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特別支援教育について

文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針の策定について

27文科初第1058号
                                                       平成27年11月26日

各都道府県教育委員会教育長 
各指定都市教育委員会教育長 
各都道府県知事 
附属学校を置く各国立大学法人学長   
小中高等学校を設置する学校設置会社を   殿
所轄する構造改革特別区域法第12条
第1項の認定を受けた各地方公共団体の長
独立行政法人国立特別支援教育総合研究所理事長
独立行政法人教員研修センター理事長

文部科学省生涯学習政策局長
河村 潤子
(印影印刷)
文部科学省初等中等教育局長
小松 親次郎

 

文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針について(通知)

 

 このたび,「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(平成25年法律第65号。以下「法」という。)附則第5条第1項の規定に基づき,同法第11条の規定の例により,「文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」(平成27年文部科学省告示第180号。以下「本指針」という。)【別添1】を策定し,平成28年4月1日から適用することとしました。
本指針の初等中等教育分野,専修学校及び各種学校,社会教育分野に関する概要及び留意事項については,下記のとおりです。
初等中等教育分野においては,学校法人,構造改革特別区域法第12条第1項に規定する学校設置会社,学校教育法(昭和28年政令第340号)附則第6条の規定により幼稚園を設置する法人及び個人(以下「学校法人等」という。)の事業者が本指針の対象となることから,都道府県知事及び小中高等学校を設置する学校設置会社を所轄する構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長におかれては,所管の学校法人等に対して,下記について周知を図るとともに,必要な指導,助言又は援助をお願いします。
私立の専修学校及び各種学校を設置する事業者についても本指針の対象となることから,各都道府県におかれては,所管の専修学校及び各種学校に対して,下記について周知を図るとともに,必要な指導,助言又は援助をお願いします。
さらに,社会教育分野においては,私立の社会教育施設や社会教育関係団体が本指針の対象となることから,域内の私立の社会教育施設や社会教育関係団体に対して,特に別紙1を参照の上,適切に対応がなされるよう,下記について周知を図るとともに,必要な指導又は助言をお願いします。
各教育委員会及び公立学校,国公立の専修学校及び各種学校,公立の社会教育施設は本指針の直接の対象ではありませんが,都道府県教育委員会及び国立大学法人におかれては,所管の学校(専修学校及び各種学校を含む。),社会教育施設及び域内の市(特別区を含む。以下同じ。)町村教育委員会が法に適切に対応するための参考となるよう,下記について周知を図るとともに,今後,法第10条第1項の規定に基づき,職員が適切に対応するために必要な要領(以下「都道府県対応要領」という。)を策定する際には,本指針及び法第9条第1項に基づいて文部科学省が策定する対応要領(以下「文部科学省対応要領」という。)も参照ください。また,域内の市町村教育委員会が法第10条第1項の規定に基づく要領(以下「市町村対応要領」という。)を策定する際には,必要な指導,助言又は援助をお願いします。
  なお,文部科学省対応要領については,策定後,別途通知する予定です。
  


 

1 本指針の概要
第1 趣旨
1 法の制定の経緯
法は,障害者基本法(昭和45年法律第84号)の差別の禁止の基本原則を具体化するものであり,全ての国民が,障害の有無によって分け隔てられることなく,相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け,障害者差別の解消を推進することを目的とすること。


2 法の基本的な考え方
(1) 法の対象となる障害者は,障害者基本法第2条第1号に規定する障害者,すなわち,身体障害,知的障害,精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって,障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものであり,いわゆる障害者手帳の所持者に限られないこと。難病に起因する障害は心身の機能の障害に含まれ,高次脳機能障害は精神障害に含まれること。


(2) 法は,日常生活及び社会生活全般に係る分野を広く対象としていること。ただし,事業者が事業主としての立場で労働者に対して行う障害を理由とする差別を解消するための措置については,障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)の定めるところによることから,対応指針の対象外となること。なお,同法において,雇用の分野における障害者に対する差別の禁止及び障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するための措置(合理的配慮の提供義務)が定められたことを認識し,厚生労働大臣が定める各指針を踏まえて適切に対処することが求められることに留意すること。


