学校における医療的ケアの実施に関する検討会議(第7回)議事録

学校における医療的ケアの実施に関する検討会議(第7回)


平成30年11月19日


【下山座長】  皆さん、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。定刻となりましたので、ただいまから、第7回学校における医療的ケアの実施に関する検討会議を開催いたします。
 本日は、安藤委員、田村委員が、御都合により欠席です。
 また、前回新たに委員としてご就任いただいた公益社団法人日本看護協会常任理事の井本寛子委員が、本日初めての御出席となります。
 それでは、井本委員、一言お願いいたします。
【井本委員】  初めまして。日本看護協会の常任理事、井本でございます。前回は、構成委員となりながら欠席になりまして、大変御迷惑をおかけしております。本日から参加ということで、学校における看護師に関わる協議、いろいろ検討させていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【下山座長】  よろしくお願いいたします。
 また、本日は、事例発表として、大阪府教育委員会から、上田様、木下様にお越しいただいております。よろしくお願いします。
【大阪府教育庁】  よろしくお願いいたします。
【下山座長】  それでは、事務局から、本日の配付資料について、確認をお願いします。
【樫原企画官】  本日の配付資料を確認させていただきます。まず配付資料、資料1、委員名簿。資料2が前回の主な意見です。続きまして資料3が、今回の議事(1)に関連しまして、勝田委員からの提供資料。それから、資料4が大阪府教育委員会の発表資料。こちらは議事(2)の関係でございます。同じく議事(2)に関連して、資料5が植田委員からの提供資料。それから資料6。こちらが(3)に関連しまして三浦委員からの提供資料。資料7、今後のスケジュールについてでございます。そのほか参考資料が3点ございます。不足等ございましたら、事務局までお伝えいただければと思います。
【下山座長】  不足等のある方はいらっしゃらないでしょうか。よろしいですか。
 それでは、本日の議事に移ります。本日の議題は、「看護師が学校において医療的ケアに対応するための研修機会の充実について」。2点目が、「校外学習・宿泊学習など学校施設以外の場で医療的ケアを実施する際の基本的な考え方の整理について」。3点目は、「学校において実施できる医療的ケアの範囲について」です。
 本日のスケジュールですが、看護師の研修についてをテーマに、勝田委員から15分程度御発表いただき、質疑応答と意見交換を20分程度行います。その後、校外学習等、医療的ケアをテーマに、大阪府教育委員会から、15分程度御発表を頂き、質疑応答と意見交換を20分程度行います。最後に、学校において実施できる医療的ケアの範囲についてをテーマに、三浦委員から15分程度御発表いただき、質疑応答と意見交換を20分程度行います。よろしいでしょうか。
 それでは、看護師の研修について、早速ですが、勝田委員から御発表をお願いいたします。
【勝田委員】  お願いいたします。今日は、お時間頂きまして、ありがとうございます。
 前回の会議でも、重度心身障害児の病態とか技術など、研修の項目が幾つか挙がっておりましたけれども、医療機関から看護職として学校に来て感じる葛藤や悩みに焦点を当てて、お伝えしたいと思います。
 今の時代、地域包括ケアの時代で、その一つの学校という場で看護が役割を果たしているという位置付けも看護師としては知っておく必要があります。学校で求められる看護師についてですが、この赤字で書いております「医療的ケアの実施を通して」というところが非常に大切で、安全・安心に児童生徒がよりよい教育を受けられるようにということなんですけれども、中間まとめで出ておりました看護師の役割については、看護師にとっても理解できるものだと思います。
 看護師への研修は、学校に就職してすぐの時期と経験を経ての時期では、ニーズが異なると思います。ここにあります新人看護師への研修は、「特別支援教育とは」とか「学校とは」や、病態や技術のほか、2番目にあります「学校における看護師の機能と役割」としてございますけれども、もちろん中間まとめの内容を伝えるというのもありますけれども、どうしても看護師として一体学校で何をするのが役割なのか、病院とどう違うのかといったことが疑問としてたくさん湧いてまいります。
 この一番下に下線を引いております日本小児看護学会で出しておりますガイドラインは、一つの参考として、最初の看護師の葛藤を少し軽減するというふうに思います。結構読んだ看護師から、目からうろこが落ちた思いだとも言っております。
 研修の方法は、講義や実技演習などあると思いますけれども、看護師が少ない学校とかベテラン看護師がいないところでは、ベテラン看護師がいるモデル校へ研修に行くというのもよいのではないかと思います。
 それから4番目。経験者は、一通りの知識や研修も受けたけれども、赤字で書いております教員との協働の際に生じる葛藤に自分自身で整理がつけられない。そして、そのことが先生方をも悩ませてしまうというようなことがあって、人がかわるたびに繰り返されて、なかなか改善しないというのがあります。
 例としましては、看護師が必要と判断して吸引しようとしたら、教員からは、しなくていいと言われたり、呼んだときだけ来てと言われて、看護師としては、それなら専門家の自分がいる意味がないと感じたりするというのがあったりします。
 そのような協働の場で起こる葛藤解決のためにどのようにしたらよいのかということなんですけれども、赤字で書きました、ケア提供の場に特定されない基本的な看護の機能とは何なのかというのを看護師が知ることで少し解決につながるかと思います。学校でも病院でも変わりはないなとか、しかし学校ではこんな特徴があるなと認識できるとよいのではないかと思います。それについて、今から続いてお話をさせていただきます。
 一つ目は、人を全体(身体的、精神的、社会的存在)として捉えることというのは、看護師は基礎教育で嫌というほど教育を受け、しみついていることなんですけれども、学校では、先生方の役割になっていて、自分たちも医療的ケアだけではなくて、できることがいっぱいあるのにといったような思いを持つことがあります。しかし、子供の立場から見てみれば、全人的にきちんとサポートされているという理解が看護師もできると違ってくるかなと思います。
 また、医療的ケアの指示書が出ていない対象者の子供でも、非常に気になったりすることがあります。食事のときにゼロゼロいっていたりとかですね。医療的ケアの指示書の出ていない対象者ではないからと切られてしまうこともあって、私たちは黙っていなければいけないのかと、看護師がよく言ったりしますけれども、それは先生方の専門性を理解して配慮した上での伝え方の問題かと思います。
 それから2番目に、実践を一連のプロセスで捉えることということで、看護師の実践は全て、観察、アセスメントが重要で、その上で実践という思考の流れが常にありますけれども、吸引といった目に見える実施ばかりがどうしても求められて、「吸引だけして回って」と言われるなどがあるんですけれども、そう言われると葛藤してしまう部分がありますが、教員と協働して観察、アセスメントしていると気づければ、葛藤は減少するのではないかと思っています。
 この図にありますように、看護師、保護者と教員の判断を含めて看護者として統合的にアセスメントをします。そして、大切なことは、この☆印のところにありますが、看護師が自分がアセスメントを口に出して教員に伝えることで、それにより教員のアセスメント能力、観察能力も高まります。
 三つ目。対象者と看護者との信頼関係を構築するということですけれども、看護師は、病院の中では一番患者さんに近い存在だと自分では思っているわけですけれども、授業中にずっとそばにいないほうがいいと言われて戸惑うこともあります。しかし、医療的ケアの実施の際に、子供から信頼されるケアの方法で関わっていれば、もちろんそれはしっかり構築されることだと思います。
 四つ目。健康の保持増進と自立性を目指すことということですけれども、これは看護の目標でもあるんですけれども、どうしても医療モデルで考えてしまい、体調や安全が全てに優先されると看護師は捉えがちです。時に自立よりもサポートしてしまうという姿勢になってしまったりするのですが、この赤字にありますように、自立性を大切に考える教育の方向性を最大限保障するという目標が看護師も共に共有できるとよいかと思います。
 事例としましては、本当によくあるんですけれども、すごく痰がゼロゼロ言っている子供を立位台に立たせようとするという場面があって、そのときに看護師は、痰をきれいに取って、すっきりしてから立たせてあげたらいいじゃないかと考えるわけですけれども、先生方の話を聞いていると、痰はたまっているんだけれども、このままで立位台に立つと、自力排痰もできる子供なので、立つことによって自分で痰を出すことができるので、自分で排痰をすることが、その子供の目標であるとお話をされています。この図をちょっと書いてみたんですけれども、看護師は、一番下の入院するレベルのところでいつも患者さんなどと接触していましたので、全てに安全が最優先されるというような入院の環境、子供たちの状況というところにいます。けれども、重身の子供たちというのは、どうしても健康レベルとしては、上がるといっても元気な子供とはまた全然違う意味で、看護者にとっては、非常にこの判断を迷ってしまう状況があります。この図にあるように、下のほうで結構よかったり、少し悪くなって入院したりというようなことがある子供たちなので、そういう判断を迷うということがあるかと思います。
 そして、これは教員と看護師の協働における葛藤の調整の方法について図にしたもので、縦軸は、よりよい教育の方向性、横軸は健康状態の軸ですけれども、教員も看護師も、この黄色い☆印のほうを目指すことが大切で、それについての方法は、やはり両者の話し合いによってしか見つからないと思っております。そこに教員と看護師との協働が成立するということです。
 そして、個別性を尊重することを挙げてますが、これは病院でもどこでも、重身の子供たちは非常に個別性が高いですので、どちらも同じかと思います。
 六つ目に、実践に科学的根拠を持つこととしていますけれども、看護師はきちんとしたエビデンスをもってケアすることが大切ということは同じなのですけれども、それを専門用語などを多用せずに教員に伝えられることが非常に大切になります。また、教員がしようとしている活動が非常に危険に感じたり、本当に大丈夫なのかというところが非常に気がかりで心配なところなんですけれども、一つ、行動の後に子供が悪化しなかったり、入院するということがなかったら、それは大丈夫なサインとも言えるのかなとよく話したりはしております。
 7番目に、多職種と協働していくことということですけれども、本来それぞれの専門領域がありますけれども、この点線が入っている重複領域の役割というのもたくさん重なっていて、3号研修ももちろんですけれども、学校において排痰を介助するとかといったことなども結構重なってくることだと思います。
