特別支援教育について

志摩高等学校(公立)

都道府県名 三重県
学校名 志摩高等学校
学校所在地 三重県志摩市磯部町恵利原1308
研究期間 平成21~22年度

1 概要

1 研究課題

  • 発達障がいをはじめとする教育的な関与を必要とする生徒に対する指導方法及び指導内容の実践的研究
  • 基礎基本の定着を目指したユニバーサルデザインの視点での授業や学びを支える学級集団づくりの実践展開に関する研究

2 研究の概要

 実態把握に基づき生徒の抱える課題を、「学習上の課題(アカデミックスキル)」と「学校生活等への適応力の課題(ソーシャルスキル)」の2つの側面から分析し、教師の授業改善や多様な学び方の在り方、そして、円滑な人間関係能力の育成が、学力の向上と学校生活満足度向上につながると考え、発達障がいをはじめ、様々な課題のある生徒を支援する取り組みに、特別支援教育のノウハウを取り入れ、生徒支援の方策を研究する。

3 研究成果の概要

1.校内支援体制の確立と個別の生徒への支援

 今年度から生徒支援連絡会を立ちあげ、生徒の情報共有、支援方法の検討を行った。連絡会には学校カウンセラー、巡回相談講師にも参加してもらい専門的な視点からのアドバイスをいただけた。連絡会の役割・運営の方法など検討していくことは多々あるが、校内支援体制の確立への一歩を進めることができた。
 生徒の実態把握の方法として、個人面談、中学校との情報交換、hyper-QU検査(全学年年2回実施)などを行った。また、必要に応じてWISC-3検査を行い、その結果をもとに保護者・担任・巡回相談講師の話し合いを行った。
 個別の生徒指導計画の一つとして、生徒の課題について各教科からの指導方法をまとめる取り組みを行った。
 医療機関を生徒に紹介することや、医療機関との連携が行われた。今後、定期的に医療機関に通っている生徒については、医師との連携を行い生徒支援計画を作成する場合の参考としたい。
 キャリア教育の取り組みを、学年・進路部が中心となり行っている。障がいのある生徒への個別の就労・進路支援は関係機関との連携も含め今後の課題である。

2.基礎学力の向上と授業改善

 基礎学力診断テストを1学年・2学年で年2回行った。その結果、基礎学力の不足している生徒がかなり在籍していることが分かったため、「学び直し学習」の取り組みを実施した。今後も実施方法を検討し継続していきたい。
 ユニバーサルデザインを意識した、理解しやすい授業に関する取り組みを、校内授業研修会を通して行った。「授業の見通しを示す」「教材提示の工夫・視覚支援を行う」「グループ学習の導入」などを柱として取り組みを行った。
 この事業の研究報告会では、公開授業も行い、県内外の小学校・中学校・高等学校などからの多数の参加者から高評価を得ることができた。
 今後、生徒が授業のどこでつまずいているかの実態把握を行い、授業改善の取り組みを発展させ、生徒の意識がどう変わったかを検討していきたい。

3.2年間の事業の終わりに

 本校での特別支援教育の取り組みはようやく緒に就いたところである。まだまだ検討し改良していく部分がたくさんある。事業の終わりが取り組みの終わりではなく、これからスタートだと認識している。本校でこれまでも行ってきたきめ細かい指導・支援を今後も継続し、特別支援教育の視点も取り入れ、生徒の支援に取り組んでいきたい。

2 詳細報告

はじめに

 平成21年度は、この事業をどのように進めていくのか、当初は戸惑いが先に立ったが、方向性や方法の検討を経て、「校内支援体制の確立」と「基礎学力の向上と授業改善」を2つの柱として取り組んでいくことに決め、平成22年度がスタートした。

1 研究の内容

 本校の取組は、発達障がいをはじめとする教育的な関与(配慮)を必要とする生徒を対象に考えている。そして、「発達障がいのある生徒に対する教育的指導は、発達障がいのない生徒に対しても有効である」という考えのもと、全ての生徒がわかるユニバーサルな指導方法の研究を行っている。

(1)発達障害のある生徒に対する指導方針

ア 生徒の実態(把握方法も含めて)
 本校は、志摩市内唯一の普通科高校として、開校して60年以上を迎えている。志摩市在住の生徒が95%程度を占める、地元に根ざした学校である。学校生活は穏やかで、授業規律も比較的保たれ、生徒指導上の問題行動もここ数年かなり少なくなっている。進路は、就職と進学がほぼ半数ずつである。
 友人関係など、コミュニケーション力の不足から悩みを抱く生徒、学習に対する意欲が低く学校生活に適応しにくい生徒などがいる。
 平成22年度入学の3名について、出身中学校から発達障がいがあるという連絡を受けた。また、この3名以外に発達障がいの可能性のある生徒、何らかの支援を必要とする生徒が在籍している。

  • 実態把握について
     「面接」「観察」「調査」の方法を用いて実態把握を行った。
     入学時、第1学年担任団を中心に出身中学校を訪問し、生徒の様子について聞き取りを実施し、その後の生徒の様子について中学校への訪問を実施している。中学校から得られた情報は職員会議で報告するなどして、職員間で情報共有を行っている。
     4月・6月・11月に生徒面談週間を設けて、担任が生徒の実態の把握に努めるとともに、この時期以外にも適宜面談を行っている。
     また、全クラスで5月と12月に、「よりよい学校生活と友だちづくりのためのアンケートhyper-QU」を実施し、生徒の学校・クラスでの様子、対人関係、悩みなど多角的な視点で生徒を把握し、個別懇談や生徒への日々の声かけなどに活かしている。
     さらに、第1学年ではチェックシートを利用しその分析を行い、教科担当者会議で情報を共有した。
     巡回相談講師、学校カウンセラー、担任などの協議から、必要に応じてWISC-3検査を保護者・本人の了解の上で実施した。