3 本指針の位置付け
本指針は,法第11条第1項の規定に基づき,また,障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(平成27年2月24日閣議決定。以下「基本方針」という。)【別添2】に即して,法第8条に規定する事項に関し,文部科学省が所管する分野における事業者(以下「関係事業者」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めたものであること。
事業者とは,商業その他の事業を行う者(国,独立行政法人等,地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。),すなわち,目的の営利・非営利,個人・法人の別を問わず,同種の行為を反復継続する意思をもって行う者であり,個人事業者や対価を得ない無報酬の事業を行う者,学校法人,宗教法人,非営利事業を行う社会福祉法人及び特定非営利活動法人を含むこと。


4 留意点
本指針で「望ましい」と記載している内容は,関係事業者がそれに従わない場合であっても,法に反すると判断されることはないが,障害者基本法の基本的な理念及び法の目的を踏まえ,できるだけ取り組むことが望まれることを意味すること。
関係事業者における取組は,本指針を参考にして自主的に行われることが期待されるが,関係事業者が法に反した取扱いを繰り返し,自主的な改善を期待することが困難である場合などは,法第12条の規定により,文部科学大臣は,特に必要があると認められるときは,関係事業者に対し,報告を求め,又は助言,指導若しくは勧告をすることができることとされていること。
こうした行政措置に至る事案を未然に防止するため,文部科学大臣は,関係事業者に対して,本指針に係る十分な情報提供を行うとともに,第5のとおり,相談窓口を設置すること。


第2 不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方
1 不当な差別的取扱い
(1) 不当な差別的取扱いの基本的な考え方
関係事業者は,その事業を行うに当たり,障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより,障害者の権利利益を侵害してはならないこと。
ア 法が禁止する障害者の権利利益の侵害とは,障害者に対して,正当な理由なく,障害を理由として,財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する,障害者でない者に対しては付さない条件を付すことなどによる権利利益の侵害であること。
  なお,障害者の事実上の平等を促進し,又は達成するために必要な特別の措置は,法第8条第1項に規定する不当な差別的取扱い(以下単に「不当な差別的取扱い」という。)ではないこと。
イ 障害者を障害者でない者より優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)や,後述する合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱い,合理的配慮を提供等するために必要な範囲で,プライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは,不当な差別的取扱いには当たらないこと。


(2) 正当な理由の判断の視点
正当な理由に相当するのは,その取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり,その目的に照らしてやむを得ない場合であること。関係事業者は,正当な理由に相当するか否かについて,個別の事案ごとに,障害者,関係事業者,第三者の権利利益の観点から,具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要であること。個別の事案ごとに具体的場面や状況に応じた検討を行うことなく,一般的・抽象的な理由に基づいて障害者を不利に扱うことは,法の趣旨を損なうため,適当ではないこと。
関係事業者は,個別の事案ごとに具体的な検討を行った上で正当な理由があると判断した場合には,障害者にその理由を説明するものとし,理解を得るよう努めることが望ましいこと。


(3) 不当な差別的取扱いの具体例
不当な差別的取扱いに当たり得る具体例は別紙1のとおりであること。
なお,不当な差別的取扱いに相当するか否かについては,個別の事案ごとに判断されることとなり,別紙1の具体例は,正当な理由が存在しないことを前提としていること,さらに,それらはあくまでも例示であり,記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する必要があること。


