教員養成部会 教員免許制度ワーキンググループ(第11回) 配付資料

1.日時

平成17年10月14日(金曜日) 10時~12時35分

2.場所

東京會舘 11階 「エメラルドルーム」

3.議題

  1. 教員養成・免許制度の改革について

4.配付資料

5.出席者

委員

 野村主査、天笠委員、門川委員、甲田委員、佐々木委員、角田委員、渡久山委員、八尾坂委員、山極委員

文部科学省

 板東審議官、山中審議官、徳永審議官、戸渡教職員課長、浅田専門教育課長、勝野視学官 他

6.議事

(1)教員養成・免許制度の改革について

 事務局から配付資料の説明の後、審議経過報告(案)について審議が行われ、案文修正を主査に一任した上で、教員養成部会に報告することが了承された。主な発言は以下のとおり。(○:委員、●:事務局)

委員
 改革の必要性や方向性の基本的な考え方は、案に示されているとおりかと思われ、大学・学部の教員養成の在り方に改革を迫っていると理解するが、インパクトが弱い感じがする。例えば、「教員養成・免許制度の改革の方向」という表現だが、今後どのように改革の方向を持っていくべきかということが、明示的に現れるようにすべきではないか。教員養成に携わる関係者が、メッセージを読み取ることにより、どのようなことを目指そうとしているのかストレートにつながる文言があれば良い。

委員
 教員養成部会では、更新制と同時に専門職大学院の検討を行っており、今の教育学部の在り方に対する1つの新しい方向性を専門職大学院で目指そうとしている。その中で、学部改革ばかり訴えると、専門職大学院よりも先に学部改革を行うべきとの声が出てくる。学部改革も大事なので、その辺りを考慮しつつも、専門職大学院でより実践的な指導力を身に付けさせることが学部改革にもつながっていくという視点を持つ必要がある。

委員
 専門職大学院の方向性と、当ワーキンググループの学部改革の方向の全体像が捉えきれず、部分的に特化して議論が進んでいる。両者が全体のプランの中で動いていくはずだが、全体像や方向性をどのように描くのか。

委員
 「1.教員養成・免許制度の改革の基本的な考え方」は、このスタンスで良い。p.8以降の具体的な方策の中で、養成段階であるべき姿が出てくると思うので、それとの関わりの中で検討を進めれば良い。教職大学院は、別のワーキンググループで検討が進められているが、教員養成部会の中で整合性を取ることになっていくと思われる。

事務局
 「教員養成・免許制度の現状」における問題点の分析のボリュームが少ないのかもしれない。教職大学院を含めた具体的な改善方策に結びつく形で、問題点の認識を明確にした方が、全体を取りまとめやすいのではないかと思っている。「教員養成・免許制度の改革の方向」では、大学の組織的な取組の必要性が指摘されているが、問題点のところでは、あまりそのことには触れられていない。教職大学院で実務家教員を4割以上としているのは、現在の教職課程における指導スタッフに問題があるということの裏返しとして構想されているので、その点については、p.5の問題点の部分で入れてもらえれば、全体としてまとめやすいのではないか。

委員
 教員養成・免許制度の改革について諮問されているが、具体的な検討項目として、専門職大学院と更新制が問われている。最終的にまとめる形を、両者を合わせて1つの報告書にするのか、個別に具体の諮問に応えていくのかによって、書き方は違ってくるだろう。学部教育の在り方については、すでに近年の答申で問題点や改善点が言われているので、更新制を論じるにあたり、何が一番問題で、なぜ更新制を導入しなければならないのか、また、どの部分を改めなければならないのかを明確にする必要がある。その上で、教職としての力を持っているかどうかを最終的に判断する科目の新設という部分をより明確に浮かび上がらせる必要があるのだろう。問題を散漫化させるのは、方法論として良くない。問題点は多々あるが、今回の検討については、社会的に注目されているがゆえに、筋が通る記述を期待している。

事務局
 教員養成部会の中間報告については、事務局としては、専門職大学院と更新制の導入等の免許制度の改革の両方を含めた形で整理していただきたいと思っている。その意味で、各ワーキンググループの審議経過報告をどのように整理していくか、部会で検討していただきたいと考えている。

