特別支援教育について

特別支援教育総合推進事業 委託要項

1.趣旨

 特別支援教育は、障害のある幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導や必要な支援を行うものである。平成19年度の改正学校教育法の施行により、全国の幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校において、支援体制の整備を継続して行っていくことが必要となっている。
 特に、「発達障害者支援法」(平成16年12年10日法律167号)の規定等に基づき、高等学校や中等教育学校(以下「高等学校等」という。)において、発達障害により学習や生活の面で特別な教育的支援を必要としている生徒に対して適切な指導及び必要な支援を行うことは喫緊の課題である。
 一方で、特別支援学校における児童生徒等の障害の重度・重複化、多様化や、すべての学校において障害のある児童生徒等に対する適切な指導・支援が求められていることへの対応のほか、「障害者の権利に関する条約」においても、障害者を包容する教育制度を確保することが求められている。
 これらの諸課題への対応や改訂された教育要領・学習指導要領の趣旨を踏まえ、自立と社会参加に向けた指導・支援の充実・改善を図るための実践研究を実施し、その成果を普及することが必要である。
 本事業は、このような状況の下、すべての障害のある幼児児童生徒に対する特別支援教育を総合的に推進するために、支援体制の整備や実践研究の実施、成果の普及を総合的に行うことを目的とした、全都道府県において行われるべき特別支援教育の基幹事業である。 

2.委託事業の内容

 地域や学校の実態等に応じて、次の事業内容を実施する。

(1)都道府県及び市町村教育委員会等を対象とした特別支援教育体制整備事業

  1. 特別支援教育の体制整備の推進
  2. 高等学校における発達障害のある生徒への支援

(2)特別支援学校等を対象とした実践研究・成果普及事業

  1. 特別支援学校と小・中学校との交流及び共同学習の推進
  2. 特別支援教育に関する教育課程の編成等についての実践研究
  3. 自閉症に対応した教育課程の編成等についての実践研究 

3.事業の委託先

 文部科学省は、事業の実施を原則として都道府県教育委員会、附属学校を設置する国立大学法人又は私立学校を設置する学校法人に委託する。ただし、上記2に示した事業内容のうち(1)1については、国立大学法人及び学校法人は委託の対象外とする。

4.委託事業の実施方法

(1)実施事業内容の決定及び地域の指定

 委託を受けた都道府県教育委員会等は、委託事業のうち実施する事業内容を決定し、事業を実施する地域及び学校を指定する。

(2)「特別支援教育総合推進事業運営協議会」の設置

 委託を受けた都道府県教育委員会、国立大学法人又は学校法人等(以下、「受託団体」という。)は、学校関係者、学識経験者、関係機関職員等の関係者からなる「特別支援教育総合推進事業運営協議会」を各事業内容ごとに設置し、事業の具体的な計画の策定、運営についての指導・助言、研究結果の分析等に当たらせることが望ましい。なお、本運営協議会については、複数の事業内容をまとめて実施することも可能とする。
 また、本運営協議会の設置に当たっては、必要に応じて厚生労働省の障害者関連事業との連携協働を考慮すること。

(3)連絡協議会の開催

 文部科学省は、体制整備及び実践研究の推進に資するため、受託団体の担当者及び指定校の代表者等による連絡協議会を東京において開催する。

(4)各取組の詳細な内容

 上記2に示した各事業内容の詳細については、公募要領に別途定めることとする。

 5.委託期間

 本事業の委託期間は、原則として委託を受けた日から当該年度の3月末日までとする(契約期間は原則として当該年度末までとするが、上記2に示した事業内容(1)の1以外の事業内容については1回に限り契約更新の予定。2年目の契約については、2年目の事業実施計画書の内容を審査し、予算の状況等を踏まえ委託を継続することが適切であると認めた場合、当該委託の継続を決定し、  2年目の契約を締結するものとする。)。

