都道府県名 和歌山県
地域名 橋本市・伊都郡,和歌山市,有田市・有田郡,田辺市・西牟婁郡,新宮市・東牟婁郡
指定校進路担当者、労働局職業安定部、障害者職業センター、雇用開発協会、(県)障害福祉課、企業等の担当者が一堂に会し、本事業に係る研究の成果及び次年度に向けた課題等の確認作業を行う。
また、障害のある生徒の一般就労に向けた諸課題について、圏域を超えた情報交換及び協議を行う。
5地域7会場において、学校関係者、労働局関係、ハローワーク、福祉関係、企業等の担当者が一堂に会して、高等部卒業生の進路について情報交換及び協議を行う。 また、必要に応じて移行支援に係る協議を行う。
従来の盲・聾・養護学校勤務において経験のある人材を、進路指導に係る職場開拓や就業体験の調整等の支援を行うなど、いわゆる障害者雇用に特化した学校版ジョブコーチ(就労サポーター)として養成し、各校へ派遣する。
学校進路担当者とハローワーク等の協力の下、地域に応じた進路リーフレットを作成し、職業自立連携協議会や進路指導担当者及び就労サポーターによる職場開拓、現場実習等で配付する。
(1) 本県におけるこれまでの一般企業への平均就労率(特別支援学校対象生徒)と比較し、高等部卒業生の就労率の向上が図れたか。
(2) 就労サポーターの養成、派遣により、派遣前と比較して現場実習等における支援活動が充実したか。
(3) 一般就労を目指す高等部生徒の移行支援会議について、その具体的実践例が蓄積できたか。
(4) 企業関係者に対する障害のある生徒の理解・啓発を促す取組が実際的に展開できたか。
開催月 | 研修内容 |
平成19年11月 | 特別支援学校の教育(各指定校) 進路指導に係る現状と課題(各指定校) |
平成20年2月 | 「自立支援法施行に伴う特別支援学校卒業後の就労」 (県障害福祉課) 「職場内での支援者の役割・心構え」(障害者職業センター) |
・ 就労サポーター派遣状況
指定地域 | 派遣 人数 |
派遣 日数 |
経歴 | 活動状況(のべ回数) 同日2箇所の支援は2回とカウント |
|
橋本市・伊都郡 | 1名 | 60日 | 元保護者 | 職場・現場実習先開拓(25回) 現場実習時の直接支援(42回) 校内における授業支援(4回) 進路指導連絡調整会議(3回) サポーター研修 (1回) |
|
和歌山市 | 紀伊コスモス養護 | 2名 | 40日 | 退職教員 | 職場・現場実習先開拓(0回) 現場実習時の直接支援(30回) 校内における授業支援(2回) 進路指導連絡調整会議(9回) サポーター研修 (0回) |
20日 | 製パン職人 | 職場・現場実習先開拓(0回) 現場実習時の直接支援(0回) 校内における授業支援(8回) 進路指導連絡調整会議(11回) サポーター研修 (1回) |
|||
紀北養護 | 1名 | 60日 | 退職教員 | 職場・現場実習先開拓(9回) 現場実習時の直接支援(86回) 校内における授業支援(0回) 進路指導連絡調整会議(4回) サポーター研修 (1回) |
|
有田市・有田郡 | 2名 | 30日 | 退職教員 | 職場・現場実習先開拓(4回) 現場実習時の直接支援(7回) 校内における授業支援(10回) 進路指導連絡調整会議(8回) サポーター研修 (1回) |
|
30日 | 退職教員 | 職場・現場実習先開拓(2回) 現場実習時の直接支援(9回) 校内における授業支援(5回) 進路指導連絡調整会議(13回) サポーター研修 (1回) |
|||
田辺市・西牟婁郡 | はまゆう養護 | 1名 | 60日 | 退職教員 | 職場・現場実習先開拓(2回) 現場実習時の直接支援(38回) 校内における授業支援(11回) 進路指導連絡調整会議(11回) サポーター研修 (1回) |
