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学校の組織運営の在り方を踏まえた教職調整額の見直し等に関する検討会議(第7回)議事要旨・配付資料

1.日時

平成20年7月24日(木曜日)10時〜12時

2.場所

文部科学省 東館 3階 第3特別会議室

3.議題

  • (1)教職調整額の見直し方策・1年単位の変形労働時間制の導入等について
  • (2)その他

5.議事

概要

  • (1) 事務局より、配付資料の確認が行われた。
  • (2) その後、自由討議となった。

【委員】

 前回に引き続いて、そろそろまとめの方向を意識しまして、今日は教職調整額の見直しと1年単位の変形労働時間の導入を中心にして議論をしていきたいと思います。

【委員】

 教職調整額のほうの話で言うと、今までは教員の優遇部分があったから、みんなこれで納得していましたけれども、この優遇部分がなくなると、果たして教職調整額という制度を残す意義があるのかどうか、そこは非常に疑問に思います。労基法上の問題が出てくるのではないかと思います。
 私は個人的には教員の職務の特殊性といいますか、繁忙期と暇な時期があるわけですから、そこをうまく活用して、忙しいときは一生懸命働いてもらうけれども、暇なときは休んでもらうという発想をしなければ、職員の健康管理はできないと思いますので、特に夏休みは勤務時間を少なくして、帰れるときに帰すという姿勢でいくべきだと思います。そこのところが逆に誤解されていて、変形労働時間制で8時間を超えて勤務時間を割り振られる、そのことで労働強化につながるんじゃないかという心配をしている人たちがいるんですけれども、決してそうではなくて、反対なんです。そこのところを理解してもらえれば、賛同者が増えるのではないかと思います。

【委員】

 今、一律どの教員にも教職調整額が支給されていることが問題であるので、よく言われるメリハリということについても、1つは、専門職としての教職ということについて、もう少し一般社会に対してきちっとアピールする必要があるのではないかと思います。メリハリというのには、こういう分け方がいいのかどうかわかりませんが、2つ意味があると思うんですね。1つは、学校教育の中の教員の中でのメリハリという意味と、一般社会における中での教職、教員の職務としてのメリハリという考え方です。例えば家庭での教育とか、社会でのいろいろなことまで学校の教員がどんどん引き受けていくという、その辺の仕分けがわからなくなっているところもあって、先ほど言ったように、専門職としての教職ということについて、もっときちっと打ち出す機会ではないかと思います。例えば医師は、医療行為を行うということによって医師ということの専門職というのが特化できるわけですが、教職ということについても、こういう行為が教職なんだということについて、それこそメリハリというような言い方でつけられるのではないかと。それによる手当ということについても考える必要があるのではないかと思っています。

【委員】

 教職調整額を今のまま残すことについて何が問題なのかということをまず整理したほうがいいと思います。そういうふうに考えると、1つは今批判されているように、一律に支給されていることが問題だと。もっとメリハリをつけて支給すべきだという点です。
 もう一つは、私は教員の優遇部分をなくして教職調整額制度を残す場合は、サービス残業を強いる制度になってしまうということが問題だと思いますね。労基法上の問題になるのではないかと思いますけれども、その2つが大きな問題だと思います。

【委員】

 論理的な流れとして、人確法ができたから教職調整額ができたわけではありません。もともとの経緯というのは、戦後改革のときに給料表を分けて1割アップをしていた措置がなくなったので、それを回復するために教職調整額を導入したという経緯ですよね。だから、一応教職調整額でその分は処理されていると。一方、歳出カットの中で人確法に基づく優遇分は縮減しようという話になりましたけれども、それが直ちに給特法に基づく教職調整額の否定にはつながらないと思うのです。本来の筋からいくと、全国的な勤務実態調査に基づいて教職調整額の支給率を決めたというメカニズムがありながら、その後全くフォローをしていなかったので、教職調整額の支給率を上げる要求をせざるを得ないのではないかと思います。それが財政的に無理だという話は、財政当局が考えることであって、直ちにそこから時間外勤務手当になるという話ではないと思うんです。
 問題があるとすれば、事実上のサービス残業を強いているということです。40年代当時の混乱を抑える制度として教職調整額の制度をつくったけれども、その制度が現在の混乱を招いているということです。だから、別途見直すというのであれば筋は通ると思うのですが、人確法による優遇分が失われたからと見直すというのは筋が通らない気がします。

