自然科学分野(ユネスコ自然科学局)では、加盟国や多様なパートナーとの密接な協力を通じて、平和、持続可能な発展及び人間の安全保障・幸福に貢献するため、科学の推進を行っています。ユネスコは国際連合のなかで、唯一、「科学」に関する権能をもつ機関です。
1945年の設立以来、CERN(欧州合同素粒子原子核研究機構)をはじめとした、多くの科学組織の確立を促してきました。また、「人間と生物圏保存計画」、「国際水文学計画」(2019年からは政府間水文学計画)、「政府間海洋学委員会」など、ユネスコ設立後最初の10年で構築したこれらの組織にも象徴されるように、ユネスコは持続性をもって人間の安全保障と幸福を保つためのイニシアチブを発揮してきています。
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ユネスコ自然科学局では、次の役割・機能を担っています。 |
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- 科学における国際協力の促進
- 科学研究者と政策立案者の対話の促進
- 科学分野における能力開発
- 科学の擁護
- アイデアの共有及び基準づくりのためのプラットフォームの提供
- 世界を通じて科学に関する事業・プロジェクトの実施
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ユネスコの自然科学事業では、淡水、海洋、生態学、地球科学、基礎科学の分野で主要な国際協力事業を実施しています。国レベルやセクター(分野)レベルにおける科学政策が、ユネスコの主要な科学事業の一部になります。発展途上国、特にアフリカに対する支援や、科学分野におけるジェンダーバランスの確保が重点事項になっています。横断的テーマとして、島嶼国における、自然災害への対応(減災)、生物多様性、工学、科学教育、気候変動、持続可能な発展などの取組みが挙げられます。
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○主な事業
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- 政府間水文学計画(Intergovernmental Hydrological Programme: IHP)
- 人間と生物圏保存計画(Man and the Biosphere Programme: MAB)
- 国際地質学・ジオパーク計画(International Geoscience and Geoparks Programme: IGGP)
- 国際基礎科学計画(International Basic Sciences Programme: IBSP)
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海洋学分野については、ユネスコの下に、独立した権能を持つ、「政府間海洋学委員会(Intergovernmental Oceanographic Commission:IOC-UNESCO)」が設置されています。 |
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○ユネスコの自然科学局の部署 |
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- 科学政策・能力開発部(SC/PCB)
- 環境科学・生態学部(SC/EES)
- 水科学部(SC/HYD)
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©UNESCO/Inez Forbes
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○ユネスコの自然科学分野にかかわる関係機関 |
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- ユネスコIHP・水教育研究所(UNESCO-IHP Institute for Water Education)【オランダ】
- 国際理論物理学センター(Abdus Salam International Centre for Theoretical Physics:ICTP)【イタリア】
- ユネスコ統計研究所(UNESCO Institute for Statistics)【カナダ】
- 50のセンター(淡水、再生可能なエネルギー、科学政策、バイオテクノロジー、地質科学、基礎科学、リモートセンシングの分野)のネットワーク
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©UNESCO/Marta Banucci
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○自然科学分野にかかわるユニツイン/ユネスコチェア |
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○ユネスコの科学重点フィールドオフィス |
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ナイロビ(アフリカ地域)、ジャカルタ(アジア太平洋地域)、ベニス(欧州・北米地域)、カイロ(アラブ諸国)、モンテビデオ(ラテンアメリカ・カリブ海地域)
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©UNESCO/Michel Claude
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○自然科学分野における主要事項(2018年~2021年事業予算計画(39/C5)より) |
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1. |
科学の活用と持続可能な開発のための知識(基礎科学、技術・イノベーション(STI)) |
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- 包摂的科学技術イノベーション(STI)にかかる政策・知識の仕組み構築に関する能力の強化
- STIにおける精算・普及・応用に関する組織力・能力の強化
- 島嶼国、ローカルコミュニティ等における能力開発
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2. |
自然資源、減災、気候変動に関する持続的マネジメントのための科学の進展 |
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- SDGsに関連した、地質的資源及びジオハザードのリスクに関する管理能力の増強
- 生物多様性及び気候変動に対するレジリエンスに関したSDGs達成に向けて、自然資源の管理能力の増強
- 学習サイトとしてのユネスコ登録事業の推進
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3.
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水の安全確保のためのあらゆるレベルにおける知識の向上と能力強化
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- 国際的な水の課題及びSDGs達成に向けた、水の安全確保への対応力の強化
- 科学協力を通じた水の安全に関する政策改善と能力開発
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©UNESCO/Dominique Roger |
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