委員
 よくまとまっているが、先送りされている課題も多い。p.8の「教職課程の改善・充実」で強調されているのは、学内の組織体制の確立と教育委員会等との連携だと思われるため、表題を「教職課程の改善・充実と学内の組織体制の確立、教育委員会等との連携・強化」と明示した方がわかりやすいのではないか。

委員
 モデルカリキュラムは、今までも構想・開発されながらも活用されなかった理由はどこにあるのか。仮に、国家試験にすると、国家試験の内容が大学のカリキュラムになっていく。例えば、医学ではモデルカリキュラムがつくられているが、これは、医学の国家試験が内容と程度を規制しているため、必然的にカリキュラムになるのである。だから、国家試験のようなものがなければ、カリキュラムを示しても難しいのではないか。

委員
 国立の教員養成系学部がカリキュラムを提示することができれば、モデルカリキュラムになっていくのだろうが、なかなかつくられない。だから、あえてそういうものを強調しなければならない。

委員
 タイトルが内容を表していない部分があるのではないか。例えば、教職実践演習(仮称)の導入や意義がサブタイトルとしてあっても良い。導入の意義やねらいはその後に書かれているが、そのような読ませ方、展開の仕方が必要で、サブタイトル等で強調すべきである。この科目の意義について、教養審第一次答申の枠組みの中での一部修正という位置付けなのか、教員養成カリキュラムにおける次の展開への布石なのか、その辺りの意義付けをきちんとする必要がある。4年次に1単位を部分的に付け加えた程度だと読めなくもないので、もっと意図のあるものであり、次の時代に向けた教員養成カリキュラムの新たな展望を切り拓くといった意義付けもあるのではないか。

事務局
 タイトルの付け方については、趣旨を踏まえて工夫をしたい。

委員
 「教職課程の質の維持・向上」においては、免許状授与にあたり、新たなカテゴリーとしての新科目を設け、教職指導が十分に行われるような教員養成を目指し、更新制につなげていくという考え方を取っている。(1)の「教職課程の改善・充実」では、教職指導を教職課程全体の中で充実させようと言っているので、つながりとして良い。2.の「教員免許状の授与の要件の改善」も、そのための科目の新設ということなので、しっくり収まるのだが、1.(2)の「教職課程の認定審査や事後評価の充実」が落ち着かない。大事な部分なので、別な場所に移した方が、わかりやすくなるのではないか。

委員
 教職実践演習(仮称)に大きな期待をしているが、単位数について、「1単位にするか2単位にするかは検討」として欲しい。内容としては、この科目を最終段階に置くことで、学生が単に大学の中でどのような勉強をしてきたかを見ることの他、教育実習はもとより、ボランティアやインターンシップ等の幅広い社会貢献活動を通じて人間力を培うことが、意義であると思われるので、そのような要素を加味してもらいたいし、そのようになれば、2単位にして欲しい。

委員
 教職実践演習(仮称)は、大学の判断で、1単位にするか2単位にするか、裁量の余地を残しておくのも一つの考え方である。この部分を見ることで、大学の教員養成に対する姿勢が見えてくる制度設計が必要ではないか。

事務局
 単位数については、免許状授与の前提となる最低修得単位数を規定するものであり、各大学でそれ以上のものを設定して、カリキュラムを組んでもらうことは、各大学の特色でもあるし、どのような教員養成を目指すかによって異なってくると思われるが、ここでは、前回の議論を踏まえて、最低の単位として、1単位程度が適当ではないかと整理しているのであり、2単位とすることを否定するものではない。

委員
 免許状授与の要件の中に、実践的なものが1~2単位加わることを期待しているが、これは演習なので、実践的な能力を高めるものになって欲しい。今、新卒で教員となった者がダウンしてしまう背景として、保護者や子どもとのコミュニケーションがうまく取れないといった問題がある。この演習の導入に当たっては、実践的な能力をきちんと身に付けさせることが伝わるように記述すべきではないか。p.23に、「保護者や地域の関係者との適切なコミュニケーション」とあるが、重要なポイントなので、その辺りをわかるようにしてもらいたい。

