職業自立を推進するための実践研究事業中間報告書

都道府県名 神奈川県
地域名 平塚地域

1 研究のねらい

 ハローワークや神奈川障害者職業能力開発校、七沢ライトホームなど関係機関と連携し、平塚地区(視覚障害)職業自立連携協議会を設立し、視覚障害者の就労の課題について整理・検討を行い、研究の方向性を確認するとともに、研究のまとめを行う。また、ワーキング会議では、視覚障害者の企業就労の事例を蓄積し、分析することによって、就労可能な職種等を調査する。
 特別支援学校とハローワーク等が共同して企業に働きかけ、学校訪問の機会を積極的に作り、企業説明会を開催し、障害者雇用の理解促進と、職場開拓に取り組む。
 研究指定校は全学部を通じて職業自立のための研究に取り組むとともに、企業人に委嘱した職業教育アドバイザーを活用し、授業改善を行い、児童・生徒一人一人の職業自立に向けた取組を充実させる。

2 研究内容

(1) 平塚地区(視覚障害)職業自立連携協議会

 研究指定校の実践研究をより効果的にするため、情報交換・実施方法等の検討を行うとともに、関係機関等の連携によって研究に取り組む。また、具体的検討、取組を推進するため、協議会の下にワーキング会議を設置する。

1 平塚地区(視覚障害)職業自立連携協議会の委員

  • ハローワーク
  • 平塚市障害福祉課
  • 神奈川障害者職業能力開発校
  • 七沢ライトホーム
  • 職業教育アドバイザー

2 第1回平塚地区(視覚障害)職業自立連携協議会(平成19年9月)

  • 研究方針の確認
  • 年間計画
  • 企業説明会の開催
  • 各種研修会の開催
  • 職業教育アドバイザーの役割の確認

3 第2回平塚地区(視覚障害)職業自立連携協議会(平成20年3月)

  • 平成19年度の研究のまとめと、平成20年度の研究に向けて
  • 企業説明会等の成果
  • 職業教育アドバイザーによる授業改善
  • 小中高の職業自立の取組

(2) 平塚地区(視覚障害)職業自立連携協議会ワーキング会議

  1. ワーキング会議の委員
    • 各校研究実践委員2名
    • 各校職業教育アドバイザー
  2. 月1回開催
  3. 取組内容
    • 就労事例の蓄積
    • 各機関からの情報提供

(3) 研究の推進

1 職業教育アドバイザーの助言による職業教育の改善

  1. 月1回学校を訪問し、作業学習など職業教育の取組の改善にむけた助言を行う。
  2. 学校は、職業教育アドバイザーの助言により改善に向けた具体的取組を行う。

2 企業説明会の開催

  1. 地域の企業に視覚障害者理解や視覚障害者雇用のための説明会を行うことを知らせる。(ハローワークと連携する。)
  2. 企業説明会では、学校の取組を見てもらうとともに、視覚障害者を雇用している企業から話をしてもらう。
  3. 参加企業に働きかけ、実習や雇用に結び付ける。
  4. 視覚障害者の雇用について研修を行う。(講師1名配置)

3 企業訪問、企業見学

  1. ハローワークと連携を行い、就労先開拓のため企業訪問を行う。
  2. 障害者雇用を行っている企業を見学し、企業の取組を学ぶ。
  3. のべ25回企業を訪問。

4 保護者等の研修会

  1. 視覚障害者の企業就労について保護者向けの研修の機会を持つ。(講師1名)

5 平塚地区(視覚障害)就労用リーフレットの作成

  1. 企業説明会、企業開拓用に平塚地区(視覚障害)の学校の紹介や障害者理解と就労等の啓発に役立つ内容のリーフレットを作成する。(相模原地区共通のリーフレットを共同で300冊作成する。)

3 評価の方法

(1) 視覚障害職業自立連携協議会で視覚障害の就労のための諸課題と研究の取組方向について共通理解ができたか。
(2) 視覚障害職業自立連携協議会ワーキング会議で関係機関と情報交換が行えたか。
(3) 視覚障害者の企業就労の事例を10事例以上集められたか。
(4) 職業教育アドバイザーの助言に基づき、授業改善に取り組めたか。
(5) 企業説明会に5社以上の企業を集めることができたか。また、説明会終了後、実習や雇用に結び付いたか。

