就労系障害福祉サービスにおける教育と福祉の連携の一層の推進について

事務連絡
平成29年4月25日

各都道府県教育委員会担当課 御中
各指定都市教育委員会担当課 御中
各都道府県私立学校主管課 御中
附属学校を置く各国立大学法人担当課 御中
高等学校を設置する学校設置会社を所轄する構造改革特別区域法第12条
第1項の認定を受けた地方公共団体の学校設置会社主管課 御中
各都道府県・指定都市・中核市障害保健福祉主管課 御中

文部科学省初等中等教育局特別支援教育課
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課


就労系障害福祉サービスにおける教育と福祉の連携の一層の推進について


 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)に基づく就労系障害福祉サービス(就労移行支援、就労継続支援A型及び就労継続支援B型(以下「就労系サービス」という。))については、平成28年3月における特別支援学校高等部卒業者のうち、5,673人(43.7%)が利用しており、また、就労系サービス終了後に一般就労へ移行する者は11,928人(平成27年度)であり、一般就労への移行を促進しているところです。
 また、就労系サービスが効果的に機能し、障害のある生徒の自立と社会参加に向けた就労支援が適切に行われるためには、特別支援学校高等部、高等学校及び中等教育学校の後期課程(以下「特別支援学校等」という。)の教育関係機関と就労系サービス事業所等の福祉関係機関が緊密な連携を図るとともに、特別支援学校等で作成する個別の教育支援計画と平成27年度から障害福祉サービス利用者全員について福祉関係機関で作成するサービス等利用計画が、個人情報の保護に留意しつつ相互に共有され、連携して活用されることが望まれます。
 このたび、厚生労働省においては、就労継続支援B型の利用に係るアセスメント(以下「就労アセスメント」という。)の取扱いについて見直しを行ったところです。
 その趣旨及び内容は下記のとおりですので、都道府県教育委員会においては域内の市町村教育委員会に対し、都道府県私立学校主管課、附属特別支援学校等を置く国立大学法人担当課及び構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の学校設置会社主管課においては所轄の特別支援学校等に対し周知いただきますようお願いいたします。
 また、各都道府県及び市町村の障害福祉主管課においては、管内の就労系サービス事業所、相談支援事業所及び障害者就業・生活支援センター等に対し周知いただきますようお願いいたします。
 さらに、教育関係機関及び福祉関係機関においては、特別支援学校等の卒業生の就労系サービスの利用に関し、引き続き各機関との積極的な連携を図っていただけますようお願いいたします。
 なお、平成25年4月26日付け事務連絡「就労系障害福祉サービスにおける教育と福祉の連携の一層の推進について」は廃止します。


1 就労アセスメントの趣旨
 就労継続支援B型は、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者など雇用契約に基づく就労が困難である者に対するサービスであることから、特別支援学校等在学者が卒業後すぐに利用する場合には、就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面に係る課題等の把握が行われている者を対象としているところです。
 そのため、特別支援学校等卒業後すぐに就労継続支援B型の利用を希望する場合(他の進路に就労継続支援B型も含めて検討している場合を含む。)、特別支援学校等在学中に就労アセスメントを受けた上で、最も適した進路に円滑に移行できるようにするとともに、就労継続支援B型を利用する場合には、一般就労への移行の可能性も視野に入れ支援を行うなど就労アセスメントにより長期的な就労面に関するニーズや課題等を把握した上で、卒業後個々の状況に応じた支援が受けられるよう、円滑な移行を図っていくことが重要です。
 従って、就労アセスメントは就労継続支援B型の利用の適否を判断するものではありません。
 各自治体、相談支援事業所、就労系サービス事業所、障害者就業・生活支援センター等、教育委員会、特別支援学校等においては、その趣旨をご理解いただき、就労アセスメントの対象となる生徒、保護者に対して、その目的や手順について理解を得てくださるようお願いします。
 なお、就労アセスメントの趣旨については、別添を参照ください。