委員
 p.23の別紙の(注)2について、「複数の着眼点(例)を含んだ講義を設定する」とあるが、「講義」ではなく、演習的な意味合いを含んだ表現にした方が良い。保護者や地域の関係者とのコミュニケーションは、当然、新任教員も悩むことであり、養成段階における最小限必要な能力だと思う。p.8の「教職課程の改善・充実」のタイトルは、インパクトが弱い。カリキュラム委員会については、どの大学でもこのような委員会があるものの、一般大学や総合大学の教職課程では、他学部で行っていれば良いと考えている部分もあるのではないか。学長や学部長が、教職課程をどのように捉え、リーダーシップがどのようにあるかがポイントであるため、それをタイトルで表わすようにした方が良いのではないか。

委員
 総合大学の実地視察を行っても、視察に対応するのは特定学部だけで、他学部は任せている部分があるので、今回の案としたのである。教職指導の問題や、新しい必修科目について、よりインパクトのあるタイトルを検討してもらいたい。

委員
 p.23の別紙に、「板書・教材等の活用や的確な話し方による授業の実施」「子どもの反応を踏まえた授業の実施」とあるが、わかりづらいので、豊かな教材等の活用を通したわかる授業の実施や、子どもの実態に応じた多彩な授業の実施としてはどうか。

委員
 現在の教員は、板書の扱いが下手で、子どもへのノート指導もできないので、そのような具体的なことも書き込む必要があるのではないか。また、児童理解について、個々の対応はできるが、生活指導や集団行動の指導など、全体の指導ができないので、この部分も具体的に書き込まれると、着眼点として良くなる。

委員
 一人一人の子どもを徹底的に大切にし、その子どもの課題や背景にまで迫り、情熱を持って、他の教員と連携して対応できるといった記述があると、イメージが湧きやすい。

委員
 免許状に有効期限を付すかどうかは本質的な問題であり、今回の検討において、現在は終身有効の免許状に有効期限を付すことになるわけだから、免許状の性格を大きく変えることになる。有効期限の問題は、最初に本質論としてあるべきだろう。そして、次の段階として、有効期限が過ぎる免許状の取扱いとして、更新制を選択するかどうかという論理の流れがあり、また、有効期限が過ぎる免許状所有者に対して、一定の条件の下に更新を認めるとするのが、次の話なのではないか。したがって、この部分の論理構成は、検討が必要である。

委員
 リニューアルとは、免許状の基礎的な部分を刷新することであるが、10年で免許が失効する場合は、更新しなければ資格がなくなるため、資格を継続するために更新を行う自動車の運転免許と同じであり、リニューアルではない。免許状を持っていて、10年ごとに更新しなければならないとした方が、リニューアルの概念が生きてくるのではないか。定期的にリニューアルするということは、現職を中心に考えられているから、ペーパーティーチャーの場合は、更新するかしないかであって、リニューアルではない。ペーパーティーチャーと現職教員で免許状を更新する場合の意味は同じなのかという問題が問われるだろう。p.15の「20~30時間程度の講習」で見るというのは、どのような意味を持つのかも、議論して欲しい。

委員
 免許状について、まず期限を付すことがあり、有効期限が過ぎた場合に、どのように免許状を再取得させるかについて、自動車運転免許状のように新たにやり直す方法もあれば、案のように、一定の講習により、再取得を認めていく方法もあるだろう。この免許状は、p.16の5にあるように、免許状授与の基礎資格である「学士の学位等の基礎資格」や「大学等における所要単位の修得」は、将来にわたって有効となっているので、免許状の前提としての授与条件は継続しており、リニューアルという概念を入れて、その時々に教員として必要な事柄や、社会の変化に柔軟に対応し得るような物事をきちんと身に付けさせるような、一定の講習の修了という条件を課すことによって、免許状を更新させることは可能ではないか。

