学校施設は、障害のある児童生徒等が、支障なく安心して学校生活を送ることができるようにする必要があるとともに、災害時の避難所など地域コミュニティの拠点としての役割も果たすことから、バリアフリー化は重要です。このため、文部科学省では、各学校設置者のバリアフリー化推進を支援するため、様々な取組を行っています。
令和2年度、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(以下「バリアフリー法」という。)が改正され、バリアフリー法上の「特別特定建築物」に、公立小中学校等が追加されました。これにより、公立小中学校等施設は、一定規模以上の建築等をするときは、バリアフリー基準への適合が義務付けられたほか、既存の建築物についてもバリアフリー基準への適合の努力義務が課せられました。
これを受けて、文部科学省では、有識者会議を設置し、既存施設を含めた学校施設におけるバリアフリー化等を加速していくための方策等について集中的な検討を行い、令和2年12月、有識者会議の報告を取りまとめました。これを踏まえ、学校施設バリアフリー化推進指針(以下「指針」という。)を改訂するとともに、公立小中学校等のバリアフリー化に関する整備目標を設定しました。
さらに、令和3年度より、公立小中学校等の既存施設におけるバリアフリー化工事について、一定の要件を満たす場合の国庫補助の算定割合を1/3から1/2に引き上げたほか、行政説明の実施、事例集の作成等、様々な取組を実施しています。
上記の有識者会議の検討経緯・取りまとめた報告書や、改訂した指針は以下のとおりです。また、以下の事例集では、報告書の一部再掲や、指針の主要な項目のイラスト付き解説のほか、各自治体が制定・策定している学校施設のバリアフリー化に係る条例・計画や、学校ごとの個別のバリアフリー整備等を掲載しています。
令和7年度末までの整備目標と実態調査の結果は、以下のとおりです。
学校施設のバリアフリー化に関する計画等がある地方自治体は25%(令和4年9月時点)。
〇学校施設環境改善交付金 大規模改造(障害児等対策)
・対象事業者
地方公共団体
・対象施設
幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校(前期課程)、特別支援学校
・対象事業
障害児等対策施設整備工事
(エレベーター・自動ドア・スロープ等を設置する工事、障害を有する教職員等が勤務する学校で特に必要と認められる工事 等)
・補助割合
1/2(保有面積が2,000㎡未満の学校及び幼稚園は1/3)
〇国立大学法人等施設整備費補助金
・対象事業者
国立大学法人、大学共同利用機関法人、国立高等専門学校
・対象施設
国立大学法人(附属学校を含む)、大学共同利用法人、国立高等専門学校
・対象事業
施設の改修等
・補助割合
1/1(定額)
〇私立学校施設整備費補助金
・対象事業者
学校法人、準学校法人・対象施設
幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校、高等学校、特別支援学校、高等専門学校、短期大学、大学、専修学校(専門課程及び高等課程に限る)
・対象事業
エレベーター、自動ドア、スロープ等の設置等のバリアフリー化工事
(「建築物移動等円滑化基準」を満たすために実施する工事 等)
・補助割合
1/3(幼稚園~高等学校、専修学校(高等課程))、
1/2(高等専門学校~大学、専修学校(専門課程))
文部科学省では、学校施設のバリアフリー化の更なる推進のため、上記の支援に加え、各学校設置者の利用に資する資料を以下のとおり作成しています。
普及啓発ポスターは、学校利用者である教職員や児童生徒をはじめ保護者・地域住民を含む皆様にも、幅広く学校施設のバリアフリー化の重要性を知ってもらうため、学校施設バリアフリー化実態調査(令和4年9月現在)を基にその現状と国や学校設置者における取組について簡潔にまとめています。
文部科学省では、地方公共団体の学校施設担当者等を対象とし、公立小中学校等施設のバリアフリー化に係る国庫補助に関する質問や専門的・技術的相談等を受け付けています。
指導第一係