【委員】

 教職調整額を廃止して超過勤務手当にしたとしても、例えば週34時間時間外勤務をしているからといって、その分の手当が全部出るわけじゃないわけですよね。財政当局としては、時間外勤務手当を全部支給したら教職調整額よりも上回ってしまうわけだから、そんなことはどうもあり得ないだろうと思います。
 教職調整額は教員の特殊性というところから残すと、特殊性というのは専門性もあるし、時間外勤務でははかれないものだとか、小学校などでは持ち帰り業務が多いということから残すけれども、ただ、その額についてどのぐらい下げるかということについては、今のトータルの金額は維持しながら、パーセンテージをある程度下げると。しかし、その原資は、例えば人事考課制度によってメリハリをつけるということができれば、小学校の実態には合うような感じがするんです。持ち帰り業務があるということからすると。
 もう一つ、今後のことで、今例えば大学を卒業して学士の給与体系でいっているけれども、教職修士なんかが出てきたときに、そういった修士になっても、給与体系そのものは変わらないで来ているわけですね。あるいは年齢給で出てくるわけですから。また、もっと言えば、10年次研修じゃないけれども、教員の免許の更新制なんかで10年受けたときに、それによる処遇の改善ということも全然出てきてない、まだそういうところまではいってないわけですね。
 また、これから出てくる新しい制度によって、人事考課制度とはまた違ったメリハリをつけるというようなことも出てくる可能性があるのではないでしょうか。今後のことを考えたときに、現在の教職調整額のことだけでなく、将来のいろいろな制度を考えてみた上での措置をしておかなければいけないんじゃないかなという感じがします。
 結論から言うと、教職調整額をどのぐらい下げるかは別問題で、教職調整額は残しながら、なおかつ、現在の教職調整額にかかわっている金額を原資として、人事考課制度や、あるいは教職大学院を終了した修士だとか、そういうものに合わせて体系をつくっていくと。世の中が、教員の給与を上げるということに対して賛同するという雰囲気ではないような感じがします。そうすると、教職調整額は下げるけれども、トータルの金額はちゃんと確保できるという形が妥当な線ではないかと思います。

【委員】

 教員の給与を上げることは世間では認められないだろうという話がありましたが、そのとおり、今ここで言っているのは給与を上げてほしいということではなくて、時間外勤務の実態に見合った手当を支給してもらうべきではないかという話だと思うのです。現実的な選択としては、時間外勤務手当は今の段階では一番実現可能性が高いとは思います。

【委員】

 大前提として、膨大に膨れ上がった学校での業務、それから教員の勤務をそのままにしておいて、業務がこれだけあるから、それに見合う時間外勤務手当を支給するということは無理があると思います。学校が抱えている業務をどこからどう削減するかということもきちっとやらないといけないと思いますし、教員が抱えている勤務、持ち帰りの業務、あるいは部活動についても、1つ1つきちっと見直していかないといけない。社会の中におけるメリハリという意味では、教員という専門職についてこれだけのことが本来行うべき業務なんだということをきちんと決めておいて、それに見合う諸手当、あるいは給与という議論にしていかないといけないと思っています。

【委員】

 時間外勤務手当制度になれば、当然、時間外勤務がどれくらいあるのかという実態の問題にも日常から関心が高まると思いますので、当然、今おっしゃられたことが問題になってくると思います。何を整理して、何を重点的にやるのかということは、当然現場でも話題になると思います。内なる改革というか、教員の勤務、あるいは学校における業務は何かということから手をつけていかないと進まないような気がするんです。

【委員】

 教職調整額のはね返り分をなくす場合、従来よりも時間外勤務手当に代わるものの性格が強くなってくるわけです。だから、そういう性格を強くして支給率を引き上げるのが一番いいと思うんです。ただ、逆に言うと時間外勤務の実態のないものはカットするという前提になりますけれども。