委員
 更新制が、現職教員とペーパーティーチャーの双方にプラスとなるためには、運用面が重要だろう。p.14の2で、「都道府県教育委員会等」とされているが、「等」には、私学団体も含むものと解釈していただきたい。大都市では、幼稚園教育の7~8割は私立であるが、私学団体の行う研修に教員を送り出さない幼稚園があるなど、格差もある。私学団体が教員の資質向上に役割を果たせるようにすることが大事である。p.11の1で、「教員は、子どもが一生を安全に、幸福に、かつ有意義に生きることができる」とあるが、現在、狭義の「安全」は、冒険をさせないことであり、本当に子どもが一生を安全に過ごすためには、危険を回避することが大事なのだが、その点が理解されていない。したがって、「安全」は削除した方が良いのではないか。p.12に、「免許状の更新時に、その時々で必要とされる最新の知識・技能等を付与する」とあるが、「修得」とした方が良いのではないか。

委員
 p.14の2の講習の実施主体について、免許更新センターのような、しっかりとした組織としていくことも必要ではないのか。現在でも、認定講習等が夏休みに行われているが、更新制が動き出した時に、この程度で対応できるのか。どの程度の手間がかかるのかイメージしきれないが、講習や組織の在り方について、もう少し検討を要する。p.16の上の委員で、「負担等を考慮しつつ、(中略)さらに検討が必要である」とあることは、そのとおりであるが、この部分の検討を深めて、書くべきことは書かなければいけない。どのような姿で実施し、支えていくのか目配せも大事である。

委員
 リニューアルとなれば、子どもや教育の研究の成果に立って、講習を行わなければならない。実践力とは、教員として子どもの前に立てることが前提にあるので、それを持たないような免許であれば意味がない。その際、実践力を持たせることができるように、大学の教員は研究の成果に立って講習をしなければならない。その講習を国が認定することになるが、このことについてもう少し書き込まなければ、大学側はイメージしにくいのではないか。厳しければ、更新講習の申請を行わない大学が増え、問題があるが、その一方で、安易な考えで講習を行うことにより、リニューアルにならなかったのでは問題なので、この部分の記述は重要である。

委員
 卒業段階で免許を実質的に授与し、以後、10年ごとに更新を行うことになれば、10年や20年後、あるいは生涯にわたって、免許を授与した大学が原則として卒業生の面倒を見ていく仕組みをイメージしているのか。

委員
 例えば、免許を実質的に授与したのはA大学だが、現在居住する地域にあるB大学で更新講習を受けるとなると、一定程度の大学が、リニューアルの講習を行えなければならない。生涯にわたり面倒を見る大学もあるかもしれないが、色々な形があって良いのではないか。

委員
 ペーパーティーチャーと現職教員では、少なからず質や課題意識が異なり、講習レベルは異なってくるだろう。運用上の取り扱いかもしれないが、両者の受講機会は、同じ場で受けるのではなく、ペーパーティーチャーはペーパーティーチャー用の講習を受けるとした方が良いのではないか。現職教員であれば、各人のニーズやレベル、課題意識に応じて多様な講習メニューも出てくるだろうが、レベルが異なるため、ペーパーティーチャーとは一緒にできないだろう。

委員
 ペーパーティーチャーでも現職教員でも、更新講習を受けて現場に立とうとするのであれば、それほど質を変えるのは良くないのではないか。また、ペーパーティーチャーで更新講習を受ける者はあまりいないのではないか。本当に現場に立つ意欲のある者が、更新講習を受けるという形でなければならないと思う。

委員
 幅広い社会経験のある者と現職教員が一緒に受講することにより、双方に良い刺激が得られるので、更新講習ではペーパーティーチャーと現職教員を分ける必要はないのではないか。また、ある単位はA大学で、他の単位はB大学で取得することができ、単位の積み上げができるならば、教員のステップアップにつながるし、同時に、受講生を多く集める大学が出てくれば、大学にとっても刺激になると思われるので、教員のモチベーションや経験に基づき、選択できる柔軟な運用にしてもらえれば良い。

