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著作権分科会法制問題小委員会(第2回)議事録


1 日時   平成16年9月30日(木曜日) 10時32分〜12時22分

2 場所   経済産業省別館10階 1020号会議室

 出席者
(委員)
飯村、石井、大渕、末吉、茶園、苗村、中村、中山、前田、松田、森田、山地、山本の各委員、齊藤分科会長
(文化庁)
吉川著作権課長、池原国際課長、山口著作権調査官ほか関係者

 議事次第
 開会
 議事
(1) 関係者間で協議中の事項についての状況報告
(2) 関係団体からの著作権法改正要望について
(3) 自由討議
(4) その他
 閉会

 配布資料
資料1   関係者間で協議が進められている事項等
資料2−1   関係団体からの著作権法改正要望について(概要)
資料2−2   関係団体からの著作権法改正要望について(提出団体及び個票)
(※分量の関係で、資料2−2には提出団体のみ掲載しています。資料2−2の個票はすべて資料2−1から閲覧できます。)
資料3   第13回著作権分科会における著作権法改正要望に係る委員の発言
(第13回文化審議会著作権分科会(平成16年8月2日)議事録抜粋)

参考資料1   文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第1回)議事録
参考資料2   文化審議会著作権分科会法制問題小委員会審議予定
参考資料3   著作権法改正要望について(照会)(平成16年8月4日付事務連絡)


 議事内容
中山主査 時間でございますので、まだお見えになっていない委員の方、若干おられますけれども、ただいまから文化審議会著作権分科会法制問題小委員会の平成16年度第2回目を開催いたします。
 本日は御多忙中に御出席賜りまして、まことにありがとうございます。
 議事に入ります前に、本日の会議の公開につきましては、予定されている議事内容を参照いたしますと、特段非公開とするには及ばないと思われますので、既に傍聴者の方には御入場していただいているところでございますけれども、御異議ございませんでしょうか。よろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

中山主査 ありがとうございます。
 それでは、本日の議事は公開ということにいたしまして、傍聴者の方々にはそのまま傍聴をしていただくということにしたいと思います。
 それでは、今回は第2回目ですけれども、最初に御出席の委員の先生方がおられますので、課長の方から御紹介をお願いいたします。

吉川著作権課長 それでは、御紹介申し上げます。
 前回御欠席でいらっしゃいました齊藤著作権分科会長を御紹介いたします。

齊藤著作権分科会長 よろしくお願いします。

吉川著作権課長 石井委員が今回初めて御出席になりました。

石井委員 石井紫郎でございます。よろしくお願いいたします。

吉川著作権課長 あと、予定では里中先生も後ほどいらっしゃると思いますので、御紹介申し上げます。
 以上でございます。

中山主査 それでは、まず事務局から配布資料の説明をお願いいたします。

山口著作権調査官 議事次第の1枚紙の下半分側が配布資料一覧となっております。念のため読み上げますと、資料1として関係者間協議の資料、2−1として著作権法改正要望に係る概要、2−2として提出団体及び個票、資料3として前回の著作権分科会における著作権改正要望に係る委員の発言部分の議事録を入れております。
 また、参考資料として3点。まず既にホームページで公開されておりますが、前回の本小委員会の議事録。それと、前回御承認いただいた今後の審議予定、関係団体に照会をかけた改正要望に係る照会文書がございます。
 なお、そのほか各委員の机上には、備え付けの常備資料として、前回、前々回の審議会の報告書、「知財推進計画2004」、それと団体からの改正要望の個票の束を置かせていただいております。
 以上でございます。

中山主査 はい、よろしゅうございますか。
 それでは、早速議事に入ります。
 まず、最初の議題であります関係者間で協議中の事項についての状況報告につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

吉川著作権課長 それでは、資料1を御覧いただきたいと思います。
 資料1は関係者間で現在進められている事項等が記載されております。既に著作権分科会の審議経過報告等で関係者間の協議が進められている事項とされているものが、ここではAからPまでございまして、改めて要望している団体にその現在までの状況報告を求めて回収してまとめたものでございます。これを個別に御説明をするというのは、時間の浪費となりますので、一番上の一覧でごくかいつまんで御説明したいと存じます。
 まず、全体の状況について、AからPまでありますけれども、上から個別にどういう事項であるかという御説明を簡単にしたいと思います。
 Bはレコード放送権を許諾権にしてほしいと、これは現に報酬はもらえるわけですけれども、許諾権化してほしいということであります。
 2つ目は、最近学校などでは情報通信のシステムが整備されてきまして、相当数が校内LANなどを持っておりますけれども、学校全体で教材の共同利用を推進したいというようなことから、権利制限を拡大してほしいということでございます。
 Cにつきましては、図書館関係の情報通信の整備を踏まえた要望で、ここではファックス送信というのを例に挙げておりますけれども、情報通信システムを使ったサービス拡大を図りたいが、権利制限を拡大してくれないかというものです。それに対して権利者側からは資料複製に関する補償金をもらえないか、こういった双方からの要望について話し合っているということであります。
 Dにつきましては、これはいわゆる公貸権と言われているものでありまして、図書館の資料を貸し出すことに関連しての権利者への補償金を制度化してもらえないかということであります。
 Eについては、これは映画監督の権利を強化してほしいと、そういう要望であります。
 Fは、これは実演家としての俳優の権利の拡大ないし契約システムの構築について、制作者等との話し合いをしているというものであります。
 Gは、出版社に版面権、複写された場合に報酬請求できるというような、そういう権利を認めてほしいということです。
 Hは、中古のコンピューターソフトウエア(例えばゲームソフト)の流通をコントロールする権利を創設してほしいというものです。これを消尽しない譲渡権と言っておりますが、そういう権利を創設してほしいという要望であります。
 Iは、保護期間が満了してしまった写真について、保護を復活してほしいという要望であります。昭和31年以前に発行されました写真については、現在生きておられる著作者でありましても権利が切れているという状態になっております。そのことに着目して、それらの写真についての権利も復活してほしいということであります。
 Jについては、公衆の用に供するコピー機について、今現在は暫定的に権利対象外となっていますが、その暫定措置を廃止してほしいというものであります。
 Kは、漫画喫茶などで最近図書が閲覧されているけれども、それについて何らかの権利を設定して権利者がコントロールできるようにしてほしいという要望であります。
 Lは、Kと同じことでありますけれども、図書館においての漫画の閲覧に対して制限できるような権利が欲しいという要望であります。
 Mは、美術家の方々の要望でありまして、追及権といいまして、オークション等で売れた場合に著作者に一定の利益還元があるというような制度を持っている国もありますので、そういう追及権を創設してほしいという要望であります。
 下に行きまして、Nは私的録音補償金制度の見直しで、現状の機器あるいは記録媒体の利用状況を踏まえて制度を見直してほしいということであります。これは権利者側と産業界との話し合いが長らく行われております。
 Oはタイプフェイスの保護を図ってほしいと、Pは著作権及び隣接権の保護期間を延長してほしいということであります。
 AからPまで全部で16個あるわけでありますけれども、そのうち右の欄を見ていただくと準備中と書いてあるものが5つございます。ということは、まだ具体的な話し合いが行われていないというものが5つあるということであります。これらを除きまして、実際かなりの回数協議が繰り広げられているものとしては、上から申しますと、B、C、E、F、それからNというものがございますけれども、いずれも直ちに合意に達するというような状況にはないということかと考えます。話し合いを継続するということ自体は意味があると思いますけれども、基本的に両者の主張がぶつかり合っているというふうに考えられます。
 準備中のものと、それから相当の回数を重ねているものを除きますと、6つが残りますけれども、これらについても協議の回数がまだ十分ではないということもあり、両者の主張がまだ出尽くしていない、そういったところかと思います。
 したがって、全体状況を申し上げますと、合意に近いというようなものは、見当たらないということであります。関係者間協議といいましても、いつまでに協議をしてくださいとか、あるいは個別具体にこの相手方と協議をしてくださいとか、こういった点が明確になっていないこともありまして、合意ということが目標であると考えますと、非常に難しいというのが現状かと思います。
 以上で説明とさせていただきます。

中山主査 はい、ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの現状報告、説明を踏まえまして、今後の関係者間における協議のあり方につきまして、御意見のある方はお願いをしたいと思います。具体的な何とか権はいいとか悪いとかいう話はまた後日といたしまして、協議のあり方につきまして御意見を承れればと思います。
 はい、どうぞ。