南紀養護 | 2名 | 43日 | 退職教員 | 職場・現場実習先開拓(15回) 現場実習時の直接支援(6回) 校内における授業支援(9回) 進路指導連絡調整会議(12回) サポーター研修 (1回) |
|
7日 | 退職教員 | 職場・現場実習先開拓(0回) 現場実習時の直接支援(0回) 校内における授業支援(5回) 進路指導連絡調整会議(1回) サポーター研修 (1回) |
|||
新宮市・東牟婁郡 | 2名 | 27日 | 施設職員 | 職場・現場実習先開拓(0回) 現場実習時の直接支援(20回) 校内における授業支援(2回) 進路指導連絡調整会議(7回) サポーター研修 (1回) |
|
27日 | 施設職員 | 職場・現場実習先開拓(2回) 現場実習時の直接支援(19回) 校内における授業支援(2回) 進路指導連絡調整会議(6回) サポーター研修 (1回) |
開催月 | : | 平成20年2月21日 | |
協議委員 | : | 28名出席 (別添名簿添付) | |
協議内容 | : |
・県内特別支援学校卒業予定者の進路状況並びに過去3年間の離転職状況等に係る情報交換 ・講義「事業所からみる特別支援学校生徒への期待」 ・株式会社丸和 取締役総務部長 田端 順造 氏 |
a 職業自立連携協議会の開催 平成20年3月17日 開催
橋本公共職業安定所、和歌山障害者職業センター、校区内市町役所、伊都障がい者就業・生活支援プレセンター、障害者相談支援委託事業所2事業所、紀の川・岩出生活支援センター |
b 移行支援会議の開催 平成20年2月1日
・対象生徒 | 高等部3年全員を想定 |
・会議構成員 | 子ども・障害者相談センター、相談支援専門員、障害者就労・生活支援プレセンター、障害者総合社会復帰施設、児童養護施設、グループホームピアサラ |
・引継ぎ資料 | 個別の教育支援計画(個別の移行支援計画)については、進路先が決定した後に、個別に担任が引継ぎとして情報を共有している。 |
a 職業自立連携協議会の開催 平成20年3月11日
ホテルアバローム紀の国(平成19年度卒業生勤務先) 社会福祉法人一麦会知的障害者通所授産施設 |
b 移行支援会議の開催
a 職業自立連携協議会の開催 平成20年3月14日
和歌山市公共職業安定所、和歌山障害者職業センター 株式会社丸和、ウィンナック株式会社、株式会社サンライズ 株式会社紀三井寺ガーデンホテルはやし |
b 移行支援会議の開催 平成20年3月17日(2社)、21日(1社)
・対象生徒 | 3名(学校で実施) |
・会議構成員 | 関係企業代表者(代表取締役、事務長、主任等)進路指導部長、アフターケア担当者、就労サポーター、担任 |
・引継ぎ資料 | 個別の教育支援計画(プロフィール、支援マップ、移行支援計画) |
a 職業自立連携協議会の開催 平成20年1月23日 開催
(株)ソエジマ ハローワーク湯浅、(県)障害福祉課 紀中障害者就業・生活支援センター、ひまわり作業所、つくし共同作業所 |
b 移行支援会議の開催 平成20年2月4、5日、12〜14日、19日
・対象生徒 | 21名(学校で実施) |
・会議構成員 | 本人、保護者、担任、進路担当、進路先担当者、ハローワーク湯浅、障害者職業センター、紀中障害者就業・生活支援センター、各圏域相談支援専門員、市町村福祉担当者、保健師等のべ48名 |
・引継ぎ資料 | 個別の教育支援計画(個別移行支援計画。本校では、「サポートプラン」と呼ぶ。) |
a 職業自立連携協議会の開催 平成20年1月28日 開催
田辺公共職業安定所、田辺市やすらぎ対策課、上富田町住民福祉課 白浜町住民福祉課、すさみ町住民福祉課、紀南障害者就業・生活支援センター、田辺西牟婁障害児者支援センター、南紀福祉センター相談・生活支援センター、南紀福祉センター相談・生活サポートセンター 障害者労働自立センター |