 そのほかに、上から三つ目のように、日常で融通性を持たせて柔軟に対応する領域というのがあると思います。例えば、手が足りないから車椅子に移乗するときに、少し看護師も手伝うと。時々、これは看護師の仕事なんでしょうかとか、逆に先生方から手伝ってもらっていいのかどうかがわからないとか、そういった話も聞くんですけれども、これは本当に双方の専門性が何かというのをわかった上で、そのとき子供にとって必要なことということで、両者が柔軟に対応できるといいかなと思います。
 そして、四つ目の★のように、もちろん守るべき法律というのはありますし、五つ目の★のように、緊急時の領域というのは、また別の枠組みで考える必要があって、それぞれの区別がなかなか混乱して整理がつけられにくくて非常に困っているというのもよく看護師や先生方のお話の中から伺うことがあります。
 そして、今まで教員と看護師との協働の話、葛藤の話をしてきましたけれども、ベテラン看護師が望むこととしては、重身の子供たちというのは非常に個別性が高くて判断が難しく、看護師にとっても、何年たっても、そのあたりは非常に難しくて迷いがあるというのがあります。
 そのときに、どんなふうにしていったらいいかということなんですけれども、研修として、校内・校外あると思いますけれども、校内などでは、教員と看護師との事例検討会というのは非常によいと思います。案外あまり話し合うことはないと聞くのですけれども、それぞれがどんなことを考えているのかというのは、やはり話してみなければわからないところがありますので、こういった事例検討なども十分大切な研修になると思っています。そのほか、看護師同士の技術の確認などもあるかと思います。
 学校外のほうでの研修は、1番目にあります他校の看護師同士で情報交換、つながったりするということで、結構年1回とかはこれをされているところもあるように思います。そのほか、例えば丸4 のように、他機関の看護師との看看連携というところで、その子供がかかわっている訪問看護ステーションの看護師さんや放課後等デイの看護師、学校の看護師で、一人の子供の状態などをきちんと情報交換できるような形をとっておくと、それぞれの放課後等デイの看護師さんたちもすごく困っているというのもよく聞きますので、共に学んでいくということができるかと思います。
 そのほか、5番目の多職種の事例検討などは、例えばAちゃんという子供を担当しているリハビリの先生や訪問看護師などなど、多職種で事例検討というのも非常にお互いの目指す目標などを確認もできてよいかなと思います。
 あと、6番目の自己研鑽支援などは、これまで飯野順子先生のスキルアップ講習だとか、それから日本小児神経学会の医療的ケア研修などが幾つかあると思いますが、行きたいのだけれども、なかなか費用面で参加できていないというのもよく聞きます。
 日本小児看護学会においてはどんなことをしているのかというのを御紹介いたしますけれども、テーマセッションなどでは、「特別支援学校における医療的ケア」のことなどは結構何年かに1回かぐらいはございます。そして、一番下にあります学会の、地域で暮らす医療的ケア児を支援する看護師を増やそうという講習が来年1月と2月にありますけれども、これも地域包括ケアの一環というところで、学校看護の講義があります。一応チラシもきょう付けていただいているようですので、ご覧いただけたらと思います。
 そして、清水史恵さんという方の離職予防の対策として書いてあったんですけれども、やはり入職時に早期に看護師について、学校における看護とは何かについて学べる研修があったり、相談できる体制があることが非常に離職予防にもなると書かれています。
 こういったことを全国の看護師に伝えていきたいんですけれども、学会員でなかったり、学術集会が遠方だったり、参加費が高かったり、なかなか非常勤の私たちには無理だわというところで、そこのところは、そういう浸透させていく手立てやシステムが非常に苦慮するところです。
 以上です。ありがとうございます。
【下山座長】  勝田委員、ありがとうございました。看護師の葛藤や悩みというような視点から、長いこと御研究対象としても取り上げてきた勝田委員から、今後の研修の在り方ということについてご提案をいただきました。
 それでは、ただいまの勝田委員の発表について、御質問等ございますでしょうか。御質問いただく際には、挙手いただけますでしょうか。高田委員、どうぞ。
【高田委員】  高田です。どうもありがとうございます。
 学校でのアセスメントということと、情報の共有・話し合いの場というお話だったと思います。普通、病棟等でしたら、診療録みたいな形で記録をつけていきます。学校で看護師さんが見ておられる時も決まった形式のものがあるでしょうか。
 もう一つは、集まって話をすると言いましても、時間的に集まるのが難しい場合、書面上で、例えば普通、病院でしたら、他科依頼みたいな形で、どうでしょうかというようなことを聞くわけですけれども、他職種依頼みたいな形のものは考えられてやっておられるのでしょうか。
【下山座長】  いかがでしょうか。
【勝田委員】  診療録ということですけれども、看護師は看護師として、通常は学校の中には記録を持っておりますけれども、もちろん学校で共通している指示書とか、いろいろまとめた冊子をどこでも通常はあると思いますけれども、勤務が交代交代ですので、毎日勤務されてない非常勤の方もたくさんおられますので、記録共有はできるようにしてあると思います。ただ、先生方もそれを見ることはできると思いますけれども、なかなか共有というところまでは難しいかな、まだまだあるかなと思います。そして、集まって話をするというのは、いつも時間がないんですって、非常にパートの看護師さんたちは、時間がきっちり決まっているので、なかなかそこを生み出すのが難しいと言われてますけれども、結構、本当にこの時間をちょっとこっちに持ってきて、この時間をちょっと持ってきて、何とか1時間確保するというようなやり方で、学校の中では話ができる時間を作ることは可能だと言って、そういうふうにやっていらっしゃる学校もあります。
 それから、他のところにつきましては、結構その必要性があって、放課後等デイの看護師さんにも情報を得てみようとか、そういうのは私も聞いたことがありますけれども、おそらくある程度日常的に連携するような形をとっておくことで、いざというときに、昨日の状態はこんなんだけど、今日こうなんだけど、どうかしらというようなことの情報共有ができて、非常に安心につながる。お互いが安心につながるのかなと思ったりはします。もちろん保護者の了解を得てということにはなりますけれども。お返事になっていますでしょうか。
【下山座長】  高田委員、よろしいですか。
【高田委員】  はい、結構です。
【下山座長】  ほかに御質問ございますか。はい、お願いします。
【村井委員】  勝田委員のお話を伺い、本当に担当の看護師さんたちの葛藤というものがとてもよく伝わりました。養護教諭は、学校全体の子供たちの健康観察と、保健管理に関わっているのですが、医療的ケア以外に気になる子供が教室にいた場合に、教室内のことですので、まずは担任の先生等にお話をされるのかと思います。ただ、よく看護師さんの相談相手になっているんですよというような養護教諭の話も聞くので気になる子供がいたときに、養護教諭へこの話を伝えようといった情報の共有等のやりとりなどはどうされているのかを、伺いたいなと思います。
【勝田委員】  ありがとうございます。調査とかしますと、本当に養護教諭の先生が一番の頼りだと言っている看護師たちは多くおりました。今お話しくださったような場合でも、一体どういうふうに先生たちに、気になる子、医療的ケアの指示書はないけど、気になる子をどうしたらいいかというのは、直接ではなく、養護教諭の先生を通じてということも多くあると思います。その辺、本当に伝え方をどうしていくかという問題だと思うんですけれども、見て見ぬふりして我慢しなければいけないのかって、すごく思うのではなくて、養護教諭の先生とかを介しながら、先生方との間をつないでいただけたら本当にいいだろうなと思っております。
【下山座長】  村井委員、よろしいですか。
【村井委員】  はい、ありがとうございます。
【下山座長】  ほかに、御質問いかがでしょうか。
 それでは、御意見も含めて、看護師の研修機会の充実については前回も議論しているんですが、勝田委員の情報提供を含めて、更に掘り下げてみたいと思います。御意見のある方、挙手をお願いいたします。井本委員、どうぞ。
【井本委員】  すみません。初めての参加になりますので、今までの議論に重複することもあるかと思いますが、御容赦ください。
 勝田委員の御発表を聞いて、本当に現場の状況としては、看護師同士の共有も必要だけれども、教師とのコミュニケーションの機会、そして教育委員会等のスーパーバイズを受ける機会みたいな、そういったことが非常に安心な実施体制に影響しているんだなというふうに感じたところです。中間まとめにも、5ページのところに教育委員会の実施体制として取りまとめられているところではありますが、私も臨床で小児関係に携わっていたところから考えますと、医療的ケア児のお子さんは、非常に個別性も高いですし、やはり特定行為ということだけでなくて、その子の成長のアセスメントですとか、状況のアセスメントというのはとても大切だと思っております。また、それ以外にも、保護者の方とのコミュニケーションですね。そういった重要な役割を担うので、ここで議論されているように、看護師の実施の質の担保をするためには、やはりこの研修の整備というものを、中間まとめに書かれているように、しっかり教育委員会等でやっていただけるようなことをお願いしたいと思っております。
 以上でございます。
【下山座長】  ありがとうございました。更なる研修の機会の整備ということでございますね。
 ほかに御意見はいかがでしょうか。津川委員、どうぞ。
【津川委員】  すみません。質問になってしまうかもしれませんが、以前も別の会議で先生のお話を伺っていて、特別にこのスライドの8枚目、9枚目の看護師の専門性が観察、アセスメント、実施というような評価の流れにあるという点については、その通りであると思っており、そういった捉え方が重要だと思っています。また、9枚目にあるように、口に出してコミュニケーションをとるということについても、本当に重要だと思っており、北海道に戻ってから、先生方や看護師の皆さんに伝えたいと思っているところです。
 その中で、逆に教員が看護師と連携をしていくために、看護師側から見て、教員に対してどのような研修をするべきかについて、何か看護師側からの意見があればお聞かせいただきたいのですが、お願いします。
【下山座長】  勝田委員、お考えありますか。
【勝田委員】  今日のような話を、よく私は教育委員会から依頼されて、看護師の研修について色々なところでお話しするんですけれども、よく言われるのは、こういう話を教員にも聞かせないといけないとおっしゃるんですね。先生方も看護師がどういう思考で何に困っているというのは知らないといけないことだとおっしゃることがありますので、確かにそれもそうなのかなと、自分たちが何に困っているのかというのは、あまりうまく口に出して言えないという部分もありますので、確かにそうなのかなと思ったりはします。