イ 指導方針
 平成22年度は、校内支援体制の整備を目指し「生徒支援連絡会」を立ちあげた。
 [生徒支援連絡会メンバー]
 各学年担任団から連絡会係、保健部主任、養護教諭、人権同和教育係、教育相談係、特別支援教育コーディネーター、巡回相談講師、学校カウンセラー
 生徒支援連絡会(以下連絡会)は、木曜日の3限目に設定し、生徒の情報交換・専門家からのアドバイス・課題を持つ生徒への対応、などを協議した。生徒の状況に応じて学年別の連絡会を行った。
 連絡会は、担任・学年団の取組を支援することを基本としている。本校は学年主任を独立して設けており、学年団が中心となり生徒の課題を的確に把握し、きめ細かい指導を行っている。
 特に支援を必要とする生徒には、生徒の課題解決のためのプロジェクトチームを立ちあげた。プロジェクトチームには、管理職、学年主任、クラス担任、教育相談係、生徒指導部、コーディネーターなど、生徒の課題に応じたメンバーが参加し、情報の共有、今後の指導について協議を行っている。
 生徒の状況に応じて、WISC-3検査を巡回相談講師によって行った。実施にあたっては、得意なこと・苦手なことを調べて今後の学校生活に活かしていく検査であることを本人・保護者に伝え、了解の上で行った。検査結果を保護者・担任に伝え、今後の対応をどのようにしていくかの話し合いを持った。

ウ 成果と課題
 校内支援体制の整備に向けてその一歩を踏み出すことができた。これから支援体制の充実に向けて取組を進めたい。
 中学校から、発達障がいがあると連絡を受けた生徒については、指導計画の連絡などを受け、担任に伝えるなどは行ったが、より連携を密にする必要があると感じた。そのため、例えば年度の初めに、中学校の担任・本校の担任・保護者を交えた協議の場を持つことなどを進めていきたい。
 生徒の特性を理解するために、発達検査を巡回相談講師によって行い、その結果を保護者・担任に伝え、今後の支援法を考えることができた。これを、個別の指導計画、個別の教育支援計画の策定につなげていきたい。
 強いこだわりにより指導の難しい場面があった際に、授業担当の教員に各教科の指導計画を考えてもらい、それを授業担当者で共有し、保護者に示すことができた。このような場合、苦手なところ・できないことばかりに注目して支援するより、得意なところ・できていることに注目し、なぜうまくいっているのかを考えて、それを活かしながら支援を考えた方がうまくいくとのアドバイスをいただいた。今後に活かしていきたい。
 学校カウンセラー、巡回相談講師と保護者との話し合いの中で、医療機関とつながっていない生徒に必要があれば医療機関への受診を進めた。医療機関から学校へ連絡をいただき本人の情報を聞かせてもらったりもできた。今後の生活を考えると生徒本人の障がいの受容も考えていかないといけないと思われるので、さらに医療機関との連携を検討していきたい。
 定期的に医療機関で療育を受けている生徒がいる。今後は、保護者・本人の了解のもと、療育の際に担任も参加し、医師から支援のアドバイスをもらうことを考えていきたい。そして、その情報を支援計画に活かしていきたい。
 学校生活は順調そうに見えても、本人は強いストレス、不安を抱いている場合がある。観察、声かけを行い本人の状態を把握し、ストレスが強い場合は、保健室・教育相談室の利用など対処法を伝え、不適応状態にならないように注意していきたい。
 友人関係がうまくいかず、不登校状態になったり、授業に参加することができない生徒がいる。教員の支援だけでは限界があると思われるので、生徒を支える学級づくりに取り組んでいきたい。その際にQU検査の結果も活かしていきたい。
 保護者と巡回相談講師との話し合いの中で「障がい」という言葉が出たときに、拒否的な反応を示し、後日の話し合いの継続を行うことができなかったケースがあった。社会に出てからの支援体制の話は伝えることができた。
 就労支援・進学支援など進路に対する支援はまだ取組が進んでいないので、今後進めていきたい。
 社会性・コミュニケーション力に不安のある生徒が多く存在する。ソーシャルスキルトレーニングの活用などにより取組を進めていきたい。

(2)発達障害のある生徒に対する授業やテストにおける評価方法等の工夫

ア 授業の際の配慮事項等
 平成22年度は基礎学力の向上とユニバーサルデザインを意識した授業研究の2つについて取組を行った。

【基礎学力の向上・学び直し学習について】
 平成22年度は第1学年・第2学年に対し「基礎学力診断テスト」を行った。基礎学力は教科の授業だけでなく、進学・就職においても必要になってくる。テスト結果から、中学校段階でつまずいている生徒がかなり存在することがわかった。
 これに対応するため、「学び直し学習」を行った。第1学年は英語・数学、第2学年は英語・数学・国語について、7月・8月・9月に数日ずつ実施した。ドリル教材を用いて自分で進めて、わからないところは教員に聞くという形で行った。第3学年は一般常識問題集に取り組んだ。
 10月に2回目の基礎学力診断テストを行った。1回目と比べて成績の上がった教科もあったが、あまり変化のない教科もあった。学び直し学習について生徒および教員にアンケートを行った。アンケート結果の一部を紹介する。
※生徒へのアンケート