b 移行支援会議の開催 平成20年1月28日、30日、2月12日開催
・対象生徒 | 3名(南紀養護学校で実施) | |
・会議構成員 | 大学教授、卒業生(3名)の進路先関係者(3名)、進路担当者 | |
・引継ぎ資料 | 「労働・移行支援」の分野に関わって、個別の教育支援計画(移行支援計画)を作成し、保護者と確認。移行支援会議開催時に提示。 |
a 職業自立連携協議会の開催 平成20年2月22日 開催
新宮公共職業安定所、新宮市福祉課、障害者就業・生活支援センター 那智勝浦町福祉課、相談センターゆず、古座あさかぜ園、サポートセンタ ーとも(相談支援員、ジョブコーチ) |
b 移行支援会議の開催 平成20年3月18日開催
・対象生徒 | 同校卒業生(みくまの養護学校で実施) |
・会議構成員 | ハローワーク、障害者就業・生活支援センター、ジョブコーチ、社会福祉法人紀友会、新宮郵便局、進路担当者、学級担任 |
・引継ぎ資料 | 個別の教育支援計画(個別移行支援計画) |
田辺市・西牟婁郡地域(南紀養護学校)を除く、すべての指定校において進路リーフレットの作成を行い、職業自立連携協議会、現場実習時等で配布を行った。
研究指定校7校では、本年度、126名の卒業生に対し、18名(平成18年度は11名…研究指定校内)が平成20年1月末日現在で就職内定を得ている。3月以降も、4名の生徒が現場実習を引き続き実施しており、学級担任をはじめ、進路指導担当者や就労サポーターによる支援活動が卒業式後も展開されている状況にある。就労率において推し量ることについては、現時点では、難しさもあるが、指定校7校における就労率は、平成18年度の8.7%に対し、本年度は、14.2~17.4%となっている。本年度、就職者数は増加している。しかし、授産施設等への入所予定は、76名であり、これは指定校全体の6割を超える。
また、職業能力開発促進法に基づき設置された公共職業能力開発施設(教育訓練機関)へ移行する生徒も、本年度は県内で8名おり、仕分け・包装・陳列等の商品関連からコンピューターの活用、言葉づかいや服装、報告の仕方など社会生活において必要なこと等を学ぶ短期課程(1年)を経て一般就労を目指すこととなっている。平成18年度に入学した卒業生についても、高い割合で一般就労への移行が図られており、今後も、卒業時点における一般就労とあわせて、1年の短期課程を経た生徒の一般就労への移行も期待されるところである。
本年度、就労サポーターとして派遣を行った11名のうち、9名は、現場実習時における直接的支援や事業所側との連絡調整、職場開拓、現場実習先の開拓等を中心に、進路指導担当者と共に活動を展開した。
また、和歌山市地域(紀伊コスモス養護学校)へ派遣を行った1名(製パン職人)並びに田辺市・西牟婁郡地域(南紀養護学校)へ派遣を行った1名(退職教員)については、それぞれ作業学習「製パン班」や教科「家庭」、総合的な学習の時間へ参加し、自身の専門性から作業工程の分析や礼儀作法等、社会性を身に付けるための取組等、「授業作り」に向けた支援を展開した。以下、各指定校における取組から、就労サポーターの派遣による成果と課題について報告する。
一般就労への内定を得た生徒数が昨年度より増加したことからも、各指定校の現場実習参加生徒が多く、それに伴い実習期間や事業所数も増加している傾向にある。その中で、就労サポーターの派遣は、次の4つの点において効果的であったと考えている。
なお、一例をあげると、和歌山市地域における指定校(紀北養護学校)では、本事業の指定を受け、これまで高等部2年生からの実施であった現場実習を高等部1年生から開始し、実習件数が昨年度までの42件から78件へ増加したことが報告されている。また、初めての試みとなった高等部1年生の現場実習への取組は、早くから勤労観や職業観を育てる貴重な体験となり、学部職員間においてもその必要性を認識するに至っている。