2 合理的配慮
(1) 合理的配慮の基本的な考え方
関係事業者は,その事業を行うに当たり,障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において,その実施に伴う負担が過重でないときは,障害者の権利利益を侵害することとならないよう,当該障害者の性別,年齢及び障害の状態に応じて,社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)をするように努めなければならないこと。
ア 合理的配慮は,事業者の事業の目的・内容・機能に照らし,必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること,障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること及び事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要があること。
イ 合理的配慮は,障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり,多様かつ個別性の高いものであり,当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ,社会的障壁の除去のための手段及び方法について,2(2)で示す過重な負担の基本的な考え方に掲げた要素を考慮し,代替措置の選択も含め,双方の建設的対話による相互理解を通じて,必要かつ合理的な範囲で,柔軟に対応がなされるものであること。
なお,合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合,障害者との関係性が長期にわたる場合等には,後述する環境の整備に取り組むことを積極的に検討することが望ましいこと。
ウ 意思の表明に当たっては,具体的場面において,社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか,障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段により伝えられ,本人の意思の表明が困難な場合には,コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含むこと。
なお,意思の表明が困難な障害者がコミュニケーションを支援する者を伴っておらず,本人の意思の表明も支援者が本人を補佐して行う意思の表明も困難であることなどにより,意思の表明がない場合であっても,当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には,法の趣旨に鑑み,当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど,自主的な取組に努めることが望ましいこと。
エ 合理的配慮は,事前に行われる建築物のバリアフリー化,介助者や日常生活・学習活動などの支援を行う支援員等の人的支援,情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として,個々の障害者に対して,その状況に応じて個別に実施される措置であり,各場面における環境の整備の状況により,合理的配慮の内容は異なることとなること。また,障害の状態等が変化することもあるため,特に,障害者との関係性が長期にわたる場合等には,提供する合理的配慮について,適宜,見直しを行うことが重要であること。
オ 介助者や支援員等の人的支援に関しては,障害者本人との人間関係や信頼関係の構築・維持が重要であるため,これらの関係も考慮した支援のための環境整備にも留意することが望ましいこと。また,支援機器の活用により,障害者と関係事業者双方の負担が軽減されることも多くあることから,支援機器の適切な活用についても配慮することが望ましいこと。
カ 同種の事業が行政機関等と事業者の双方で行われる場合には,事業の類似性を踏まえつつ,事業主体の違いも考慮した上での対応に努めることが望ましいこと。


(2) 過重な負担の基本的な考え方
過重な負担については,関係事業者において,個別の事案ごとに,以下の要素等を考慮し,具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要であること。個別の事案ごとに具体的場面や状況に応じた検討を行うことなく,一般的・抽象的な理由に基づいて過重な負担に当たると判断することは,法の趣旨を損なうため,適当ではないこと。過重な負担に当たると判断した場合には,障害者にその理由を説明するものとし,理解を得るよう努めることが望ましいこと。
1 事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か)
2 実現可能性の程度(物理的・技術的制約,人的・体制上の制約)
3 費用・負担の程度
4 事務・事業規模
5 財政・財務状況


(3) 合理的配慮の具体例
合理的配慮の具体例は別紙1のとおりであること。
掲載した具体例については,過重な負担が存在しないこと,事業者に強制する性格のものではないこと,さらに,これらはあくまでも例示であり,記載されている具体例に限られるものではないことに留意する必要があること。


第3 関係事業者における相談体制の整備
関係事業者においては,障害者,その家族その他の関係者からの相談等に的確に対応するため,既存の一般の利用者等からの相談窓口等の活用や窓口の開設により相談窓口を整備することが重要であること。また,ホームページ等を活用し,相談窓口等に関する情報を周知することや,障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段や情報提供手段を用意して対応することが望ましいこと。なお,ホームページによる周知に際しては,視覚障害者,聴覚障害者等の情報アクセシビリティに配慮することが望ましいこと。
また,実際の相談事例については,プライバシーに配慮しつつ順次蓄積し,以後の合理的配慮の提供等に活用することが望ましいこと。