  • あなたが学び直し学習にどれだけ熱心に取り組んだと思いますか?
     熱心に取り組んだ(14%)
     割と熱心に取り組んだ(48%)
     あまり熱心に取り組まなかった(26%)
     熱心に取り組まなかった(13%)
  • 学び直し学習はよかったですか?
     大変よかった(7%)
     よかった(49%)
     あまりよくなかった(24%)
     よくなかった(20%)
  • 学び直し学習を今後も続けた方がいいと思いますか?
     続けた方がよい(7%)
     どちらかといえば続けた方がよい(38%)
     どちらかといえば続けない方がよい(25%)
     続けない方がよい(31%)
  • 学び直し学習でどのような効果があったと思いますか?(複数回答可・主な項目)
     勉強の内容がわかった(25%)
     達成感、充実感が得られた(21%)
     集中力がついた(17%)
     計算が速くなった(14%)

※教員へのアンケート(記述式)

  • 学び直し学習を行ってよかったと思ったことをお聞かせください。
     生徒が自分の苦手なところに向き合って、一生懸命取り組んでいたこと。
     ここ数年で初めて学校が生徒の学力について意識を持ち、具体的な一歩を踏み出したこと。
     「わかるようになってきた」という声も聞いた。自信につながっているようだ。
  • 学び直し学習を行って問題だと思ったことをお聞かせください。
     4限の連続は生徒にとっても大変だったと思う。もう少し長期的に実施して、1日の時間数を減じてもいいと思う。
     最後の方になってくると、やっつけ仕事になっている生徒を見かけた。もう少しじっくりと取り組ませた方がよいのでは。
     単発の行事では効果が得られないと思う。
  • こうすればもっとよくなるのではないかという案があれば教えてください。
     間違えたところを、なぜ間違えたのか確認できる工夫がもう少しあるといいと思う。
     今回のようなことを今後も継続していくことが大切だと思います。
     比較的短期で目に見える結果が生徒に実感できる工夫が必要。また、なぜ学力が必要か、なぜ勉強しなければならないかを生徒にわかりやすく伝える努力も必要。

【授業研究について】
 平成22年度は校内授業研修会を9月・11月・1月と3回行った。これまで本校では教員が授業を公開するということはほとんどなかったので、新たな取り組みである。
 授業研修を行うにあたっては、「発達障がいのある生徒に有効な方法はどの生徒に対しても有効である」という考え方のもと、ユニバーサルデザインを意識した授業展開を行った。具体的には、「授業の見通しを示す」「板書の精選」「グループ活動」「視覚教材の利用」などを行い、分かりやすい授業を目指した。
 平成23年1月21日に行った事業の研究報告会では、6講座で公開授業を行い県外を含め多くの参観者があり、高い評価を得ることができた。公開授業における各授業の支援の視点は

【英語】
 黒板に授業内容を書き授業の見通しを持たせる。各活動を10分以内とし授業内容にメリハリを持たせる。グループやペア活動によりコミュニケーションをとろうとする姿勢を養う。生徒の理解度を把握し、できたことをほめる。

【家庭】
 実際に使用する教材を用いて伝えたい重要な部分を焦点化した自作コンテンツを用いICTを活用した授業。本時の内容を書いておき授業の見通しを持たせる。班活動によって積極的なコミュニケーションをする姿勢を養う。

【生物】
 授業内容を画面に提示し授業の見通しを持たせる。グループで問題を取り組むことにより、協同して課題を解決する力を高める。

【数学】
 「本時の流れ」について提示し、学習を見通しやすいようにする。板書事項を精選し、板書の時間と説明の時間をわける。図などをスクリーンに映すことで、教科書等との照合をしやすくする。うまくできたことをほめて、自信とやる気、自己肯定感につなげる。グループ形態を取り入れ、一斉授業とは違う「活躍の場」を作るなど、授業の可能性を広げる。

【日本史】
 (学習活動に見通しをもたせる工夫)一時間の板書内容を始めに全て書き、質問項目を()で示しておくことで、授業中に先取り学習ができ、質問の予測ができる板書を行う。授業の進行も分かりやすくなる。
 (生徒の能動性を引き出す工夫)発問-応答関係を軸にして授業を進める。発言の苦手な生徒に配慮する。考える時間の保証。生徒同士の学びあいをつくり出す。

【化学】
 実験の方法を自分たちの班で相談しながら行い、コミュニケーション力を養う。

 以上は、全体に対する支援となるが、個別の支援が必要な生徒にはそれぞれに応じた支援を行う。例えば、特定の事柄にこだわりや過敏な反応を示すことのある生徒には、教室の温度管理や遮光、座席の位置(例えば前の座席にする)に配慮を行っている。

  • 視覚教材の活用による成果
     具体的で、生徒が見やすく、わかりやすい。短時間で見せられ、生徒が集中しやすく、作業や練習等の時間が確保できる。必要なときにすぐ提示できる。
     生徒からは、理解しやすく、集中しやすいとの声が出ている。
  • グループの形態を取り入れての成果と課題
     教科書やノートを開かない生徒が、グループで隣の生徒に説明をした。生徒が寝なくなった。挙手が増えた。分からないため何もしない生徒が少なくなった。
     講座によっては、私語が増えた。何のためにグループにするのかを理解させ、与える課題を精選する必要がある。