 ほかに何かありますでしょうか。
【下山座長】  看護師の専門性だとか、悩みだとか、そういったことは教員も知る必要があるのではないかということですね。
 ほかにいかがでしょう。御質問、御意見を含めて頂ければと思います。
 前回も、この話題は結構時間をかけて議論しました。国が研修の機会を整備する必要なども提案されておりましたし、そういった意味では、きょうまた、研修の内容ということについて勝田委員から、看護師の立場からということで詳しいお話がありました。そういう意味では、前回も議論しておりますので、ほかになければ次に行きたいと思いますが、いかがでしょうか。きょうは、何と言っても三つ議題として用意してありますので。よろしいですか。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。まず、大阪府教育庁から御発表をお願いします。校外での学習ということについてですね。では、上田様、お願いいたします。
【大阪府教育庁】  よろしくお願いいたします。
 大阪府教育庁からは、大阪府における学校施設以外の場での医療的ケアの実施体制について、府立支援学校の校外学習・宿泊学習などを中心に御説明させていただきます。
 まず、府の状況から御説明をさせていただきます。府立の支援学校における医療的ケアの状況についてですけれども、ご覧のグラフは、文部科学省でまとめられた平成29年度の公立特別支援学校における医療的ケアが必要な子供と、あと配置されている看護師の全国の状況をもとに、医療的ケア対象者数が多い自治体順に並べたものでございます。
 大阪府の対象児童生徒数は、497人おりまして、東京都の711人に次いで全国2番目。また配置されている看護師数も90人であり、こちらのほうは、東京都、兵庫県に次いで3番目となっております。
 次のグラフでございますが、更に状況を見ていきますと、近年、医療的ケアを必要とする子供の数、微増ながらお一人の子供が必要とする医療的ケアの実施行為数というようなものは右肩上がりに増加している状況です。平成28年度に医療的ケア児数、及び実施行為数が急増しておりますけれども、これは大阪市立の特別支援学校12校を府に移管したことによるものです。また、人工呼吸器の使用等、高度で複雑な医療的ケアを要するケースが増加しているというようなことも特徴としてございます。
 昨年度、大阪府では、医療的ケアを必要とする子供が在籍する27校全て、今年度につきましては、24校全てに看護師を配置しております。全ての障害種別校において看護師を配置している状況でございます。
 続きまして、医療的ケアを必要とする子どもが学校において安心・安全に学習できる環境整備ということで、現在4事業を展開しております。左上の1番のほうですけれども、医療的ケア実施体制整備事業は、痰の吸引等の医療的ケアに支援学校教員が対応するための法的研修でございます。
 2番目。その左下になりますけれども、安全対策事業として、宿泊学習等への看護師の付き添いに係る経費を府が措置している事業となります。
 3番の中央ですけれども、医療的ケア実施体制構築事業。こちらは、保護者付き添いなしに人工呼吸器をはじめとする高度な医療的ケアに対応できる体制を構築していくための事業です。これは、医師による定期的な学校巡回訪問でしたり、宿泊行事への同行を実施するという内容になります。
 右側になりますけれども、高度医療サポート看護師配置事業。こちらは国庫補助を活用させていただきまして、高度医療サポート看護師を配置する事業で、主として人工呼吸器の管理を必要とする児童生徒が在籍する4校に一人ずつ看護師を配置しております。このうちの2番と3番が本会議のテーマに関わるところかと思います。
 2番のほうの安全対策事業に関してですが、大阪府では、医師の指示によって看護師の付き添いがあれば参加が可能となる児童生徒等の宿泊行事等の実施に当たりまして、看護師の付き添いに要する経費措置を平成8年度から行っております。対象となる行事は書かれているとおり、修学旅行、宿泊学習、その他、部活動の遠征等というふうなことになります。
 業務内容は、4のところですけれども、書かれているとおりです。
 平成30年度の活用状況も各校さまざまに81行事、外部看護師114人ということで、1校で複数の行事での活用などもございます。
 この事業の趣旨は、看護師付き添いに対する経費措置というようなものですけれども、これまでにこの事業を活用して医師が付き添ったケースもございます。
 次の資料ですけれども、また大阪府では、安全対策事業に加えまして、昨年度から、国事業である「学校における医療的ケア実施体制構築事業」を受けさせていただきまして、人工呼吸器の管理等の高度な医療的ケアが必要な児童生徒等の泊を伴う行事についても、保護者の付き添いなしで参加する体制についての研究を進めているところでございます。泊行事に医師が同行することによって、高度な医療的ケア、とりわけ夜間の健康管理ですとか医療機器のメンテナンス等、日常の学校生活では経験することのないケアなどにつきまして、看護師が医師から指導助言を受けて、スキルアップや不安解消を行っております。こちらは、医師に医行為を求めるものではなく、看護師への指導助言が主たる目的となっております。ケースによりましては、保護者に同行いただいているケースもございます。
 同行医師につきましては、スライドに書かれているとおりでございます。
 こういった事業の趣旨等、非常に深く御理解いただいておりまして、熱心なドクターが多く、心強い存在でございます。事前に見学、打ち合わせや事後の振り返りのために来校いただくこともございます。ふだんの学校との関わりの中で、学校長が医師に直接依頼をしたり、逆に医師から病院以外の場での子供の様子を知っておきたいなどの要望があって、実現に至っております。いずれにいたしましても、ふだんからの学校と病院、ドクターとの連携やコミュニケーションがこの事業においては非常に大切であると感じているところでございます。
 昨年度の活用状況は、スライドにあるとおりですけれども、平成30年度につきましては、各校それぞれ一、二回程度の医師の同行による泊行事の実施を予定しております。
 次のスライドですけれども、こちらの表は、今年度6月に1校の重点校で、高等部の修学旅行を実施した際の医療的ケアを必要とする生徒のケアの状況を記したものでございます。参加生徒が14人おりますけれども、そのうちの10人に医療的ケアが必要で、いずれの生徒も複数のケアを必要としております。常時、人工呼吸器を必要とする生徒のほか、酸素吸入や腹膜透析など、夜間に高度な医療的ケアが必要な生徒さんが複数名在籍していることがわかるかと思います。
 続いて、非常に細かい字で申しわけありませんが、当日の行程、1日目です。2泊3日、東京方面、新幹線を利用しての旅行となります。人数が多く、車椅子での乗車の都合上、一度に同じ入り口から乗車できないために、複数の車両に分かれて乗車するためには、看護師も複数で対応する必要があります。日中は様々なケアがあって、看護師しか実施できない行為もございます。
 看護師の勤務形態についてですけれども、右上にございますけれども、非常勤というのは、上限週29時間の任用で、特別非常勤講師――看護師のことでございます。2番の常勤というのは、週に38時間45分の任用として、臨時技師を指しております。丸3 の外部ですけれども、泊行事にのみ、その都度契約するという形でお越しいただいております。
 次のスライドですが、夜間にケアが必要な場合は、この場合は人工呼吸器の管理となりますけれども、夜間に備えて、日中に看護師が休憩や睡眠をとる時間を設けるなど、シフトを組んで対応しております。このようなシフトを組むためには、手厚い看護師配置が必要となりますけれども、宿泊行事にのみ付き添っていただく看護師を探すのは非常に困難なため、看護師の確保が課題となっております。
 また、夜間に定時のケアがない場合でも、緊急対応を行うことがございます。当然のことですけれども、事前に保護者や主治医からの引き継ぎを十分に行って行事に臨み、日中の様子を把握している臨時技師、常勤の看護師を中心に対応しております。それでも、やはり夜間は容態が急変することがありますので、ふだんの様子を知らない時間帯であるため、救急搬送等の判断に迷う場合もございます。そのような不安な状況の中では、医師から容態の見方、また対応方法の指導助言を受けることは、緊急時の適切な判断や対応へつながってきます。
 なお、臨時技師、常勤の看護師のことですが、あらかじめ割り振られた勤務以外に緊急時対応等、急な業務が必要となった場合には、学校長が勤務時間外の勤務を命ずることになります。
 また、泊を伴う行事に付き添った常勤の看護師、臨時技師になりますが――は、教員と同じく週休日の振りかえを行っております。
 こちらのスライドは、学校医の同行や主治医の同行となりますが、平成29年度は、重点校1校において、主治医同行で泊を伴う行事を実施し、人工呼吸器等の管理等、高度な医療的ケア、緊急時の対応等について助言を得ることができました。
 今年度は、学校医が同行した学校がございます。長年校医として学校に携わっている医師として、人工呼吸器以外の高度な医療的ケアを必要とする生徒にも、食事量であったり運動量など、指示書を踏まえて、更に実施の活動の場面に応じて、的確な助言をいただいております。
 次のスライドでございますが、医師が同行した泊行事の結果、及び考察と成果というところでございます。まず結果のほうですけれども、全行程、または夜間を主として医師が同行することによって、遭遇する困難な状況を、夜間のみ必要な医療的ケアに対応する学校看護師への助言を得ることができました。各校において、再度医師による研修を振り返りまして、研修を実施することによって、校内でその取り組みを共有することができました。
 それから2番の考察のほうですけれども、高度なケアを必要とする子供が、保護者の付き添いなしで泊行事に安全・安心に参加するためには、看護師の手厚い配置及び医師との連携・協力が必要であり、医療機関との連携・協力体制の構築が不可欠であるというふうに考えております。
 成果といたしましては、昨年度については、二人について、医師が同行することにより、保護者付き添いなしで2泊3日の修学旅行に参加することができました。
 適切な体調の把握、また呼吸器管理等によって泊行事に参加できた子供にとっては、活動の幅が広がるなど、非常に大きな教育的効果が得られたと考えております。
 最後のスライドになりますけれども、今後の課題でございます。医師の常駐しない学校におきまして、人工呼吸器等を使用する子供を受け入れ、とりわけ保護者付き添いなしで、こういった校外学習・宿泊学習など学校施設以外の場で医療的ケアを実施するには、やはり専門性のある学校看護師の手厚い配置が必要であって、そのためには、医師の支援、また指導助言を欠かすことができないとなります。
 現在は、国事業におきまして、医師の泊行事同行についての研究を進めているところでございますが、国事業終了後はどのような形で事業を継続していくのか検討を進める必要がございます。一人当たりの実施行為数や看護師しかできない高度な医療的ケアが増えていることなどを鑑みると、泊行事における学校看護師のスキルアップは不可欠であり、当面は医師が泊行事に同行しまして、学校看護師のスキルアップを図ることが必要であるというふうに考えております。