4 研究経過

月日 会議等の名称 内容
9月28日 第1回平塚地区職業自立連携協議会 ・連携協議会委員の顔合わせ
・本事業の趣旨説明
・研究の方向性について討議
9月28日 平塚地区職業自立連携協議会第1回ワーキング会議

職業教育アドバイザー助言
・ワーキング会議の趣旨説明
・生徒の実態説明
・授業見学
・授業を見てのアドバイス
10月31日 第2回ワーキング会議
職業教育アドバイザー助言
・授業を見てのアドバイス
11月15日 リーフレット完成 ・盲学校の教育内容と進路についてリーフレットを作成し完成。企業説明会の案内文書と同封したり、企業訪問の際に持参
11月28日 第3回ワーキング会議
職業教育アドバイザー助言
・授業見学
・授業を見てのアドバイス
12月18日 第4回ワーキング会議
職業教育アドバイザー助言
・授業見学
・授業を見てのアドバイス
企業説明会 ・9社、平塚市の参加
・盲学校の取組の説明、音声PCの活用と弱視者支援
・講演「視覚障害者の理解から雇用に向けて」株式会社ヒューメント
1月24日 第5回ワーキング会議 ・授業見学
・授業を見てのアドバイス
2月12日 保護者研修会 ・保護者8名の参加
・障害者の自立と社会参加について講演と質疑応答
2月20日 第6回ワーキング会議
職業教育アドバイザー助言
・授業見学
・授業を見てのアドバイス
3月10日 第2回平塚地区職業自立連携協議会 ・平成19年度事業の取組報告
・平成20年度に向けて課題の確認
・関係機関からの意見
・職業教育アドバイザーからの意見
10月24日 平塚市障害福祉課来校 ・平塚市役所において、視覚障害者がどのような仕事で働けるのか考えていきたいとの趣旨で意見交換
1月29日 県商工労働部雇用産業人材課来校 ・視覚障害者の就労について意見交換
2月4日 電機神奈川福祉センター来校 ・視覚障害者の企業就労について進めるために企業が視覚障害者を理解する方法
・特例子会社が、平塚盲学校を見学して今後の企業見学会の検討

5 成果と課題

(1) 視覚障害者の企業就労については、企業や関係機関の理解が不足していることが平塚地区職業自立連携協議会などで課題としてあがった。まずは、視覚障害者が企業で働いている事例を調査すること、その上で、その実態を企業や関係機関へ理解を広げて行くことが必要である。
(2) 企業訪問は9社を実施したが、障害者雇用の実際を理解する上で役立った。今後、視覚障害者が企業で働いている事例を調査し、調査した事例は、企業や関係機関にも分かりやすいようにまとめ、その事例を広げていく必要がある。また、保護者や生徒にも卒業後の就労等の可能性を理解できる資料とする必要がある。
(3) 情報教育機器の進歩によって、視覚障害者が企業で働ける可能性が広がってきた。今年度は、職業教育アドバイザーに情報の授業に入ってもらい、助言をしてもらったが、その段階に止まった。視覚障害者が効率よく情報機器を操作でき、企業等で活用できるようにするためのスキルなどをまとめていく方向で検討する必要がある。
(4) 今年度の企業説明会には9社が参加したが、実習や就労まで結び付くところまではいかなかった。卒業後、進学等を希望している生徒にとっても、職業体験は必要な事柄であることから、実習先の確保は必要である。そのため、障害者の雇用経験のある企業等で視覚障害者の実習受け入れに結び付くように積極的な働きかけが必要となる。

6 今後の展望

(1) 視覚障害者の企業就労の事例を収集のポイントを明確にし(企業がどのような点を知りたがっているのかなど)、統一したフォーマットを作成する。
(2) フォーマットにしたがって、事例を早い時期に収集し、視覚障害者企業就労事例集(仮称)としてまとめる。
(3) 情報機器のスキルを効率よく習得できるための資料をまとめる。
(4) 企業見学会を実施し、実習先企業へ結び付ける。

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)

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