能の理解、聴覚障害の理解、重複障害の理解、不適切行動の理解 等
  • 〔指導関係〕障害幼児の指導、授業改善、個別の指導計画、摂食指導、医療的ケア、自立活動と重度・重複障害指導、学習困難への支援、集団活動への支援 等
  • 〔連携関係〕学校と福祉の連携、就労・福祉との連携、コーディネーターの役割 等
(6)連携体制研修会
  • ワーキンググループで作成した「チームアプローチのすすめ」を基に、関係機関が連携して支援する方法や事例について巡回説明会を県内5会場(上越、中越、下越、魚沼、佐渡地域)で実施し、関係者の理解を深めた。(11月~12月実施)
(7)就労支援研修・連絡会等
  • 特別支援学校における職業教育の充実及び就労支援について、教育、労働機関、企業等の関係者からなる「就労支援委員会」を設置し、有効な取組について協議し、協議内容を各特別支援学校に周知し、県のホームページにも掲載し広く理解を求めた。(7月、1月開催)
  • 特別支援学校における職業教育の充実を図るため、福祉、接客、清掃等について外部講師を活用し、職員向け研修や生徒への専門指導などを実施し、就労に向け専門的知識や技能について理解を深めた。(5回)
  • 職場実習依頼に関するパンフレットを作成し、各特別支援学校へ配布して、地域の企業・労働関係機関に対して理解・啓発を図っていくために活用する。
  • 職業教育の充実と就労支援に有効な取組を調査するため、先進地視察を実施し情報を特別支援学校へ周知して、今後の取組の参考とした。(派遣者9人)
(8)学生支援員
  • 本年度も、昨年度に続き謝金を年間一人1,000円とした。実績者46人で227回の活動があった。昨年度より支援員が大幅に減少したが、各市町村で独自の学校支援ボランティア制度等を活用したり、学校独自で支援ボランティアを確保したりする様子が見られ、本事業の活用から学校・市町村が独自の体制を整えてきたと考えている。

3 平成20年度「発達障害等支援・特別支援教育総合推進事業」以降の成果と課題(今後の取組予定等)

 平成20年度の標記事業から本年度までの体制整備状況では、各校種おいて特別支援教育に関する支援体制が整ってきている。校内委員会の設置及びコーディネーターの指名では、小中学校と高等学校では100%となっていたが、幼稚園ではH20年度50%~60%代の状況がいずれも本年度100%となり校務分掌上の位置付けや意識の向上が図られた。また、実態把握でも幼稚園と高等学校ではH20年度70%~80%代だったが本年度はいずれも100%となり、幼児及び生徒の適切な実態把握が進んだ。併せて、高等学校では、巡回相談員の活用や研修受講率が4年間で倍増し、多くの教員が理解を深めたり、外部専門機関との連携が広まったりしている。
 課題では、幼稚園や高等学校の個別の指導計画等の作成に進展があまり見られなかったことから、今後は、相談員等が具体的に作成の助言をしたり、研修の機会を設定したりしていく。
 本県では各学校種で体制整備が整い、今後は具体的な支援内容や支援方法の理解を深めていくことが重要になってきたことから、本事業終了後は県と市町村が協同し相談支援に取り組んだり、事例研修を中心とした特別支援学校のコーディネーター養成研修を継続したりし、相談担当者の資質向上を図っていく。

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)

-- 登録:平成24年10月 --