研究施設共用に対する取組

科学技術活動全般を支える基盤である研究施設・設備は、基礎研究からイノベーション創出に至るまでの研究開発に不可欠であり、これらの整備や効果的な利用を図ることが重要です。

文部科学省では、科学技術に関する広範な研究開発領域や、産学官の多様な研究機関に用いられる共通的、基盤的な施設・設備に関して、その有効利用、活用を促進するとともに、これらの施設・設備の相互のネットワーク化を促進し、利便性、相互補完性等を向上するための取組を進めています。

特定先端大型研究施設の共用

「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律」(平成6年法律第78号)(以下、「共用促進法」という)では、特に重要な大規模研究施設を「特定先端大型研究施設」と位置付け、施設の整備や共用のために必要な経費の措置等を通じて、産学官の研究者等による共用を促進しています。特定先端大型研究施設としては、特定放射光施設(3GeV高輝度放射光施設(NanoTerasu)、大型放射光施設(SPring-8)、X線自由電子レーザー施設(SACLA))、特定高速電子計算機施設(スーパーコンピュータ「富岳」)、特定中性子線施設(大強度陽子加速器施設(J-PARC))が規定されています。

3GeV高輝度放射光施設(NanoTerasu)

NanoTerasuは、物質表面の電子状態の解析に優れた軟X線領域において、高輝度の放射光を生成・利用できる世界最高性能の放射光施設であり、従来の測定・計測手段とは異なる特徴を有しています。この施設は、大学・産業界等を含む多様な分野の研究者等から新たな測定・計測手段として期待が高まっており、速やかに幅広い研究者等に活用されることにより、国際競争力の飛躍的な向上につながる成果の創出が期待できるもので、令和6年度からの運用開始を予定しています。

3GeV高輝度放射光施設(NanoTerasu)(※NanoTerasuホームページへリンク)

 NanoTerasu
3GeV高輝度放射光施設(NanoTerasu)
提供:光科学イノベーションセンター

大型放射光施設(SPring-8)

SPring-8は、光速近くまで加速した電子の進行方向を曲げたときに発生する極めて明るい光である「放射光」を用いて、物質の原子・分子レベルの構造や機能を解析可能な研究施設です。平成9年より共用が開始されており、ライフイノベーションやグリーンイノベーションをはじめ、様々な分野で革新的な研究開発に貢献しています。

大型放射光施設(SPring-8)(※SPring-8ホームページへリンク)

SPring-8について、技術革新の進展等に対応した施設の高度化等を推進するため、山本大臣政務官(当時)を座長、井出副大臣(当時)を顧問とするタスクフォースで検討し、報告書を取りまとめました。

SPring-8の高度化に関するタスクフォース報告書

X線自由電子レーザー施設(SACLA)

SACLAは、レーザーと放射光の特徴を併せ持つ究極の光を発振し、従来の手法では実現不可能な分析を可能にする世界最先端の研究施設です。本施設により、原子レベルの超微細構造、化学反応の超高速動態・変化を瞬時に計測・分析することが可能となり、医薬品や燃料電池の開発、光合成のメカニズムの解明など、幅広い研究分野で革新的な成果が生まれることが期待されています。平成23年6月には世界最短波長のX線レーザーの発生に成功し、平成24年3月より共用を開始しました。

X線自由電子レーザー施設(SACLA)(※SACLAホームページへリンク)

 SACLAとSPring-8
大型放射光施設(SPring-8)及びX線自由電子レーザー施設(SACLA)
提供:理化学研究所
左の縦長の建屋がSACLA。右の円形状の建屋がSPring-8。なお、SPring-8及びSACLAは一体的に運用されており、共用促進法では、両方を一体の施設として特定放射光施設と規定されています。

スーパーコンピュータ「富岳」

スーパーコンピュータによるシミュレーションは、理論、実験と並ぶ、科学技術の第3の手法として、最先端の科学技術や産業競争力の強化に不可欠な基盤となっています。高い演算性能と汎用性を兼ね備えた「富岳」は、令和3年3月に共用を開始しました。今後は、Society 5.0の実現に向けて、健康医療、防災・減災、エネルギー、ものづくりなど様々な分野で、数多くの科学的・社会的課題の解決に役立つ画期的な成果の創出が期待されています。

スーパーコンピュータ「富岳」(※「富岳」ホームページへリンク)