【支援の視点に立った授業へ・・・】

【支援の視点に立った授業へ・・・】

 「個人レベル」「複数名レベル」「学校全体レベル」でどの程度取組が進んでいるかを表した表。上にあるものほど取組が進んでいる。
 見通しの提示、板書の精選は複数名レベルでは取組が進んでいるが、個別の指導計画の作成やその利用はまだ進んでいない。
 学校全体レベルの右上が空欄なのは、まだそこまで進んでいないことを示している。

【公開授業への感想から】
 平成23年1月21日に行った公開授業についての感想の一部を紹介する。

  • 各授業ともに、本時の目標が示された板書等、徹底されているようだった。また、プロジェクター等の視覚的教材の工夫もなされていると思った。
  • 授業における支援の視点が大変参考になりました。活かしていきたいと思います。
  • 授業進度がゆっくりしており、板書を写す時間と説明する時間をはっきり区別している。生徒が書く時間、考える時間を充分確保している。
  • 各先生方の様々な工夫を感じることができました。グループワークの取り組み、集団学習の取り組み、どちらも長所・短所があると思います。共同学習的なビジョンをもう少し見たかったです。
  • 視覚教材を使用した分かりやすい授業。見通しをたてた授業の取組。板書をたどりながらの学習。グループ学習。工夫の仕方など、今後の自分の取組の参考になるような内容でした。
  • 具体的な実践の場が見られることはとても貴重な体験でした。「ユニバーサルデザイン授業」という言葉からいろいろな考えが生まれてきました。自分の授業、TTに入っている授業、全く関わっていないクラスの授業の中でも、今日、得られたものを何とか還元していく必要性を強く感じました。
  • わかりやすく、ていねいに授業されていました。グループの学習の仕方は学びやすいですね。発達障がいのある生徒の姿が見えにくかったです。それは、学び方(グループ)や、分かりやすい授業等であったからだと思いました。個人のプライバシーもあるので難しいと思われますが、少しわかると、その子を視点にして授業を見させてもらえたかなあと思いました。
  • 高校は先生の専門性が高い分、全体で何とかするとか、話し合いをして方向性を決めるということは、中学校より、ずっと難しいと感じています。その中で第1歩を踏み出したということは大きなことだと思います。この種を広げていってください。私も中学校教員という立場で頑張ります。
  • 授業での見通し、今何をする時か、などはっきり示してみえてよかったと思います。いろいろな学校の手本になっていっていただけたら、と願うばかりです。帰ったら保護者に報告しようと思います。
  • 各クラスICTや授業の流れを分かりやすいように示すなど、様々な点で視覚支援が行われている様子がよく分かりました。このような支援をもらうことで、支援対象生徒だけでなく、周りの生徒も分かりやすく、とてもユニバーサルな支援になるので、みんなが分かりやすくて良いと思います。日本史の授業で、黄色と白のチョークで・・・という支援の中で、答を書き込む所に、にこちゃんマークの磁石があり(いくつ答を考えるかも見た目で分かりやすかった)、そこも黄色という所で、すごく子どもへの温かい思いが感じられました。
  • 一番印象的だったのは、生徒たちがいきいきと学習に参加していたことです。化学の果物を活用した電池の学習は興味をもてて、とても楽しい。こういう授業をみせていただけたのがとてもよかったです。やる気をもたせる指導方法は、小・中・高どれも有効だなと感じました。ありがとうございました。学びあい、コミュニケーションなど大切な内容が生徒の姿として見られていた、と思います。
  • グループでの取組や板書の工夫など参考になる部分が多くあった。各教科や学校全体で共通に行っている、ユニバーサルデザインの工夫がどこにあるかもっとわかるようにすればよいと思った。指導案に「授業における支援の視点」がしっかり載っているのが良かった。
  • 支援の必要な生徒の存在がほとんど分からないほど、どの生徒も授業に参加していました。指導案を一読すると、授業展開全体に支援が入り込んでいて、どの授業も生徒に対して「あってよい支援」と教職員の意識が一致してきていると感じました。まさにそこがユニバーサルなのだと思いました。授業のうまい、経験のある、心ある教員が創り出す指導でとどまらず、学校全体のものになることがユニバーサルなのだとも学びました。
  • それぞれの先生が、一人ひとりに寄り添い授業をされていたことが印象に残っています。先生方のひたむきな姿勢に感動しました。ありがとうございました。
  • 支援の視点、気になる子がかかれていて、先生の工夫が分かりやすかった。子どもたちのつぶやき、発声もあり、生徒の表情も明るく感じました。
  • 視覚を重要視された授業展開をされていることに驚きました。内容については難しい部分もありましたが、生徒さんたちがその映像を見て理解しようとする姿があることは大切なことだと思います。自分も授業に参加しているんだと思える意識を持たせる授業はすばらしいと思います。発達障がいのある生徒に視点を置き、分かりやすい授業の展開を工夫されることで、クラス全体の学力が向上されると思います。特別支援教育は、障がいを持ったお子さんのためだけのものではなく、全生徒につながる教育だと思います。このスキルをさらに発展されることを心より願っています。
  • 授業を見せていただき、自分の日々の授業に取り入れさせていただきたいものばかりでした。とくに、視覚教材、グループ学習、見通しなどは、生徒にとって、見やすく、わかりやすい授業になると思いました。