 以上、大阪府立支援学校における学校施設以外の場での医療的ケアの実施体制につきまして、御報告させていただきます。
 以上です。
【下山座長】  上田様、ありがとうございました。ただいまの大阪府教育委員会の発表について、御質問等はございますでしょうか。
 三浦委員、小林委員の順で。三浦委員、どうぞ。
【三浦委員】  三浦です。御発表、ありがとうございました。すばらしい取り組みだと思います。
 ちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、大阪は、指導医が結構校医を兼ねているというふうに前から聞いていましたが、今回のこの指導医というのは、やはり校医も兼ねている、もう学校にかなり深く関わっている先生たちが同行してくださっているということでよろしいのかということと、あと、看護師につきましては、集めるのがとても大変だと言ってましたが、例えばその校医さんのところの病院の看護師さんたちに派遣していただいているとか、そんな工夫とかをどういうふうにされているかを少しお聞かせいただけたらと思います。
【下山座長】  お願いします。
【大阪府教育庁】  まず、医師のほうですけれども、医師は、三浦様のおっしゃるとおり、指導医を兼ねている先生方に来ていただいているというところになります。今回、主治医のほうが同行したということで、御発表させていただいたところですが、この学校医は、学校医の職務として依頼したわけではなくて、同行をしていただけないかという方が誰かいないかということで御相談させていただく中で、学校医の先生が、「私が1回同行してみようか」というところの協力体制を得られて、学校医の本来の職務とは別に行っていただいたという経緯があります。
 看護師のほうなんですけれども、もちろん主治医を通して、病院のほうにも相談をさせていただくところですが、大阪府としては、既に学校が病院との連携というところでノウハウを持っておりますので、病院との連携の他、あとは脈々と看護師が行っていただいているという経緯がありますので、その方々に依頼して、看護師を付添いいただいているというところになっております。
 以上です。
【下山座長】  三浦委員、よろしいですか。
【三浦委員】  はい。
【下山座長】  それでは、小林委員、どうぞ。
【小林委員】  小林と申します。このたび、大阪府の泊を伴う学習の件を御説明いただきまして、どうもありがとうございます。
 我々のほうも、当事者の会なんですが、当事者に泊を伴う校外学習に親が伴わないで行くことができる自治体もあるよ、そういった制度もあるよということを説明したときに、非常に皆さん、強い関心を持ちまして、私の自治体も、私の自治体もということで、どうやればできるんだろうということを皆さんお話になっていました。
 そこで、ちょっと御質問というかお願い、併せてなんですけれども、大阪府で行っていくに当たりまして、その事前のプロセスですね。やろうと思い始めてから、どういう段階を経て、どういう障害を超えて、ここに至ったかということについて、それを公開していただく、例えば段取りですとか調整の工程というのを出していただくということをお願いしたいなと。それを伴って、見て、ほかの自治体でもベンチマークしていくことができるのかなと思います。それがまず1点です。
 あと、2点目です。そういった夜間の泊を伴う活動をした結果として、学校に戻ってきて、日常生活において医療的ケアが、より質が変わった、更にできるようになったということで、現場の変化等があればお話しいただけたらと思います。
 その2点、よろしくお願いします。
【下山座長】  大阪府、お願いします。
【大阪府教育庁】  まず、1番目の御要望というふうな形につきましては、今後検討させていただこうかと思っております。
 2番目の日常生活については、詳細にちょっといいですか。
【大阪府教育庁】  日常生活の部分ですけれども、夜間や緊急対応を知るということに加え、服薬、ふだん主治医の先生方は学校でなるべく服薬をということを控えて、安全にというところで、朝と夜とかという形で処方してくださっているんですけれども、そういうところを踏まえますと、薬を飲んだときの子供たちの状況であるとかということは、朝飲んできて、なぜ登校後、このような状態になっているのかというところが、より詳しくわかるようになったというところは、泊行事、夜間であるとか朝の服薬を知ってというところは非常に看護師にとって、また教員にとっても、子供の1日の状態を知るというところでは非常に効果があることではないかと考えております。
 そのほかに関しましても、先ほどの発表の中でもお伝えさせていただきましたが、ふだん見ることができない表情であるとか、保護者付き添い、親御さんと離れられて初めて見せる表情とかということもございますので、そういうところでは非常に効果があったというふうに考えております。
 以上です。
【下山座長】  小林委員、いかがですか。
【小林委員】  どうもありがとうございます。私の理解としましては、その泊行事を伴う活動を行うことによって、より日常の生活、学校での生活がより深まる機会を得たと。つまり、そういったことを経れば、学校でやるべきこともまた広がっていく可能性を持っているということを認識させていただきました。ありがとうございます。
【下山座長】  プロセスにつきましての要望については、今回この資料が公開されますので、それも1つのプロセスの公開ということに当たるのだろうと思います。御発表いただいて、あまり無理なお願いはいかがかと思いますので。
 ほかにいかがでしょうか。津川委員、お願いします。
【津川委員】  ありがとうございました。北海道でも、校外学習へ保護者の付き添いなしで医療的ケアが必要な子が参加するための要望というのはたくさん出ているんですけれども、なかなか実現できていないことが多い状況と思っています。
 今日の大阪府の発表は大変参考になりました。ただ、北海道で実施するには、人員確保であったり、予算確保であったり、まだまだハードルは高いのかなと思ったんですが、こういった実践からは大変勇気をいただきました。その中で、2点質問をさせてください。
 1点が、看護師が突然、当日やって来ても、できる行為、そのお子さんの状態がわからないとできない行為があると思いますが、そのあたりの引き継ぎであったり、事前の打ち合わせや、事前の研修などはどんなふうにしているのかということが1点。
 もう1点。常勤の看護師、それでも一緒に同行したりということで、学校内が手薄になることがあると思うんですが、旅行中の学校内の医療的ケアの安全確保ということについて、どのようにされているか教えてください。
【下山座長】  お願いします。
【大阪府教育庁】  ありがとうございます。まず看護師の事前の打ち合わせですが、看護師が打ち合わせなく、当日いきなり泊行事に同行していただく、付き添っていただくということはまずございません。事前に学校に来ていただいて、子供の様子を実際に見ていただく。医療的ケアを実施しているところを見ていただいて、理解を深めていただくということをしております。
 常勤の看護師が、この泊行事に関して、特に重度のお子さんが参加するときに関しましては、学校の看護師が行かないということはまずありません。泊行事に付き添うことができるのは、非常勤ではなく常勤の看護師だけなんですが、必ず学校看護師が付き添って、その中で外部から打合せの日を除いて当日初めて来ていただく、看護師と十分連携をとった中で実施するようにしております。
 校内体制につきましては、発表のところでもございましたとおり、5人中1人が常勤看護師、つまり学校の看護師が付添って、あと4人は外部の看護師というところで学校がシフトを組むなどして、なるべく学校のほうが手薄にならないように、いくら子供たちが外に出ているからといっても、校内が手薄にならないようには安全対策事業、外部からの看護師に付き添っていただいてという形の措置をさせていただくことによって、学校も泊行事も安全に実施できるようにというところで努めております。
【津川委員】  ありがとうございました。
【下山座長】  よろしいでしょうか。
【津川委員】  はい。
【下山座長】  それでは、ここで植田委員から校外学習に関連して資料が出ておりますので、植田委員から御意見をいただきたいと思います。
【植田委員】  失礼します。同じ大阪にあります豊中市教育委員会から参りました植田です。
 私たち豊中市教育委員会は、地域の公立小・中学校のほうを所管させていただいています。資料5のほうに、校外学習につきましてレポートを出させていただいたんですが、宿泊行事への医師の同行ということで、大阪府教育庁様のほうから御発表がありましたので、本市における宿泊行事への医師の同行がどんなふうに過去にあったかということも少し併せて説明をさせていただけたらと思います。
 豊中市でも、随分以前なんですが、市立豊中病院の小児科医に同行していただいていた時期がございます。そのときは、宿泊先が、病院が島の中にはないというようなところを宿泊先に選んでいたり、あるいは救急車が宿舎に到着するまでに非常に時間がかかるというようなところが宿舎になっていたりということがございましたので、学校内での環境とはあまりにも異なる環境で看護師が勤務をしなければならないというような状況でした。
 そこで、少しでもリスクを減らす目的で、医師に同行していただくよう、市立豊中病院にお願いをして実現ができていた時期がありました。看護師にとっては、緊急時対応だけでなく、夜の入浴の後の気管切開部のガーゼ交換、あるいはベルト交換など、カニューレの事故抜去のリスクが高くなる処置のときに医師と一緒に行うなど、医師が同行していることで、子供の安全はもちろんですが、同行する看護師にとっては医師の存在は非常に心強い存在でした。
 しかし、市立豊中病院の小児科医の確保も非常に困難な状況と伺ったんですが、小児科医の人数が減ってしまった時期がありまして、そのときにNICUや小児科病棟の当直回数が非常に頻回になっているということをお伺いしましたので、医師の宿泊行事の同行依頼をやめるという判断をいたしました。
 そのかわりとしまして、宿泊先を医療機関から離れた場所ではなくて、夜間の救急体制も含めて、おおむね大体30分圏内に医療機関がある場所への変更を校長先生方にお願いをいたしました。小中学校では、宿泊先の変更は急にできるものではなくて、おおむね3年ぐらいかけて徐々に先生方や保護者の理解を得ながら丁寧に進めなければならないということでしたが、人工呼吸器のお子さんだけでなくて、どのお子さんにとっても、より安全な行事になりますということで、教育委員会のほうから説明を繰り返し行いましたので、現在では医療機関までの距離を意識した宿泊先の確保をしていただけるように全体的にはなってきております。もちろん事前に学校長が診療情報提供書などを現地の病院にあらかじめ持参して、緊急時の受け入れもお願いをしていたり、あるいは当日の小児の救急体制を現地の消防に確認しておくなど、学校は十分な事前準備をして臨んでおります。
