教員養成部会 教員免許制度ワーキンググループ(第13回) 配付資料

1.日時

平成18年5月16日(火曜日) 13時~15時

2.場所

如水会館2階 「オリオンルーム」

3.議題

  1. 教員免許制度の改革、とりわけ教員免許更新制の導入について
  2. その他

4.配付資料

5.出席者

委員

 野村主査、天笠委員、大橋委員、佐々木委員、角田委員、中村委員、渡久山委員、八尾坂委員

文部科学省

 戸渡教職員課長、勝野視学官 他

6.議事

(1)教員免許制度の改革、とりわけ教員免許更新制の導入について

 事務局から配付資料の説明の後、資料4~6に基づき、自由討議が行われた。主な発言は以下のとおり。

委員
 資料5の基本的な考え方について、リニューアルの考え方は、研修にも通じるもので、更新制のみにあてはまるものではない。教職にある者が、日々の研修やリニューアルのための講習を適当な時期に受講し、自己研鑽することは大事だが、それが直ちに更新制に結び付くものではない。現職教員が10年後にリニューアルされたとしても、リニューアルという一般論では、免許制度とは直接に結び付かない。また、ペーパーティーチャーにリニューアルの考え方が適用されるのか。教育現場の経験がない者のリニューアルとは何か。運転免許の場合は、実際に車を運転している者もペーパードライバーも、同じ講習を受けている。運転免許に今回のリニューアルの考え方を入れると、運転技術を向上させる意味になるので、ペーパードライバーも運転技術を向上させる講習を受けなければならなくなる。教員は終身免許状を受けて公務員になっており、条件附採用期間も、一般公務員は半年間だが1年間となっている。更新制の導入で、教員が前向きになれるのか。更新制を処遇に反映させるかどうかの議論もしていない。人材確保法の廃止の動きもあり、一般公務員よりも処遇が悪くなる可能性もある。教員になるには、免許状を保有しなければならないことも一つのハンディだが、更新制が導入されると、さらにハンディとなるので、教職が優れた職務とされるかは疑問である。教員バッシングがあり、職務もハードで、待遇も良くなく、更新講習も課すという形が良いことなのか。前向きな良い制度と言うのであれば、それらの部分についても考えておかなければならない。また、10年の有効期限付きの免許であれば、10年後に失効するため、必ず何らかの講習を受けなければならないが、経費については自己負担と思われるため、一般公務員よりも負担を負うことになる。前向きな教員政策とするには、条件整備をきちんとしていかなければならない。

委員
 20~30代の教員は、興味を持って学校や社会の動きについていこうとするが、40~50代になるとわが道を行くようになり、結果的に、指導力不足教員が多くなる。40~50代の教員は世の中の動きを知らな過ぎるので、それは指導力不足教員の問題として扱えば良いのだが、教員全体がそのような傾向にあるとすれば、10年経験者研修や免許更新を行って、新しい制度や考え方を全員が修得していく必要がある。それを免許制度で行うのか、研修で行うかだが、更新制で行った方が効果があるだろう。これから高齢化社会を迎え、団塊世代の教員が退職するため、教員OBの協力も必要であるし、教員の質の低下も懸念される。また、60歳を過ぎても更新を行うのかの問題がある。東京都の場合、小・中学校で約1,500人以上の新規採用があるが、約50人は採用初年度で辞める。条件附採用期間を過ぎると、免職は懲戒処分や分限処分しかないので、採用後5年間は仮免許のような制度があっても良いと考えるが、それとの関係をどうするのか。一方で、教員の身分の問題はあるが、教員に対する社会の目が厳しくなっているので、それにも的確に応えていかなければならない。