2 実効性のある就労アセスメントの実施
 平成28年4月に厚生労働省が全自治体に行った調査結果によれば、就労アセスメントの対象者の約7割は特別支援学校在学者であり、そのうち約9割が知的障害者となっており、障害のある生徒の多くが活用しています。
 一方、就労継続支援B型の利用について、既に進路又は意向が決まった後に形式的なアセスメントを実施している事例など、アセスメントの趣旨が理解されていない取扱いがみられるところです。
 自治体によっては、課題の早期把握や進路の検討等のため、卒業年次よりも前の年次に実施し、卒業年次には実際に想定する進路を念頭に置き実習を実施し、適切な進路選択に効果を上げているところもあります。各自治体、教育委員会及び特別支援学校等におかれては、実効性のあるアセスメントが行われるよう、就労移行支援事業者等と特別支援学校等が十分に連携し、その趣旨を踏まえて、卒業年次よりも前の年次も含め適切な時期に計画的に実施することを推進してくださるようお願いします。

3 アセスメント実施機関の拡大について
 就労アセスメント実施機関は、就労移行支援事業所及び障害者就業・生活支援センターとしていますが、就労移行支援事業所に通所が困難など負担となる場合には、就労移行支援の施設外支援を活用して、特別支援学校等の校内等通所しやすい場所で実施することが可能となっています。
 また、アセスメントを必要とする対象者が多い自治体があること、就労移行支援事業所や障害者就業・生活支援センターがない障害保健福祉圏域もあることから、平成29年度から実施機関の拡大を図ることとし、自治体が認める就労支援機関(自治体設置の障害者就労支援センター等や一般就労を支援する障害者職業能力開発助成金による能力開発訓練事業を行う機関)において、就労アセスメントを行える体制が整っている場合は、就労アセスメント実施機関とすることができることとしました。
 各自治体においては、実施機関の拡大が必要な場合は、当該機関に就労アセスメントの趣旨を依頼し、実施が可能となるよう調整をお願いします。

4 特別支援学校等における実習によるアセスメント
 平成29年度から、特別支援学校等の高等部等の在学中に、一般企業や就労移行支援事業所における実習が行われ、特別支援学校等から本人、保護者、自治体や相談支援事業所にアセスメント結果が提供された場合、就労アセスメントを受けたとみなすことができることとしました。
 この場合においても、課題の早期把握や進路の検討等のためにアセスメント結果を活用するものであることから、適切な時期に実習を実施するとともに、アセスメント結果の提供に当たっては、本人、保護者、自治体、相談支援事業所、就労系サービス事業所及び障害者就業・生活支援センター等の就労支援機関を必要に応じて参集したアセスメントに関する会議等を開催することにより検討されることが望ましいものであることにご留意願います。

5 留意事項
(1) 特別支援学校等における個別の教育支援計画等の情報提供について
 就労アセスメントを実施する場合、適切かつ効果的に実施するため、特別支援学校等においては、本人、保護者への同意を得た上で、特別支援学校等における個別の教育支援計画、進路指導や職場実習の結果等や個々の特性や配慮が必要な事項等について、就労アセスメント実施機関やサービス等利用計画を作成する相談支援事業所等に対する情報提供について、特段のご配意をお願いします。
(2) 特別支援学校等における就労アセスメントの取扱い
 就労アセスメントについては、例えば、特別支援学校の高等部における作業学習や校内実習を行動観察する場合のように、学習指導要領に定める各教科等の目標に基づき学校の定める指導計画に沿って、学校の教員の指導の下に行われるなど、学校の教育課程の中に位置づけられる場合には、同一の活動を授業及び就労アセスメントの双方として実施することも可能です。
 また、夏季休業中に就労アセスメントの実施希望が集中し、就労移行支援事業所等が受け入れ困難となる場合になることもあることから、各自治体と教育委員会、特別支援学校等が連携を図り、就労アセスメント実施機関との事前の調整並びに各地域における就労アセスメントに係る連携体制及び実施体制の構築をお願いします。
(3) 特別支援学校等から就労系サービス事業所等への引継ぎ
 特別支援学校等卒業後、就労系サービスを利用する場合には、卒業時に特別支援学校等から就労系サービス事業所その他機関に対して、個人情報の保護に留意した上で、各就労系サービス事業所やその他機関において就労支援やその他必要とする支援が適切に行われるよう、特別支援学校等における個別の教育支援計画等の支援に必要となる情報の引継ぎを確実に実施してくださるようお願いします。

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

指導係
電話番号:03-5253-4111(内線2003)
ファクシミリ番号:03-6734-3737
メールアドレス:tokubetu@mext.go.jp

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(初等中等教育局特別支援教育課)