参考2 持続可能な開発のための教育円卓会議(第1回)議事録

1. 日時

平成27年6月12日(金曜日)14時00分~16時13分

2. 場所

文部科学省13階 1会議室

3. 出席者

(委員)
及川幸彦(議長)、秋葉莉緒、池田三知子、今井清、岡本弥彦、小川雅由、加藤久雄、上條直美、川上千春、川嶋直、重政子、篠塚肇、柴尾智子、諏訪哲郎、竹本和彦、辰野まどか、棚橋乾、手島利夫、橋本博巳、安田昌則、安田充年

(環境省)
総合環境政策局長、総合環境政策局環境教育推進室長

(事務局)
山脇良雄日本ユネスコ国内委員会事務総長(文部科学省国際統括官)、
籾井圭子日本ユネスコ国内委員会事務次長(文部科学省国際統括官付国際戦略企画官)、その他関係官

4. 議事

【松木室長】
それでは、定刻になりましたので、ただいまから第1回ESD円卓会議を開始したいと思います。
本日は、ご多忙のところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
本円卓会議は、ESDに関するグローバル・アクション・プログラムを踏まえました持続可能な開発のための教育実施計画の作成及び実施など、今後のESD推進方策に関する意見交換を行うことを目的に開催するものでございます。本日、第1回を開催するということになります。
議長が決定するまで、事務局で司会進行を務めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
第1回の開催に当たり、まず事務局、山脇国際統括官から一言ご挨拶申し上げます。

【山脇統括官】
文部科学省の国際統括官を務めております山脇と申します。
本日は、お忙しい中、お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。
国連ESDの10年の終了後初の会となります。皆様のご熱意でうまく進めていきたいと考えております。
昨年11月には、愛知名古屋、そして岡山におきまして、ESDに関するユネスコ世界会議が開催され、「あいち・なごや宣言」が採択され、また、グローバル・アクション・プログラムも正式に発足するというような形で、ESDのさらなる普及となるための大きな発展があったというふうに思っています。また、あわせて開催されたフォローアップ会合におきましても、さまざまなステークホルダーの方々主体で、このイニシアチブを進めていくというようなことの重要性が確認されたというふうに思っています。さらに今年5月には、韓国仁川で世界教育フォーラムが開催され、「仁川宣言」が採択されましたけれども、その中でも、質の高い教育の保障に貢献するものとして、ESDの重要性が確認されたところであり、グローバル・アクション・プログラムの実行への強固な支援も表明されたということで、その重要性は仁川の会議でも確認されたというふうに思っております。
日本政府におきましても、昨年10月に、ESDに関する関係省庁連絡会議を行い、その決定を踏まえて、国内実施計画の見直し、それから国内におけるグローバル・アクション・プログラムの実施について、積極的に取り組んでいきたいというふうに考えています。
このESDを進めるに当たっては、言わずもがなでございますが、政府だけでは十分ではないということはご承知のとおりで、各ステークホルダーの皆様方の積極的な取組によって実現するものと思っています。事実、これまでこの10年間で、多種多様なESDの取組が生まれてきたと思います。
この円卓会議は、このようなESDの取組に関する経験・実績を踏まえて、今後のESDの推進に向けた方策について忌憚のないご意見を伺いたいという趣旨で設けられたものと思います。それを踏まえて、より具体的な推進方策の検討でありますとか、さらなるESDの推進・発展につなげてまいりたいと考えています。
この会議には、ESDを実践していくために欠くことのできない教育関係者、NGO・NPOの方々、ユースの代表の方々、また学識経験者、企業の代表の方々にもご参画をいただいております。政府としても、この円卓会議のご議論を踏まえて、一層ESDの推進に取り組んでまいりたいと思っておりますので、本日は忌憚のないご意見を賜ればありがたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。