また、就労サポーターによる生徒の実態把握に当たっては、現場実習前に作業学習へ就労サポーターが参加し、作業学習時の授業観察から「就労移行チェックリスト」を活用した評価を行い、進路指導担当者や学級担任と課題を分析した上で、現場実習での直接的支援を実施することができた指定校(田辺市・西牟婁郡地域)の取組もある。
製パン職人を就労サポーターとした和歌山市地域(紀伊コスモス養護学校)の取組からは、製パンに係る専門的な知識や技術の提供だけに限らず、新作レシピの作成をはじめ、作業学習における作業工程の見直しを行うことができた。また、製パン班に所属する生徒の作業技術や作業に向かう姿勢等から現場実習実施を想定した客観的な評価を就労サポーターが行い、学級担任や製パン班担当者との連絡会議において、各生徒の課題整理が行われている。具体的な評価視点としては、「衛生面への意識ができているか」、「作業工程への理解ができているか」、「自作パンの出来映えを自らの作業工程との関係において評価、分析を行うことができるか」等がある。
次年度以降、同指定校では、製パン工場等、現場実習先の開拓を行い、作業学習の更なる充実と製パン工場における現場実習の実現に向けて、就労サポーターを引き続き活用したいと考えている。
肢体不自由者を教育する特別支援学校である南紀養護学校では、短期間ではあるが、「茶道」の心得を有する人材確保を行い、家庭科における授業の一環として、礼儀作法等、社会性を身に付けるための指導を展開する授業作りに取り組んだ。日常的に学習集団が小さく、同級生同士によるかかわり等が少ない状況にある生徒にとって、有意義な取組となった。
上記1において現場実習への直接的支援を展開している就労サポーターについても、生徒の実態把握や現場実習における事前・事後学習を展開するために、校内における作業学習等の授業に携わり、作業学習担当者や学級担任との情報の共有を図っている。ある指定校では、昼休みや休憩時間の過ごし方への支援をはじめ、作業面(体力、持続性、能率、準備、片づけ等)だけに限らず、社会生活面(家庭生活、通勤、職務以外の生活)や対人関係面(挨拶、返事、報告、言葉づかい等)について、就労サポーターからの情報提供により、今後、取り組むべき課題が明らかになったと報告されている。
また、系統的、計画的に職業生活や家庭生活に関する基礎的な知識や技能を学ぶために教育課程の検討が必要との提起を受けている指定校もある。
こうした就労サポーターから寄せられた参考となる情報については、校務分掌部会や学部会、学年会等で報告されているケース、進路指導担当者が聴取し学級担任に報告しているケースもあるが、具体化については、今後の課題となっている。
本年度、就労サポーターの人選は、退職教員や施設職員を中心とした構成になっている。指定校によっては、特定の事業所の現職職員が同業他社での現場実習等に携わる困難が予想されることから、事業所へのアプローチを断念し、施設職員への呼びかけを行ったケースも報告されている。
退職教員を中心とした就労サポーターの派遣に当たっては、地元地域に居住している点や過去に同指定校において勤務経験がある等、学校関係者との連携がとりやすく、特に、生徒の実態把握に関する進路指導担当者や学級担任からの引き継ぎがスムーズに展開できたところが大きなメリットであった。一方、生徒の実態や家庭環境、将来のニーズ等を十分に把握するために、現場実習前後に進路指導担当者や学級担任と十分な打合せを行うための時間確保が必要であったとすべての指定校から報告されている。就労サポーターによるデスクワークの場所を進路指導室に設ける等、連絡調整が容易に行える環境設定を行い、連携を深めている指定校もあった。
高等部卒業生の移行支援に関わる引き継ぎについては、すべての指定校において実施されている。