委員
 これまでの議論では、子どもや教育についての研究が進んできており、LDやADHDの問題など、新しい研究の成果が出てきている。また、「脳科学と教育」に関する検討が進められていることなどからすると、免許状授与時とは違うことが起こってきており、教員が最低限知っておくべきことを知らなければ、子どもの指導を誤ることになる。社会が変化し、それに伴って子どもが変化していることは、社会の中で生きている限り、ペーパーティーチャーでもある程度は知っているだろうが、教職の専門家とは差があるので、ペーパーティーチャーでもリニューアルはしていかなければならない。更新制のねらいはリニューアルであると議論してきたが、資料5の基本的な考え方の3つ目の○(まる)にあるように、「教員政策全体の中に、適切に位置付けられるもの」とすると、現職教員は研修等の政策の中で生きるが、ペーパーティーチャーの場合はどのように位置付けるのか疑問が残る。

委員
 資料5については、ペーパーティーチャーだけに限定するのか、現職教員への適用に及んだ時にも関わってくるというものなのか。モデルカリキュラムを作るにしても、現職教員が関わる場合とそうでない場合では違いが出てくるので、法制的に現職に適用できるのかどうかの説明をしてもらいたい。

事務局
 現行の免許制度の下で、現に免許状を有している者について、どのように適用できるのか否かの整理は、次回、準備させていただきたい。資料5は、免許状に10年の有効期限がつく新しい免許制度の下での論点の整理なので、ペーパーティーチャーでも、現職教員でも、資料5にある内容は全て適用される。現に有する免許状に、後の法改正によって有効期限を付すとなると不利益を課すことになるとの法制的な指摘もあるが、憲法や他の法律にそれができないと規定されているわけではないので、条件設定や、公益との比較考量等の論点の整理を進めているところである。

委員
 更新制の議論が始まったのは、これからの免許取得者ではなく、現職教員に注目して、現行の免許制度はどうなっているのかとの疑問からである。文部科学省が、現行法上、現に免許状を有する者に適用できないというのであれば、現在、教職課程を履修している者以降の問題であるので、効果が表れるのは10~20年後となる。現に免許状を有する者を前提に、不利益を課すのであれば、制度改正をどのように行い、フォローしていくのかを議論しなければ、国民の期待とは違う方向に進んでしまう。

委員
 学校自体が閉鎖的であり、自己刷新機能がなければ問題なので、これも更新制でリニューアルが求められている一つの問題として指摘されるのではないか。教育改革国民会議の議論は、精神論が先にあったから、教育基本法の改正や教育振興基本計画の策定の提言があったが、中身を伴っていない。国民的な課題に応えていたかは疑問である。学校現場には、何らかの問題があり、それを解決するために平成14年の答申があって、10年経験者研修の導入や指導力不足教員への対応があったと思うが、それから2年しか経っていないので、その点は踏まえなければならない。管理職や教員が一体となって学校経営しているところもあれば、無気力のところもあり、教職員集団のあり様が、学校の経営や教育活動に影響している。そこをどうするかが大事だが、教員だけに焦点を当てて、学校の現状を見るのではなく、制度の問題や子どもの状況等も見なければならない。更新制を導入しないよりは、導入した方が良いとの意見もあるが、それにより教育の現状が変化し、質の高い教員が確保できるとは思えない。定年後の採用がある場合に、教員として40年以上やってきても、免許の期限が切れれば採用できないとされるのか、採用されるために更新を受けることになるのかという問題もある。

委員
 基本的な考え方の最後の○(まる)で、「他の制度と一体となって実施される」とあるが、更新講習のみで更新を行うのと、各教育委員会が行っている研修とリンクさせながら更新を行うのが考えられるので、研修履歴を記録しながら、更新に臨んでいくことが必要になってくるのではないか。免許更新講習の在り方の(1)の2つ目の○(まる)で、「国が更新講習の認定基準(例えば、講習内容、方法、修了目標等)を定めることが適当」とあるが、いくつかのコースが必要になってくる。その下の○(まる)で、「認定基準で定める内容以外の内容や認定基準以上のレベルの内容を盛り込んで、多様な講習を実施することは可能」とあるが、これは付加価値を付けた内容であるので、研修履歴として活かされるのではないか。モデルカリキュラムについても、色々なモデルが必要になってくる。