苗村委員 まずここで書かれているものを見ますと、基本的に左側に書かれております要望している団体というのは、権利の保護を強化したい、してほしいという趣旨のものかと思いますが、これは必ずしもそうではないというか、むしろ例えば権利制限の幅を広げてほしいという要望も同じような形であり得るということをまず確認したいんですが、それはそのとおりと理解してよろしいでしょうか。

吉川著作権課長 例えばBなどについては、要望している団体はむしろ利用者側でございまして、そういうものも含まれております。

苗村委員 はい、わかりました。
 要望している団体の側は意図が明確なわけですが、それに対して協議の相手方として選ばれるものが必ずしも利益に関して明確に対立するものとは限らないということは、当然あり得るわけだと思います。今たまたまお話のあったBのようなものは、左と右側の団体が比較的わかりやすく対立していると思うのですが、例えば一番下の保護期間の延長で、音楽の著作権についても50年を70年にしてほしいという要望があると。これは趣旨は大変よくわかるのですが、これに対して利害の対立する団体はどこかといって、仮に放送事業者であれ、レコード業者であれ、出てきたとして、それが本当に利害が対立するかというのは必ずしも分からない。
 そういう意味で、今後できればこの左右の協議の組み合わせについて何らかの整理をしていただくといいのではないかと思うのですけれども。本質的には難しいのですが、この両者が協議をして合意をすれば、大体全体的な当事者の意見が調整できたと思われる場合と、必ずしもこのスタイルで関係者の協議がやりにくいのではないかというものを区別していただかないと、今、単に準備中と書いてあるのが、いわば相手方から選べないのではないかというのが入っているような気が少ししました。
 感想です。どうもありがとうございました。

吉川著作権課長 正にそういう問題があると思います。準備中と書いてあるところは、適当な相手が見当たらないということではないかなと思います。
 また、右の欄で相手方となっておりますけれども、これは現在知れたる相手方でありまして、潜在的には他にも実は私たちも要望に対しては反対なのですとおっしゃる団体があると思います。私の耳にも幾つか入っております。
 それからもう一つ、先生が今、御指摘になりました意見調整の意味というか、そもそも意見調整をして進めるべき事柄であるのかもよく考えてみる必要があると思います。例えば保護期間の延長など、意見調整と申しましても、利用者というのはほとんどすべての人でありまして、保護期間を延長した場合には、権利者全員が利益を得る。他方で、利用者として利益を失うのは、国民の大多数かもしれません。こういったものを利害対立のようにとらえて、そして意見調整をまず行うということの意味がそもそもあるのかと、こういう問題もあるかと考えております。

中山主査 ほかに御意見ありますでしょうか。はい、どうぞ。

山本委員 質問ですけれども、関係者間の協議というのは、この文化審議会著作権分科会審議経過報告書に記載されているということだと思うのですが、これの関係者間の協議というものの位置付けなのですが、これは文化庁の方でこういう関係者間の協議を何らかの目的で設定されたというものなのか、あるいは関係者間で自発的にこういう協議が行われているということを具体のもとで把握されているという趣旨のものなのかという点と、それから、これは先ほどのお答えに関係するところなのですが、ここで出てきて、例えば意見がまとまったとして、それはどういうふうに反映される、立法活動とかにどういうふうに反映されるものとして予定されているのかというところについてお聞きしたいと思います。
 正に当事者間で単純に話し合って、論点を煮詰めるだけという意味合いなのか、将来的に立法活動に関係者団体が合意できたから直ちに立法化に進められるようなものとした位置付けなのか、そういう意味合いというのはどうですか。質問です。

吉川著作権課長 本質的な質問だと思います。それが曖昧であるということもあって、一度こういう場で議論をしていただく必要があると考えた次第です。
 第1の質問については、文化庁から例えば文書でお願いをしているというものではありません。ですから、そういう意味では文化庁が設定しているとは言えないと思います。例えば私的録音補償金のように、文化庁が別途懇談の場をつくるなりして、話し合いが促進されるように努力をしているというものは、個別にありますけれども、この表に書かれている全体の協議について、一々文書でお願いをしたということではないので、ある面では自主的に行われているものというふうに考えられます。
 しかし、元はといえば著作権分科会の審議経過報告で、これは関係者間で協議をしてもらった方がいいとされたものでもあるので、したがってその意を受けて行っていただいている面もあります。これが非常に曖昧だと思うんです。
 ですから、厳密に言えば文化庁で設定したものではないが、しかしその協議を分科会の報告の形で促進をしてほしいという、そういう示唆によって行われているものと考えます。ですから、曖昧でございます。
 それから、2番目のまとまった場合にはどのように反映するのか、すなわち合意が形成されれば直ちに改正するというような、そういう話になっているのかということですが、これはそうではないという理解なのであります。
 例えば、知的財産推進計画などの表現もそうですけれども、関係者間協議の結論を得て、その後に、具体的にはこの法制問題小委員会ということになると思いますけれども、この小委員会で法制化について適当かどうかやはり議論が必要だとされております。ですから、仮に関係者間が何か妥協案ができたとして、それが専門家の目で見て不適当なものであれば、必ずしも立法化は進めないという考え方でございます。
 これについては、私は個人的な見解としてあまりにも不親切であると思うのであります。というのは、一生懸命合意をつくっていっても、結局専門家の目から見たら話にもならないというのであれば、何のために話し合いに長い時間をかけて努力していただいているのかよくわからないからであります。
 確かに、立法活動の現実論から考えますと、やはり筋の通らないものは無理だというふうに思いますので、法制問題小委員会中心での検討ということにどうしてもならざるを得ないと思いますので、関係者間の協議の位置付けというのは、法制問題小委員会の検討に役に立つような形でしていただくというのが、現実の立法活動を考えたときに最も意味のある取扱いかと思うわけでございます。
 そういうことで。

中山主査 よろしいですか。
 ほかに御意見、御質問ございましたら。はい、どうぞ。

石井委員 今の第2点の長い時間をかけた関係者間協議が成り立たない場合、これは専門家集団としてはどうするのか、あるいは文化庁としてはどうするのかという、ごく一般的なことですが、お聞きしたいと思います。

吉川著作権課長 確かに、関係者間で利害が対立しているという問題については、法制化の取り扱いが難しいと思います。場合によっては、その難しい行司役を結局専門家の法制問題小委員会の先生方にお願いするしかないのではないかと考えております。
 というのは、両者の主張が対立していて、これは利害対立の場合ですが、第三者が軍配をどちらに上げるなり、この部分についてはこうすべきだというふうに整理をしませんと、膠着状態と申しますか、そういうことになりかねないのであります。
 この関係者間協議で私が御説明しました、相当程度回数を重ねているけれども、両者の対立が深く、したがってなかなか合意・妥協に結びつかないというケースというようなものがあるのであります。そういったときに、両者の主張をどう見るか、解決に乗り出すタイミングかどうかということを第三者的に判断いただくことも、この法制問題小委員会の役割として御期待申し上げたいところだと思います。
 これまでは、ともすれば利害対立があるものは手をつけにくいということがあったと思いますけれども、この何年間も関係者間協議をやってきたけれども、なかなか土俵の中央でがっぷり四つになっているといったものについて、放置しておいていいのかとちょっと私の方でも心配になるようなものも出てまいりましたので、場合によってはそういうところに行司役で入っていただくということも、必要なものについてはやっていただくことになるのではないかと思っております。