第4 関係事業者における研修・啓発
    関係事業者は,障害者に対して適切に対応し,また,障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に対応するため,研修等を通じて,法の趣旨の普及を図るとともに,障害に関する理解の促進を図ることが重要であること。
特に学校教育分野においては,教職員の理解の在り方や指導の姿勢が幼児,児童,生徒及び学生(以下「児童生徒等」という。)に大きく影響することに十分留意し,児童生徒等の発達段階に応じた支援方法,外部からは気付きにくいこともある難病等をはじめとした病弱(身体虚弱を含む。),発達障害,高次脳機能障害等の理解,児童生徒等の間で不当な差別的取扱いが行われている場合の適切な対応方法等も含め,研修・啓発を行うことが望ましいこと。
研修・啓発においては,文部科学省や独立行政法人等が提供する各種情報を活用することが効果的であること。また,研修・啓発の内容によっては,医療,保健,福祉等の関係機関や障害者関係団体と連携して実施することも効果的であること。


第5 文部科学省所管事業分野に係る相談窓口
    生涯学習・社会教育分野 生涯学習政策局生涯学習推進課及び同局社会教育課
     初等中等教育分野 初等中等教育局特別支援教育課
     高等教育分野 高等教育局学生・留学生課
     科学技術・学術分野 科学技術・学術所管部局事業所管各課室
     スポーツ分野 スポーツ庁健康スポーツ課
     文化芸術分野 文化庁文化所管部局事業所管各課室


別紙1 不当な差別的取扱い,合理的配慮等の具体例
【別添1】のとおり。


別紙2 分野別の留意点
学校教育分野
1 総論
学校教育分野においては,障害者の権利に関する条約(以下「権利条約」という。)第24条,障害者基本法第4条第1項及び第16条第1項,教育基本法(平成18年法律第120号)第4条第2項等の規定も踏まえて,既に取組が進められており,合理的配慮等の考え方も,中央教育審議会初等中等教育分科会が平成24年7月に取りまとめた「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」(以下「報告」という。)等により示されていること。専修学校及び各種学校を設置する事業者においては,後述する教育段階の留意点を参考として対応することが望ましいこと。


2 初等中等教育段階
(1) 合理的配慮に関する留意点
障害のある幼児,児童及び生徒に対する合理的配慮の提供については,中央教育審議会初等中等教育分科会の報告に示された合理的配慮の考え方を踏まえて対応することが適当であり,主として以下の点に留意すること。
ア 合理的配慮の合意形成に当たっては,権利条約第24条第1項にある,人間の多様性の尊重等の強化,障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ,自由な社会に効果的に参加することを可能とするといった目的に合致するかどうかの観点から検討が行われることが重要であること。
イ 合理的配慮は,一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等に応じ,設置者・学校及び本人・保護者により,発達の段階を考慮しつつ合意形成を図った上で提供されることが望ましく,その内容を個別の教育支援計画に明記することが重要であること。
ウ 合理的配慮の合意形成後も,幼児,児童及び生徒一人一人の発達の程度,適応の状況等を勘案しながら柔軟に見直しができることを共通理解とすることが重要であること。
エ 合理的配慮は,障害者がその能力を可能な最大限度まで発達させ,自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下,障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであるインクルーシブ教育システムの理念に照らし,その障害のある幼児,児童及び生徒が十分な教育が受けられるために提供できているかという観点から評価することが重要であること。例えば,個別の教育支援計画や個別の指導計画について,各学校において計画に基づき実行した結果を評価して定期的に見直すなど,PDCAサイクルを確立させていくことが重要であること。
オ 進学等の移行時においても途切れることのない一貫した支援を提供するため,個別の教育支援計画の引継ぎ,学校間や関係機関も含めた情報交換等により,合理的配慮の引継ぎを行うことが必要であること。

