高校生等への修学支援

資料1 高校無償化に係る朝鮮高級学校の審査状況(3月26日時点)

1.審査基準への適合性

○審査基準のうち、裁量の余地のない外形的な基準(教員数、校地・校舎の面積等)については、全校が基準を満たしている。

○報道内容のうち、
(1)審査基準(法令に基づく学校の運営)に抵触しうる事項(注)、
   例:理事会が長期間開催されていない
(2)申請内容の重大な虚偽となりうる事項
    例:理事会議事録の捏造、財務諸表の虚偽
 については、指定の可否に関わることから確認を行ったが、重大な法令違反に該当する事実は確認できていない。
 ※教育基本法への適合性については、後述。

2.朝鮮総連との関係

○朝鮮学校については、朝鮮総連によって教育基本法第16条の「不当な支配」を受けているのではないかとの指摘がなされている。仮に同法に違反する場合には、重大な法令違反に該当することから、この点について、必要な確認を行ったところ、概要は以下のとおり。
 なお、一部報道では、朝鮮学校が、実質的に、朝鮮総連の「直轄組織」である教育会によって運営されていると報じられているが、教育会とは、保護者、学校卒業生、その他各地域の学校支援者の代表等からなり、学校への寄附金の募集等の支援を行う組織であり、教育会が学校運営を支配しているという事実は確認されなかった。

1.教育内容
○(1)高級部で共通して使用される教科書の内容は、東京朝鮮学園に属する「学友書房」(教材出版社)に設けられた「教科書編纂委員会」で決定されている(その委員は、各高級部の教員が多数を占めている)、
 (2)学校によると、朝鮮総連から教育内容について指導を受けることはないが、民族科目(朝鮮語、社会科目)について、北朝鮮本国の学者等の意見を取り入れるために朝鮮総連の協力を得ている
 等の事実が認められた。

2.人事
○各学校の理事・監事に朝鮮総連の役職員が任命されている事例(愛知2名、北海道・九州1名)があるものの、全校とも、人事  については理事会で決定しているとの回答であった。

3.財政
○過去5年間の高級学校に関する収支を確認した結果、学校から朝鮮総連に対して寄付等を行っている事実は確認できなかった。また、朝鮮総連からの寄付を受けている場合も、学校収入に占める割合はわずかであることが確認できた。
  収入:関連団体(教育会、商工会等)からの数十~数百万円程度の収入あり
   支出:関連団体への1件百数十万円未満の支出あり(保険料、教材購入費等)

○なお、高級部への収入ではないが、東京朝鮮学園に属する「学友書房」(教材出版社)に対し、北朝鮮本国から、「在日本朝鮮人中央教育会」を経由して、祖国援助金が交付されており、これが、全国の学校への主たる教材の無償配布に充てられていることが確認できた。

○自治体の補助金に関する問題事案を確認したところ、自治体が補助金執行上の事務ミス等を指摘した例はあったが、各自治体とも、不正受給等の悪質な事案はないとの認識であった。

4.学校運営
○全校とも、唯一の意思決定機関は理事会であると回答。
  なお、理事会等の開催状況を議事録等で確認したところ、適切に作成されていない事例があったが、学校は、事務ミスによるものと回答しており、また、議事録の偽造等の事実は確認できなかった。
 (詳細は、「個別の学校の問題点」を参照)
  ※過去においては、次のような事案が存在したこと確認されたが、いずれも現時点で同様の問題は確認されていない。
  【福岡】総連地方本部が旧朝銀から借入をする際に、学校名義の書類・議事録が旧朝銀によって偽造され、法人理事長印が使用された。
    ⇒整理回収機構との訴訟では、学園の債務ではないと認定(現在、高裁で係争中)。
  【広島】整理回収機構との訴訟で、旧朝からの借入をめぐり、以下のような事実が認定された。なお、訴訟では、総連地方本部の支出に係る借入についても、学園の債務と認定された。
   ・数十年の間、正式な理事会はほとんど開催されず、数億円の債務負担を伴う土地購入の場合も、開催されなかった。議事録が作成されている場合にも、対応するような正式な理事会が開かれていたわけはない。
    ・「学園と朝銀は、朝鮮総連本部の強力な指導の下にあっ」た。
    ・学校の日常的な管理運営は、「教育会」が行っていると学校関係者は認識していた。
  【愛知】学校の支出に係る借入を「教育会」名義で行っており、緊急の場合(教員への遅配給与の支払い等)には、学校法人理事会の承認を得ていない事例があった。

○このほか、朝鮮総連による影響に関し、
 ・拉致問題、大韓航空機爆破事件に関する主たる教材の記述について、校長会が修正の要望を行った結果、主たる教材が改訂されたこと
 ・愛知朝鮮学園では、次期の役員改選では、朝鮮総連の役職員については、選任しない意向であること
 ・上記の整理回収機構との訴訟において、朝鮮総連に係る借入について、学園の債務としては否定していること
 等、否定的な事実が確認された。

3.主たる教材の懸念事項

○具体的な教育内容については、
  (1)教育基本法第2条(教育の目標)に違反しないか
  (2)指定の際に留意事項として自主的改善を促すべきか
  との観点から、主たる教材について、必要な確認を行ったところ、概要は以下のとおり。

○拉致問題、大韓航空機爆破事件に関する記述が改訂された教材が使用されていることが確認できた。

○ミサイル発射、領土問題(竹島、北方領土)、日本海の呼称等について、我が国の政府見解と異なる記載が確認できた。

○このほか、我が国の政府見解等に反するものではないが、
 (1)日本、韓国、アメリカ等に関し、我が国社会や国際社会の担い手の育成との観点から、必ずしもふさわしくない記述(例:朝鮮でヤンキーたちはヒトラーさえも遥かに凌駕した)、
 (2)北朝鮮の政治体制や政治指導者の正統性等を強調する記述
 等が確認できた。

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初等中等教育局修学支援・教材課

(初等中等教育局修学支援・教材課)

-- 登録:平成25年12月 --