【委員】

 時間外勤務手当にするというのは、それはそれ自体として論理的にあり得る選択肢なので、それは示せるとは思うんですけれども、その場合に、一番気になっているのは、教員の仕事が変わっていないという前提に立つならば、自発性、創造性に基づく教員の業務が消えていない以上、教職調整額をゼロにすることはできないのではないかということです。ただし、超過勤務命令でやれるような事務作業のようなものが増えているんだから、その部分は確かに時間外勤務手当にふさわしいものであって、その分は時間外勤務手当で処遇すべきであると。実態調査をしてみると、どうも教員の自発性と関係ない仕事が増えていて、いかにも時間外勤務手当になじむものが増えていると。その分は手当すべきであるという考えはあり得ると思います。教職調整額と時間外勤務手当の両立はあり得るんではないかなという感じがするんです。

【委員】

 自発性が残っている以上、教職調整額を消せないと思うんですよね。ただし、勤務実態調査を見ると、あまり自発的でない仕事をたくさんさせられているらしいと。たくさんさせられたとエビデンスが出たから変えるというのはいいと思うんですけど。

【委員】

 教職調整額が今4パーセント出ていますが、それを仮に2パーセントに減額して、さらに時間外勤務手当というのを導入するということは法的には可能なんですか。

【事務局】

 教職調整額を一定部分残して、つまり時間外の勤務というものは2通りのものがあって、時間外勤務手当の対象となる時間外勤務と、教職調整額の対象となる時間外勤務とがあるんだというふうに、時間外勤務を2つの色に分けるというのは難しいのではないかと思います。

【事務局】

 時間外勤務を自発性に基づくものとそうでないものに分けて、自発性に基づくものは教職調整額のほうでカバーをして、そうでないものを時間外勤務手当でカバーするという案があるのではないかということですけれども、教職調整額と時間外勤務手当という形で労基法が適用をされない部分とされる部分が混在するというのは多分難しいんだと思います。何か教職調整額とは別の自発性に基づかない勤務についてある類型を設けて、そういうものを何か評価して手当にして積むということはあり得るんじゃないかと思うんですけどね。

【委員】

 仕事が変わっていない以上、教職調整額を続けざるを得ないと思うんですよね。

【委員】

 時間外勤務手当に基本的に移行しても、今言ったような自発性、創造性のところは教職の専門性、特殊性としてあるから、それを何か違う仕組みでもう一つという話は関係団体からのヒアリングの際にありましたよね。

【事務局】

 結局、自発性に基づくというところが何から出てくるかというと、教職の仕事自体の特殊性だったり、あるいはそこが先ほどお話があった専門性というところにつながるのかもしれないんですけれども、そこをどう評価して、給与上、どういう形で整理をするかという話と、もう一つ、今の明らかに時間外でやっている部分を、本来、労基法を適用されて時間外勤務手当を働いた分については払わないといけないという、こちらの世界との関係をどういうふうに整理するかというところで、ずっと過去からこの議論はされてきているわけですね。ですから、そういう意味では、専門性のところをどう評価して給与上評価するかという話になると、一番はっきりするのは本来、職務の性格なりを一番端的にあらわすのは本給なわけですから、ほんとうは本給のところの今の優遇性というのは、人材確保の意味と同時に、そこの専門性というものを評価して、今の教職の優遇措置というのはあるのではないか。それは当時、中教審の46答申で教員の処遇をいかに高めるかということが議論され、人材の確保もありますけれども、同時に専門性、専門職としての教職ということを意識して、人確法につながるという経緯があると理解しています。
 一方で、時間外勤務自体は、学校の仕事をいかにしていくか、構成員がどういうふうに仕事を分担してやっていくかという中で、最終的に時間外勤務手当である以上は命令をして、必要だからやってもらう。やったものについては必要なものをちゃんと払うということです。みんなが勝手にやっている分、これだけあるから、それに対して全部時間外勤務手当を出すということではないわけですので、そういう意味では、単に事務仕事だけではなくても、学校の仕事として必要な分については、それをきちっと必要なときに組織的に必要な命令をして、それをやった分についてはきちっと手当を払うということになります。時間外勤務手当化という方向では、学校のありようや、組織のありよう、あるいは仕事の仕方というところにかかわっての議論になってくるのではないかと思います。
 この教職調整額を見直すときに、資料の論点のところにも見直しの視点として組織的運営の推進とか、時間管理の厳格化とか、幾つか視点が掲げられておりますけれども、そういった視点から考えたときに、今の世の中の情勢、先ほど労働安全衛生法などの例も挙げたりしておりますけれども、そういう中で、教職調整額の制度を維持することがいいのか、何らか見直す必要があるのか、そのときにどういう方向がいいのかという観点の議論を、先ほど教員の勤務の在り方との関係という言い方をしておりましたけれども、そういう視点で考えたときにどうかというところもいろいろご意見をいただければありがたいと思っております。