中山主査 よろしいでしょうか。
 この問題は前年度の審議会の時から非常に重要な問題になっておりまして、議論する点も多いかと思いますけれども、本日はもう一つ大きな議題もございますので、本件についての議論はこのくらいにいたしまして、もし時間があればまた最後の方で御議論をしていただくということにいたしまして、次に移りたいと思います。
 次に、関係団体からの著作権法改正要望につきまして、これから事務局に説明をお願いしようと思っているわけですけれども、お手元にございますとおり、改正要望についての分量も相当ございますので、議論に先立ちまして念のために確認をしておきますと、前回の会議の時に事務局から方針が示されましたとおり、今期の本委員会の最大の役割といたしましては、優先して対応すべき著作権法上の検討課題の抽出・整理という点にございます。
 そして、その検討に当たりまして、本日の議題であります改正要望や、関係者間で協議中の事項、あるいは前回御紹介申し上げました「知的財産推進計画2004」などを素材としつつも、必ずしもこれにとらわれることなく、大局的・体系的な視点、あるいは重要性・緊急性などを念頭に置きまして、あくまでも本小委員会における各委員の御見識によって優先順位をつけていきたいという具合に考えております。
 そうした本小委員会のミッションを頭の片隅に置きまして、この膨大な改正要望を素材に意見の交換をしてまいりたいと思います。事務局からおおむね条文に従いまして1から9の柱に整理をしておりますけれども、この中でも「2.著作者の権利」及び「3.著作隣接権」の観点、これは資料2−1の2から3ページ目になりますけれども、この著作者の権利、著作隣接権の観点と、それから「4.著作権等の制限」の観点、これは資料2−1の4から7ページでございますけれども、この2つが大きな論点になろうかと思います。
 よって、この2つに関する要望事項を優先的に議論いたしまして、その後にその他の点につきましての議論を行いたいと思いますけれども、そういう方針でよろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

中山主査 では、そういう方針で出していただきます。
 それでは、まず事務局より「2.著作者の権利」及び「3.著作隣接権」に関する要望事項につきまして、簡単に説明をお願いいたします。

山口調査官 それでは、ただ今の主査の御提案に従いまして、そうした形で重点的に御説明させていただきます。
 まず、総論として、今回の改正要望について若干確認しておきますと、事務局の方から8月4日から31日にかけて、約320団体に照会をかけまして、ほぼ4割に当たる約120団体から多数の御要望を頂戴したところです。
 なお、一部のものについては、参考資料として詳細な別添資料も頂戴しておりますが、場合によっては大部であったり、権利処理の問題などもございますので、今回は恐縮ですがその分は割愛させていただいております。
 資料2−1の概要ペーパーでは便宜上九つの柱を、ほぼ条文に沿って立てております。それでは、まず2番目の「著作者の権利」と3番目の「著作隣接権」の柱について、資料2−1のページで申しますと2ページ目から3ページ目までになりますが、ごくアウトラインを御紹介させていただきたいと思います。
 まず、2ページからですが、(7)から(9)は頒布権あるいは譲渡権に関連しているものです。中古の書籍やゲームソフトに関しては、原則論として、譲渡権についてはいわゆるファァースト・セール・ドクトリンにより、最初の譲渡で消尽することが規定されています。また、映画の著作物の頒布権のうち譲渡に係る部分については、最高裁判決で劇場上映目的の場合以外は消尽する旨判示されているという状況がございます。
 そうした中、権利者側からは、例えば一定期間の許諾権とそれ以降の報酬請求権としてはどうかといった利益の還元方法を検討する要望がある一方、消費者やゲームソフトの流通業者などの側からは、当該最高裁判決の趣旨が明確に分かるように条文に反映すべきであるとの御意見がございます。
 なお、本件については、知財推進計画において、消費者利益等の観点も含めて検討を行うということも記載されていることを、念のために申し上げておきます。
 次に、(10)の貸与権についてですが、これは先般の法改正で書籍・雑誌についても貸与権を付与するということになったところですが、早速これを報酬請求権にすべきであるという要望が出されております。
 あと若干ございますが、先ほどの関係者間協議でも出てきました、いわゆる漫画喫茶における利用に係る利益の著作者への還元の問題、あるいは分科会の席上でも御発言があった、いわゆる追及権、すなわちオークションなどで利益が上がった際に当該美術作品等の著作者にも何らかの形で一定の還元をすべきではないかといった点も要望として出されております。
 次に、3ページ目の方にまいって、著作隣接権の方に移らせていただきます。
 (17)から(23)までは実演家の権利ということで、録音録画権ではなく複製権を付与することやいわゆる視聴覚的実演についての保護、さらにこれに関連して映画の著作物の範囲を明確化すべきではないか、あるいは放送された場合の同時再送信に係る権利の付与、そういったことなども出されております。
 また、(23)ではいわゆる肖像権に関する要望も出されております。
 レコード製作者の保護に関しては、これは関係者間協議でもございましたが、(24)として音楽の提供を主たる目的とする放送等に対する権利について、報酬請求権から許諾権に変更する旨の要望です。
 (22)及び(25)については、現在1年とされている商業用レコードの貸与権のうち許諾権に係る期間、これを実態を踏まえて1か月に短縮すべきとの要望です。
 (26)から(33)は、放送事業者関係でございまして、(30)までについては、(26)のうちの貸与権の部分を除き、現在WIPOにおいて検討されている、いわゆる放送条約の案に記載がある関係から、昨年、国際小委員会の方で国際的な議論への対応ということで、一定の検討が行われております。
 (31)の「アクセス権」の創設については、昨年、法制問題小委員会において一定の検討が行われまして、これも放送条約に向けた議論として引き続き検討すべきという位置付けとなっております。
 (33)は知財推進計画にもその位置付けについて検討すべきとの記載がある論点でございまして、電気通信役務利用放送として総務省の許可を受けている事業者より、これを著作権法上の「有線放送」として位置付けるべきであるという要望です。要望書によれば、従来は自動公衆送信と位置付けられてきたが、いわゆるインタラクティブ送信とは仕組みが異なっており、公衆によって同一内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信という有線放送の定義に合致していると解すべきではないかという趣旨でございます。
 (34)(35)は出版者の権利の創設についてでして、知財推進計画にも記載がございます。
 とりあえず、以上、ひとまずここまでということで、説明とさせていただきます。

中山主査 はい。それでは、ただいま御説明いただきました「2.著作者の権利」及び「3.著作隣接権」の関連で御意見がございましたら、頂戴したいと思います。
 はい、どうぞ。

山地委員 意見にならずに質問なのですが、放送事業者並びに有線放送事業者の権利についてですが、これは御説明にもあったように放送条約で検討されており、国際小委で取り上げているわけですが、第1回目が9月に開かれて、第2回目は来年1月ということなんですけれども、国際小委の検討計画はあるのでしょうか。

池原国際課長 先ほど説明ございましたけれども、現在WIPOで放送条約についての検討がされております。ちょうど今、ジュネーブで行われているところでございますので、国際小委は次回は1月というような話もしておりましたが、いつごろどういう形で行うかということは検討して、御相談させていただきたいと思っております。WIPOにおける条約の検討状況なども踏まえながら、改めてこういった内容について国際小委で議論していただくかということについてお計らいをしたいと思っております。

山地委員 そうだとすると、意見ないしお願いですが、オーバーラップする問題についてはこの法制問題小委員会に適宜報告をしていただくというふうに聞いておりますので、国際小委で検討が行われた場合には、ぜひ法制問題小委の方に報告して、法制小委の意見を述べる場面もぜひ作っていただきたいと思います。

池原国際課長 以前からもありますが、国際小委で議論して法制小委でかなり御検討をいただく必要があるものについては、法制小委に御報告をし、御審議をいただくようにさせていただきたいと思っております。

中山主査 はい。ではよろしくお願いします。
 ほかに御意見や御質問ございましたら。はい、どうぞ。

松田委員 頒布権・譲渡権のところでありますけれども、今、関係団体からの資料をずっと見てみましたところ、(7)(8)(9)というのはいろいろなところから、それも対立する立場での意見がたくさん出ているようであります。(7)(8)(9)、番号で整理してしまうとこれだけということになるわけでございます。
 これは従前からも要望があったわけですけれども、確かに最高裁判例も出ていて、現行法の解釈としてはもう確定しているということであります。しかしながら、これだけの両当事者からの要望が上がっているということになりますれば、それは立法政策としてどういう対処をとるべきかということが、実はここに提案されているんだというふうに思うわけであります。もちろん、最高裁判例も一つの重要な資料ではあるかと思いますけれども、これは現行法上の解釈ではそうなったということでありますが、一度(7)(8)のあたりは議論に終止符を打つという意味もあるのかもしれませんが、この法制小委以外の意見も聴取するような立場といいますか、意見を表明するような立場の方々に御意見を聞いてみて審議をするような慎重さが必要ではないかというふうに思います。
 昨年度と変わりまして、この法制問題小委員会はどちらかというと研究者の立場の者が多く加わってございまして、法的整合性の点からの議論は十分にできるかと思います。ただ、昨年も2つのテーマでそれぞれその法的整合性の問題と、それから経済社会的な立法政策といいますか、経済政策といったものの視点からの問題意識の違いということが明らかになったシーンがありました。これは私は2つあったと見ております。
 その場合に、法的整合性ということだけで議論したのでは、多分報告書にした後、その社会的承認ということが得にくいのではないかと思います。審議のあり方についても十分議論をしていただきたいと思っております。