【習熟度別学習】
 生徒の学力にかなり差があるので、昨年度より数学で習熟度別授業を実施していたが、平成22年度より第1学年の英語も習熟度別授業を開始した。また、以前から第3学年の簿記でも行っている。

イ テストにおける配慮事項等
 教室に入りにくい生徒には別室での受験を認めるなどの配慮を行った。
 テスト前に補習を行う。その際、特に必要な生徒に対しては指名補習を行う教科もある。

ウ 評価における配慮事項等
 評価においては、テスト点の他に、平常点として、提出物、授業態度等も重視して行う。

エ 成果と課題
 基礎学力向上の取組については、今年度初めての取り組みで、内容・方法など見直す部分は多いと思うが、取り組みを始めたというところで評価ができるのではないか。今後も実施方法や内容を改善しつつ継続していきたい。
 授業改善についてもその一歩を踏み出したところである。生徒の実態把握を行い、どこで授業につまずいているかを把握し、さらに研究を継続し授業のユニバーサルデザイン化、「わかる授業」を考えていきたい。また、授業改善による生徒の変容の把握を行い、取組を進めていきたい。
 本校ではこれまで授業研修会はほとんど実施していなかった。平成22年度は校内授業研修会を3回行った。授業研修会での意見を紹介すると、「全体への支援とは別に個別の支援が必要なケースもあるのでは。」「個別の指導計画があれば、具体的な配慮がしやすい。」「生徒の活動をできるだけ取り入れよう。説明だけでなく、生徒の話し合い等があるとさらにメリハリのある授業になる。」「具体的な教材や作業の手順を見やすくするために、視覚教材は大変有効である。」「良いところ、できたところをほめることで、自己肯定感につなげていきたい。」などの意見が出された。

(3)発達障害のある生徒に対する就労支援

ア 支援の方策と内容
 本校は、インターンシップを中心としたキャリア教育を行っている。その計画は
 第1学年
 自己理解(進路適性検査、基礎学力テスト)
 キャリアガイダンス(職業について詳しく知る)
 事業所訪問
 第2学年
 キャリアセミナー(職業人として活躍している先輩の話を聞く)
 インターンシップ(夏季休業中5日間)
 キャリアガイダンス(面接・マナー指導)
 第3学年
 キャリアガイダンス(面接・履歴書・マナー指導)
 企業見学・オープンキャンパス
 進路決定後の指導(働くルール講座・社会人になるにあたって)

 この取り組みを通して、労働や職業に興味関心を持ち、訪問や就労体験を通して豊かな人間性を養い、就労後の早期離職の減少などを目指している。
 全生徒への取組とともに、課題のある生徒に対する個別の支援も行った。発達障がいの可能性のある生徒の保護者と学校カウンセラー、巡回相談講師との話し合いの場を持ち、社会に出てから支援を受けられる施設の紹介などを行った。
 平成22年度は県より就労支援総合マネージャーを配置してもらい精力的に企業訪問を重ねていただき、就職先の開拓をしていただいた。

イ 成果と課題
 学年・進路指導部を中心に、全体および生徒個々に対してきめ細かい指導を行ってきており、就職状況が厳しい中、ほとんどの生徒が進路先を決定することができた。ただ、就職試験で失敗する生徒の中に、基礎学力の不足する生徒、コミュニケーション力の不足する生徒が増えてきている。基礎学力の向上に取り組み始めたが、コミュニケーション力の向上についてもソーシャルスキルトレーニングを利用するなどして取組を進めていきたい。
 個別に課題を持つ生徒には、ハローワーク、支援センターとの協力も含め進路・就労支援を行っていきたい
 発達障がいの可能性のある生徒に対する就労支援の取組はまだまだ進んでいないので次年度以降の課題としたい。

(4)全ての生徒に対する理解推進等の指導の在り方

ア 指導の工夫と取組
 これまでに挙げたことは、一般の生徒に対しても行っていることである。
 全校集会において、生徒指導部の説明では口頭では伝わりにくい部分を、プレゼンテーション用ソフトを用いて説明することを行った。
 コミュニケーション力をつけるため「あいさつ運動」を行った。

イ 成果と課題
 わかりやすく、きめ細かい指導の必要性。ここにもユニバーサルデザインにつなげられるヒントがあると考える。

(5)教職員や保護者の研修等

ア 研修会開催の回数・時期・研修内容等
 教職員研修会(校外からの参加も有り)

平成21年度

  • 5月 学校満足度調査QU概説 三重県教育委員会
  • 5月 学校満足度調査QU分析 名城大学教授
  • 10月  ソーシャルスキルトレーニング入門1.名城大学教授
  • 11月 ソーシャルスキルトレーニング入門2.名城大学教授
  • 11月 発達障がいのある生徒が抱える課題と教師がまずすべきこと
    小栗正幸(三重県教育委員会 発達障がい支援員スーパーバイザー)
  • 1月 中間報告会(公開授業および研究協議)
  • 2月 高等学校における発達障がい支援 北海道大学教授

平成22年度

  • 6月 発達障がいの概要と支援について
     志摩高校学校カウンセラー
  • 9月 第1回校内授業研修会
  • 11月  第2回校内授業研修会
  • 1月 第3回校内授業研修会
  • 1月 高校生への支援の実際(志摩高校研究報告会にて)
     三重県教育委員会 発達障がい支援員スーパーバイザー