委員
 これまでの議論を整理すると、資料5の「基本的な考え方」の形になるのではないか。この考え方は、生涯学習論の考え方を基盤にしており、これからの社会では、知識が陳腐化する期間が短くなることが指摘されていると思われるが、もう少し強調しても良いのではないか。また、そもそも免許をどのように考えるのかという免許論をどのように理解し、位置付けるのか。免許は、その世界で通用するという意味で付与されるという考え方が歴史的にも日本では強かった。しかし、状況は変わり、免許を持つことによりその職の入口に立てたことが認められている。その後もその職を続けるには、常に知識・技術を更新する不断の努力が求められるという考え方に立てば、免許の考え方は、その職の遂行のための完全な状態から、基礎的な部分に到達した状態を認めたものという捉え方になるので、免許に対する考え方の変遷や、今はどう理解されているのかという基本的な考え方を捉えておく必要がある。「更新制の実施のために必要な取組等」の部分で、システムや組織体制の整備について触れているが、イメージがしにくい。免許更新となると、免許更新センターをイメージするが、教員免許の更新システムは具体的にどのようにイメージされるのか。ペーパーティーチャーを対象にすると、膨大な事務量になる。また、現職教員を対象にする場合など、事務負担や処理時間、経費に関するシミュレーションが必要ではないか。

委員
 更新制の捉え方としては、資料5の整理で良いのではないか。教員のライフワークの視点に立つと、免許状は歴史的にも最低限の基礎資格という意味を持っていて、教職に就いてからのライフワークの中で研鑽していく。更新制は、専門性の向上が基本的なスタンスだが、指導力不足教員の排除のイメージで捉えている者も多いので、その辺りはきちんと整理する必要がある。基準時間以上に更新講習を受講した場合など、任命権者の判断でその実績を評価できるとするのは良いが、単に基準時間以上の受講であれば良いと解釈できるため、基準時間以上の講習の受講や高度な内容の講習の受講による実績が認められるという記述が必要ではないか。他国で、経過措置を設けることにより新制度を現に免許状を有する医師に適用させている例を見たことがあるが、そのような事例を把握しているのであれば、教えてもらいたい。

委員
 更新制は、運転免許で言う優良運転者を選ぶ制度ではない。新しい時代に免許を所有していることに耐えられるのかという意味では、ペーパーティーチャーも含めて見るべきである。国民が期待する不適格教員等の排除については、分限処分や指導力不足教員への対応、条件附採用期間の制度があり、その中で免許を所有する者が最低限、時代に遅れないために更新制があり、運転免許のように視力や聴力が衰えたら更新できないとするように、どのような場合に更新できないのかといった具体的なものが見えなければならない。東京都だけで、年間4万件も免許を授与しており、名寄せもできない。高齢者であっても原簿に登載されたままで、抹消もできないので、個人的には更新制を導入するならば、国でまとめて免許を授与しても良いのではないかと思っている。更新基準が都道府県間で異なるのはおかしいので、国が最低基準をきちんと定めて、国のデータベースで一括管理してもらいたい。

委員
 現職教員は、教職生活を通して資質能力が向上していく前提に立っており、そのため、免許制度上、上進制が認められている。専門性の向上について、子どもを教えることだけでなく、研修制度でも担保する一方、不適格教員は分限処分等により排除する制度がある、そのような中で更新制を導入するのであれば、理屈の立て方が難しい。更新制を導入する前提として、免許状に有効期限を付すことを議論すべきで、有効期限を付さなければならない理由を明確にし、そして、期限を超えた免許状所有者に対して、どのような更新制を導入するのかを検討しなければならない。免許状に有効期限を付す理由がはっきりしないから、色々な意見が出てくるのではないか。平成14年の答申から変わった点で考えておくべきことは、教職員に個人評価を導入し、それを処遇等に反映させる考え方が進む中で、資格制度上、その職を継続する上で必要最低限の資質能力を担保するならば、その資格に一定期限を付して、一定条件の下に資格の継続を認めていくことは、究極の評価としてあり得る。急速に個人評価を推し進める状況に変わってきていることを念頭に置いて議論する必要がある。