中山主査 はい、ありがとうございます。
 ほかに御意見ございましたら。はい、どうぞ。

山本委員 主査の方からお話がありましたように、今回のこのテーマ選びを今期はするという、その観点から考えますと、著作権法も同じように抜本的に見直す時期に来ているという観点から、この問題をやっていく基礎があるんだろうなと。
 優先順位の高いといいますか、重要性の高いものを先にやった方がいいのかどうかというのが議論はあると思うのですが、重要性から、問題の大きさからいって、例えば今お話がありました頒布権ですが、映画の著作権だけ消尽しないという制度が、立法当時にはそれなりの必要性があったのかもしれませんけれども、本当に今の時点でそういう制度を残しておくのがいいのかどうか、単に今、既得権にしかなっていないのではないかなというふうに思います。
 その当時は映画のテープ自身を転々流通させるという、それを抑えるために必要だったというようなことはあるのかもしれませんが、今はデジタルコピーで映画館に配給してそれを行うだけだから、テープ自身を転々流通するということはない。上映権の中で抑えたことはできるという状況から考えたら、頒布権、消尽しない頒布権の立法事実というのは全然なくなってきています。
 それから、さらに多分議論になるところかもしれませんけれども、隣接権の枠組みなんですけれども、例えばレコードや実演家の権利が創作性を前提としない隣接権でいいのか。本当のことを言うと、旧法の中ではレコードだって著作物として認められていた。創作性を実際に認めることはできても、現行法の枠の中から考えると、幾ら創作性があったって隣接権としてしか当てはめられないというような、そういうあり方でいいのかという点。つまり、隣接権制度自身の著作権との関係について見直す必要があるのではないか。
 さらに言いますと、隣接権者に対する、例えばレコードの放送利用については、お金を取れるだけで許諾権はないというのは果たしてフェアなのかなっていうような、そういう根本的な問題が著作権や隣接権のところではあるように思います。

中山主査 その点につきましては、何か。

吉川著作権課長 いずれ、委員の皆様方から個別に提案をいただくという場面が近々来ると思っておりますけれども、特に隣接権と著作権とのそもそも制度上の定義、こういったものはどうでしょうか、やはり極めて大きな見直しとなりますので、仮に議論して全部法改正に直ちに結びつくもので必ずしもないかもしれません。しかし将来への展望というか、専門性のあるこの法制問題小委員会の責任において、将来への一つの問題提起とする、そういうことはあり得るような気がいたします。
 もちろん主眼は次回の改正とか、次々回の改正とか、直近の改正で何を取り上げるのかというのが肝心でありますけれども、基本的な今後の著作権法のあり方というのか、そういうことについて必要であれば、展望を示すというような部分も設けて、おっしゃったような議論を報告書に入れていくというようなことが考えられると思います。

中山主査 これは主査としてではなくて、個人としての意見ですけれども、私も個人としては山本委員がおっしゃったように、著作権法全体がもう古いというか、全体を見直した方がいいと私も思っております。
 けれども、現実問題として、時代の進展が余りにも早くて、現行法をつくるときには著名な学者を集めて昭和40年代の前半に数年かけてやったわけですね。ああいう作業ができれば本当は私も一番好ましいと思っているのですけれども、恐らく今やっている最中に世の中が変わってまた全部やり直しと、永久に崩してつくり崩してつくりとなるのではないかと思うんですね。しかし、だからといって体系的なことを無視していいというわけではないわけでして、先ほど私が申し上げました体系的、あるいは大局的な視点からもということは正にそういう意味で、それをにらみつつ、今、課長がおっしゃいましたように、とりあえず優先順位をつけてということにならざるを得ないのではないかという感じが私個人はしております。
 ほかに改正の順番とか、その他方法につきまして何か御意見がございましたら。はい、どうぞ。

山地委員 優先付けのあり方とか、著作権法全面再構築という意見も前から出ているのは承知しておりますけれども、それを議論するとなると、やはり数年のレンジを覚悟せざるを得ないと思いますので。もしもそれをやるのであれば、検討の場を別につくることが必要ではないかと私は思っております。
 実はこれだけたくさん項目があると、中を見るとやはりかなりこれは急いで検討すべきだなと思うものもありますので、とりあえずはそういうものを取り上げて検討すべきではないかと考えております。
 今はもう9月でございますので、多分次回の通常国会には間に合わなくて、次々回ということになるかと思います。今もう既に9月ですから、多分あと1年ぐらいしか実質的に検討する時間はないのだろうと思いますので、ぜひ具体的な項目、優先的な項目を取り上げて議論していただきたいと思っております。

中山主査 時間的なスケジュールはそのとおりで大丈夫です。
 ほかに御意見ございましたら。はい、どうぞ。

前田委員 この場での議論の進め方についてなんですが、今、資料の2ページと3ページを御紹介いただいたわけなんですが、この2ページ、3ページでも既に多数の項目が挙がっております。
 今、審議のやり方としましては、この2ページ、3ページで挙がっている多数の項目の中から、これは緊急性が高いのではないか、あるいはこれは緊急性がそうでもないのではないかというような意見を今この場で申し上げて議論をするという前提で考えてよろしいものでしょうか。

中山主査 はい、それでよろしいですね。

吉川著作権課長 もちろん時間の制約もありますので、出尽くさないと思います。
 したがって、最後にお願いしようと思っていたのでありますけれども、次回の会合に向けて各委員から、今日のこの要望も踏まえていただいて、もっと体系的な観点から問題を提起されてもよろしいと思いますけれども、優先的に取り上げるべき事項を具体的に挙げていただきたいと存じます。事前に書面でいただいて、次回の資料として配布をして、御説明いただくような格好で議論を煮詰めていただくようにお願いしたいと思います。
 ですから、この場で全部言い尽くしていただきたいということではございません。次回以降に向けては十分お考えいただきたいということであります。

中山主査 はい。
 最後にペーパーをお願いしますということを御依頼する予定ですし、先ほど申し上げましたように、これらの要望だけではなくて、ほかにも関係者間で協議中のことですとか、「知財推進計画2004」ですとか、それにプラスして各委員の御見識ということを申し上げたわけで、それらを総合してこういうのを早くやってほしいとか、これはどうしてほしいという、こういう御意見を賜りたいという趣旨であろうと思います。今日の委員会と、あと後日のペーパーと、両方で意見を賜りたいと思います。

松田委員 そういうものが出た段階では、座長がある程度整理をするということになりますよね。

中山主査 次回整理して、次回、次々回ですかね。

吉川著作権課長 実際、次回には皆様方から提出いただいたものを御説明いただいて、そこでどういうものが浮上するかというのがわかってくるかと思いますので、次々回に整理をしたものがたたき台というか、試案としてお出しできると思っております。

中山主査 なかなかこの場ですぐさあどうですかと言っても名案が出てこないかもしれませんけれども、後で思いつきましたらじっくり考えてペーパーにしていただければと思います。
 ここらで何か御意見はほかに。苗村先生、どうぞ。

苗村委員 そうすると、今日の審議を踏まえて次回までに各人が優先順位の高いと思うものをペーパーとして出すと。その対象は、今、2ページ、3ページを読み上げていただいていますが、その後の4ページからの著作権等の制限規定の方も全部含めて、最後まで含めて、その中から各委員が優先順位が高いと思うものをペーパーとして提出すると、こういった考えでよろしいんでしょうか。

中山主査 はい、そうです。

苗村委員 そうすると、今日の審議の場では、多分これだけ拝見したらば意味が理解できない部分もなくはありませんので、むしろどちらかというと、例えば今、2ページ、3ページの中で、こういう提案があるけれども、これはちょっと意味がよく分からないので説明してくださいというような情報を今日いただいて、それで各人が持ち帰ってペーパーをつくると、こんなイメージになりますか。

吉川著作権課長 実際、私どもにも必ずしも分からないものもございます。それから、例えば2、3で出てきているのを見ますと、恐らく著作権の御専門の先生方から見ますと、どこかで聞いたことがある、30年来の要望だとか、そういう大体見当がつくようなものが多いかと思います。