委員
 ペーパーティーチャーのように、10年間、何もしていない者の課題意識やレベルは、現職教員とは違うため、一緒に行っても良いが、ペーパーティーチャー用の講習が必要ではないかということである。

委員
 幼稚園教員の免許については、今まであまり議論になっていないのではないか。特に、私立の場合、免許の取得後は、各私学で採用される形になる。そうすると、各私学で、その教員は建学精神に適い、能力もあるから、更新講習を修了できなくても良いとしたらどうするのか。この私学の問題については、検討してもらいたい。

事務局
 免許状は全国、国公私立を通じての制度であり、更新制は、免許状によって最小限保証されなければならない資質能力を、時代の変化や子どもの状況等に応じてリニューアルしてもらい、次の有効期限までの10年間は大丈夫であるとお墨付きを与える考え方なので、幼稚園を含む国公私立を通じた全ての普通免許状における共通制度として、設計していく必要がある。更新講習のレベルや内容についてはp.15で触れているが、ここにある内容を含むものとして一定水準以上であれば、広く認定していくのが基本になると思うが、現職教員や2回目以降の更新の場合には、より高いレベルや実践性を高めた講習が開設されることを、実際上は促していく必要があるのではないかと考えている。

委員
 リニューアルという意味では、公立・私立ともに行っていかなければならない問題である。更新講習は、20~30時間程度の受講が求められるため、その間、公立の場合は時間講師を配置する等の措置がなされると思われるが、私立の場合は難しいと思われる。この辺りの対応はどのように考えているのか。

事務局
 1日4~5時間程度の受講とすれば、5~6日間程度の受講になるので、集中して行えば1週間、例えば、土曜日に開設された講習を毎週受講してもらっても1~1か月半で修了するので、定員の補充措置をせずに実施は可能ではないかと考えている。

委員
 p.16の4について、免許状が失効した場合、基礎資格は継続性を持つことを前提にしておかなければならない。「教育公務員としての身分を失う」としている点は、厳しい内容である。現在、校長は教員免許がなくても登用できるし、教員についても、免許がなくても採用して良いのではないかと言われることもあるので、免許状の取扱いを厳しくするなら、この部分について教員政策上検討しなければ不合理なものとなる。幼稚園教員の7割は二種免許状であり、一種免許状の取得者が少ないが、それは、一種免許状を取得しても待遇に関係しないことや、取得する時間的余裕がないこと、若いうちに辞めていく者が多いこと等があるためである。更新制を導入した場合、免許状の取得者が少なくなるのではないか。また、10年間ペーパーティーチャーで過ごしてきた者が、採用される可能性はほとんどないと思われるので、更新制の導入の意味がない。ペーパーティーチャーが多いのは、何かの機会に利用できると感じているからで、10年で失効となれば、魅力を感じなくなるのではないか。更新制の導入は、教員政策上、有効な意味を持つものなのか。在職中に3回も更新することになるが、3回目は、ほとんどが管理職になる年代であり、更新制がどのような意味を持つのか。

委員
 p.15の下の委員で、「教員としての研修実績や勤務実績等が当該講習に代替しうるものとして評価できる場合もあり得る」との考え方はわかるし、意味のあることだと思うが、代替の評価主体は何なのか。講習を行う大学等となると、大学によって評価にばらつきが出る可能性も出てくる。資格制度としての公平性をどのように担保するのかというのは、難しい問題をはらんでいるので、この部分は、より明確にしておかなければいけない。特に、勤務実績を含めることは、研修以上に難しい問題である。また、上進制度を更新講習と結び付ける方途について、積極的に検討してもらいたい。一種免許状と専修免許状との関係では、処遇の問題等について、適切な対応が必要だと思うが、一種免許状と二種免許状との関係では、処遇の取扱いについては慎重であるべきではないか。二種免許状所有者には、優秀な者もいるし、幅広い人材を求める意味からもこれを残すことが必要なのはわかるが、将来の方向としては廃止すべきであり、その辺りはもう少し明確な表現にならないか。

