都道府県名 神奈川県
地域名 川崎地域
労働や福祉の機関とともに川崎地区職業自立連携協議会を組織し、就労課題に取り組む。また、研究指定校の就労のための取組を共有化するとともに、地区で共同して取り組むためワーキング会議を組織する。
特別支援学校とハローワーク等が共同して企業に働きかけ、企業説明会を学校単独又は学校が共同して開催し、障害者雇用の理解促進を図るとともに、職場開拓に取り組む。
研究推進校は全学部を通じて職業自立のための研究に取り組むとともに、企業人に委嘱した職業教育アドバイザーを活用し、作業学習等の授業改善を行い、児童・生徒一人一人の職業自立に向けた取組を充実させる。
各研究指定校の実践研究をより効果的にするため、情報交換・実施方法等の検討を行うとともに、関係機関等の連携によって研究に取り組む。また、具体的検討、取組を推進するため、協議会の下にワーキング会議を設置する。
(1) 川崎地区職業自立連携協議会において、就労のための諸課題について関係機関とともに共通確認できたのか。
(2) 川崎地区職業自立連携協議会ワーキング会議において研究指定校間の情報交換と研究推進に取り組めたのか。
(3) 職業教育アドバイザーの助言に基づき、作業学習等の授業改善に取り組めたのか。
(4) 研究推進校において、全学部で職業自立に向けた取組が行えたのか。
(5) 企業説明会に10社以上集めることができたか。また説明会終了後、実習や雇用に結び付いたか。
今年度は、表1の通り計5名の職業教育アドバイザーを委嘱した。アドバイザーには月に1回、来校の上、職業教育(作業学習、校内実習、授業等)の場面を参観又は授業への参加をしてもらった。その上で助言を受け、その後、授業担当教員と意見交換を行った。なお、教員が作業学習を行うに当たって、また、アドバイザーが助言をするに当たって重点とするポイントを表2の通り定めた。このポイントはすでに作業学習の改善に取り組んでいる東京都立南大沢養護学校のポイント集を参考に、4校で作り直したものである。
今年度は年度途中からの取組であって指導の初期段階からアドバイザーに授業を見てもらうことができなかったこと、また、教員の中には助言を受けることに抵抗感があったり、改善提案に十分応えられなかったことなど研究を進める上での課題が残った。そこで、来年度は年間を通してアドバイザーに見てもらうことで様々な段階での改善点を明確にする。また、助言に対して教員がどう応えていくか、それによって生徒がどのように変容していくかを明確にする取組を進めていきたい。
また、他校の状況は毎月アドバイザーと研究担当教員が集まるワーキング会議で情報交換しているが、他校の状況を肌で感じるためにも、他校の授業に参加して取組状況を直接知る機会を設けるなど工夫をしていきたいと考えている。]
表1 職業教育アドバイザー
学校名 | アドバイザーの氏名(所属等) |
麻生養護学校 | 萩原氏(伊藤忠ユニダス株式会社 社長) |
高津養護学校 | 島野氏(株式会社富士通ゼネラルハートウェア 社長) 小城氏(川崎北部地域就労援助センター) |
鶴見養護学校 | 坂口氏(NPO法人アシスト 副理事長) |
中原養護学校 | 山下氏(有限会社AGCサンスマイル 社長) |
表2 作業学習の重点ポイント
領域 | 作業学習の視点 |
安全管理 | 安全対策(施設、環境、設備、機材、レイアウト、服装等) |
安全用具等の準備と適切な使用 | |
個人の特性への配慮(アレルギー等の健康面、危険認知等) | |
安全確保の意味の周知 | |
確実で効率的な作業 | 作業の準備、作業手順の確認 |
物、場所、動作の名前の統一設定と周知 | |
道具と補助具の保有と保管 | |
実態把握と指導計画 | 生徒の実態把握(生徒自身の自己評価、教師による評価、他) |
個々の生徒の課題設定と課題に応じた指導内容の設定 | |
事前準備(手順書、目標、課題、注意点等の提示) | |
計画的な指導と客観的な評価 | |