中山主査 では、次の問題へ進んでよろしいでしょうか。
 それでは、引き続きまして今度は4の「著作権等の制限」に関連する要望事項につきまして、簡単な説明をお願いいたします。

山口調査官 それでは、次にページで申しますと4ページから7ページまでになりますが、4番目の柱である「著作権等の制限」について、アウトラインを紹介させていただきます。
 まず、総論としてですが、「知財推進計画2004」の中には、このたび、権利者の利益と公共の利益とのバランスに留意するという中項目と申しますか、一つの大きな視点が入っているということを最初に申し上げておきたいと思います。
 冒頭、(37)からですが、いわゆるフェアユース規定など、限定列挙ではない一般的な権利制限規定の導入について検討すべきという要望がまずございます。
 次の項は私的複製の在り方についてです。(39)は業務用であっても私的複製として認めてほしいというもの。(40)以降は現在認められている私的複製の範囲を狭くすべき、あるいは技術的保護手段の範囲を広げるべきという、権利者側からの要望です。
 (46)からは、いわゆる私的録音録画補償金制度に係る要望でありまして、非常に多くの要望がつづられております。対象機器・媒体や、現在の政令指定方式の見直し、さらにはそもそも存在自体について消極的な観点から見直すべきでないかという要望に大別できますが、(50)は書籍等についても同様の制度を設けるべきという要望となっております。
 続きまして、(51)から(61)までは、図書館関連の要望、(62)以降は教育関連の要望、(66)以降は障害者関連の要望となっておりまして、個々には細かくございますが、概要として申せば、現在、限定列挙になっておりますので、そうした細かい範囲からは微妙に当てはまらないような事例、例えば利用者が異なる、施設が異なる、利用形態が異なるというような場合についても、現実の実態などを踏まえますと、権利制限規定の対象に含めるのが妥当ではないかというような要望でございます。
 なお、分科会の席上においては、録音図書について作成主体の拡大ですとか、貸与のみならず自動公衆送信にも拡大してほしいといった御発言もあったところです。
 他方で権利者側からは、逆に権利制限の要件の厳格化ですとか、権利制限を認めることとしても一部補償金を支払うべきではないかといったような要望も頂戴しております。
 なお、障害者や高齢者についての一般的な権利制限については、昨年の法制問題小委員会において、経済産業省から包括的な要望があったことに伴い検討を行いましたところ、定義付けが困難で範囲が曖昧となることなどから、一般論としては適当ではないと考えられるものの、特定分野についての制限規定については今後引き続き検討が必要であるという方向付けが示されております。
 次の項目にまいりますと、著作権法第38条のいわゆる非営利・無料・無報酬の上映等に係る要望でございます。
 (77)の要望事項については、一昨年の報告書の中で、概要として申しますと、原則としては許諾を得ることとしつつも、学校の授業における上映等については引き続き無許諾で行えることとすべきであるとの方向性が示されております。その後の検討状況については、前回、事務局よりお伝えしたところで、議事録の方にも載っているかと存じます。
 続いて、(83)からは、行政手続における権利制限規定の創設要望です。(84)(85)においは、特許法あるいは薬事法といった具体の場面における要望となっております。
 (86)から(89)については医療関係の要望です。
 (90)以降については、近時のインターネットやデジタル機器の普及に伴い、実質的に権利者の権利を損なわない範囲で複製等を行われていることに鑑みまして、様々なケースについての権利制限の要望が提出されております。
 なお、(97)については、現行法上、プログラムのバックアップについては可能になっているものの、もともとのプログラムの方を所有しなくなった時にはバックアップの方も保存できないこととされておりますところ、パソコン等に著作者があらかじめ添付したバックアップ用プログラムの譲渡についても適用すべきというものです。
 (98)以降は、人格権に対する権利制限の創設を求めるもので、著作者の同一性保持権の内容を「意に反して」から「名誉声望を害する態様で」に改めるというもの、個人的又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内で使用するための改変については制限するというもの、プログラム及びデータベースの著作物については制限するというものが提出されております。
 とりあえず以上とさせていただきます。

中山主査 はい、どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明でありました「4.著作権等の制限」の関連で御意見がございましたら。はい、どうぞ。

山地委員 では、優先テーマについて応援演説をやらせていただきたいと思うんですが、まず第1番は(84)であります。
 これは、特にコンピューターソフトウエアに関連する特許であるとか、ビジネスモデル特許が問題だと思っておりますが、こういう新しい分野のものについては非特許文献が非常に重要になっておりまして、現在、特許庁では受けたソフトウエア関連特許について、非特許文献データベースであるCSBBというものをつくっているわけですが、その中の文献を基準にして多くの拒絶査定通知が出ております。そこで著作権が非常に問題になっておりますので、これは産業界としても昔からかなり強い意見が出ておった項目ですので、(84)はぜひ取り上げていただきたいと思います。
 それから、次が(85)ですが、これもかなり前から要望が出ていた項目でありまして、薬事法という法律で関連文献の提出を義務づけられているにもかかわらず、ここで権利制限規定がないものですから、許諾を得なくてはいけないとか、複写にお金がかかって大変だということで、これも大変よく理解できることだと思っています。(87)(88)も関連するのかもしれません。
 それからもう一つは、電子機器等に関する制限でございますが、中身は随分いろいろあるのですが、今日申し上げたいのは、デジタル化、インターネット化の時代において、善良な国民が意識することなく法律違反を非常にたくさん起こしているのが実態なわけであります。そういうのはやはり法律が悪いと言わざるを得ないと思いますので、そういうことを考えて新たな検討が随時必要かと思います。

中山主査 はい、ありがとうございます。
 ほかに御意見ございましたら。はいどうぞ、石井先生。

石井委員 (102)番の要望を拝見していて、意味がよくわからなかったのですが、いずれにしてもこれは今、山地委員が御指摘になったような、そういう法律的な必要性とか制度的な関係で問題になるんでしょうか。およそ一般的にということなのでしょうか。

吉川著作権課長 この分厚いものの255ページがそうなんですけれども、社団法人農林水産技術情報協会というところから出ていますので、すなわち技術に関する情報を提供するということによって、いわば経済社会を発展させようと、こういう趣旨だと思いますけれども。
 そもそも、著作権の根本的な部分に反するような気もしますので、ちょっとそのままストレートにはとれないと思います。

中山主査 石井先生、よろしいですか。

石井委員 僕は素人だから、誤解しているといけないのでお聞きしたまでです。

吉川著作権課長 少しよろしいでしょうか。私の目から見ると、何番というわけではございませんけれども、これだけたくさん権利制限の要望がまいりますと、これらをすべて法律事項として一々処理したのではとても対応できないということはわかり切ったことだと思いますので、まさにこの権利制限を今後どういうふうな方式でするのかという部分も非常に重要な論点になると思います。
 もちろん、一番最初に出ております一般的な権利制限規定の導入というようなことも論点にはなると思いますけれども、限定列挙方式を維持していくにしても、一定のジャンルについては課題も多いから、下位の法令に移すとか、何か工夫をしていく必要があるのではないでしょうか。余りにも個別的なことを法律で規定するにも問題がありますし、そういった角度の検討をしていただいた上で、個別論としていかなる事項を取り上げる必要があるという、そういう御意見等いただければ幸いでございます。

中山主査 確かに、この御意見の中には法律を御存じない方が書かれたものも多いわけで、法律的に言うと無理があるものがあるかもしれませんけれども、なるべく意を酌んであげるようなことはしてあげなければいけないとは思うのです。

中山主査 はいどうぞ、飯村委員。

飯村委員 話の流れを阻害して申しわけないのですけれども、個人の意見であっても申し上げるべきときには、委員としての責任上、発言したいと思うのですが、現実に係属している事件の心証との関係で、発言が制限される場合には、その部分の扱いをどうしたら良いかと思いまして質問させていただきました。

中山主査 今回の規定はそこのところはどうなっていましたでしょうか。

吉川著作権課長 場合によっては議事録の一部分を非公開とするようなことも可能ですけれども、飯村先生の部分だけそうしますと、それではもう誰が言っているか明らかなので、余り意味がないかもしれません。

中山主査 議事録もですけれども、公開も同じ意味ですから、そうですね、急に訴訟が起こったらまずいというのは、やはりそれは非公開にしなくてはまずいので、議事録だけの問題ではないと思いますけれども。
 はい、どうぞ。