なお,学校教育分野において,障害のある幼児,児童及び生徒の将来的な自立と社会参加を見据えた障害の早期発見・早期支援の必要性及びインクルーシブ教育システムの理念に鑑み,幼児教育段階や小学校入学時点において,意思の表明の有無に関わらず,幼児及び児童に対して適切と思われる支援を検討するため,幼児及び児童の障害の状態等の把握に努めることが望ましいこと。具体的には,保護者と連携し,プライバシーにも留意しつつ,地方公共団体が実施する乳幼児健診の結果や就学前の療育の状況,就学相談の内容を参考とすること,後述する校内委員会において幼児及び児童の支援のニーズ等に関する実態把握を適切に行うこと等が考えられること。


(2) 合理的配慮の具体例
別紙1のほか,報告において整理された合理的配慮の観点や障害種別の例及び独立行政法人国立特別支援教育総合研究所が運営する「インクルーシブ教育システム構築支援データベース」や「特別支援教育教材ポータルサイト」も参考とすることが効果的であること。
なお,これらに示されているもの以外は提供する必要がないということではなく,一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等に応じて決定されることが望ましいこと。


(3) 相談体制の整備に関する留意点
学校の校長(園長を含む。以下同じ。)は,特別支援教育の実施の責任者として,自らが特別支援教育や障害に関する認識を深めるとともに,リーダーシップを発揮しつつ,特別支援学校のセンター的機能等も活用しながら,次の体制の整備を行い,組織として十分に機能するよう教職員を指導することが重要であること。
ア 特別支援教育コーディネーターの指名
各学校の校長は,各学校における特別支援教育の推進のため,主に,後述する校内委員会や校内研修の企画・運営,関係諸機関や関係する学校との連絡・調整,保護者からの相談窓口などの役割を担う教員を「特別支援教育コーディネーター」に指名し,校務分掌に明確に位置付けること。
また,校長は,特別支援教育コーディネーターが合理的配慮の合意形成,提供,評価,引継ぎ等の一連の過程において重要な役割を担うことに十分留意し,学校において組織的に機能するよう努めること。
イ 特別支援教育に関する校内委員会の設置
各学校においては,校長のリーダーシップの下,全校的な支援体制を確立し,障害のある又はその可能性があり特別な支援を必要としている幼児,児童及び生徒の実態把握や支援方策の検討等を行うため,校内に特別支援教育に関する校内委員会を設置すること。
校内委員会は,校長,教頭,特別支援教育コーディネーター,教務主任,生徒指導主事,通級による指導担当教員,特別支援学級担当教員,養護教諭,対象の幼児,児童及び生徒の学級担任,学年主任,その他必要と認められる者などで構成すること。

学校においては,幼児,児童及び生徒・保護者等からの相談及び現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明を受けた学級担任や特別支援教育コーディネーター等と本人・保護者との対話による合意形成が困難である場合には,校内委員会を含む校内体制への接続が確実に行われるようにし,校長のリーダーシップの下,合意形成に向けた検討を組織的に行うことが必要であること。
このような校内体制を用いてもなお合意形成が難しい場合は,設置者である学校法人等が,法的知見を有する専門家等の助言を得るなどしつつ,法の趣旨に即して適切に対応することが必要であること。


(4) 研修・啓発に関する留意点
基本方針は,地域住民等に対する啓発活動として,「障害者差別が,本人のみならず,その家族等にも深い影響を及ぼすことを,国民一人ひとりが認識するとともに,法の趣旨について理解を深めることが不可欠であり,また,障害者からの働きかけによる建設的対話を通じた相互理解が促進されるよう,障害者も含め,広く周知・啓発を行うことが重要である」としていること。
この周知・啓発において学校教育が果たす役割は大きく,例えば,交流及び共同学習は,障害のない幼児,児童及び生徒が障害のある幼児,児童及び生徒と特別支援教育に対する正しい理解と認識を深めるための絶好の機会であり,同じ社会に生きる人間として,お互いを正しく理解し,共に助け合い,支え合って生きていくことの大切さを学ぶ場であること。また,障害のある幼児,児童及び生徒の保護者,障害のない幼児,児童及び生徒の保護者ともに,このような学校教育に関わることにより,障害者に対する理解を深めていくことができること。
学校においては,学校教育が担う重要な役割を認識し,幼児,児童及び生徒の指導や保護者との連絡に携わる教職員一人一人が,研修等を通じて,法の趣旨を理解するとともに,障害に関する理解を深めることが重要であること。       