適切な指導時間設定(準備、作業確認、作業、後片付け、清 掃、ふりかえり) |
導内容・方法 | 1日の流れの分かりやすい提示 |
肯定的評価を中心とした指導 | |
習熟度に応じた指導 | |
作業意欲を引き出す指導と達成感 | |
個々の生徒に応じた治具 | |
教師の明確な役割と指示系統の一本化 | |
報告、連絡、相談の内容・方法の明示及び教師の言葉かけ | |
就職先を想定した作業内容 | |
新たな作業種目設定への取組や製品開発等 | |
地域法人会、ライオンズクラブ、ロータリークラブとの連携 | |
その他 | 使用しなくなった施設・設備等の処理 |
廃材、廃棄物の処理(環境に配慮したゴミの分別等) |
今年度は、麻生養護学校(以下、「麻生」という。)と高津養護学校(以下、「高津」という。)がそれぞれ単独で開催し、鶴見養護学校(以下、「鶴見」という。)と中原養護学校(以下、「中原」という。)が合同で開催した。それぞれの内容については、表3の通り。この事業については、参加企業の実習や雇用への前向きな回答をいくつか引き出せたことから、主催した学校、協力した公共職業安定所がともに有効であると感じている。また、参加した企業からも一定の評価を得られた。これらの評価から、来年度も継続してこの事業を行いたいと考えている。しかし、設定時期、協力する公共職業安定所の所管地域の状況などから参加企業数などに差が生じた。また、川崎市も同様の行事を企画していて、これと重なると、企業の負担感が増す恐れもある。そこで来年度は、この事業については川崎市と連携した取組ができないかと考えている。連携できれば、この研究事業終了後もこの事業の継続が期待できる。
表3 企業説明会の開催
学校名 | 項目 | |
麻生 | 開催日時 | 2月19日(火曜) 10時〜12時30分 |
会場 | 麻生養護学校 | |
協力機関 | 川崎北公共職業安定所、障害者職業センター、 雇用や実習受け入れの経験がある企業 |
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麻生 | 参加企業 | 24社(川崎北部、横浜北部の企業) |
内容 | 協力機関からの説明、校内での作業学習の授業参観 | |
高津 | 開催日時 | 1月23日(水曜) 13時〜17時 |
会場 | 神奈川公会堂 | |
協力機関 | 品川公共職業安定所 | |
参加企業 | 58社(都内、神奈川県内の企業) | |
内容 | 雇用経験者(二人)による講演 | |
鶴見・中原 | 開催日時 | 2月25日(月曜) 15時〜17時 |
会場 | 鶴見養護学校 | |
協力機関 | 鶴見公共職業安定所、横浜鶴見北ロータリークラブ | |
参加企業 | 7社(雇用経験のない地元の企業) | |
内容 | 校内見学、企業経営者と養護学校長による講演 |
各校の取組状況については、表4の通り。通常の企業訪問に加えて、企業説明会の案内に絡めて企業訪問を行うこともできた。この事業については、事業費を十分に活用して来年度も継続して行いたい。また、回数の多寡よりも訪問の質が問われてくるので、効率良く企業訪問をして、より多くの収穫が得られるよう、努めていきたい。
表4 各校の企業訪問数
学校名 | 企業訪問数 | 学校名 | 企業訪問数 |
麻生 | 130回 | 高津 | 81回 |
中原 | 110回 | 鶴見 | 62回 |
今年度は9月、3月の計2回開催(3月は24日の予定)。内容は、9月が研究事業の取りかかりということで、この研究事業の概要説明、研究実践校の現状及び取組の紹介、研究方針の確認、情報交換を行った。3月はこの間の取組について中間報告を行い、来年度の研究の方針を確認する予定。
表5 川崎地区職業自立連携協議会の委員
分野 | 委員名(所属等) |
福祉 | 志賀氏(川崎市わーくす大師 施設長) |
労働行政 | 中島氏(川崎北公共職業安定所 統括職業指導官) |