イ 成果と課題
 平成21年度は、講演などの研修会をたくさん行い、発達障がい・特別支援教育についての理解を深め、この事業の方向性を検討することができた。
 平成22年度は、校内授業研修会を開催し授業研究を進めることができた。

(6)その他の支援に関する工夫

 特になし

2 研究の方法

(1)特別支援教育総合推事業運営協議会の設置

ア 構成
 研究委員会

NO 所属・職名 備考
1 三重県教育委員会 発達障がい支援員スーパーバイザー  
2 三重県教育委員会 巡回相談講師  
3 志摩市教育委員会  
4 志摩市立磯部小学校 特別支援教育コーディネーター  
5 志摩市立磯部中学校 特別支援教育コーディネーター  
6 三重県教育委員会 特別支援教育室 指導主事     
7 志摩高等学校 校長         
8 志摩高等学校 教頭         
9 志摩高等学校 第1学年主任   
10 志摩高等学校 第2学年主任  
11 志摩高等学校 第3学年主任  
12 志摩高等学校  保健部主任   
13 志摩高等学校 人権同和教育係  
14 志摩高等学校 教育相談係  
15 志摩高等学校 養護教諭                       
16 志摩高等学校 教育相談係特別支援教育コーディネーター  

イ 運営協議会開催回数・検討内容
 研究委員会

(ア)第1回研究委員会(平成21年6月4日)
 本年度の取組について概要の説明

(イ)第2回研究委員会(平成21年10月16日)
 学校満足度調査QUを実施しての感想・質問
 授業にソーシャルスキルトレーニングをどのように導入するか

(ウ)第3回研究委員会(平成21年12月8日)
 1月15日の中間報告会について
 特別支援教育と人権教育との融合について
 コミュニケーション力を養うことと、ソーシャルスキルトレーニングについて

(エ)第4回研究委員会(平成22年3月2日)
 1月15日の中間報告会について
 来年度の取組について

(オ)第5回研究委員会(平成22年6月18日)
 本年度の事業について

(カ)第6回研究委員会(平成22年10月15日)
 生徒個々の事例について
 基礎学力の向上・学び直し学習について

(キ)第7回研究委員会(平成22年12月7日)
 生徒個々の事例について
 学び直し学習について
 1月21日の研究報告会について

(ク)第8回研究委員会(平成23年2月25日)
 1月21日の研究報告会について
 2年間の事業のまとめと課題

ウ 特別支援教育コーディネーターの指名や個別の教育支援計画の策定等具体的な方策
 本校では、保健部・教育相談係が特別支援教育コーディネーターとなる。今年度は本事業のまとめの年度である関係で、研究担当兼特別支援教育コーディネーターとして独立して指名した。

  • 個別の指導計画について
     ある生徒について各教科別に指導法について検討し、校内でそのとりまとめを行い個別の指導計画を作成し、保護者に対して説明を行った。
     WISC-3検査を行った生徒については、結果をもとにして、担任・保護者・巡回相談員・コーディネーターで話し合いを行った。これをもとにして個別の指導計画の作成中である。保護者は進路について不安を持っているので、今後支援計画の作成を考えていきたい。
     「あすなろ学園」へ定期的に通い、療育を受けている生徒については、保護者・本人の了解のもとドクターと連携し、支援計画に活かしていくことを考えている。
     特に気になる生徒につては、プロジェクトチームを構成し支援にあたる。教育相談係(特別支援教育コーディネーター)もプロジェクトチームの一員となっている。

エ 成果と課題
 研究委員会の中で事例検討を行うことができた。今後は職員研修会の中で事例検討を行うなどにより、生徒理解を深め特別支援教育を進めていきたい。

(2)専門家の活用

ア 構成

NO 所属・職名 備考
1 三重県教育委員会 発達障がい支援員スーパーバイザー  
2 三重県教育委員会 巡回相談講師 発達障がい支援員
3 学校カウンセラー 発達障がい支援員
4 学習サポーター  

イ 専門家の活用状況

  • 発達障がい支援員 スーパーバイザー
     研究委員会、研修会、研究報告会に参加していただき、助言・講演などをしていただいた。
  • 巡回相談講師
     週に1回程度、巡回相談講師(発達障がい支援員)の方に学校に来ていただいた。平成21年度は活用回数は少なかったが、平成22年度は生徒支援連絡会への参加、個別の発達検査の実施、保護者との懇談、授業への助言、教員との話し合い、個別の指導計画の作成についての助言、など有効に活用することができた。また、巡回相談講師の提言により志摩市のふくし総合支援室と連携した協議会を始めることができた。
  • 学校カウンセラー
     平成22年度は学校カウンセラーとして週1回来校していただいた。昨年度まで「三重県立小児心療センターあすなろ学園」で勤務され、本年度から県内の中勢・伊賀地区担当の発達障がい支援員となり、カウンセラーの業務と発達障がいの専門家としての業務の双方で活躍していただいた。今年度は職員研修会の講師と、生徒支援連絡会への参加により効果的な助言をいただいた。
  • 学習サポーター
     平成21年度末より学習サポーターとして発達障がいについて大学院で学んでいる方に来ていただいた。年間15回ほど来校していただき、主に第1学年の数学・英語の授業や、定期テスト前の補習の時間に、学習でつまずいている生徒への支援をしていただいた。