 特に夜間の小児救急体制は、豊中市内の夜間の状況とはかなり異なっている場所にありますので、以前には宿舎近くの診療所の先生が、夜間、当該児童のために泊まってくださったこともありました。
 宿泊行事については、移動途中の課題はまだまだ残ってます。例えば大阪から長野県まで片道6時間ぐらいかけてバスに乗って人工呼吸器の子供も一緒に移動します。移動途中もいろいろな医療的ケアを看護師が行いますが、非常に時間的にタイトで慌ただしい状況で看護師が対応していきます。人工呼吸器の子供についても、豊中では宿泊行事へ保護者の付き添いを求めておりませんので、2泊3日で看護師が5名同時に同行して、夜間も含めて24時間体制で交代しながら対応しております。
 この看護師の勤務の仕方は、先ほど大阪府教育庁のほうからも御説明がありましたが、私ども豊中市でも課題は実はありまして、宿泊行事は、夜間の医療的ケアも含めますと、私のような正職看護師だけでは対応ができませんので、複数の宿泊行事を全て対応するには、日常的に非常勤で関わっている看護師にも同行してもらっています。宿泊行事の間の3日間は、実は体は拘束されますが、間に休憩時間を入れながら勤務をしていただいているような状況ですので、これ自体が課題かなという認識はございます。
 現在では、保護者の負担を軽減するには、今のところそういった方法しか見出せず、今は宿泊行事ではない、ほかの学校にも看護師の配置が確実にできるように、この宿泊の時期は大体5月、6月に集中するんですが、看護師総動員で毎日勤務するような状況をつくっております。
 それから、校外学習のほうなんですが、お手元に配らせていただきました「看護師と教員の協働によって「ともに学び、ともに育つ」教育を支える」という事例紹介という形で取りまとめたものを提出させていただいています。これは、『小児看護』という雑誌のほうに投稿させていただいて採用されたものですので、ごらんいただけたらと思います。
 豊中市では、地域の学校で、「ともに学び、ともに育つ」子供たちの教育的意義を看護師も一緒に意識しながら子供の学習の目当てを教員と共有することで、看護師も看護目標を立てて、校外学習をサポートするようにしております。レポートの中の児童のように、電車に乗ることにも学びの目標設定を教員はしていますので、できるだけ同じクラスの児童と行動が共にできるよう、教員との事前打ち合わせを入念に行って、雨のパターンも含めて打ち合わせをしております。そういう形で計画どおりに本番が進むように、当日勤務を配置しております。
 地域の学校における学校外での活動は、非常にダイナミックな活動が多く、時間的にも非常にタイトですが、看護師や教員との協働により、日々の子供の学びを支えているというレポートを併せて発表させていただきます。
 以上です。
【下山座長】  ありがとうございました。医師同行、それから看護師の現状、そして校外学習には、学習の目当て等を共有するといった取り組みを強化、改善しながら充実させているということをお話しいただきました。一つの先進事例として受けとめていきたいと存じます。
 今の意見も含めまして、校外学習における医療的ケアと、泊を伴う行事も含めまして、引き続き御意見を求めていきたいと思います。高田委員、どうぞ。
【高田委員】  医師の同行ということについて、実は神戸市でも泊を伴う旅行等には医師が同行しております。現在は、兵庫県立こども病院の救急部のレジデント、後期のレジデントの方に一緒に行っていただいています。医師が一緒に行くという場合、医療機関側の理解が非常に大切になってまいります。一般の医療機関ですと、医師が診療を休んで同行するというと、診療機関での需要がそれほど少ないのかというようなことを言われたりすることもあります。
 派遣する医師側の大義名分というのですか、救急部で後期のレジデント研修の一部で行くのだというような形式を作っていかないと続けていくのは難しいのではないかと思っております。一旦医師が行きますと、全てのところに今回も医師が同行してほしいという要望がどんどん出てまいりまして、なかなかそれに応じ切れない事態が発生してきます。
 人口密集度の高い地域では医療機関も多いので、派遣も可能なのですけれども、人口密集度の少ないところでは、限られた医療資源をどこに使うのかという医療機関側の理解によってくると思いました。
【下山座長】  限られた資源ということの中で全てを医療的ケアに使うことはもちろんできないわけで、どのようにここを解決していくかということも医療機関の御理解を頂きながらということの御発言がありました。
 先ほど大阪府の御発表を頂いたんですけれども、私、最初のグラフにちょっと注目したんですけれども、大阪府の医療的ケアが必要な子供さんというのは、全国で2番目です。それに対して、看護師さんの数は90ということで、2番目にはなってないという状況ですね。ただ、この分というのは、教員が相当医療的ケアに関与されているという体制をお築きである。これは大阪府が伝統的にというか、古くからそういう体制をつくってきていると。看護師さんの数も限られた資源ということの中にありますので、そういう意味では、地域全体でどういう体制を、医師や看護師の数や配置というふうな問題の中で、どういうふうに地域としてベストな体制を考えていくのかということ。
 そして、今おっしゃられた、その中には医療機関の理解や、あるいは地域の、大阪府さんの場合には外部と言われる看護師さんの理解、そんなことの大切さということが見えてくるような気がするんですが、引き続きもう少し御発言を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。こうあったらいいんじゃないかというような御意見など含めてお願いできればと思います。
 医師の立場から、もう少し、道永委員、どうですか。
【道永委員】  大阪の発表で、最後の今後の課題というところで、協力可能な連携、医師、病院の確保。大阪府さんの今のお話で、かなりこちらが進んでいるようですが、それでもまだ足りない部分があるんですね。
 先ほど三浦先生から質問があって、私も外部の看護師さんをどうやって確保しているのかというのがすごく不思議に思ったんですが、訪問看護ステーションとか、そういうところとの連携というのはどうなっているのでしょうか。
【下山座長】  御質問になりましたが、お願いします。
【道永委員】  すみません。
【大阪府教育庁】  ありがとうございます。訪問看護ステーションもそうですけれども、大阪府ナースセンターであったり、そういった府の医師会とも連携をさせていただきながら進めさせていただいているところです。看護師の募集について、本当にどこの地域も御苦労されているところかと思いますけれども、地道なところから、ショッピングモール等での看護師フェアなども開催して、そのときには指導主事を派遣して、そこでこういったこと、こういった支援学校で、こういうふうな活動をしていただく必要があるということで、ショッピングモールの中でそういった取り組みをしたり、また、近年では、まだ大阪府自体としてはできていないんですが、各学校単位などで求人募集をやっている民間のいろいろな募集がありますけれども、そういったところに学校が募集をかけて、それは無料でできますので、そういったところで人を集めたりというふうなことで配慮といいますか、工夫をしております。
【道永委員】  すみません、ちょっといいですか。
【下山座長】  どうぞ。
【道永委員】  そうすると、専門性のある学校看護師の確保・育成ということで、医師や看護協会とありますけれども、これは医師会という意味なんですね。医師会が関与していて、私はうれしいと思っておりますが、これからよろしくお願いします。
【下山座長】  ますます医師会に関与していただくということのようですから。ほかにいかがでしょうか。保護者の立場から、竹内委員、いかがですか。
【竹内委員】  竹内です。よろしくお願いします。
 大阪府の取り組み、ありがとうございます。お話を伺っていて、本当に親が同行せずに、いかに医療的ケアの子供たちが宿泊を伴う行事に連れていくかという前向きなというか、そこに向かって皆さんが力を合わせているというのが、この準備も含めて、とても感じます。
 先ほど下山座長からお話を頂いた地域での体制がとても大事だというところから、私は、地域の次にあるのが学校の体制というところだと思います。先ほどのお話の中でも、泊に看護師さんを出すことを優先せずに、学校の中の看護師さんもしっかり確保の上で一緒に泊のほうに送り出す看護師さんというふうに考えたときに、やはり学校の中で、そこに付き添える看護師さんが確保できない分、看護師さん同行はできませんという学校がとても多いのではないかとも思いますし、保護者への説明の中で、体制が整わないので同行はありませんという説明を必ず聞くんですね。体制を整えないというのはどういうことなのかというのを、やはり保護者としてはきちんと説明を聞いた上で、こういう状況だから保護者の付き添いが必要なんだというふうに私たちは納得をしたいですし、もちろんそこにはたくさん、いろいろな環境とか状況が重なった上での体制づくりというところがあるかと思いますけれども、そこの学校の体制づくりという部分でも、しっかり保護者への説明も含めてお願いしたいと思っています。ありがとうございます。
【下山座長】  ありがとうございます。場合によっては、保護者の中にも、この宿泊学習の期間、自分のおうちの子の医療的ケアは自分がやってもいいと、学校に行ってやってもいいという申し出もあるかもしれないじゃないかと。そういうことをざっくばらんに、保護者にも情報提供しながら体制をつくっていきましょうと、そういう理解をしてよろしいですか。
【竹内委員】  はい、ありがとうございます。
【下山座長】  中には保護者の方の中にも看護師経験のある方というのはきっといらっしゃいますよね。そういうことをオープンにしながら、一緒に体制をつくっていきましょうというようなお話かと存じました。
 ほかにございませんでしょうか。勝田委員、どうぞ。
【勝田委員】  宿泊学習をするときに、本当に小・中もちろんですし、特別支援学校の場合も下見に行かれて、かなり綿密にいつも下調べをして、どこで吸引ができるのかとか、どこに水があるのか、電源があるのか、かなり綿密にいつも調査されているなと思うんです。けれども、以前にした看護師への調査の中で、そういう宿泊や校外学習のときに看護師の意見が反映されないというふうに感じている看護師、ちょっと割合は忘れてしまったんですけれども、結構ありましたので、非常に心配しているところというのは、医療者としていろいろ見ている目があると思いますので、ぜひ意見が反映できるようなシステムで宿泊や校外学習ができるようにしていただけたらと思います。
【下山座長】  ありがとうございました。
 それでは、まだ御意見あるかと思いますが、次の議題に移りたいと思います。この件も含めて、まとめというときには、またまとめに向ける中で意見集約を図っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 続きまして、資料6、議題の三つ目になりますが、「学校において実施できる医療的ケアの範囲について」です。学校において医療的ケアを実施するに当たり、看護師と、あるいは認定特定行為業務従事者となっている教員、それ以外の教員のそれぞれが実施することができる範囲について整理する必要があるというふうなことが課題になっておりました。発表の後に、各委員の御意見を伺いたいと存じますが、まず三浦委員、御発表をお願いします。