事務局
 平成17年度現在、教員採用における年齢制限の緩和については、年齢制限なしが6県となっており、平成7年度の2県から増えている。同様に、平成7年度に30歳未満としていた県が11県あったが、平成17年度では0県となっており、受験年齢制限の緩和や撤廃が進んできている。平成15年度の採用人数は、小学校教員1万2,300名の採用中、32歳以上の採用が2,757名、中学校教員は6,963名の採用中、32歳以上の採用が1,900名、高等学校教員は7,400名の採用中、32歳以上の採用が2,068名となっており、32歳以上の者の採用割合は、かなりの数に上っている。

委員
 実際に、教員を希望しながらも、講師として活躍している30代、40代の者がいることを考えると、更新制の導入で、免許状取得希望者が極端に減ることはないだろう。米国でも、免許状を所有している多くの者が教員としてリザーブプールされている。それらの者は、例えば、理数系教員の不足時に、講師で来てもらうような対応が行われている。正規教員希望者もいるし、一度家庭に入ったものの、またやりたいという者もいるだろうから、ニーズは高いと思って良い。p.21の6.で、「同僚性や学校文化を形成することが重要」や「職場の同僚同士のチームワークを重視」とあり、大事なことであるが、漠然としている。校務や学年、教科それぞれにおけるチームワークが大事ということではないか。「職場の同僚同士」という漠とした表現ではなく、校務上の様々なチームワークが、学校全体の活性化につながるという発想で、どのような場での同僚同士なのか具体的にした方がインパクトがある。

委員
 p.21の6.の「整備」という言葉に含まれているのかもしれないが、システムや制度上の整備、条件整備、組織改変等といった、これまでに出された意見をコンパクトにまとめて、書き込む必要があるのではないか。例えば、改革内容についての理解、組織体制の整備、認定講習等における大学と教育委員会等との連携、そのための仕組みの構築、それらを進めていくための人的整備等も重要になってくる。それらが整備されて初めて、改革の円滑な実施が進められると思うので、十分な書き込みを検討してもらいたい。

委員
 「職場の同僚同士のチームワークを重視」することは大事だが、教職大学院の構想の中で、スクールリーダーの育成が謳われているので、リーダー養成と同僚性を両立させなければならない。「学校文化を形成する」という表現はわかりにくいが、今、開かれた学校づくりを行い、教員の意識改革が重要となっている中で、閉鎖された社会であることに批判もある。大学の教員養成の在り方を厳しく指摘してきたが、小学校・中学校・高等学校にも同時に言われるので、建設的な相互批判ができるよう、その辺りも書き込んだ方が良い。

委員
 p.18の幼稚園教員の二種免許状について、12年指定制度を導入しても、12年後の32歳くらいまでには、ほとんど辞めてしまう実態があるので、ずっと幼稚園で勤務することになった時には、待遇の問題を考えなければいけない。現在、優秀な教員の表彰等の取組みが行われているが、それは免許状と関係ない。成果主義に対する批判もあるが、教員について、免許状のレベルに応じた待遇を考えていかなければならないのではないか。リニューアルの観点で、同僚性がどのように形成され、コミュニケーション能力や指導力がどのように身に付いたかは、現場での教育実践力が大きく作用するので、その意味において、同僚性の形成は、現場での教職経験が大きく影響するのではないか。評価の問題について、最近、教員評価が行われ、結果も公開されたりしているが、評価の妥当性や公平性の問題も生じている。p.19の10年経験者研修について、現職教員に義務付けられている中で、それとは異なる更新講習も10年後に受講しなければならなくなるが、両者を連携させた形で検討しなければ、教員の負担が大きすぎるだろう。

委員
 p.21の6.に関して、都道府県教育委員会の準備も、相当なものになるだろうと思われる。免許状所有者が一番便利な都道府県教育委員会で更新を行うことになれば、その予測も各都道府県教育委員会が行うのだろう。また、更新講習の修了認定は大学が行うとしても、免許更新の裏書きは都道府県教育委員会が行うことになるのだろうし、更新講習の免除について決めるのも、そうなるのだろう。そのような準備の中身について、もう少し触れても良いのではないか。