ウ 成果と課題
 生徒への生活面での支援だけでなく、学習面でも発達障がい支援の視点からのアドバイスも得ることができ非常にありがたかった。今後、個別の指導計画・個別の教育支援計画の作成、就労・進学支援などへの助言とともに、授業改善の面での助言も求めていきたい。

(3)関係機関との連携

ア 他の高等学校や技能教育施設、特別支援学校との連携
 特別支援学校の教員に志摩高校に来ていただき、障がいのある生徒の就労について話し合いを行った。
 平成22年度はこの事業の実践報告を以下のように行った。

  • 三重県立尾鷲高等学校の職員研修会にて取組を報告
  • 三重県の各高等学校の特別支援教育コーディネーターの連絡会で取組を報告
  • 三重県の保・幼・小・中・高・特別支援学校が参加する特別支援教育実践報告会で報告

イ 発達障害支援センターやハローワーク等関係機関との連携
 志摩市ふくし総合支援室との連携協議会を行った。ふくし総合支援室は志摩市内の子どもや保護者と関わり、保・幼・小・中との連携を行っている。今後も生徒の情報交換を定期的に行っていきたい。
 平成22年度に、鳥羽志摩教育研究会の特別支援部会との交流会を持った。その中で志摩高校の取組を説明し、質疑応答、情報交換を行った。

ウ 地域の教育施設や人材等の活用
 検討していきたい。

エ 成果と課題
 連携が始まったところで、まだ就労・進路指導に直接結びつくような成果にはなり得ていない。

(4)関連事業等との連携

 先進校の研究実践を学ぶため、文部科学省の事業の指定校を中心に視察を行った。

平成21年度

  • 5月18日 千葉県立船橋法典高等学校訪問
  • 5月28日 福島県立会津農林高等学校訪問
  • 6月26日 三重県立紀南高等学校訪問
  • 11月13日  長野県立望月高等学校訪問
  • 2月2日 群馬県立前橋清陵高等学校研究発表会参加
  • 2月5日 長野県立望月高等学校研究発表会参加
  • 2月8日 兵庫県立姫路別所高等学校研究発表会参加
  • 2月23日 愛知県立衣台高等学校研究発表会参加
  • 3月16日 三重県立昴学園高等学校訪問
  • 3月19日 三重県立飯南高等学校訪問

平成22年度

  • 11月26日 三重県立飯南高校研究発表会参加
  • 12月10日 佐賀県立太良高等学校研究発表会参加
  • 1月18日 東京都立足立東高等学校研究発表会参加
  • 2月2日 和歌山県立和歌山東高等学校研究発表会参加
  • 2月22日 三重県立白山高等学校公開授業参加
  • 2月25日 岩手県立平舘高等学校・遠野緑峰高等学校、志摩高校来校。志摩高校の授業見学および事業の説明、情報交換を行った。

 本事業に係わって、他校はどのような取組をしているのか、どのような問題点があるのか、実際に話を聞かせてもらい有用なアドバイスが得られた。本校では、よい取組を取り入れながら、志摩高スタイルの発達障がい支援をはじめとする、特別支援教育体制の整備を進めていきたい。