【三浦委員】  よろしくお願いいたします。
 私のほうは、日本小児医療保健協議会の中の重症心身障害児(者)・在宅医療委員会の委員長、副委員長、コアメンバーと、それから小児神経学会の社会活動委員会委員の、きょういらっしゃっている高田委員長と副委員長の私が参加した形で、この「解釈についてのQ&A」というのを作らせていただいております。その背景には、医療的ケアがこれだけ広がってきてはいるんですけれども、本当に質・量共に非常に広がってきて、7年前の本協議会のときと比べると、更に現場では混乱が多くなっているという声が聞かれていることがあります。
 混乱の場所としては二つあるかなと。いわゆる医療的ケアという行為が真ん中にあるとします。これは医療行為ではあるんだけれども、家で行われている生活援助行為にも当たる、この医療的生活援助行為を医療的ケアと言って仕組みが作られてきてはいるんですけれども、この中身が非常に複雑になってきた。
 その中身の中核にあるのは、私たち学校で行われている特定行為と言われている5種類の口腔内吸引、鼻腔吸引、気管カニューレ内吸引、経鼻経管栄養注入、胃ろう・腸ろう注入、ここがメインではあるんですけれども、それ以外の、これと比べればリスクの低い様々な行為が、医療行為ではないか、医療行為だからやれないのではないかというような声も出ていたりして、非常に混乱しているところがあります。
 もう一方では、それよりも更にちょっとリスクの高い、より高度な行為の中に、これはやはり看護師が学校現場ではできないんじゃないか、保護者でなければできないんじゃないか、そういう行為がここに入ってきて、ここでのせめぎ合いという、ここの混乱がある。更に昨今、後で出てきますけれども、特定行為と呼ばれる在宅医療を推進するために看護師の特定行為研修というのが始まってしまったために、その特定行為とこちらの特定行為が混乱されてしまって、非常に現場では混乱が起きてきたという背景があります。
 実は、医療行為ではない行為につきましては、皆様方の緑の資料の37ページのところにありますように、平成17年に厚生労働省のほうから医師法の解釈ということで、医療行為が不必要に拡大解釈されているので、ここに書かれている行為につきましては医療行為ではないということを出していただいたんですけれども、その後、時代が大分たちまして、現場ではかなり混乱してきている。できれば、こういう形のものができるといいなとは思ってたんですけれども、なかなか時間もかかることだと思いますので、まず学会のほうとして、現場の医者として、現場の中で混乱している部分を少し整理できたら、それで学会として、医師の専門家の団体として提案できたらということで、この「解釈についてのQ&A」というのを作らせていただき、これをこの会でも提示させていただいたり、文部科学省様、厚生労働省様に提示させていただいて、議論が進むといいなと思って作らせていただいております。
 ちょっとこの図は置いておいて、手元の資料6のほうに目を移していただけたらと思っています。本当に現場では混乱が発生していると、いろいろなところから声が聞こえてきました。例えば、ある委員から出たのは、呼吸器のコンセントを挿すのは看護師さんはいけないんじゃないかという、そんなのも声が出たりして、現場ではかなり混乱が実際にあって、これも整理しないと、もうどうにもならないねということで、これを作り始めたというのが実際のところです。
 ちょっと読ませていただきますと、「学校における医療行為は、近年、医療技術の進歩を背景にして生まれた医療的ケア児と呼ばれる、日常的に医療的ケアが無ければ生活できない子どもたちの急激な増加に伴い、その量、質共に大きく変化してきている。しかし、様々な制度の変遷があると同時に、都道府県ごとにマニュアルや実施基準の違いがあり、現場では混乱が発生している。同時に、学校は、本質的に医療を行う場でなく教育の場であり、医療職以外の様々な職種の方が同時に仕事をしているため、更に混乱をきたしている。その状況の改善に少しでも資するために、以下に学校での医療的ケアの法的妥当性についてQ&A方式の文書を作成した。」ということで、メンバーで作らせていただいております。
 大きく分けると、Ⅰの「医療行為の範囲と制限の法的根拠」という総論的なところをまず述べて、その後、具体的な医療的ケアに関してということで、呼吸器系と栄養系ですね、注入系のことを述べています。全部読んでいる時間はありませんので、少し中心になるところを話していきたいと思っています。
 医行為とは何かというのは、書かれているとおり、医師法に載っています。
 医療的ケアとは何かということは、先ほど図で説明させていただきました。
 医行為は、御家族や本人はできるのかということにつきましては、家族につきましては、反復継続しておりませんので、医業とはならないわけで、可能であります。6行目ぐらいですね。「医行為」を行うことに関しては、形式的には医師法違反となるかもしれませんけれども、それなしでは日常生活を送ることができないので違法性を問わないとする運用、「実質的違法性阻却」とされ、違法性はないとされているということです。家族・本人につきましては、医療行為でありますが、医師法に反せず、医師法とは関わらず実施できるというふうに整理ができるかと思います。
 あと、Q4につきましては、先ほどお話ししました、平成17年に厚生労働省さんが出していただいた医行為ではない行為として、以下に並べたような行為が書かれております。
 これが、先ほどのちょっと混乱のもとの特定行為という問題ですね。学校の現場では、先ほどの5行為が特定行為と呼ばれています。Q6に行っていただきますけれども、看護師の特定行為制度というのを2025年に向けて厚生労働省が作りました。これは、更なる在宅医療の推進を図っていくためには、個別に熟練した看護師のみでは足りず、医師または歯科医師の判断を待たずに手順書によって、例えば一定の補助、脱水時の点滴とか胃ろうボタンの交換、人工呼吸器の設定の変更、投薬、気管カニューレの交換などがやれる看護師を育てていこうという制度です。すでに始まっています。
 ここで気管カニューレの交換が項目に入ってしまいましたので、昨今、昨年から混乱している緊急時でも気管カニューレを自己抜去したときに看護師さんが入れられないという問題が起きました。これにつきましては厚生労働省様のほうから、法律違反ではありませんと、ちゃんと判断をしていただきましたので、現場では混乱がおさまりつつあるのかなと思っております。
 このQ&Aでは、この「特定行為」が二つ出てきますので、区別をするために、前者は「喀痰吸引等制度の特定行為」と呼ばせていただき、後者を「看護師の特定行為」というふうに呼んでおりますので、御注意いただけたらと思っております。
 次のページに行っていただいて、介護職ができる行為につきましては、喀痰吸引等の制度によって、この5行為が今できることになっております。研修制度につきましても、少し述べましたが、ここでは省かせていただきます。
 具体的なものとして、少し皆さんに提示させていただいて、後で御意見を聞けたらと思います。「Ⅱ-1 気管切開のケアと人工呼吸器」。「気管切開部の気管カニューレから出た痰をティッシュなどで拭くのは医療行為か?」という現場では質問が出ます。これにつきましては、「気管カニューレを固定しているバンドを締め直したり、Yガーゼを挟むのは医療行為だが、気管切開部の気管カニューレから出た痰をティッシュなどで拭くのは医療行為ではない。従って、教員や介護職も実施できる」と判断しました。
 5ページに行ってください。Q10です。「人工鼻が取れたらそれをはめるのは医療行為か?」。これにつきましても、人工鼻をはめるのは、医師、看護師の医学的判断、技術でなければ人体に危害を及ぼすとは思われないので、医療行為ではないと判断しました。このQにつきましては、現場でこういう質問が実際あったり、現場で混乱が出ていたということです。
 Q11は、「気管カニューレに挿入する吸引チューブの長さはどのくらいが適切か?」。これにつきましては、教員、介護職は、喀痰吸引の制度により、気管カニューレ内の痰の吸引のみしか実施できなくなっています。しかし、看護師には特に制限がありませんので、医師の指示に従って、適切な吸引のチューブの長さを挿入して吸引することができることになります。
 そのどれぐらい長さを入れる必要があるかということにつきましては、個々に医師の指示に従うという形になります。吸引圧につきましても、基本的なものはもちろんありますけれども、これも個々に主治医の指示書に基づき実施するのがよいだろうというまとめ方です。
 それから、Yガーゼにつきましても、私たちの判断としては、Yガーゼを挟む医学的根拠はないというふうな形に書かせていただきました。
 Q14が、先ほど述べました気管カニューレの計画外抜去、事故抜去の場合に、看護師が気管カニューレを挿入するのは違法かどうか。これにつきましては、小児科医の私たちの委員会のほうから質問状を出させていただいて、違法ではないと。ただし、挿入した後は医師に連絡をすることで回答をいただいております。
 あと、追記ですけれども、看護師がその場におらず、子供に生命の危機が迫っている場合には、介護職や教員が気管カニューレを挿入しても罪を問われない可能性が高いというふうに書かせていただきましたが、これはもしかすると議論が今後必要かなと思います。
 あと、人工呼吸器のスイッチを入れたり電源を入れるのは医療行為か。これは、実際、医療行為だから、看護師しかだめとか、看護師でもだめだったりというような都道府県もあったりするようです。ここにつきましては、医師・看護師の技術でなければ人体に危害を及ぼすとは思われないので、医療行為ではないとしました。
 人工呼吸器を児童に装着するのは、もちろん条件とかアラームの設定などは医師が行っておりますので、医師が既に設定した人工呼吸器を医師の指示で看護師が児童に装着するのも違法ではないとしました。
 それから、次です。Q17。人工呼吸器を装着している児童が、コネクターチューブなどが外れた場合、それを看護師や教員が児童に装着するのは違法かどうかです。現実にあり得る話だと思います。もちろん今は動き回ることができるような人工呼吸器の子供さんたちも増えてきましたので、気管カニューレに接続したコネクターチューブが外れたりすることがよく見られるようになっていると思います。これは看護師が装着するのは、医師の指示があれば全く問題ない、違法ではありません。ただ、教員が装着することに関してですけれども、「医師・看護師の技術でなければ人体に危害を及ぼすとは思われない行為である。装着しなければ子供の命が危険になることで違法性の阻却と思われ、違法ではない」としました。ただし、教員の場合は、実施後、看護師など医療者に報告することが必要であるというふうにさせていただきました。