委員
 資料5については、おおむね案のとおり整理できると思われる。これまでも、5年研、10年研、15年研等が行われてきたが、更新制の代替措置として、それらとは異質の10年経験者研修が制度化された。平成14年の答申では、研修を受けるだけではなく、その内容が定着しているかの評価が伴わなくてはならないことを前提に10年経験者研修が提起されたが、教育委員会によっては単に研修を受ければ良いところもあれば、厳しく評価しているところもある。校内研修を基盤にして体系的な行政研修を行いながら、一方で、民間教育研究団体の研修にも優れたものがあることから、教員が主体的に色々な研修に参加することを認め、評価していかなければならない。現職教員にとって研修は義務なので、十分な研修を受け、高い専門性のある教員であると公に証明するようなものにしていかなければならない。

委員
 体系的な研修が行われているのに、なぜ指導力不足教員が出てくるのか。活気に満ちあふれ、素晴らしい教育を行っている学校がある一方、停滞している学校もある。停滞した学校が体系的な研修に取り組めば、このような教員は出ないはずである。税金を使って研修を行っても停滞した学校があるのは、国民にとって不思議に映る。校内研修について、校長は教員をどのように評価しているのか。指導力不足教員が出てくるのは、校長の責任なので、それに対してどのようなシステムで責任を取らせているのか、国民は疑問に思うだろう。指導力不足教員や免職になった教員に受け持たれた子どもは、長期間犠牲を強いられているので、そのような教員を生み出さないシステムとしての更新制を考えなければならない。資料6を見る限り、体系的な研修が行われているようだが、事実は違うのではないか。ベテラン教員の中に無気力な者がいるというのは、どういうことなのか。

委員
 10年経験者研修をどのような形で評価し、成果や課題を把握しているのかが、これまであいまいだったのではないか。この研修について、政策評価のレベルでどのようになっているのか資料が必要である。政策の現状をどのように捉えているのかや、各都道府県の側はどのように評価しているのかといった取り組みが、これまで十分ではなかったところに課題があるのではないか。更新制を導入する場合、平成14年の答申で出された10年経験者研修については、もう一度仕切り直すべきである。朝令暮改の批判は出るし、10年経験者研修も成果が上がってきているので、存続を図っていくのが現実的かもしれないが、屋上屋を架すことになる。40~50代以上の教員の研修を検討する場合、管理職に就く者の男女比率のデータが必要である。管理職の男女比率が、教員総数の男女比率と相応になっていないので、その辺りがどのように対応されているのかが、40~50代の研修の問題と重なるのではないか。管理職の研修体系は、ある程度整備されているが、管理職の道を選ばない者の研修の在り方については、もう少し知恵を絞らなければならない。男性教員と女性教員が、研修体系の中で、どのように処遇されているのか等、もう少し丁寧に見ていく必要がある。

委員
 分限免職や分限休職は、現在、6千人くらいだと思われるが、大半は精神疾患等の病休であるので、健康な教員における指導力不足の者は少ない。香川県の研修体系を見ると、多くの研修が行われており、これに更新講習が加わると、研修が多くなり過ぎる。研修によって学校を空ける教員が多いが、教員の補充体制等の条件整備がなければ、本来、教育効果を上げるための研修が何のためにあるのかわからなくなる。更新制を導入するならば、10年経験者研修と重なるので、案3が良いが、5年目の研修は多くの教育委員会で行われているので、法定化しなくても良いのではないか。研修については、子どもに還元されるような実践的な授業研修など、学校現場のためになる内容にしてもらいたい。また、日本の学校には学校経営論が欠けており、民間出身の校長が、新しい学校経営を行うため、学校を地域に開くための学校総会をつくったり、地域住民だけで構成する学校サポート要員をつくったりしているので、具体的な学校経営論をつくる必要もあるのではないか。