【松木室長】
次に、環境省小林局長から一言お願いいたします。

【小林局長】
環境省総合環境政策局長の小林でございます。
今日は、この持続可能な開発に関わる教育の分野で、第一線でご活躍の皆様方に、円卓会議ということでご参集を賜りまして、誠にありがとうございます。
お隣の山脇国際統括官と連携をしまして、政府部内でぜひこの課題をしっかり位置づけ、盛り上げていきたいと考えているところでございます。
この間の経過、また今後の重要性については、今、山脇国際統括官からお話があったとおりでございますが、本日は、国内のESD実施計画の案について、ご議論いただくということであります。
昨年11月のユネスコの国際会議、皆様方のご尽力で大変大きな成功をおさめたわけでございますが、これを受けての重要な再スタートだというように考えているところでございます。
環境省におきましては、昨年来、有識者の懇談会なども設けまして、また文部科学省、あるいはここにいらっしゃる有識者の方にも、いろいろご支援・ご助言をいただいて、ESDの10年後のESD推進方策、どうしていくかというようなことをいろいろ議論してきております。その中で、今後のさらなる発展のために、人材の育成、それから教育プログラムの開発・整備、また連携・支援対策の整備の3本柱を推進していくということで、今、その具体化に努めているところでございます。
中でも、地域と地域をつなぎ、また、さまざまな主体が参画できるような、全国的なネットワーク機能の体制整備を行うことが重要だというような強いご指摘もありました。この点につきましても、現在、構想の具体化に向けて、文部科学省、あるいは関係の方と話し合いを行っているところでございます。
環境行政上、あるいは今政府の政策で重要な点について若干触れさせていただきますと、環境の世界では、国連の今年の秋の総会で、持続可能な発展に向けてのSDGsという今後の大きな方針が示されると。この中には教育というものも位置づけられる見通しでございますが、そういう重要な年に当たっております。また、さまざまな環境上の課題がございますが、特に地球温暖化という、多くの方が結集しないと対応できないような問題についても、大変重要な年を迎えるというようなことでございます。また、政府全体では、少子高齢化というような中で、地域が持続的な形でそれを乗り越えて、災害にも強い、あるいは活性化も図れるような、地域創成というものを図っていくというようなこともございます。
こういった課題全てにわたりまして、やはり人材教育あるいは人づくりというものが大変重要でありますし、いろんなステークホルダーの協力というものも欠かせないところでございまして、そういう中で、この円卓会議、またESDが果たしていく役割というのは、ますます大きなものがあるというように考えているところでございます。これまで以上に、文部科学省を初めとする関係省庁と政府内では連携をし、また多くのこの場の皆様方ともしっかりタッグを組みまして、ESDの推進に向けて努めてまいりたいと思っております。
どうぞ諸先生方のますますのご指導・ご尽力をお願いいたしまして、ご挨拶といたします。ありがとうございました。

【松木室長】
ありがとうございます。
続きまして、配付資料の確認をしたいと思います。
まず、座席表と議事次第がございます。それから、資料1、我が国における「持続可能な開発のための教育に関するグローバル・アクション・プログラム実施計画」(案)。それから、資料2でございますが、ESD国内実施計画スケジュール(案)、これは1枚物でございます。それから、参考1、持続可能な開発のための教育円卓会議の開催について。これは2枚物でございます。それから、分厚い資料でございますが、参考2、我が国における「国連持続可能な開発のための教育の10年」実施計画。それから、参考3、これは2枚物でございますが、持続可能な開発のための教育に関する関係省庁連絡会議の開催について、でございます。
また、机上の配付になりますけれども、「あいち・なごや宣言」と持続可能な開発のための教育に関するグローバル・アクション・プログラム、3枚物がございます。
そのほか、今日、ご欠席の佐藤委員から、国内実施計画に関するコメントというものが配られております。それ以外でございますけれども、パンフレットについても、さまざまな方から、本日、これも机上のみとなりますが、配付をいただいております。第2回ESD日本ユース・コンファレンスのチラシ、開発教育協会のパンフレット、国立教育政策研究所のESDパンフレット、多摩市立多摩第一小学校の研究紀要、日本ユネスコ協会連盟のパンフレット、それから、こども環境活動支援協会(LEAF)のパンフレット、岡山市ESD推進協議会からの資料、それから、持続可能な開発のための教育の10年推進会議(ESD-J様)のESDリポートでございます。
足りない方、いらっしゃいましたら、事務局までお申し出をいただければ幸いです。