 Q18。「人工呼吸器の安全な管理とは?」と書かれています。今全国で19歳以下、3,400人の子供さんが人工呼吸管理をして生活しておりますけれども、性能はすごく上がっておりまして、ほとんど大きな事故は起きておりません。在宅で呼吸器を使用する場合は、ほぼ例外なく設定はロックされており、設定を勝手に変更することは難しく、在宅用の人工呼吸器を主治医の指示に従って使用すれば、安全性は高いと。日常的な移動、電源を入れるスイッチのオン・オフで人工呼吸器に異常が発生する可能性はほとんどないというふうに書かせていただきました。
 あと、酸素吸入につきましては、始めるのは医療行為であると。もちろん医師の指示があれば看護師は実施可能であるとしました。
 あと、胃ろうと経管栄養につきましてですけれども、胃ろうボタンの蓋を閉めるのは医療行為か。これにつきましては、医療行為ではないと判断しました。
 胃ろう及びその周辺の汚れを拭くのは、これにつきましても、医師・看護師の医学的判断でなければ人体に危害を及ぼすとは思われないので、医療行為ではないと判断しました。
 胃ろうが抜けた場合、再挿入を看護師がするのは違法かどうか。これは、数時間で胃ろう孔が小さくなってしまって、再挿入が困難になりますので、計画外抜去の場合は、主治医の指示に基づいて緊急時の看護師による胃ろうボタンやチューブなどの再挿入は違法ではないし、やっていただかなければ本人の子供さんが、その胃ろう孔が使えなくなってしまいますので、これにつきましては医者の指示書をちゃんと書いて看護師にやっていただくという形がいいというふうに判断しました。
 あと、胃ろうからのシリンジでのミキサー食について、看護師ができないのか。これは、できないと判断した地域があったということだと思うんですけれども、これは看護師が全く問題なく実施できます。
 その他の医療的ケアにつきましては、薬剤の吸入は医療行為であるとしました。看護師が医師の指示書に基づいて実施すると。
 導尿も医療行為であるとしました。看護師は医師の指示書に基づいて実施する。
 座薬につきましては、てんかん発作時の座薬挿入については、通常学校で教員が行う場合は、文部科学省の通知が出ていましたように、生命が危険な状態で、事前に書面で医師の指示がある場合は可能であるというふうに改めて書かせていただきました。
 Q27。最後ですけれども、その他でも書き切れないものもあります。ここに記載されていない医療的ケアについてどう考えたらよいのか。書いてなかったのは、エアウェイの管理ですとか、カフマシンという呼吸補助装置の管理、血糖値測定とその後の処置などですけれども、これにつきまして、あるいは今後、また更に新たな医療ケアや医療行為が必要な子供が学校で学ぶようになってきます。その際には、以下の表2の基本的な考え方に従い、個々の行為ごとに、主治医、主治医以外の指導医や学校医、校長、教員、保護者、教育委員会の担当者などで話し合い、その対応を決めていく必要がある。その際には、それが医療行為であるかどうか、医学的に正しいか、安全であるかどうかが複数の医師によって確認されると共に、児童の教育の機会を保障する方向で検討が進むべきであるというふうにまとめさせていただきました。
 表2につきましては、行為を一応五つに分けて、全く患者に害を及ぼさず、医師が医行為ではないと判断できる行為。あるいは、学校でやられている特定行為、それ以外の医行為、あと絶対的医行為、緊急時の医行為という形に分けさせていただいて、以下のようなように、○、×、△という形でつけさせていただきましたので、参考にしていただけたらと思います。
 以上です。
【下山座長】  ありがとうございました。それでは、まず御質問からいただきたいと思いますが、その前に高田委員、何か付け加えることはございますでしょうか。
【高田委員】  今回、Q&Aという形に日本小児科学会でまとめさせていただきましたのは、医師の間でも統一した見解がなかなか得られないということがありましたので、そこで専門の医師が集まり、判断の目安としてQ&Aを作らせていただきました。
 重症心身障害児(者)・在宅医療委員会となっておりますけれども、実はこの委員会の構成員は小児科医だけではありません。小児外科医、それから小児保健という多職種の団体からも委員が入っております。そこで纏めた案について日本小児科学会理事会にも諮って承認をいただいています。関連する学会、たとえば日本小児神経学会は小児科学会の分科会ですので、親学会が出したQ&Aに従ってやっていくということになると思います。
このQ&Aが完成しましたら、小児科学会と同じように、小児神経学会のホームページでも紹介したいと思っております。

【下山座長】  では、委員の皆さん、質問をお願いします。植田委員、どうぞ。
【植田委員】  すみません、失礼します。質問9番の気管切開部の気管カニューレから出た痰をティッシュなどで拭く、そこの「Yガーゼを挟むのは医療行為だが」というふうに書いていただいているんですが、本市の場合は、既にローカルルールではあるんですけれども、ベルトがきちんと付いていれば、ゆっくり落ち着いてYガーゼの交換をすることは教師が実際行っています。というのは、元気で気管切開しているお子さんはプールにも入ります。喉元が濡れないように、非常に注意をして教師は水泳指導をするんですが、やはりちょっと濡れてしまう場合には、ガーゼを替えるということについては先生方で、慎重にやっていただく、最初のときは看護師が横にいて、なれてくれれば先生のほうでしていただくというふうに実際していますので、ちょっとこの辺がどういった部分で医療行為というふうに判断しておられるのか教えていただけますでしょうか。
【下山座長】  三浦委員、お願いします。
【三浦委員】  もちろんそういう可能性もあるお子さんもいらっしゃるかなとは思うんですけれども、やはり動き回っちゃったりして、教員では判断、Yガーゼを挟むときに動いてしまって抜けてしまうとかということもあったり、そのときにすぐに入れることができないような危ない子もやはりいらっしゃいますので、一様にYガーゼが教員でもオーケーというふうにはちょっと書きづらい。
 逆に、今の御意見を聞いて、こういうふうに「だめだ」と言ってしまうのも現場で混乱が起きるということであれば、ここの書きぶりは少し変えないと、もしかしたら現場が、また、これによって現場が混乱してしまうということがあってしまってはいけないのかなと思っているので、ちょっと悩ましいところかなとは思います。
【下山座長】  医行為の範囲の問題は、こういう問題なんですねということを一番最初にお示しいただいたような気がしますけれども、こういうグレーなところが残る問題について、どういう形での示し方なり手続なりがいいのかということについて、今回どこまであらわすことができるか、この会としてあらわすことができるかということですね。学会からこうした形でのQ&Aが出てますけれども、これをこういう参考資料がありますよということで御判断いただくときに参照してくださいというような形もあるでしょうし、そういう意味では、どんな行為の整理の在り方がいいのかというようなことを御議論いただければと思います。
 いかがでしょうか。御質問ある方、どうぞ。津川委員。
【津川委員】  すみません。三浦先生への質問となるのか、わからないのですが、まず15番の人工呼吸器のスイッチを入れたりという部分ですとか、16番については看護師が実施することになっているのですが、10番の人工鼻の装着のところは、昨年の文部科学省で行った医療的ケアの研究協議会のときには、夜間の呼吸器の口マスク、鼻マスクを付ける行為については、医行為に該当するということで説明を厚生労働省の方から頂いたというふうに記憶しています。多分その装着自体は困難ではなくても、事後のアセスメントであったり、しっかり装着されているかということの確認であったりということも含めての行為ということで、そういう判断なのかなと解釈していたんですが、今回そのあたりが、こういった形で医療行為ではないという形になっていくと、我々北海道での判断とは随分変わるところが出てきます。そのような見解の違いが出るならば、この後、これが世に出ていくときに、医師間ですとか、各省庁間で共通理解を図っていただきたいというのが要望です。
 それともう1点、胃ろうからのシリンジでのミキサー食の注入ということなんですけれども、これは逆に特定行為ということで教員ができるのかどうなのかということも相談を受けることが多いんですけれども、このあたりについての判断について、御意見があれば教えてください。
【三浦委員】  ありがとうございました。鼻マスク、人工呼吸器のマスクをはめるのと、人工鼻を付けるのとでは全然意味合いが異なりますので、人工鼻も呼吸器が付いて、気管切開の子で自発呼吸のある人の、ここに留めている人工鼻がぽろっと取れたときという話でして、人工呼吸器の開始ということとは全然異なりますし、このスイッチを入れるというのも呼吸器を始めるということではなくて、ある県が、やはり看護師さんが呼吸器をみてはいけないと。保護者さんしかできないというときに、看護師がスイッチを入れようとしたときもだめだと言われたということで、このスイッチを入れるだけの行為につきましては、もう医療行為ではないというふうにしたということです。呼吸器管理を始めるということはもちろん医療行為ですし、夜間、鼻マスクを付けるのも、人工呼吸器を始めるのも医療行為なんですけれども、ここの部分に限られた部分ですね。スイッチだけを入れる部分とか、人工鼻が取れたときにはめるという、その行為だけについては違うというふうに、結構狭い範囲のコメントというふうに御理解いただけたらと思っています。
 ミキサー食につきましては、基本的に問題ないのではないかと判断できますけれども。
【津川委員】  ありがとうございます。そのあたりが、やはり短い文章だけを見たときに、短いがゆえに誤解を生んでしまったり拡大解釈につながったりということがあるのかなと思うので、限定する範囲などについて、きっと更なる検討が必要なんだと思うんですが、お願いしたいです。胃ろうからのシリンジでのミキサー食の注入については、実施していても、不安を持ちながら実施されている先生も多いのかなと思いますので、そのあたりは別途検討の中で、テキスト等を作る中で、注意点ですとか、そういったところも示していただけるとありがたいなと思っております。
【下山座長】  個々の書かれていることの記述に入っていきますと、これはやはり専門的な知見も必要となってきますので、また、これが私どもの結論として出ていくということではありませんので、そこはお間違えにならないでいただきたい。ここに書かれてある記述の1個1個がどうかということを検討する場ではないということですね。
 今、医行為の整理ということが、確かに現場ではグレーな部分というのはいろいろあって、混乱を生じているという中で、これは学校現場にもあるわけですね。それぞれの県で、市で、いや、違うと。ここに混乱があるという事実を押さえつつ、医行為の整理という問題をどういう方向で解決していこうか。そこに医療の専門家であるお医者さんの、それこそ学会のグループで出してくれたQ&Aがあると。これを我々はどういう形で参照していこうかというようなことですね。
 例えば、今まで医行為かどうかのグレーゾーンのような問題は、先ほど三浦委員がおっしゃっていただいたように、ある程度まとまって医行為ではない行為として通知頂いています。しかし、ここにもいろいろな限定があって、これは医師が医行為ではないと判断すると。同じ行為であっても、医師が医行為だと判断する場合もありますよという注釈などもありますね。