 

3 高等教育段階
(1) 合理的配慮に関する留意点
障害のある学生に対する合理的配慮の提供については,大学等(大学及び高等専門学校をいう。以下同じ。)が個々の学生の状態・特性等に応じて提供するものであり,多様かつ個別性が高いものである。合理的配慮を提供するに当たり,大学等が指針とすべき考え方を項目別に以下のように整理した。ここで示すもの以外は合理的配慮として提供する必要がないというものではなく,個々の学生の障害の状態・特性や教育的ニーズ等に応じて配慮されることが望まれること。
1 機会の確保:障害を理由に修学を断念することがないよう,修学機会を確保すること,また,高い教養と専門的能力を培えるよう,教育の質を維持すること。
2 情報公開:障害のある大学進学希望者や学内の障害のある学生に対し,大学等全体としての受入れ姿勢・方針を示すこと。
3 決定過程:権利の主体が学生本人にあることを踏まえ,学生本人の要望に基づいた調整を行うこと。
4 教育方法等:情報保障,コミュニケーション上の配慮,公平な試験,成績評価などにおける配慮を行うこと。
5 支援体制:大学等全体として専門性のある支援体制の確保に努めること。
6 施設・設備:安全かつ円滑に学生生活を送れるよう,バリアフリー化に配慮すること。


(2) 合理的配慮の具体例
別紙1のほか,独立行政法人日本学生支援機構が作成する「大学等における障害のある学生への支援・配慮事例」や「教職員のための障害学生修学支援ガイド」も参考とすることが効果的であること。
なお,これらに示されているもの以外は提供する必要がないということではなく,一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等に応じて決定されることが望ましいこと。

 

(3) 相談体制の整備に関する留意点
大学等の学長(校長を含む。以下同じ。)は,リーダーシップを発揮し,大学等全体として,学生から相談を受けた時の体制整備を含む次のような支援体制を確保することが重要であること。
ア 担当部署の設置及び適切な人的配置
支援体制を整備するに当たり,必要に応じ,障害のある学生の支援を専門に行う担当部署の設置及び適切な人的配置(専門性のある専任教職員,コーディネーター,相談員,手話通訳等の専門技術を有する支援者等)を行うほか,学内(学生相談に関する部署・施設,保健管理に関する部署・施設,学習支援に関する部署・施設,障害に関する様々な専門性を持つ教職員)との役割を明確にした上で,関係部署・施設との連携を図ること。
なお,障害のある学生の所属学部や学科,担当教職員により提供する支援の内容が著しく異なるなどの状況が発生した場合は,学長及び障害のある学生の支援を専門に行う担当部署を中心に,これらの事案の内容を十分に確認した上で,必要な調整を図り,さらに再発防止のための措置を講じることが望ましいこと。
また,障害のある学生と大学等との間で提供する合理的配慮の内容の決定が困難な場合は,第三者的視点に立ち調整を行う組織が必要となるため,このような組織を学内に設置することが望ましいこと。
  これらの調整の結果,なお合意形成が難しい場合は,大学等の設置者である学校法人等が,法的知見を有する専門家等の助言を得るなどしつつ,法の趣旨に即して適切に対応することが必要であること。
イ 外部資源の活用
障害は多岐にわたり,各大学等内の資源のみでは十分な対応が困難な場合があることから,必要に応じ,学外(地方公共団体,NPO,他の大学等,特別支援学校など)の教育資源の活用や障害者関係団体,医療,福祉,労働関係機関等との連携についても検討すること。
ウ 周囲の学生の支援者としての活用
障害のある学生の日常的な支援には,多数の人材が必要となる場合が多いことから,周囲の学生を支援者として活用することも一つの方法であること。
  一方で,これらの学生の支援者としての活用に当たっては,一部の学生に過度な負担が掛かることや支援に携わる学生と障害のある学生の人間関係に問題が生じる場合があることから,これらに十分留意するとともに,障害の知識や対応方法,守秘義務の徹底等,事前に十分な研修を行い,支援の質を担保した上で実施することが重要であること。