一例を紹介すると、有田市・有田郡地域の指定校では、卒業生一人一人について移行支援会議を実施しているケースがある(平成18年度から)。本年度も卒業生21名について、2月に6日間の設定を行い、のべ48名の関係機関を学校へ招き、個別の教育支援計画(個別移行支援計画。同校では「サポートプラン」と呼ぶ。)に基づく会議を実施している。サポートプランは、移行支援会議の主たる資料として、本人の卒業後の生活への希望を中心に、保護者の希望もあわせて担任が作成し、最終、保護者の了解を得たものである。この会議では、卒業後スムーズに新しい生活に移行していけるよう、サポートプランの内容確認とともに、具体的な手続きや日程等について打合せを行うことにしている。また、会議で書き込まれた新たな情報については、学級担任が加筆・清書を行い、保護者・本人の署名、捺印をもらい、関係機関に届けるシステムとしている。卒業後、ジョブコーチ支援を活用しながら就労している生徒が多いことから、関係機関として、障害者就業・支援センターや障害者職業センターに出席を依頼し、連携を深めている。
このようにシステム化された移行支援会議の実施により、卒業時点だけに留まらず、卒業後、課題が生じた際などに、そのネットワークを活用し迅速に対応が図れた事例も報告されている。
個別の教育支援計画(個別の移行支援計画)の作成、活用や移行支援会議の実施については、効果的でかつ効率的な取組が展開していけるよう、今後、進路指導部長会や職業自立連絡協議会等を活用しながら、情報の共有化を図っていきたい。特に、個別の教育支援計画(個別の移行支援計画)作成における関係機関への伝達内容や個人情報の提供に関する手続き等は共有を行うべき内容と考える。
本年度、職業自立連絡協議会(県域)並びに職業自立連携協議会(指定地域別)において、いくつかの会場で企業関係者を招いた会議が開催されている。こうした協議会において報告された企業関係者からの声には、以下のように共通した見解があった。
その他、「清潔な生活習慣を身に付ける」、「身だしなみを整える」、「待つこと、辛抱することができる」、「楽しみをもってお金を使う」等についても、意見が出されている。また、移行支援に当たり、本人や家族等のことで、できるだけ多くの情報提供と引継ぎの必要性が報告されている。
企業側の特別支援学校生徒への期待は、職場における作業技術の向上等、その他数多くあると思われるが、上記の内容は、特別支援学校における教育活動においても日常的に大切に考えている視点であり、高等部段階だけに限らず、小学部や中学部においても留意できる事項である。今後、こうした企業側の率直な声を学校全体へ発信し、日頃の教育活動にどのように反映できるか等、組織的に検討を深めていくことが課題となる。
また、4点目に掲げた「家庭の支援がある」については、いずれの企業も重要な要素として捉えており、就労定着を図っていく上でもその重要性が指摘されている。その一方、特別支援学校の進路指導担当者からは、一般就労の促進に向けた大きな課題として、生徒だけなく、家庭を含めた支援が必要との報告があり、卒業後、福祉関係者を含めた総合的な支援体制に基づく取組が必要となる。
本年度、指定校6校において現場実習等に関する進路リーフレットの作成を行い、現場実習や職場開拓時に配布、説明を行った。また、ハローワークとの連携により、進路リーフレットの作成や学校見学会等が展開された。学校見学会については、企業担当者から「特別支援学校の高等部生徒像に新たな可能性を感じた」等の声が寄せられ、理解啓発に効果的な成果があった。次年度も引き続き、ハローワーク等と連携しながら企画していきたい。