委員
 10年経験者研修をそれまでの研修履歴等で軽減する措置は東京都独自のものか。全国の状況はわからないが、他県では行われていないのではないか。

委員
 東京都では教員により半分免除されたり、7割免除されたりしている場合もある。

委員
 今後の検討に参考とするため、免除措置のメリット・デメリットを知りたい。

委員
 現在、義務教育については、現場により近い市町村教育委員会が役割を果たしていこうとする流れなので、「都道府県教育委員会等」の「等」に期待している。小・中学校の教育は、市町村教育委員会が研修や人事面で努力しなければならない。現在、教員評価や研修の充実、授業公開等が行われているが、それらと更新制を連携させれば、それほど困難を伴わずに、改革の成果を上げられるのではないか。例えば、教員評価と更新講習の免除を連動させれば、教員評価も真剣に取り組まれるものとなる。

委員
 更新事務の主体は、更新講習の免除や10年経験者研修の在り方等に絡むので、明確化する必要がある。幼稚園教員のほとんどが二種免許状であり、早く辞めてしまう問題については、二種免許状であっても、生涯にわたって働けるような社会システムをつくっていかなければならない。雇用者側にとって、二種免許状の幼稚園教員が若くして辞めることは、人件費が安く済むので、都合が良いとしている幼稚園が多い。しかし、それは、男女共同参画社会の在り方において問題があり、別の観点で指導していかなければならない。一種免許状に上進させる問題とも絡むが、幼稚園教員については、そのような仕組みをつくることで、上進制度が実を上げていくのではないか。

委員
 私立幼稚園の平均人件費は約300万円であり、園児も現在は100人位に減少し、園長や配偶者が給与も受けず、ボランティアで従事しているところもあるなど、現状は厳しい。保育料を値上げすれば、園児が減っていき、国の補助も充実しないので、改善されない。保育園の方が、処遇が一定程度維持されている。日本の私立幼稚園における教育は、幼児教育関係者の志で支えられている。フィンランドでは、幼稚園教員は修士であり、社会でも尊敬されているため、それなりに処遇されている。幼児教育については、更新制や上進制度だけでなく、抜本的な充実・改善がなされなければならず、そのことについても触れておく必要があるのではないか。

委員
 幼稚園でも、公立と私立では平均給与も違うし、平均年齢も公立は高く私立は低い。私立では、20代が多数を占めている現状も見極める必要があるのではないか。

委員
 現職教員は10年経験者研修を受けるが、ペーパーティーチャーは受けない。その上で、さらに10年後に更新講習を受けるのは、現職教員にとって不公平であるので、更新制を導入するのであれば、10年経験者研修は廃止すべきではないか。また、例えば、40代や50代における更新の際には、管理職試験合格者は免除する等の措置を検討してもらいたい。義務教育特別部会の答申素案では、教員については教師と表現されているので、表現の整合性を取ってもらいたい。

委員
 更新制と研修や上進制度、専門職大学院との連動をどうするのかが課題なのだろう。教職大学院では、実務家教員が4割以上求められていることから、現場に近い都道府県の研修センターや研究所の役割がポイントとなるが、今回の改革がスタートした時に、研修センターや研究所がそれらの求めに耐えられ、機能できるのかも検討しておかなければならない。p.18の分限免職処分については、都道府県でばらつきがあると思われるため、ある程度、国としての基準をつくることも必要になってくるのではないか。その上で、分限免職処分となった者は、更新できないといったことを明示するなど、連動させる必要があるのではないか。

委員
 当ワーキンググループでは、更新制の検討が求められているので、その審議を重ねてきたが、専門職大学院との関係も考えなければならないし、本日の意見についても考えていかなければいけない。次は部会で検討することになると思うが、専門職大学院と更新制のつながりをどのように考えていくのか、また、学部と大学院の在り方を含め、教員養成改革の全体像をどう捉えるのか議論する機会をお願いしたい。その中で、改めて更新制の姿をはっきりさせていくことになるのではないか。

7.閉会

お問合せ先

総合教育政策局教育人材政策課

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(総合教育政策局教育人材政策課)