飯村委員 今後発言するときに公開されるという前提で話しますので、よろしくお願いします。

中山主査 それでは、ほかに御意見がございましたら。

苗村委員 よろしいですか。

中山主査 はい、どうぞ。

苗村委員 個別の項目というよりは、むしろ一般論なんですが、先ほどの山地委員の御発言とも関係しまして、この後の進め方についてこういうことをお考えいただきたいという趣旨です。
 例えば、他の法律に基づく行政手続上、こうする必要があるという例は先ほど御紹介ありましたし、たまたまわかりやすい例として(90)のように、現実として日本中のインターネット利用者がほとんどすべて、これは飯村先生が何とおっしゃるかはともかくとして、私の個人的理解では著作権侵害をしているおそれが高いと、そういうもの一般論として現在の法規定と実際に行われていることの乖離が余りにも激し過ぎるというもの。その他、いろいろな理由があって急ぐべきものがあると思うのです。
 それから、先ほどの前の議論の中身ですが、例えば映画監督と映画製作者の権利の問題のように、明らかな当事者がいて、一般の直接当事者でない者からすればどちらでもいいけれども、早く決めてくれという類のものとか、いろいろあるように思うので、現在の分類とは別の分類を示していただかないと、多分間違いなくこれは急ぐということ、いや急ぐけれどもこれは当事者間で合意しなければとても決まらないとか、あるいは本質的な問題だけれどももっと時間をかけて議論をした方がいいとか、いろいろあるのだろうと思うのです。ですから、単にこれ優先順と言われましても大変答えにくいなという感じがしました。

中山主査 そうですね。そういう点も含めてもう少し詳しくペーパーでも出していただければと思うんのす。例えば、こういう行政上必要だったらどうのこうとか。

苗村委員 規定をここで列挙していただけると、あと答えやすいなという気がしたんですね。

中山主査 それはいかがでしょう。

吉川著作権課長 次回、これは私の希望ですけれども、例えば著作権法の御専門の先生であれば、正にすべての課題を見通した順位付けといいましょうか、それがある程度思い浮かぶと思います。それ以外の方々には、こういう観点から見たときにこうだと、それは部分的なところに光を当てて、そこを際立たせるという意見が頂戴できると思っています。
 それらの御意見を整理していけば、おのずと今、中山先生がおっしゃった、ベースになるような、土台になるようなペーパーができるのではないかと考えています。それにはかなりの項目が挙がると思うのです。ですから、そこからまた整理していただかないといけないと思います。

中山主査 よろしいでしょうか。はい、どうぞ。

前田委員 進め方についてなんですが、例えば事務局なり、あるいは主査の中山先生と事務局で御相談いただいて、ある程度こういう項目で取り上げることはいかがでしょうかというたたき台を示していただいて、委員の方から、いや事務局で整理していただいた中にはこれが落ちているけれども、私としてはこれがぜひ取り上げてもらいたいというような意見を申し上げ、あるいは事務局側からこれが優先順位が高いとされているけれども、さほどではないのではないかというように、まず整理した案を出していただいて、それをもとに各委員から追加、あるいは削除案を出すというやり方も考えられるのではないかという気もいたしたのですが、いかがでしょうか。

吉川著作権課長 どうしてもとおっしゃるのであれば別ですけれども、そうなると中山先生に頼らざるを得ないのですけれども、最初に中山先生が出してしまうと、また意見も言いにくくなるのではないかなと思いますので、委員の皆様に出していただいたところで主査と御相談して整理させていただきたい、そういうような手順を事務局としては考えているわけでございます。

中山主査 なかなか私としても何とも言いにくいのですけれども。
 はい、どうぞ。

山地委員 もしそういう検討の仕方を検討するのであれば、課長が先程おっしゃったように、次回、各委員が意見を出すわけですから、その出したメモをまず見ていただいて、それを見ながら事務局と中山先生で御相談されてはいかがでしょうか、というのが1つです。
 それからもう一つ、先ほどの吉川課長からの提案ですが、限定列挙の数をずっと増やすという検討の仕方だけではなくて、別のもっとシステマチックなやり方をということでしたが、その一環には、例えば一般的な権利制限規定、いわゆるフェアユース規定などということになるだろうと思います。
 ただ、私はそれに非常に懸念を持っていまして、フェアユースの議論を始めると、これはこれで非常に膨大な議論になっていくのは目に見えているわけでありまして、したがって1年や2年では検討結果が出ないのではないかと思われます。特に、アメリカ的な発想のフェアユースでいくのかどうかとか、それから現在認められている権利制限規定、限定列挙の権利制限規定も全部やめてフェアユース1本でいくのか、あるいは現在ある限定列挙を残したまま、さらにその上にフェアユースの規定を加えるのかとか、その辺は大激論になるのは間違いないわけでありまして、そうすると再来年の立法もほかの急ぐものもちょっとできなくなるのではないかという懸念があります。
 したがって、もしもフェアユースの規定、大きな問題を議論するのであれば、先ほどの山本さんの提案を含めて、別の場を設ける必要があるのではないかと思います。

中山主査 進め方の手順は、恐らく次回と次々回しかございませんので、事務局の方で整理をして提示して、それをまた御意見を伺ってという時間的余裕はないと思いますので、前田先生よろしければ、山地委員のおっしゃったような手順でよろしいでしょうか。

前田委員 はい。

中山主査 それはそれでそうさせていただきたいと思います。フェアユースの意見については承りましたので、ほかに御意見ございましたら。

(発言の声なし)

中山主査 それでは、ただいま御意見をいただきました2、3、4以外の残りの要望事項につきまして、まとめて事務局の方から説明をお願いいたします。

山口調査官 それでは、残りの部分、柱で申しますと1番と、5番から9番までの部分についてまとめて簡単に御紹介申し上げます。
 まず、柱の1番目ということで1ページ目へお戻りください。
 まず「著作物の定義」に係る要望でございます。冒頭は応用美術の中で、例えば図案やデザイン、そういった特定のものについて明文で認めてほしいという要望です。(2)のテレビの生番組については、昨年、総務省からの要望を踏まえて、法制問題小委で検討を行ったところですが、賛成意見がある一方で、現行でも著作物性があれば保護されるので、必ずしもその必要性はないといった意見も出されていたところです。
 (5)については、写真の著作物にはVTRの静止画を含まないと申しますのは、VTRの静止画を写真の著作物と捉えてしまいますと、複製権がないため権利が及ばなくなってしまう実演家側からの要望でございます。
 (6)は、映画については、シナリオや原作の著作者も原著作者として権利を持つことから、権利関係が煩雑になりますので、二次的著作物ではなく端的に独立した著作物として位置付けてほしいという趣旨の要望です。
 次にページが8ページ目に飛びますが、5番目の柱である「保護期間」についての要望です。
 本件については、映画につき、公表後50年から公表後70年という形で延長されたところですが、映画以外の全体についても基本的には長くする方での様々な要望が寄せられております。ただし、この件については、昨年の法制問題小委員会でも議論され、単純な国際的な平準化だけを理由に保護期間を延長することについては慎重な意見もあったところです。
 なお、最後の(108)では条約上の最低基準である50年という年数を超えたものについては、少額の手数料を納付するような工夫をすることで、一定の調整が図れるのではないかというような提案がなされております。
 次に、6番目の柱、9ページ目になりますが、みなし侵害等に係る要望であります。
 (109)から(112)までにかけては、現行法113条の範囲を若干広げてほしいということでございまして、(109)は頒布目的でない海賊版の輸入、(110)は海賊版作成のマスターとするための海賊版の所持、(111)は業務上ではない違法複製プログラムの使用、そういったものもそれぞれみなし侵害の対象とすべきではないかという要望でございます。
 (112)は、いわゆる間接侵害規定の導入、(113)は、差止め請求の名宛人を侵害者だけでなく頒布者にも広げるべきという要望でございます。
 (109)と(112)については、昨年の法制問題小委でも検討されておりまして、いずれも引き続いて検討を行うことが必要であるという方向性が示されております。
 なお、(114)は、いわゆるファイル交換ソフトの開発者の逮捕の件なども踏まえ、著作権等侵害に用いられる可能性がある物、これはプログラムも含めまして、そういったものを作成等をしても、幇助や教唆には当たらないことを明確にすべきという要望であります。
 (115)以降は、いわゆる音楽レコードの還流防止措置に関するもので、対象期間の上限を短縮すべき、あるいは時限的措置とすべきなどの要望でございます。
 なお、(118)については、現行法の制度設計としまして、国外で発行された時点で既に、あるいは同時に、同一の音楽レコードが国内で発行されているということが要件の一つになっておりますので、現行でも対応できているという整理になっております。
 引き続きまして、7番目の柱である「紛争処理」について、10ページ目を御覧ください。
 (120)から(123)までは、あっせん制度の有効活用に向けた改善方法に係る要望でございます。
 (124)からは損害賠償に係る要望ですが、(124)はいわゆる法定賠償、(125)は損害の数量の推定に係る規定の導入でございまして、いずれも昨年の司法制度救済小委で検討され、引き続き検討していく必要があるという方向性が示されております。
 最後に、罰則の強化については、前通常国会で既に一定の引上げ及び併科の導入が行われたところですが、更なる強化要望が来ております。
 続きまして、次のページ、大きな柱の8番目にまいります。
 (129)(130)は、裁定制度の活用促進のための要件の明確化と、条約の関係もあって現行付与されていない著作隣接権に係る裁定制度の導入を要望するものです。
 (131)から(134)については、登録制度についての要望であり、デジタルファイルの著作物に係るセキュリティー情報の登録制度、映画の製作者の登録制度など新たな登録制度を設けるべきとの要望が提出されております。
 (131)は、手続の電子化については、既に一定程度実現されているところですが、一層促進すべきだということだと思われます。
 (135)は、いわゆるライセンシーの保護についての要望です。これは、昨年の契約・流通小委で一定の方向性を得ているところですが、その際には、他の知的財産権における同様の検討を待った上で、整合性のある制度にすべきという方向性が出されているところです。
 (136)(137)は、著作権の譲渡における翻案権や二次的著作物に関する権利の留保を推定する規定に関するものですが、これは昨年の法制問題小委においては、単純化の観点からは廃止すべきであるという意見が多く示された一方で、一考を促すという意味もあることから、規定の廃止には慎重な検討が必要ではないかという意見もあったところです。
 その他、個人対企業におけるような立場の強さに応じた契約の在り方の検討、あるいは著作権契約を要式契約にすべきといったような要望も提出されております。
 最後になりますが、9番目の柱である「その他」では、著作権法の目的に、権利保護のみに偏ることのないよう、学術情報の流通を明記すること、分かりやすい著作権法を制定すること、現行法の中の用語を整理すること、そういった要望も提出されているところです。
 以上でございます。