【委員】

 変形労働時間制の問題なんですけれども、現場の人たちが一番心配しているのは、一律に8時間を超えて正規の勤務時間を割り振られるのではないかということではないでしょうか。しかも、2時間ずつ毎日割り振られるんじゃないかということを心配していると思うんですけれども、あとは運用の問題ですので、各学校に裁量権を与えるべきだと思います。制度の中で8時間のままのほうがいいという学校は8時間、全員に勤務時間を割り振ればいいし、日常的に現場というのは残業があるわけですから、その分、1時間ずつ正規の勤務時間を増やして、夏休みに減らしてあげてもいいし、週休日を設けてもいいと思うんですね。どうしても8時間で帰らざるを得ない人は帰れるようにしてあげればいいわけで、制度的にそれは可能だと思います。問題は一律にやろうとするから無理が出てくるわけですから、現場の足腰を強くするためにも、現場に考えさせたほうがいいと思います。権限を与えれば考えます。考えてもしようがないと思うから、みんな考えなくなっちゃうわけです。
 例えば3学期制なら1学期は特に忙しいわけです。その期間は例えば1時間ずつ増やして9時間勤務にする。その分夏休みの勤務時間を減らす。夏休みは部活があるから無理だという先生がいるんですけれども、夏休みの勤務日に部活をやると、部活は半日練習が終わっても、まだ午後、勤務しなきゃいけないのです。ところが、勤務時間を4時間にしてあげれば、部活が終わればそのまま帰れるわけです。そういうふうにもっと詰めていけば、変形労働時間制のほうが教員にとってはいいと思います。工夫できる学校に工夫させればいいと思います。

【委員】

 昔、週休2日制のときには教育委員会もいろいろなパターンを示して、例えば今言われたように、変形労働時間制は各学校実施していて、考えてみれば、あのころが一番よかったかなという思いもしているんですね。だから、工夫すればそういう余地はあるかなと思います。夏休みも全部一律みんな忙しい、忙しいといっている、そのことについて、ある意味できちっとした対応をとるようにできるところからやるというようなことをやって、変形労働時間制というのも1つの大きなメリットというか、考え方の方向ではあるかと思います。
 もう一つ、教員というのはやらなければならない、やらざるを得ないというような呪縛みたいなものにとらわれていて、みんなやらなければならないというようなことでどんどん抱え込んでいくという、そういう考え方を解き放すチャンスだと思います。教員の勤務の状況とか、教員の資質能力をどう改善、向上させるかということから考えても、きちっとした教員自身が自己研さんするような時間を確保する、そのために勤務を精選する、そしてそれを社会に認めてもらうという機会としてとらえて、前向きにこの教職調整額の見直しという機会をとらえていくというような考え方を持っていかないと、改善されないかなと思います。

【委員】

 部活をどう位置づけるかということで、基本的に今度の新学習指導要領では学校の教育活動の一部ということで明確に示しましたよね。私は基本的には、部活は社会教育でやるべきだという考え方なんですけれども、ただ、現実的に地域にそういう受け皿や人材がなくて、現実的なことを考えれば、学校をベースにして部活動をするということを考えざるを得ないのだろうと思います。ただ、部活を教育活動の一環として位置づけるということは、イコール教員がそれに責任を持って、直接それを担うということではないと思うんです。ですから、学校をベースにして部活動をするという体制をとったとしても、例えば部活の安全とか、指導員の配置とか、それに対する諸手当等々については、学校ではなくて教育委員会が所管するというふうにして、教育委員会と学校との契約というか、ないしは教育委員会が部活の例えば人的、物的なものについての権限を持たせて、学校をベースとするいろいろな部活について、部活指導員を教育委員会が契約して、教育委員会が学校に配属するとかという、そういうふうな教育委員会の管理監督のもとで学校ベースの部活動というものを推進するとかという仕組みというのも考えられるんでしょうか。