 6.委託手続

(1)委託を受けようとする都道府県教育委員会、国立大学法人又は学校法人等は、2に示した事業内容ごとに定める事業実施計画書等を文部科学省に提出すること。

(2)文部科学省は、上記により提出された事業実施計画書等の内容を審査し、適切であると認めた場合、都道府県教育委員会、国立大学法人又は学校法人等に対し事業を委託する。

7.委託経費

(1)文部科学省は、予算の範囲内で当該事業の実施に必要な経費(諸謝金、旅費、借損料、印刷製本費、消耗品費、図書購入費、会議費、通信運搬費、賃金、雑役務費、保険料、再委託費、消費税相当額)を委託費として支出する。

(2)文部科学省は、委託費を、額の確定後、受託団体の請求により支払うものとする。ただし、受託団体が事業の完了前に必要な経費の支払を受けようとし、文部科学省が必要であると認めるときは、委託契約額の全部又は一部を概算払するものとする。

(3)受託団体は契約締結及び支払を行う場合には、国の契約締結及び支払に関する規定の趣旨に従い、経費の効率的な使用に努めること。

(4)受託団体は契約締結後、事業の実施過程において、事業実施計画書について変更する必要があるときは、速やかに文部科学省に報告し、その指示を受けるものとする。ただし、経費区分間の流用で経費区分間で増減する額が委託費の総額の20%を超えない場合については、この限りではない。

(5)受託団体は、委託費の収入及び支出に当たっては、他の経費と区分して帳簿を備え、領収書等関係書類を整理し、経理の状況を明らかにしておくものとし、事業を実施した翌年度から5年間保存する。

(6)文部科学省は、受託団体が当該委託要項、委託契約書又は委託事業事務処理要領に違反したとき、実施に当たり不正若しくは不当な行為をしたとき、又は委託事業の遂行が困難であると認めたときは、委託契約を解除し、経費の全部又は一部について返還を命じることができる。    

 8.再委託

 本事業の全部を第三者に委託(以下、「再委託」という。)することはできない。ただし、本事業のうち、再委託することが事業を実施する上で合理的であると文部科学省が認めるものについては、本事業の一部を再委託することができる。

 9.事業完了(廃止等)の報告

(1)受託団体は、本事業が完了したとき、廃止又は中止(以下、「廃止等」という。)の承認を受けたときは、完了した日から30日を経過した日、又は3月31日のいずれか早い日までに委託事業完了(廃止等)報告書及び支出を証する書類の写を文部科学省に提出するものとする。

(2)文部科学省は、事業の成果普及等のため、上記(1)で定める委託事業完了(廃止等)報告書のほか、事業における取組について事例の提供や、成果の報告等を求めることができる。

 10.委託費の額の確定

(1)文部科学省は、上記9(1)により提出された委託事業完了(廃止等)報告書について、検査及び必要に応じて現地検査を行い、その内容が適正であると認めたときは、委託費の額を確定し、受託団体に対して通知するものとする。

(2)上記(1)の確定額は、事業に要した実支出額又は委託契約額のいずれか低い額とする。

11.その他

(1)文部科学省は、受託団体による本事業の実施が当該趣旨に反すると認められるときは、必要な是正措置を講ずるよう求めることができる。

(2)文部科学省は、委託業務の実施に当たり、受託団体の求めに応じて指導・助言を行うとともに、その効果的な運営を図るために協力する。

(3)文部科学省は、必要に応じ、この実施事業及び経理処理状況について、実態調査を行うことができる。    

(4)本事業の実施に伴い発生した著作権(著作権法(昭和45年法律第48号)第21条から第28条までに規定するすべての権利を含む。)については、原則として文部科学省に帰属させるものとする。ただし、これに拠らない場合は、別途文部科学省と協議すること。

(5)この要項に定めるもののほか、本事業の実施に当たり必要な事項については別に定める。

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)

-- 登録:平成23年11月 --