(4) 学生・教職員の理解促進・意識啓発を図るための配慮
障害のある学生からの様々な相談は,必ずしも担当部署に対して行われるとは限らず,障害のある学生の身近にいる学生や教職員に対して行われることも多いと考えられる。それらに適切に対応するためには,障害により日常生活や学習場面において様々な困難が生じることについて,周囲の学生や教職員が理解していることが望ましく,その理解促進・意識啓発を図ることが重要であること。

 

(5) 情報公開
各大学等は,障害のある大学進学希望者や学内の障害のある学生に対し,大学等全体としての受入れ姿勢・方針を明確に示すことが重要であること。
また,各大学等が明確にすべき受入れ姿勢・方針は,入学試験における障害のある受験者への配慮の内容,大学構内のバリアフリーの状況,入学後の支援内容・支援体制(支援に関する窓口の設置状況,授業や試験等における支援体制,教材の保障等),受入れ実績(入学者数,在学者数,卒業・修了者数,就職者数等)など,可能な限り具体的に明示することが望ましく,それらの情報をホームページ等に掲載するなど,広く情報を公開することが重要であること。なお,ホームページ等に掲載する情報は,障害のある者が利用できるように情報アクセシビリティに配慮することが望まれること。


2 留意事項
第1 学校法人等における対応の留意事項
本指針における関係事業者に当たる学校法人等は,次の点に留意しつつ,法に適切に対応することが必要であること。
(1) 特別支援教育の理念
全ての学校において,障害のある幼児,児童及び生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち,一人一人の教育的ニーズを把握し,その持てる力を高め,生活や学習上の困難を改善又は克服するため,適切な指導及び必要な支援を行うこと。
さらに,特別支援教育は,障害のある幼児,児童及び生徒への教育にとどまらず,障害の有無やその他の個々の違いを認識しつつ様々な人々が生き生きと活躍できる共生社会の形成の基礎となるものであり,我が国の現在および将来の社会にとって重要な意味を持っていること。


(2) 合理的配慮の提供(本指針第2の2及び別紙2「学校教育分野」の2(1))
ア 対話による合意形成
合理的配慮は,一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等に応じ,学校法人等及び本人・保護者により,発達の段階を考慮しつつ合意形成を図った上で提供すること。
学校法人等は,本人・保護者から,学校教育を受けるために個別の変更・調整を必要としている旨の意思の表明があった場合において,均衡を失した又は過度の負担を課すものであると判断した場合には,本人・保護者に分かりやすく説明し,実現可能な代替措置を提案するなど,合意形成のための対話の場を設けること。対話においては,現在必要とされている変更・調整は何か,何を優先して提供する必要があるかなどについて共通理解を図ること。
イ 個別の教育支援計画への明記
合意された合理的配慮の内容は,個別の教育支援計画に明記し,当該幼児,児童及び生徒に関わる教職員,特別支援教育支援員,関係機関の職員等がプライバシーに配慮しつつ情報を共有すること。また,進学等の移行期の引継ぎにより,一貫した組織的な支援が行われるようにすること。
ウ 合理的配慮の柔軟な見直し
合理的配慮は,その障害のある子供が十分な教育が受けられるために提供できているかという観点から評価することが重要であり,合理的配慮の合意形成後も,幼児,児童及び生徒一人一人の発達の程度,適応の状況等を勘案しながら,合理的配慮の内容を柔軟に見直すことができることを,学校法人等及び本人・保護者との間で共通理解とすること。
エ 公立学校の事例の活用
本指針は,「同種の事業が行政機関等と事業者の双方で行われる場合は,事業の類似性を踏まえつつ,事業主体の違いも考慮した上での対応に努めることが望ましい」(第2の2(1)カ)としており,学校法人等においては,公立学校の合理的配慮の提供例を参考とし,過重な負担とならない範囲で,同様の対応に努めることが望ましいこと。その際,独立行政法人国立特別支援教育総合研究所が運営する「インクルーシブ教育システム構築支援データベース」の活用が有効であること。