【事務局】

 教育委員会が直接指揮命令する職員なのか、それとも校長が指揮命令する職員なのかというところに境目があると思うんですけれども、教育委員会のもとに、学校の校長のもとではないところに置くのであれば、それこそ放課後子ども教室と同様なものに位置づけられていくのではないかと思うんですね。活動の舞台は学校かもしれないけれども、学校としての活動ではない。

【事務局】

 今でも外部指導員などについて市町村の教育委員会が要綱を定めて、それに基づいて実際には学校に配置をして、学校長の指示のもとに指導をするという形でやっています。教育委員会が全部やってしまうと、確かに学校の活動とは別という位置づけになってくる可能性はあると思います。

【委員】

 学校にいろいろな指導員を派遣してもらって、部活の指導をやってもらうけれども、しかし、そういう形態であれば、全部学校の先生が最終責任を持ちますよね。今のようなやり方では、指導員に入ってもらっても、学校自体の負担というのは軽くなるわけじゃないという意見もあります。

【委員】

 一概には比較できないけれども、海外からの教員の視察を見ると、そんなことまで日本の先生はするんですかという議論が必ず出てくるんですね。将来を考えたら、先生の職務というのは学校教育に特化するというのが望ましいと思うんですけれども、ただ、学校の名前を背負って活躍してくれることで、部活動以外の生徒にとっても帰属意識が芽生えたり、いろいろな意味で教育的な効果があるということは認めざるを得ないですね。

【委員】

 小学校は、1日の勤務実態の中で、例えばお昼休みも全然とれないわけです。給食指導が45分あって、これから食育が入って、今ももう入っていますけれども、子どもたちと一緒に食事をとって、結局自分たちも食べているんだから、15分間は休憩だとなっているんです。それでもあと30分は結局とれないで、あとのほうに回している実態があって、それが例えば3時から3時半とか、3時45分まで休憩にしますと。これは明らかに労基法でいうと違反だと思うんです。1日の中でも勤務時間、休憩、休息の時間を動かすということで何とかごまかしながらやっているという実態があるんです。一言で言えば、休む時間もなく、1日中ずっと働かざるを得ない。今度、1年単位の変形労働時間制になってくると、夏休みにとりなさいよと言われても、これは勤務をどれだけ精選するかということにかかってくるだろうと思うんですけれども、現実問題として、例えば地域のお祭りがありますよとか、プール指導がありますよとか、宿泊行事がありますよとか、今度体験活動を重視しますよ、あるいは集団宿泊活動をやりましょうと。これは学校がやるんじゃなくても、例えば地域でやりましょうと言っても、先生方が全然ノータッチでやれるということはあり得ないんです。そうすると、変形労働時間制にすれば、確かにそれで時間はもしかすると調整してやれるようになる人もいるかもしれないけれども、1年中忙しさがずっと続いてくるんじゃないかという感じがして、現場からは1年単位の変形労働時間制にしたら、もっと忙しくなるのではないかという思いが強いんだと思うんですね。
 僕が聞きたいのは、1日の労働時間の45分の休憩というものを、今のようなやり方にしていることがいいのかどうかということ。休憩時間が取れていないことは違反なんだということをはっきり出すことはできないのかどうか。例えば給食の時間は全部先生方は引き上げていいですよと。栄養教諭が1人でやりなさいと。ランチルームがあれば、それはできるんですね。各教室で給食を食べているときには、例えば保護者なり何なりが入ってもらって、先生はその間休息するなり、あるいは採点しても、自分のやりたいようにやればいいんですけれども、そういう手だてをとらないで今のようなことがやれることが違法だと思いながら、やらざるを得ない現実がある。この辺についてどういうふうにまず考えるのかということ。それから、変形労働時間制にした場合に、サービス労働の日にちがますます増えていく可能性があり得ないかということなんです。それがどこかに偏ってくる、だれかに特に偏ってくる。主幹だとか、副校長だとか、校長は当たり前でしようがないと思うんだけれども、働ける、動ける人に偏っていくということがますます強くなっていくんじゃないかという感じがするんだけれども、その辺で、ほんとうにこの1年単位の変形労働時間制によって、ある程度ゆとりができるようになってくるのかについては、心配があります。