【研究報告会から】
 平成23年1月21日に本事業の研究報告会を行った。そのときのアンケートの一部を紹介する。

  • 基礎学力の向上と授業研究に関して、先生方の取組、共通理解による研究がよく分かった。グループ学習と一斉授業という視点もおもしろいと思う。丁寧な研究だと思う。
     個別事象については、取り上げられる件数が少ない、支援が軽度であると感じられた。(中学の特別支援学級から進学してきた生徒が入学してきたが、これまで個別対応が中心の支援を受けてきたため授業妨害になりかねないほど質問し、中断されることが多くあった。普通高校の一斉授業を望むならば、学習支援について約束を設けておく必要があると思った。どうしても「中学の支援学級で通用したから」が出るのは大変でした。)
  • 職員への研修を積み重ねることが大切であることを実感しました、教員の授業改善が一人一人が理解できる授業につながり、授業における支援の視点が学校全体で統一されていることが、特別支援であることも感じ、大変参考になりました。
  • 生徒の状況が本校とよく似ている所があり、志摩高校の取組(校内支援体制・授業方法)は参考になった。まだ、校内の支援体制ができていないので、体制を作る必要性を感じると同時に運用させる困難さを感じた。実際に公開授業には参加できなかったが、指導案集や報告会から、グループ学習など様々な工夫が報告されていたが先生方のご苦労がわかるような気がした。
  • 中学校との連携が密に行われていることを改めて素晴らしいと感じました。特に入学前後の情報共有は指導や支援を検討し、計画を立てるために重要だと思いました。生徒支援連絡会をつくられ、学校カウンセラーの方等を構成メンバーに迎えられている点は素晴らしいと思います。学校全体での共有・理解をさらに進めていければ良いと思いました。
  • 特別支援=全ての生徒に必要なサポートであると、さらに意を強く持つことができました。本校でも様々な場面でサポートを考え、さらに充実させて行きたいと考えております。
  • 志摩高さんの2年間の取組がよくわかりました。”スタートライン”に立っただけ・・・と言われていましたが、まずそのことが大切だと思います。『そこまでしなくてはいけないのか』・・・とてもよくわかる言葉でした。でも困っている生徒に出会ったら、そこで出会った大人(教職員)が、支援することが大切だと思います。『そこまでしなくてはいけないのか』が『そこまでしてあたり前』になるように努めていければ・・・と思っています。
  • 昨年の中間報告を聞かせていただきましたので、そのまとめにあたる今回の報告会に参加させていただきました。たくさんの事例の中、とても分かりやすく本音の部分を報告していただけたように感じました。中学校に持ち帰って、私が今、やらなければならないことが見えました。ありがとうございました。小栗先生のご講演も非常に魅力的でいいお話が聞けました。
  • 話が”具体的”であることは、私たち現場の人間にとってはとても心強いものです。今日からの仕事に役立つと確信しております。ありがとうございました。
  • 詳しい報告をありがとうございました。高校での取組が、貴校を拠点として広がってほしいと切に思います。
  • 授業だけでなく、持ち物や提出物など、工夫されて支援されていることがわかりました。支援があればうまくいく子どもたちのために、今、自分ができることは学校生活をよりうまくできるようにしていくこと。将来どんな子にしていこうかという土俵にのって、保護者と話し、ともに歩んでいくことだと、強く思いました。
  • 校内の取組の苦労がひしひしと伝わってきました。今後の参考にさせてもらいたいと思います。
  • 高校における取組として画期的なことだと思います。ぜひ継続的に研究を推進していただきたいと思います。ありがとうございました。
  • 具体的な取組についての発表、大変参考になりました。一人一人が違うのが当たり前で、その対応もさまざまであると改めて感じました。
  • 本日集まった方のニーズに合うものでした。
  • 授業研究が熱心にされていることに感心しました。教員が一致して研究できるテーマをなかなか見つけることができません。今後、どのように工夫していけばよいのか、参考になりました。
  • 本校も次年度からこの事業に手をあげており、今回、校長の指令で来させていただきましたが、誠に有意義でした。ありがとうございました。
  • 本校は定時・通信制の高校で、支援生徒の比率が高く、個別の対応にての授業は難しく、ユニバーサルデザインの視点での授業展開に力を入れている。上記事業の指定2年目というでことで御校同様、最終報告の年を迎えています。今後継続していく上でも大変参考になりました。2年で終わりというわけではなく、これがスタートラインという話がありましたが、まさにその通りだと思いました。
  • 資料一つひとつにも、行き届いたものばかりで、かなり時間をかけられたのではないかと思いました。生徒が手作りのクッキーをプレゼントしてくれるのも驚きました。ありがとうございました。参加者リストを見せてもらったのですが、全国から来られているので、その注目度の高さにびっくりしました。今、現場で困っている先生がそれだけ多いのかなとも思いました。本校でも、年々、特別支援が必要だと思う生徒が増えています。また、勉強させてもらえる機会があればよろしくお願いします。
  • 学校に子どもを遺し、大丈夫かと不安になりつつ来ましたが、お邪魔してよかったです。ありがとうございました。
  • 日々研修を積まれ、生徒の支援を様々な角度から行っていただいていることに頭が下がります。特別支援学級で担任した子が中学校に進学、予期していた課題を回避(?)できたらと保護者とも相談し指導してきたのですが、成長につれて、想像以上の課題に押しつぶされそうな様子を聞き、ぜひともと参加させていただきました。短い時間しか参加できず失礼しましたが、全板書等安心して学習にのぞめる支援等を聞かせていただき、今後の指導等に生かしていきたいと思いました。

3 今後の我が国における発達障害のある生徒の支援の在り方についての提案等

 特になし。

4 その他特記事項(エピソードを含む)

 平成22年10月に愛知県立大学で行われた、一般社団法人日本LD学会第19回大会の大会企画シンポジウム「高等学校における発達障害支援の実態と展望」に話題提供者として参加した。参加者が非常に多く、分科会によっては入場制限がかかるなど、LDや発達障がいに対する関心の高さが印象的だった。本校の取組はまだ事業の途中ということもあり、参加された方には中途半端な印象があったかもと思う。ただ、当事者・保護者・研究者など様々な方がいらっしゃる所で発表させていただき良い経験になった。

5 総括

 志摩高校の取組は、やっとスタートラインにつき、一歩を踏み出したというところで、不十分なところがたくさんある。この事業は平成22年度で区切りを迎えるが、生徒支援連絡会の役割の再検討を含め校内支援体制の充実、個別の教育支援計画の作成、関係機関との連携、就労・進学支援、基礎学力の向上、ユニバーサルデザインの視点を活かした授業研究、などこれから取組を進めていかないといけないことばかりである。本事業を取り組んだことにより、これまで本校があまり意識していなかった、発達障がいや特別支援教育について理解が深まったが、それとともにまだまだ不十分な取組があることにも気づくことができた。研修会や研究委員会で専門の方からいただいたアドバイスや、研究報告会の参加者からの励ましの言葉・アドバイスを今後に活かし、全ての生徒への支援を進めていきたい。

6 モデル校の概要

1 学級数と生徒数(平成22年5月現在)

課程 学科 第1学年 第2学年 第3学年 合計
学級数 生徒数 学級数 生徒数 学級数 生徒数 学級数 生徒数


普通科 4 156 3 105 4 143 11 404
                 
4 156 3 105 4 143 11 404

2 教職員数(平成22年5月現在)

校長 教頭 教諭 養護教諭 非常勤講師 実習助手 ALT 事務職員 司書 その他
1 1 29 1 6 1 2 3 1 4 49

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)

-- 登録:平成24年10月 --