中山主査 はい、ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして御意見がございましたら。はい、どうぞ。

山地委員 まず私として優先すべきだと思うものを推薦させていただきますが、(131)です。著作権登録手続の電子化、これは非常に重要だと思っております。
 実は私、ソフトウエア情報センターに所属しておりまして、コンピュータープログラムの登録を手がけております。利用者からは、もうこの電子化の時代なので、ぜひCD−Rなどの媒体を認めてほしいという要望がたくさん来ております。現在、私どもマイクロフィルムによって登録を受け付けているのですが、もうマイクロフィルムは業者も少なくなっておりますし、お金も非常にかかる。一方、CD−Rは10枚で1,000円以下で売っているんですね。もう1枚100円を切っている状況であります。
 したがって、私どももぜひそうしたいと思っておるのですが、最大の問題は、e−Japanの時代ですから、SOFTICのウェブサイトで、ホームページで受け付けてやりたいのですけれども、そのためには登録媒体、プログラムをおさめる媒体はどうしても電子化する必要があります。それを今お願いしているんですが、いろいろ何年もつかとか、100年ぐらいもってくれないと困るといったような意見がございまして、そこの保証の問題で実は行き詰まっておるのですが、ぜひそういうことも含めて議論をしていただきたいと思っております。
 それから、次はライセンシーの保護強化、(135)ですが、これは御紹介がありましたように、せっかく契約・流通委員会であれだけ議論をして、相当いい議論ができたと私は思っております。一方、知財協、IIPの方でも相当議論がされております。
 それで、実は私、特許については非常に難しい問題が多いと思っているのですが、著作権については特許よりもはるかに実現の可能性があると思っております。要望も非常にたくさん出ているわけですから、確かに一般論としては知財全般を眺めた整合性ということも必要かもしれませんが、特許が非常に難しい雲行きだと私は思っておりますので、この際著作権をぜひ先行して議論してはいかがかというふうに思っております。
 それから、次に1つ質問をさせていただきますが、(116)ですが、還流防止措置で、あれは政令で7年以下の期間を定めるというふうになっていたと記憶しておりますが、現在何か月ぐらい、あるいは何年ぐらいのところで協議されておるのでしょうか。

吉川著作権課長 最後の質問ですけれども、実は間もなくパブリックコメントに出そうとしているのですが、何か月とかではなく、年になります。
 ですから、この意味は7年と書いてあるところを6か月としろというわけですから、根本的に考え方が違うと思います。権利者に対して何を保障するかという考え方が根本的に違うと思います。

山地委員 わかりました。私の質問の趣旨は、公取は非常に短い期間を主張していると私は理解しておりまして、仮に公取の意見が通ったとすると、この意見はとりあえずはいいのかなと考えた次第です。

中山主査 はい、ありがとうございます。
 ほかに御意見ございませんでしょうか。はい、どうぞ。

山口著作権調査官 一点、8ページの「保護期間」のところで先程の説明に補足なのですが、映画の著作物の保護期間は既に延長されておりますので、(106)と違って、(108)はむしろ実質的に権利の切下げという方向での要望ということになろうかと思いますので、その趣旨につき、念のため申し添えます。

中山主査 はい。
 ほかに御意見ございませんでしょうか。

(発言する声なし)

中山主査 お時間ちょっとございますので、1からすべての点についてで結構でございますので、何か御意見ございますでしょうか。

(発言する声なし)

中山主査 それでは、もっと広げて、先ほど言いました関係者間協議の点でも結構でございますので、最後に何か御意見がございましたらお願いいたします。

飯村委員 先ほどの山地委員の質問に関連した質問なのですけれども、著作権登録の実態というのは今どういう状況なのでしょうか。

吉川著作権課長 コンピューターソフトウエアの部分については、山地委員のSOFTICの方にすべてお願いをしてやっていただいているわけですけれども、その他の登録については直接文化庁の著作権課が行っております。
 実態的には、登録によって極めて限られた効果しか得られませんので、いわゆるビジネス的にはほとんど使われていないというふうに考えていただいてよろしいと思います。ただ、問題があるとすれば、譲渡等の場合に対抗要件になっているということがあると思いますので、慣例として登録をしないで済ませていくと、思わぬ事態を招くという可能性は秘めているわけで、問題なしとしないと思います。やはり登録をするということが慣行化していないというところは、もともと余りビジネスに役に立たないと思われているということがあるのではないかと思います。
 また、ある著作物を自分がつくりましたという自体を登録をするという制度ではありません。実際的には個人の方などはそういう登録を求めておられるように思います。そういうものがないものですから、別の形で登録しておりますけれども、いわば制度がそうなっていないということも登録が進まないといいましょうか、余り慣行化しない原因の一つとなっているとも考えられます。
 以上でございます。

中山主査 はい、どうぞ。

山地委員 コンピュータープログラムについてはSOFTICでやっておるのですが、増えたり減ったりありますけれども、年間250件から450件ぐらいの間だと思います。
 SOFTICのホームページを見ていただきますと、1か月ごとのデータが全部出ております。ただ、年単位で眺めると、増えたり減ったりはありますが、全体的に見ると漸減傾向にあると考えます。

中山主査 よろしいでしょうか。
 はい、どうぞ。

松田委員 登録制度が昨年度議論した債権的な立場における登録制度ないしはそれに類似する制度などとの議論との関係もあるので、実は論じ出すと大変時間と労力がかかると思うんですが、今、山地委員が御指摘の媒体を簡素化するという、これなどはたしか政令か規則かを変えれば直ってしまうのではないですかね。そういう議論をさっとして、それで全体に及ぶ、これは物件保護との関係も出てくるので、その議論についてはそれとは切り離して議論をする、ないしはここでは議論できないかもしれないという、そういう選択をしてもらいたいと思います。