(3) 相談体制の整備(本指針第3及び別紙2「学校教育分野」の2(3))
学校の校長は,特別支援教育コーディネーターの指名,特別支援教育に関する校内委員会の設置を一層徹底し,本人・保護者からの相談に組織的かつ迅速に対応する体制を整備すること。
各学校の設置者は,各学校における必要な環境の整備に努めると共に,このような校内体制を用いてもなお合意形成が難しい場合は,法的知見を有する専門家等の助言を得るなどしつつ,法の趣旨に即して適切に対応すること。
学校法人等においては,相談窓口や相談を受け付けた後の手続の流れについて,あらかじめ周知し,本人・保護者が相談体制を利用しやすい環境作りに努めること。

 

第2 教育委員会等における対応
教育委員会及びその設置する学校(以下「教育委員会等」という。)においては,法に適切に対応するに当たり,「第1 学校法人等における対応の留意事項」の各項目((2)エを除く。)にも十分留意すること。さらに,公的な教育を担う機関として,次の点にも留意すること。
(1) 公的な教育機関としての責任
学校は,合理的配慮の提供者であることに加え,障害のある幼児,児童及び生徒が社会に参加していくに当たり,適切な「意思の表明」ができるよう,必要な支援を自分で選択し,他者に伝える力を身に付けるための教育を担う機関でもある。全ての教育委員会等において,公的な教育機関としての役割の重要性とその責任を十分認識し,特別支援教育の推進に努めること。


(2) 研修・啓発の推進
法の施行を契機として,従来から取り組みが進められている教員の専門性の向上に加え,全ての教職員が,法の趣旨を理解し,適切に対応できるようにするための研修・啓発を行うこと。研修等の実施に当たっては,国・私立学校関係者や保育所関係者も受講できるようにすることが望ましいこと。


(3) 事例の蓄積と共有
教育委員会においては,合理的配慮の好事例や相談事例を,各学校の個別の経験知にとどめることなく,順次蓄積し広く共有することにより,地方公共団体全体としての対応の水準を高めるよう努めること。事例の蓄積と共有に当たっては,「インクルーシブ教育システム構築支援データベース」を運営する独立行政法人国立特別支援教育総合研究所の要請に応じて連携することが望ましいこと。


(4) 学校教育に係る都道府県対応要領及び市町村対応要領の作成
学校教育分野は,障害者との関係性が長期にわたるなど,固有の特徴を有することから,各教育委員会においては,法に適切に対応するため,学校教育に係る都道府県対応要領及び市町村対応要領又はこれらに類するガイドラインを作成するよう努めること。これから作成に着手する教育委員会においては,本指針及び文部科学省対応要領も参考としつつ,地域の実態に応じた内容とすることが望ましいこと。
作成した都道府県対応要領等は,法第10条第3項の規定に基づき,本人・保護者その他関係者の閲覧に供するため,公表するよう努めること。

 

(参考:関係資料の掲載URL)
○「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」
     http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/houkoku/1321667.htm
○「インクルーシブ教育システム構築支援データベース」
     http://inclusive.nise.go.jp/
○「特別支援教育教材ポータルサイト」
http://kyozai.nise.go.jp/

 

  【本件連絡先】
<初等中等教育分野について>
  文部科学省初等中等教育局
  特別支援教育課企画調査係,合理的配慮推進係
  電話:03-5253-4111(内線)3193・3192
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障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律等

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-- 登録:平成27年11月 --