【上條委員】
追加で、先ほど、すみません、お配りしています。

【松木室長】
失礼しました。追加の資料もございます。
それでは、続きまして委員の紹介に移りたいと思います。
委員の名簿につきましては、参考1の2枚目に一覧がございますので、ご参照いただければと思います。
では、お1人ずつ、私から簡単に紹介をいたしたいと思います。
特定非営利活動法人エコ・リーグの秋葉委員でございます。
それから、日本経済団体連合会環境本部本部長の池田委員です。
愛知県立豊田東高等学校長の今井委員です。
宮城教育大学国際理解教育研究センター協力研究員の及川委員です。
岡山理科大学理学部教授の岡本委員です。
特定非営利活動法人こども環境活動支援協会理事の小川委員です。
奈良教育大学副学長の加藤委員です。
特定非営利活動法人開発教育協会代表理事の上條委員です。
公益社団法人日本ユネスコ協会連盟事務局次長の川上委員です。
公益社団法人日本環境教育フォーラム理事長の川嶋委員です。
東京都市大学教授の佐藤委員は、本日、ご欠席でございます。
持続可能な開発のための教育の10年推進会議(ESD-J)代表理事の重委員です。重委員は、同じく代表理事の阿部委員の代理として、本日、ご出席をいただいております。
公益社団法人経済同友会企画部部長の篠塚委員です。
公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)シニアアドバイザーの柴尾委員です。
学習院大学文学部教授、日本環境教育学会会長の諏訪委員です。
国際連合大学サステイナビリティ高等研究所所長の竹本委員です。
一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)事務局長の辰野委員です。
全国小中学校環境教育研究会会長、多摩市立多摩第一小学校長の棚橋委員です。
江東区立八名川小学校長の手島委員です。
日本商工会議所・東京商工会議所専務理事の中村委員ですは、本日ご欠席でございます。
愛知県環境部環境活動推進課長の橋本委員です。
大牟田市教育委員会教育長の安田昌則委員です。
岡山市市民協働局ESD推進課審議監の安田充年委員です。
以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議長の選出に移りたいと思います。
円卓会議メンバーのうちから、互選により議長を選任することとなっておりますけれども、どなたかご推薦いただけますでしょうか。
柴尾委員、お願いします。

【柴尾委員】
先ほどご挨拶にもありましたように、国連ESDの10年が終わりまして、再スタートということで大変重要な役割を持った円卓会議ということで、私自身も身の引き締まるような思いがいたします。
その中で、大変そうそうたるメンバーの中から議長をお願いするとすれば、私は及川委員をご推薦させていただきたいと思っております。
なぜかといいますと、国連10年の開始される前から、気仙沼の学校教育を基盤にして多くの活動を積み重ねられ、その後、RCEではマルチステークホルダーのあり方の原形のようなものを築かれる上でも大きな役割を果たし、そして、それが今は全国に広めるような形の活動をされていらっしゃる、教員研修の分野でも、それから地域を盛り立てるという意味でも、あるいは不幸なことでしたけども、震災の後の復興の場面でも、大変大きな実践を積み重ねられるとともに、それを学術的に検証されて、多くの論文を書いていらっしゃる、そして、さらにはユネスコ国内委員の委員としても活躍されていらっしゃるということで、今後、このESD円卓会議が、よりパワフルな機能的なものにもっとなっていくためにも、及川委員に議長としてご尽力いただければと思って、ご推薦いたします。

【松木室長】
ありがとうございます。
ただいま及川委員を議長にとのご推薦をいただきましたが、ご異議はございませんでしょうか。

(異議なし)

【松木室長】
ありがとうございます。
それでは、及川委員に議長をよろしくお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