事務局
 分限処分の状況については、平成16年度で約6千5百人が休職や免職等の処分を受けており、そのうち病気休職が約6千3百人で、うち約3千5百人が精神疾患となっている。10年経験者研修と更新時期の関係について、現在、教員採用者のうち、新卒は全体の約25パーセントで、約75パーセントは教職経験者や社会人経験者である。新卒採用であれば、1回目の更新時期が10年経験者研修と重なるが、多くの場合は、免許更新が先に来て、その後に10年経験者研修が来る形になる。

委員
 初任者研修の導入時に、教職経験等に応じた研修を体系的に実施することを法律で規定したと思うが、その条文は今でも生きているのか。それにもかかわらず、10年経験者研修を法定したことについて、それなりの理屈があったと思うが、各教育委員会の実態を見ると、初任研の他にも体系的な研修を実施しているので、10年経験者研修だけを法定しておかなければならない合理性があるのか検討が必要である。各県も苦労しながら研修を体系化し、内容を変えつつ対応してきているので、もう少し各県を信頼しても良いのではないか。香川県の6年目研修は、当初は、先輩教員や指導主事の指導を受けながら工夫し、そのプロセスを論文として整理することを研修として認めるシステムだったが、教員数の増加に伴い、一斉研修的なものに変えた。これからの研修は、教員個人に即して、その者にふさわしい研修を見い出しながら実施していくことが必要である。更新制の導入を契機として、専門性が担保されるのであれば、あえて10年経験者研修を法定する必要はなく、廃止してはどうか。指導力不足教員が多いと言われるが、実態は明らかではない。教員に限らず、どの職場でも一定年数経てば問題となる職員は出てくる。その比率が、一般に比べて高いのであれば問題だが、果たしてそうなのか。教育については、自分の経験等に照らして意見を言いやすいのと同時に、一般的な教育と独自性を持つ教育とのバランスをどう取るのかは、個人ごとに異なるので、その意味での難しさがあるので、それを念頭に置きながら、どこまでが指導力十分とされ、どこからが指導力不足とされるのか、もう少しはっきりさせなければ、一概に指導力不足教員が多いという論の立て方には違和感を覚える。

委員
 20年経験者研修の対象は45歳前後の者が普通で、それ以降は、職能研修はあるものの、一般教員を対象とした研修の実情はわからないのではないか。20年経験者研修も全ての県で実施しているわけではないので、ベテラン教員の指導力に課題があると直結させるのは危険である。指導力不足教員というのは、通常は精神性疾患等との関連があって研修を受けており、軽微な指導力不足教員は校内でもある程度対応できるのが現実である。指導力不足の概念も、軽微な程度から不適格に近い者もおり、その内容も学習指導面や生徒指導面、専門性、社会性の問題など色々ある。疾患と結び付いている教員の場合は、保護者の対応や教壇に立つこと自体にクレームがあるし、それは学校の世界ではタブーとなっているので、そのような教員の問題と切り離して、資質向上策を考える必要がある。ベテラン教員の啓発をどのようにしているのか。通常は管理職のイメージがあるが、ある県ではスーパーティーチャーというシステムをつくり、管理職に近い処遇を与えている例もあるので、自治体の判断であれば、資質向上の啓発について変わってくるのではないか。生きがいを持って教職を担ってもらうシステムが、研修等との関係で出てくる必要がある。更新制の対象者は免許状を有する者全てであり、公立学校教員を対象とする10年経験者研修とは違う。内容的にも、30時間の更新講習と10年経験者研修の講習では違うので、同一視すると混乱する。いずれは、何らかの見直しがあっても良いので、案1の方向が良いのではないか。