福祉行政 | 今泉氏、横山氏、志村氏(川崎市 障害計画課) |
企業 | 各校の職業教育アドバイザー5名 |
教育 | 各校の研究担当教員8名 |
開催日、出席数、開催場所は表6の通り。
表6 川崎地区職業自立連携協議会の開催
回数 | 開催日 | 出席数 | 開催場所 |
第1回 | 9月21日 | 16 | 麻生養護学校 |
第2回 | 3月24日 | (19) | (麻生養護学校)(予定) |
今年度は9月から3月まで毎月1回計7回開催(3月は24日の予定)。内容は、各校のアドバイザーによる職業教育改善の取組状況報告、リーフレットや「企業説明会」の進捗状況などの情報交換、予算の調整、今後のワーキング会議開催の日程調整などである。
表7 川崎地区職業自立連携協議会ワーキング会議の委員
分野 | 委員 |
企業 | 各校の職業教育アドバイザー5名 |
教育 | 各校の研究担当教員8名 |
表8 川崎地区職業自立連携協議会ワーキング会議の開催
回数 | 開催日 | 出席数 | 開催場所 |
第1回 | 9月21日 | 13 | 麻生養護学校 |
第2回 | 10月25日 | 13 | 麻生養護学校 |
第3回 | 11月15日 | 12 | 麻生養護学校 |
第4回 | 12月18日 | 10 | 株式会社富士通ゼネラルハートウェア |
第5回 | 1月17日 | 11 | 麻生養護学校 |
第6回 | 2月21日 | 9 | 麻生養護学校 |
第7回 | 3月24日 | (14) | (麻生養護学校)(予定) |
4校合同で開催し、125名の参加が得られた。中学校特別支援学級の保護者の参加が50名近くあり、就労の話を初めて聞いたなどと好評を得た。しかし、講演中心で質疑に十分時間が取れず、余裕のない設定だった。今後は、対話のできる形で企画を作っていきたい。また、保護者の参加を考えると子どもの預かり等の配慮が必要となるため検討したい。
今年度、川崎地区で作成したリーフレットは神奈川県発行の「ともに歩む」、「自立をめざして」との役割分担を考えて、実習への協力促進にねらいをおき、気軽に手に取って見てもらうよう、デザイン重視のものにした。実際の使用に当たっては「ともに歩む」、「自立をめざして」を共に配布することとなる。また、川崎地区専用のリーフレットなので、県立特別支援学校のみならず、川崎市立の3特別支援学校の同意を得てその連絡先も併記した。
(1) 川崎地区では、ハローワークとの連携によって、企業説明会に多くの企業が参加し開催することができた。その結果、就労先、実習先として対象となる企業が増えることとなった。次年度は川崎市の取組とも連携の予定があり、取組が広がる予定である。
(2) 保護者研修会は4校で共同開催し、多くの保護者の参加による研修会が実施できた。また、特別支援学級にも呼びかけ、ほとんど就労等の情報が入っていかない保護者への理解啓発に取り組めた。このため、中学校の特別支援学級を含めた呼び掛けが今後とも必要である。
(3) 職業教育アドバイザーが助言を行う観点を定めるために、助言シートを共通で作成し、同じフォーマットでまとめ、ワーキング会議で共通理解することができた。来年度は、互いの授業を見合うなど、地区で授業改善について共通理解を持って行く。
(1) 平成19年度は、9月からのスタートであり、作業学習を途中から見て助言する形となった。最初の取りかかりの段階から職業教育アドバイザーに入ってもらい、作業学習の改善に着手したい。
(2) 職業教育アドバイザーが作業学習等の改善のために学校に入ることは有効であり、今後とも継続していくが、互いの学校の授業改善の状況等を職業教育アドバイザーも含めて見学することも視野に入れて行う。
(3) 企業見学会は、多くの企業が参加し、内容も好評であったことから継続して実施していくが、市と同様の事業があることから、今後は、市と連携しての開催を検討したい。
初等中等教育局特別支援教育課
-- 登録:平成21年以前 --