中山主査 はい、ありがとうございます。
 ほかに何かございましたら。はい、どうぞ。

茶園委員  質問なのですが、2点ございます。まず、先ほど改正要望を説明された中でも幾つか出てきましたが、昨年の法制小委員会等で検討された結果、引き続き検討を行っていくと決定されたというものが幾つかございました。引き続き検討するとの決定の意味もいろいろとあるとは思うのですけれども、引き続き検討すると決定されたものと今回新たに出てきているものとの違いは、考えなくてもよいのかという点です。
 もう1点は、昨年度に法改正された対象のもの、例えば還流防止措置や書籍の貸与権に関する要望が出ているのですけれども、これはどのような趣旨なのでしょうか。例えば、法律は作られたのだけれども、その適用によって現場が混乱しているということなのか、あるいは必ずしもそうではなく、法律そのものに意見があるということであるのか。これは個票を見れば分かることなのでしょうが、もしお分かりになればお教えください。

吉川著作権課長 まず、最初の御質問ですけれども、法制問題小委員会、司法救済制度小委員会や契約・流通小委員会、こういう小委員会で既に検討していただいて、今後引き続き詰めるべしという、そういう課題も確かにあります。それらは消えないと思うのですけれども、それらを含めて、今後も何を急ぐかということを選択することが重要だと思うのです。
 もう少し長いスパンで考えれば、当然引き続き検討とされた課題は消えないわけですけれども、今回の1月までにまとめる優先的検討課題のリストの中には必ずしも入らないという可能性もあると思います。
 それから、2点目の平成16年改正についての意見が出ている背景についてですけれども、これは私が言うのも変ですけれども、要するにもともと改正のときから反対論はあったわけでございまして、それが引き続いて残っていると考えていただいた方がよろしいかと思います。いわば考え方の違いで、特定の団体としては依然としてこういう意見を持っているという表明の機会として今回の意見照会をお使いになったということだと思います。文化庁として、例えば18年改正には思い直してこうしますというような提案をするということは、現実的には難しいと思いますけれども、自分達の団体としては依然としてこういう考えだというふうに、前から言っておられたことを繰り返しておられる、こういうことだと思います。

中山主査 よろしいでしょうか。はい。
 ほかに御意見、あるいは御質問ございましたら。

松田委員 意見。

中山主査 はい、どうぞ。

松田委員 全体を眺めてみますと、こういうふうに皆さんから意見が集めれば当然だと思うのですが、著作権法の全体的な根幹にかかわる問題が提起されていて、ある意味では当を得ているのもあるわけですけれども、その中で考えますと、損害賠償をどういうふうに組み立てるか、それから人格権の扱いをどうするか、それから簡素化をどうするか、それから契約との関係をどう整合性をつけるか、この問題につきましては短期には結論は出ない、だけれどもどうするかというのは、どれを優先するかというかな、難しいけれども2年間ぐらいとっかかってやってみようかという選択をするかどうかの決断をしていただきたいと思います。
 それから、たくさん見ますと、これは今の解釈でも大丈夫だよなと思うものもありますので、それは省けばいいのだろうと思うんですが、もう一つ、確かに言われてみるとこういう制限規定があっても仕方がないなと思うのですが、これも入れるとあれも入れなければいけない、これも入れなければいけない、全部入れなければいけないというような、立法技術上ちょっと不可能か難しいかというようなものもありますので、それはどう一括りにするかということをぜひ御議論していただきたいと思います。
 それからもう一つ、新たな意見ですが、10ページにありますあっせん等なんですが、議論が必要かどうかは検討していただきたいと思います。
 今度はADR法を制定するということで、これかなり具体的な動きになっていると思います。認証機関、認証ADRという機関ができますと、これは法務大臣が認証する手続になっているらしいですが、執行力はありませんが、時効中断効等があることになります。
 そして、これは知財に限りませんが、いろんなあっせん機関ができるかもしれません。一方、著作権法ではあっせんという手続が法定されているわけであります。認証ADR法ができますと、多分著作権法に書いてあるものは、そのまま残れば何ら問題はないだろうと思います。従前どおりだろうと思います。しかしながら、著作権の紛争解決をもっと制度的に広げていって、有効な制度にするかどうかということは、1回ぐらい少し議論していていいのではないかなという感触を持っております。

中山主査 はい、ありがとうございます。
 ほかに御意見ございましたら。よろしゅうございましょうか。
 ほかに御意見がないようでしたら、本日の討議はこのくらいにしたいと思います。
 なお、前回事務局から、本日の著作権法の改正要望について、更に一般からも意見の募集を行う予定であるということと、それから各委員からも簡単な書面で御意見を伺いたい旨の言及があったところでございますけれども、今後の道行きにつきまして事務局の方から説明をしていただければと思います。

吉川著作権課長 はい、わかりました。
 まず1点目でございますけれども、一般の方とか、あるいは関係の各府省からの意見も頂戴したいと考えております。一般の方々からはインターネット等を通じて行うということにしたいと思います。
 今回、団体からかなりたくさんの要望が出ていますので、その要望について何かいろいろコメントがあるという方もおられると思いますので、そういう機会を持ちたいと思います。
 また、関係府省にこれはぜひお願いしたいというようなものが、団体要望の中でも後押ししたいというものがあると思いますので、そういった意見も募集をして、そして次回の本小委員会に御報告をできるようなタイミングでまとめていきたいと思っております。
 また、2点目でございますけれども、次回の小委員会におきましては、各委員の先生方から御提案をいただきたいと考えております。そのためには、後日正式には依頼を申し上げたいと思いますけれども、次回の日程を見ますと11月2日でございましたので、10月20日ぐらいをめどにメモをお出しいただくようにお願いをしたいと考えております。この場合には、先ほども少し申し上げましたけれども、著作権法の御専門の先生方におかれましては、できるだけ体系的にといいましょうか、全体を目配りしていただいてこれこれを取り上げたらどうかという提案をいただきたいと思いますし、また別の専門をお持ちの先生方には、そのお立場である部分に焦点を当てた意見を述べていただきたいと思います。
 その場合には、やはり2つのWと1つのHといいましょうか、何を、なぜ、どのようにというようなことをお聞かせいただくと、非常にまとめがしやすくなると思いますので、その何を、なぜ、どのようにというようなことを項目ごとにお示しいただければ幸いだと思っています。そういった様式などについては、また照会のときにお示ししたいと思っております。
 よろしくお願いを申し上げます。

中山主査 はい、ありがとうございました。
 なお、繰り返しになりますけれども、本委員会に当面与えられました課題というのは、著作権法に関する検討課題を抽出・選択し、何を優先するのかということを各委員の御見識で決めていただくという点にございます。
 つきましては、ただいま御説明がありました著作権法の改正要望につきまして、さらに一般の方々から御意見を募集する件におきましても、権利者側にせよ、あるいは利用者側にせよ、単純な数の争いになってしまっては、これは余り生産的ではございませんので、事務局におかれましては意見募集の間口は非常に広く開放しつつも、提出者の、例えば数に左右されるということがないようにしつつ、御留意を願えればと思います。例えば、提出意見者の数の公表はあえて行わない等々の工夫をしていただければという具合に私は考えております。
 また、次回の小委員会に先立ちまして、事務局から各委員に御意見を、ただいま課長からのお話のとおり御意見の照会をしていただくという予定でございますので、各委員におかれましては御協力をよろしくお願いいたします。
 最後に、事務局の方から連絡がございましたら、お願いいたします。

山口調査官 本日はありがとうございました。
 今後の本小委員会の日程についてですが、参考資料の2を御覧いただきますと、第3回、第4回の予定として11月2日、11月26日という頭出しをさせていただいております。時間の方は、現在事務的な予定としましては、第3回の11月2日は14時から、第4回の11月26日は10時半から、場所はいずれも本日と同じこの場所、経済産業省別館10階のこの会議室でということを予定しております。
 なお、各委員から書面ベースで御意見を頂戴したいと申しております件については、改めて御連絡を差し上げたいと思いますので、御多用中大変恐縮でございますが、よろしく御協力いただければ幸いです。
 なお、本日の議論の中でも少し出てまいりましたが、いわゆる音楽レコードの還流防止措置の適用期間を定める政令について、パブリックコメントを予定しておりまして、早ければ本日中にも文化庁のホームページに掲載されることになると思いますので、この場をお借りして御参考までにお知らせ申し上げます。

中山主査 はい、どうもありがとうございました。
 それでは、本日はこれをもちまして文化審議会著作権分科会の第2回法制問題小委員会を終了させていただきたいと思います。



(文化庁長官官房著作権課)

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