【及川議長】
ただいま議長の大任を仰せつかりました及川と申します。
身に余る言葉をいただきましたけども、実際は力不足ですが、今、柴尾委員のお話にありましたように、ESDの10年が終わり、初めて円卓会議が開かれ、これからまさしくセカンドステージというか、新たなステージに向かうという意味で、この円卓会議の果たす役割というのは非常に大きいかなと思っております。
そういう中で、各界の代表される、あるいはエキスパートの皆さんの識見とお力をおかりして、活発な議論を重ね、少しでもこの先のESDの取組がさらに充実するようになっていけばいいなと思いますので、今日は、ぜひ皆さんからのご意見をいただきまして、議論を充実させていければなと思います。どうぞよろしくお願いします。
それでは、議事のほうに移らせていただきたいと思います。
まず、1の我が国における持続可能な開発のための教育実施計画(案)について、事務局のほうから、資料1に基づきましてご説明をいただければと思います。よろしくお願いします。

【松木室長】
それでは、資料1、グローバル・アクション・プログラムの実施計画(案)に基づきまして、概要をご説明いたしたいと思います。
本国内実施計画は、GAPに基づいて作成するものでございまして、対象とする年は、2015年から2019年までとしております。また、その下に書いておりますが、持続可能な開発のための教育に関する関係省庁連絡会議というクレジットで最終的には決定をしたいと、そういう位置づけの文書でございます。
まず序、ESDの意義を最初に述べております。ESDとは何かというところを書いておりますけれども、そこに書いてありますような気候変動とか生物多様性の喪失、資源の枯渇、貧困の拡大といった、現代社会におけるさまざまな問題がございますが、第2パラグラフで述べておりますように、こういったものについては、一部の者の取組だけで解決することは不可能ということになっており、全ての人が人と人、人と社会、そして人と自然とのつながりをよく理解するし、どのような取組が必要かをそれぞれが自ら考えるような価値観、行動が必要というふうに書かせていただいております。こういったESDの重要性は、3パラ目でございますが、より一層高まりつつあるというのが現状ということで、ESDの意義を書かせていただいております。
その次ですけれども、経緯に当たるものを書いております。「国連持続可能な開発のための教育の10年」の取組とその成果及び課題でございますけれども、DESDは、もともと我が国が提唱して始まったものでございまして、2005年から2014年までの10年間で実施してまいりました。このDESDを受けまして、これまでも国内実施計画が定められております。これが2014年、昨年まででございましたので、これを新たにGAPに沿った形で新しく定めるものが、この国内実施計画であるという位置づけを書かせていただいております。
2ページ目になりますが、(ロ)DESDの成果及び課題でございます。DESD、昨年をもって期間が終了となりましたけれども、その成果については「ジャパン・レポート」にまとめ、また、昨年の11月には、「ESDに関するユネスコ世界会議」を開催し、「あいち・なごや宣言」を採択をいたしました。こういった成果も出ている反面、今後のESDへの取組に向けた課題というものも浮かび上がっているということでございまして、例えばESDの取組の成果が一定の範囲の方や、一部の地域社会での中でとどまっているいった課題、また、取組が行われていてもさらなる支援が必要と思われる地域があるという課題も見えてきました。また、ESDの取組を国際的に発信するということも、今後の課題というふうに認識しております。そういったことを書かせていただいております。次の3行になりますが、今後のESDのさらなる推進を図るに当たってですが、ESDを広める取組、それからESDを深める取組、それからESDを国際的に浸透・充実させる取組に力を入れるべきであるというふうに書かせていただいております。
その次は、(3)になりますが、これも経緯について書いております。グローバル・アクション・プログラム(GAP)の策定を述べ、また、「あいち・なごや宣言」を(ロ)で述べさせていただいております。
3ページ目でございますけれども、これの上から7行目辺りに書いておりますけれども、この「あいち・なごや宣言」は、全てのステークホルダーとユネスコ加盟各国に対し、2015年以降、GAPの枠組みに沿ってESDを推進することを求めております。次のパラグラフでございますけれども、GAPというのは、これも全ての関係ステークホルダーに、五つの優先行動分野のもとに活動を発展させることを推奨してございます。こういった基本的な考え方が示されておりまして、基本的に、国内実施計画というのは、五つの優先行動分野ごとに記述をするというスタイルをとるということにしております。