【事務局】

 原則上は全体の勤務時間が8時間を超えれば1時間、それから6時間を超える場合は45分で、勤務時間の途中に与える。つまり、最初とか最後はだめとなっていまして、あと、休憩時間は事業場の労働者全員に一斉に与える。ただ、これについては例外があって、公務員については条例上規定があれば交代制も可能ということになっています。だから、原則としてはそういう形ですので、制度上というか、仕組み上はそれに合うように割り振られていると思うんですけれども、あと、休憩時間は自由利用ということになりますから、そこが一番問題かもしれませんけれども。

【委員】

 今、問題にしているのは、2分割していいかという話じゃないんですか。私たちは2分割まではいいと言っています、お昼に25分、放課後20分と分けてやっていますけどね。

【事務局】

 分割することは可能です。

【委員】

 そうですよね。ただ、あまり細分化しちゃいけないということで、2分割までは構わないということでやっていますけれども。

【事務局】

 例えば変形労働時間制を導入して、学期中は労働時間が若干長くなって、例えば夏休みに休みをとるといっても、実際とれないかもしれないというお話がありましたけれども、例えば学校週5日制に移行する過程でまとめどり方式があったわけですけれども、そのときにはとれていたわけですよね。それが現状だと、それも難しいということになるんですか。

【委員】

 今度の学習指導要領をほんとうにやろうとすると、そういうふうになる可能性は強いなと思います。今、土曜日の行事がものすごく増えているんです。土曜日に休んでいる先生はまず少ないです。おそらくこれから夏休みはもっと忙しくなります。

【事務局】

 ある意味では8時間という勤務時間が決まっているから8時間はやりますよという感じが強いのではないかなと。だから、休みがとれるかどうかは別としても、時間を短くして、7時間とか6時間に縮めてしまうということだって考えられなくはないと思うんです。

【委員】

 変形労働時間制は、最初は導入できても、地域住民から「何で先生は休んでいるんだ」という話が出て、もたないと思うんです。

【事務局】

 夏休みの間、自由に使える時間を保障することで、先生方の勤務の改善に資するということはできないのかということを考えていくのも、1つの選択肢としてあり得るのではないかと。

【事務局】

 今地方公務員については1年間の変形労働時間制そのものについて適用されていないという中で、これを仮に適用するとすれば、なぜ教員だけこれを適用するのかという理屈なり、考え方にかかわってくる話になるんだと思うんです。

【委員】

 やはり勤務の特殊性というのがあると思うんです。夏休みは課業期間に比べたら、明らかに業務量が少ないですから、そのときに退勤できる人はどんどん退勤させればいいと思うんです。今の教員の勤務実態から見て、変形労働時間制のほうが教員の勤務が楽になるだろうと思います。 私が一番思っているのは、夏休みとか冬休みに年休じゃなくても自由に帰れるようにしてあげたいということなんです。無理だという学校は8時間でやればいいわけで、できる規定にしておけばいいわけです。一律にやることには無理があると思います。

【委員】

 学校自体がとにかく閉業してもらったほうが動きやすいと思うんです。教員がいて生徒が休みというんじゃなくて、事業場として休みということで、制度的に担保しないと、しかも地域住民の納得を得る形で担保しないと、「何で先生は休んでいるんだ」という話になってしまいます。

【事務局】

 前に団体のヒアリングの中で、規模が小さい学校などだと、全員いなくなるわけにいかないので、うまくいくかどうかというのが心配だという意見もあったように思うんですが実際はどうでしょうか。

【委員】

 確かに小規模校だと職員数が少ないですから、日直の順番が何回も回ってきますし、プール指導なんかでも何回も出ますから、確かにそういう傾向はあります。ただ、各学校に任せればいいんです。

【委員】

 小規模だったら、小規模自体の学校の特性として、日常的な業務が大規模校とは違うので、直ちに変形労働制でなくても、平常の勤務の中で大規模とは違った勤務形態で乗り切れると思うんです。問題は、大規模校は子どもがいたら、現実に先生は休めないです。勤務時間、あるいはそれをオーバーする勤務はどうしてもやらざるを得ない。そうすると、夏休みというのは今はいろいろな行事が入ってきているけれども、それを見直すことによって、子どもがいないときに先生がある程度時間を調整するというようなことは可能だと私は思っています。

─了─

(初等中等教育局財務課)