スーパーコンピューター「富岳」
スーパーコンピュータ「富岳」
提供:理化学研究所

大強度陽子加速器施設(J-PARC)

J-PARCは、世界最高レベルのビーム強度を持つ陽子加速器から生成される中性子、ニュートリノ等の多彩な二次粒子を利用して、生命科学、物質・材料科学、原子核・素粒子物理学など、幅広い分野における研究開発に貢献しています。平成24年1月より中性子線施設について共用を開始しました。

大強度陽子加速器施設(J-PARC)(※J-PARCホームページへリンク)

J-PARC
大強度陽子加速器施設(J-PARC)
提供:J-PARCセンター

登録施設利用促進機関

登録施設利用促進機関は、共用促進法に基づき公平かつ効率的な共用を行うため、施設利用研究に専門的な知見を有し、利用者選定業務や利用支援業務等を実施する、特定先端大型研究施設の設置者とは別の機関のことです。詳細については、「登録施設利用促進機関について」を御覧ください。

国内有数の研究施設・設備のプラットフォーム

先端研究基盤共用促進事業(共用プラットフォーム形成支援プログラム)

本事業では、産学官が共用可能な研究施設・設備等における施設間のネットワークを構築する共用プラットフォームを形成することにより、世界最高水準の研究開発基盤の維持・高度化を図ります。

詳細については「先端研究基盤共用促進事業(共用プラットフォーム形成支援プログラム)(※JSTのホームページへリンク)」を御覧ください。

公募要領バックナンバー

先端研究基盤共用促進事業(先端研究設備プラットフォームプログラム)

本事業では、国内有数の先端的な研究施設・設備について、全ての研究者がそれぞれの研究に適切なそれら研究施設・設備を容易に活用できる環境を実現するため、遠隔利用・自動化を図りつつ、ワンストップサービスによる利便性向上を図ります。

公募要領バックナンバー

研究機関における共用システム構築

先端研究基盤共用促進事業(新たな共用システム導入支援プログラム)

本事業では、競争的研究費改革と連携し、研究組織のマネジメントと一体となった研究設備・機器の整備運営の早期確立により、研究開発と共用の好循環を実現する新たな共用システムの導入を加速します。

研究組織のマネジメントと一体となった新たな研究設備・機器共用システムの導入について(平成27年11月25日先端研究基盤部会)

詳細については、「先端研究基盤共用促進事業(新たな共用システム導入支援プログラム)(※JSTのホームページへリンク)」を御覧ください。

平成28年度採択結果は「平成28年度先端研究基盤共用促進事業公募採択機関の決定について」を御覧ください。

平成29年度採択結果は「平成29年度先端研究基盤共用促進事業(新たな共用システム導入支援プログラム)公募採択機関の決定について」を御覧ください。

平成30年度採択結果は「平成30年度先端研究基盤共用促進事業(新たな共用システム導入支援プログラム)公募採択機関の決定について」を御覧ください。

公募要領バックナンバー

先端研究基盤共用促進事業(コアファシリティ構築支援プログラム)

本事業は、大学・研究機関全体として、研究設備・機器群を戦略的に導入・更新・共用する仕組みを強化(コアファシリティ化)することを目的とします。

公募要領バックナンバー

研究機器相互利用の実証

先端研究基盤共用促進事業(研究機器相互利用ネットワーク導入実証プログラム(SHARE))

本事業では、研究機関が相互に研究設備・機器を利活用するための課題を抽出・解決する研究機器相互利用ネットワークの構築の実証実験を実施し、大学間、大学と企業間等の研究設備・機器の共用を推進することを目的とします。

 先端研究基盤共用促進事業シンポジウム

文部科学省「先端研究基盤共用促進事業」キックオフ・シンポジウム ~オープンイノベーションプラットフォームの形成に向けて~ の開催について
先端研究基盤共用促進事業シンポジウム2017について
先端研究基盤共用促進事業シンポジウム2018について
先端研究基盤共用促進事業シンポジウム2019~研究力向上の原動力である研究基盤の充実に向けて~について
先端研究基盤共用促進事業シンポジウム2020~ポストコロナ社会における研究環境のデジタル・トランスフォーメーション(DX)~

研究基盤EXPO2021(※研究基盤イノベーション分科会のホームページへリンク)

お問合せ先

科学技術・学術政策局研究開発基盤課

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(科学技術・学術政策局研究開発基盤)