委員
 税金を使って研修を行っているのに、その効果が上がらない。研修を受けさせても、研修内容を修得しているかどうかの評価が行われていない。現状は出席状況を見るだけで、どの程度履修され、成果が上がっているのかの評価が欠けているので、評価を取り入れていかなければならないし、それが処遇や学校での役割等に結びつくような制度をつくれば、意欲も出てくるだろう。研修で一番勉強するのは講師であるので、講師になってもらうことが一番、研修効果が上がる。10年経験者研修と更新制との関係について、5年経ってから採用試験に合格する者もおり、その場合は、免許更新が5年後で、10年経験者研修がその5年後となる。せっかくつくった制度なので、10年経験者研修で免許更新も兼ねる方法も考えられるが、評価をどうするのかという観点も含めて、在り方を検討していく必要がある。

委員
 10年経験者研修については、もう少し更新制の内容がどのようになるのか見なければ、結論付けられない。教員は学校に勤務する以上、必ず児童生徒の前に立つので、子どもは教員を比較し、それが保護者に伝わるため、そのようなイメージが顕在化するというのが特質の一つであり、そのために、教員の資質向上について、色々な方から指摘を受けやすい。また、保護者の教育に対するニーズが変わってきており、自分の要求が取り入れられないと、強い批判が繰り返されるという社会的変化がある。

委員
 教員には同僚性が必要であり、教員同士や校長が問題の起こりそうなことを予見しながら、教員を育てていかなければならないし、相談し合う学校文化をつくらなければならない。社会が変化し、保護者の要求が多様化してくるほど、学校が組織を挙げて対処していかなければ、教員一人で対処しきれなくなる。学校という特殊で専門性を持った職場であれば、同僚性が強く主張されなければならない。教員は教育を行うことが前提であるので、研修により力量は付いたが、逆に子どもの力量が落ちたとなっては問題なので、研修時期や教員補充についても検討が必要である。教職に就いてからの10年間に体系的な研修を積み、10年後に10年経験者研修があるので、職に就いている間は研修を積んでいかなければならないということは、更新制の問題と切り離して考え、研修は体系化していかなければならない。

委員
 研修の体系化の発想は1970年代に出てきて、その後、各教育委員会が具体化している。その当時の発想が現代に続いているが、一度つくられた体系が、そのまま維持されている状況なので、時代の変化とうまく連動して機能しているのかを見なければならない。体系化が、地域によっては5年ごとであったり、3年や7年ごとの研修を必要とするところもあるのではないか。現状は、発想が固着化した形で運用されているので、10年経験者研修の仕切り直しということは、単に廃止するのではなく、もう一度、研修体系の組み立て方そのものも含めて、研修の在り方を考える一つのきっかけにすることもあり得るのではないか。

委員
 自己研鑽は大事だが、教員としての研修義務を課す場合は、勤務時間内に行うべきである。自己負担で別途講習を受けるというのは、他の職種との関係で不利になるので、そのような形にはならない。米国と違い、夏休みも給料をもらっているので、その期間に研修を設けることは良いが、夜も昼も研修を設けるのは問題である。教員が学校で孤立して、一人で対処するのは良くなく、同僚性は大事である。ペーパーティーチャーは、更新講習のみを受ければ良いが、現職教員はそれに加えて10年経験者研修も受けなければならず、不利になるので、更新制の導入については慎重に検討しなければならない。

委員
 免許は一つの資格としてあるのであり、研修を受けて専門性を高めた者を採用することとは分けて考えなければならない。免許状を有する者が全員採用されるとは限らず、研修を積んでいった者を教育委員会や私学が採用することとなるので、免許状を有することと採用されることは、必ずしも一致しないので、教員に不利益にはならないのではないか。

委員
 現職教員は採用され、給与をもらっている以上、研修を受けるのは当然であるので、ペーパーティーチャーの場合とは異なる。

7.閉会

お問合せ先

総合教育政策局教育人材政策課

(総合教育政策局教育人材政策課)