本県における取組は、「就労サポーターの派遣」、「職業自立連携協議会、移行支援会議の充実」、「ゲストティーチャー等、職業教育に特化した人材の発掘」、「企業側への理解啓発」の4つの柱へのアプローチから、障害生徒の一般就労の促進、職業教育の推進を目指す実践研究となっている。
本年度の取組においては、第三者による支援として、退職教員を中心とした就労サポーターの派遣により、雇用に当たって求められる知識や技術に関する当該事業所の詳細な情報や現場実習時における当該生徒の状況や課題場面の的確な把握が、各指定校の進路指導上の取組に新たな視点を提供することができたと考えている。また、企業関係者を招いた職業自立連携協議会の開催により、障害者雇用を促進している企業から、特別支援学校生徒や特別支援学校における教育に対し様々な意見を頂戴し、特別支援学校における職業教育の充実に向けた貴重な情報を得ることができた。
こうして得られた情報を自校の教育課程の検討や職業教育の取組へどのように具体化するかについては、次年度、各指定校の取組から分析、検討を進めていきたい。
また、現場実習マニュアルを就労サポーターと共に作成し、現場実習先での活用を試みている指定校もあり、こうした取組の有効性についても検討を深めていきたい。
企業側への理解啓発に当たっては、和歌山市地域の指定校で、高等部職員が企業100社近くへ職場開拓を行い、特別支援学校の概要や生徒の進路ニーズについて企業へ説明を行う等の取組が展開され、企業3社における現場実習へつながったケースが報告されている。また、同校では、ハローワーク主催の特別支援学校見学会も実施され、次年度は、職業自立連携協議会(指定地域別)に位置付けて、企業担当者による学校見学会の計画を検討している。
しかし、現実的には、現場実習先の開拓につながっても、採用まで至らない場合が多く、特別支援学校の教育や生徒に対する理解啓発をさらに推進していく必要がある。その意味では、ハローワークとの連携のもと企業関係者による特別支援学校見学会は、効果的、効率的な取組であると考える。各指定校において作成した進路リーフレットもあわせて活用を図り、次年度も引き続き企業への理解啓発活動を展開していきたい。
一方、本県でも障害者自立支援法の移行措置期間として、福祉施設が新体系へ移行が行われている段階にある。こうした中、県レベルにおいて本年度2月に「和歌山県自立支援協議会」が設置され、また、県内5つの福祉圏域に設置された障害者就業・生活支援センターを中心に、年間2回の自立支援協議会(福祉圏域別)が開催されるようになっている。さらに、この和歌山県自立支援協議会には、「就労部会」が設けられ、障害者の一般就労促進に向けた特化した協議を平成20年度から行うことになっている。
本事業において取組を進めている「職業自立連携協議会」は、企業関係者を招いての協議や移行支援に関わる会議を開催する等、各指定校により協議会の形態は異なっているが、各指定校からは福祉圏域の協議会の違いを明確にする必要性が指摘され、各協議会が有機的に連携できるよう整理を行っていく必要がある。こうした課題については、本県教育委員会、障害福祉課、雇用推進課と連携しながら検討していきたい。
職業教育に特化した人材の発掘については、本年度、就労サポーターがゲストティーチャー的な位置付けで、職業科や家庭科、作業学習、総合的な学習の時間において授業展開に携わったケースを集約する段階に留まっている。
最後に、肢体不自由の生徒の進路開拓については、本年度、田辺市・西牟婁地域にある指定校において、一般就労へ向かう生徒がいなかったが、就労サポーターには、県内外の事業所(県外特定子会社3社、県内6社)、福祉工場等への調査訪問を依頼した。その中で、寮完備による雇用可能な福祉工場の情報を得ることができた。肢体不自由の生徒の進路開拓については、引き続き様々な情報を集約しながら、積極的に理解啓発活動を展開していきたい。
初等中等教育局特別支援教育課
-- 登録:平成21年以前 --