 ですから、そういうことも含めて、そして例えば、てんかんの座薬の問題とかは、1個1個、こういう疑念があるけれども、こんな形でいいだろうかということを関係省庁が問い合わせる形で、厚生労働省がそういう考え方で問題ないだろうということで、一つずつ判断してきている経緯がありますので、ここに書かれてある1個1個の問題というのは、非常に大きな問題でもあろうと思いますので、そういう意味で、一つ一つの書かれている記述というよりは、こういう学会案を参照していくというようなことについてどう考えていくか。あるいは、こういう方向では整理も必要なのではないかといったような御議論をいただけるといいのではないかと思います。
 大変難しい問題であろうとは思いますがね。ですから、前回の整理では、個々の子供の状態ということを踏まえて、個別に医療関係者を含めて御判断くださいということしか書けていないわけですよね。それが、年々、対応する医行為も広がってきましたので、混乱もますます広がっているという状況の中でどういうような、最後の表のような示し方みたいなこともあるのだろうと思うんですよね。
 高田委員、何か。御意見ですか。
【高田委員】  はい。御指摘いただいたように、確かに言葉が出てしまいますと、言葉が一人歩きするという可能性もあると思います。一方で、こういう形のQ&Aですと、ホームページで提示しながら、新しい課題や問題点が出てきましたら、そこに付け加え修正していくことが可能です。これはあくまでも、法令という形ではなくて、専門家の集団としては、現在の医療状況を鑑みてこういうような基準、考え方をとっていますということをお示ししたものです。学校の先生や関連する方々にも見ていただけたら、参考になると思っております。
【下山座長】  ありがとうございます。ですから、基本的に、どちらの学校でもというか、どなたも参考にするものは、やはり厚生労働省が御判断していただく形で出てくるんだろうと思いますが、それ以外に個々に応じていろいろ出てくる問題を、地域で医療関係者と検討するようなときには非常に参考になるような資料ではないかというような見方もできるんだろうと思うんですよね。私があまり意見を言ってはいけませんが、どうぞ皆さん、御議論いただければと思います。
 ほかに御意見はないでしょうか。勝田先生、何かございますか。
【勝田委員】  すみません。項目になってしまうんですけれども、「看護師が」と書いてある中でどうかなといろいろ考えますが、例えばクエスチョンの22の「胃ろうが抜けた場合、再挿入を看護師がするのは違法か?」というのがあるんですが、看護師の特定行為として38行為あるうちのその一つには胃ろうが出ている、もしくは腸ろうが出ている、または胃ろうボタンの交換というのはあって、それは日常的な定期交換のようなものも反復するという、それらは了解しています。けれども、ここでは気管カニューレのように、抜けたときに呼吸に関わってすぐ生命に影響があるということでは、胃ろうの場合は異なりますので、穴を塞がないように、とりあえずの手立ては必要で、ネラトンをちょっと入れて固定しておくとか、そして保護者の方に医療機関に行っていただくとか、生命という意味での緊急性はございませんので、これは看護師がそこで入れるとなると、少し気管カニューレとは異なるので、ちょっと考えなければいけないのではないかなと思いました。
【下山座長】  なるほど。三浦委員、どうぞ。
【三浦委員】  何もしないという主張に対して違法ではないですという形の答え方で、入れろというふうに命令しているわけではありませんし、もちろん緊急事態でチューブだけ入れて受診してくださいとか、個別に判断していただければいいのかなと思っています。入れるのは看護師の行為として、違法だからやりませんという主張をされる声があるので、そこは違いますよという形のコメントのつもりで書かせていると思います。
【下山座長】  わかりました。ほかに御意見はないでしょうか。津川委員。
【津川委員】  何度もすみません。先ほどの下山先生のお話ですとか三浦先生の説明、それから質疑を聞いていて、じゃあ、このまとめの中にどう示していくかというふうに言ったときに、今の三浦先生にお答えいただいた観点ですとか、勝田先生から出た質問の観点ですとか、そういった生命に危険がないだとか、医師・看護師の医学的判断・技術でなければ人体に危害を及ぼさないだとか、そういったどういう視点で見て判断するのかというような幾つかの視点の例を示していただけると、我々も判断するときに参考になるかなと思いました。
【下山座長】  ありがとうございます。ほかにはいかがですか。小林委員、保護者の立場から何かございますか。
【小林委員】  保護者としましては、こういった基準があって、そういった基準を参照して学校や現場として、教育委員会ですとか学校の先生にお話ししていく道具として使っていければ、とても助かると思います。そのために、こういった形の方針というのを見えるところに出していただきたいと思うんですが、ただ、その中で一つ疑問に思うのは、確かにここに書いてあるけれども、実際に安全が確保できているのかということを、現場から教育委員会等に少し離れたところに説明していくということが、具体的にどうしてやっていくのか。それは学校のほうで、ある程度の形にしていただくことが必要かなと思います。でないと、保護者たちは教育委員会や決定する機関に言う力が、交渉力があまりない場合もありますので、そこのサポートが必要かなと思います。
 以上です。
【下山座長】  ありがとうございました。ほかにございますか。村井委員、この範囲という問題について、何かお考えはありますか。
【村井委員】  やはり学校現場としては、厚生労働省の見解、教育委員会の指導に従っていくような形になると思います。このQ&Aの案につきましては、立場や見方によって、その捉え方が違ってくるということがありますが、それぞれ地域差なく、同じような医療行為の判断に近づいていけるような基準があればいいなと思います。
【下山座長】  ほかに御意見はないでしょうか。
 それでは、この学会の案をおまとめいただき、少し議論をさせていただきましたけれども、個々の問題についてはいろいろ御議論があるようですが、三浦委員、最後に、これをどういうふうな形で生かしていくかということについて御意見を伺えればと思いますが。
【三浦委員】  皆さんが今おっしゃったように、地域で個別に判断していくときの材料として使っていただければいいのかなと思っています。一応公的なホームページとかに載せさせていただいて、小児科学会だけでなくて、ほかの学会のホームページにも載る形にしていただいて、判断のたたき台にしていくような形、医者の中でも、やはり詳しくない、医療的ケアについて本当に経験がなくて初めて関わるようなお医者さんもいると思いますので、そういう方たちにも見ていただいて、判断基準になるような形で使えていければいいかなと思いますし、文部科学省も何らかの判断を、今回この委員会で最後に取りまとめのときに出していただけるかなと思いますし、厚生労働省さんのほうでも、現場でいろいろあることを想定の上で何らかの動きがあるといいかなと、ちょっと個人的には期待しているところでありますけれども、以上です。
【下山座長】  企画官、これについて何かありますか。
【樫原企画官】  この点については次回以降の御議論のときに、まだいろいろ御意見あるかと思いますが、一義的に文部科学省は、例えば、これが医行為です、これが医行為ではありませんということを判断できる立場ではありませんので、多分過去の例のように、厚生労働省さんのほうに対して、例えばこういう場合はどうですかという照会をかけていくということが文部科学省ができる範囲の限界。それをある一定の回答を得たならば、それを教育委員会などに周知をしていく。先ほど村井委員からもお話がありましたように、まさに厚生労働省から来た見解をどうやって教育委員会に伝えていくのか。この辺が私たちの仕事になっていくのではないかと思っております。
【下山座長】  学会の案で言いますと、総論にあるように、医行為というのはどういう行為かということ、医療的ケアというのはどういうことかというふうなことなどを踏まえながら、判断の手続ですね。それから、手続に関わる厚生労働省を初めとした関係機関の存在というふうなものを前提にしながら、どういう関係者や手続で判断をしていくのかというようなスキームのようなこと。そういうことについては一定のことを整理できるのではないかと。そこにこういう参照できるものもありますよというようなことが出せるかどうかということではないかと思いますが、またこれについては、集約に向けた議論の中で具体的な取りまとめ案をお伺いしていきたいと存じますが、いかがでしょうか。
 それでは、本日はこれまでにしたいと思います。事務局に議事をお返しします。
【樫原企画官】  それでは皆様、どうもありがとうございました。
 最後に、スケジュールの確認をさせていただきたいと思います。資料7をご覧ください。資料7ですが、今回、第7回が終わりまして、第8回は1月頃と書いておりますが、できるだけ1月の前半に実施できればよいと考えておりますので、この後、日程照会をさせていただきたいと思います。
 第8回においては、最終まとめに向けた骨子を議論をさせていただき、今までの集大成的な議論をすると。その上で2月頃に第9回ということで最終まとめをさせていただければと思います。
 以上です。
 連絡事項ですが、今回説明した内容等について不明な点等がございましたら、事務局まで御連絡をいただければと思います。机上ファイルにつきましては、このまま置いていただければと思いますし、必要がございましたら、こちらのほうで写しを用意し、別途郵送とさせていただきます。
 それでは、本日の議事はこれまでとさせていただきます。委員の皆様につきましては、長時間にわたり、誠にありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。
【村井委員】  下山先生、ちょっとよろしいですか。
【下山座長】  はい。
【村井委員】  終わった後で申しわけないんですけれども、今ここで議論じゃないんですけれども、学校安全という観点から、災害時の対応、そういったことも少し事務局のほうで書き込んでいただければと思います。もちろんこれは医療的ケアの必要な子供たちだけではないんですが、ぜひそれをお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
【下山座長】  いかがですか。
【樫原企画官】  はい。事務局として、この点も含めて次回までに資料を用意させていただきます。
【下山座長】  災害時の医療的ケアは、二つの大きな災害を経て、いろいろな経験もありますので、そういうことについては、私からも情報提供して書き込んでもらうようにいたします。よろしくお願いします。
 皆さん、ありがとうございました。御苦労さまでした。

―― 了 ――

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