2.につきましては、基本的考え方を述べさせていただいております。(1)で、優先行動分野、五つを書かせていただいております。また、その次ですけれども、ステークホルダーへの期待というふうにいたしまして、政府、国際機関、NGO・NPO・公益法人、企業、メディア、学校、個人など、関係する全てのステークホルダーに行動が求められているということを述べさせていただいております。また、その(2)の4行目になりますが、ユースがキーとなるステークホルダーとして位置づけることが重要だということも述べさせていただいております。それぞれのステークホルダーの取組の中では、各ステークホルダー間の連携も重要となってまいります。
4ページ目でございますけれども、(3)国際アジェンダへのESDの反映として、2015年がポスト2015年開発アジェンダや、EFAダカール行動枠組の後継行動枠組の策定される重要な年であって、我が国としてもESDの理念を踏まえて対応するということを書かせていただいております。
以上、序ですけれども、3.から、ここでは優先行動分野ごとに取組例を記述するというスタイルをとっております。なお、この国内実施計画というのが、関係省庁連絡会議の決定で定められますので、この3.の中では、政府がどういった支援、メニューを行うかということを中心的に書いているわけでございますけれども、最初のパラグラフで書いておりますように、ESDの推進におきましては、NPOを初めとする政府以外の各ステークホルダーの取組こそが中心であるということを確認的に書かせていただいております。1)から5)なんですけれども、それぞれ政府がどういったことをするかということを書かせていただいておりますけれども、性質上、複数の優先行動分野に関わるものというのがどうしても出てくるので、一番関係の深いところに、2)から5)で記述して、それにおさまらないようなものは1)といったような整理で、重複の記述がないように整理をさせていただいております。政策的支援につきましては、これは政策立案者や市民社会組織が主なステークホルダーとして想定をされております。例えば学校におけるESDの普及及び実践力の向上、健全育成のための体験活動推進事業の実施など、それぞれ考えられる政府のメニューといったものをここに並べさせていただいております。
補足ですが、ここで3.で書いております各政府の支援メニューでございますけれども、最終的には、それぞれこれらがどういったものなのかということを最終的には記述したいと思います。本日は骨子ですので、1行のみでタイトルのみを書いておりますが、最終的には、それを記述した形で、国内実施計画として決定するということでございます。失礼しました。これは説明が漏れておりました。
続けますと、5ページ目の2)機関包括型アプローチでございますけれども、これまでのESD活動に見られたような、一部の教員や一部の学校といった、一部分に限った形ではない、より包括的な取組が求められるということが示されております。そういった観点から、主なステークホルダーのコミットメントとして、例示として国内外の学校同士を結びつける国際交流支援の取組などを紹介させていただいて、それらを支えるような各省の主な取組を並べさせていただいております。学校における教科・教員間の連携の強化、ユネスコスクールの活動の活性化に向けた支援など、そういったものを列挙しております。
6ページ目でございますけれども、3)教育者(ESDを実践する教育者の育成)でございます。本優先行動分野におきましては、ESDのための学習のファシリテーターとなるような教育者の能力を育成する取組が求められております。主なステークホルダーのコミットメントとしては、国内外のユネスコスクールネットワークに参加する学校間の交流などを書かせていただいております。これらを支える各省の主な取組として、学校の管理職や教員を対象とした研修の検討、教員と地域の関係者が一緒に参加する研修の検討など、該当するものをここに並べさせていただいております。また、下から3分の1ぐらいですが、4)ユース(ESDへの若者の参加の支援)におきましては、ユースの参加を支援する取組が求められております。主なステークホルダーからのコミットメントとしては、地域のユネスコスクールの子ども・若者がESDボランティア活動へ参加することへの支援などがあるということでございます。これにつきましても、これらを支える各省の主な取組として、ユースフォーラムの開催など、国内外の若者がESD推進に参画する取組の支援など、関連するメニューを書かせていただいております。
7ページ目でございますけれども、5)地域コミュニティ(ESDへの地域コミュニティの参加の促進)でございます。本優先行動分野におきましては、ESDを通じた地域レベルでの持続可能な開発の解決策の探求を加速する取組が求められており、主なステークホルダーからのコミットメントとして、ESDに関する地域の拠点の規模の拡大などというものを例示で書いております。これに対する取組を支える各省の主な取組として、ESDコンソーシアム事業の拡充など,考えられるメニューを並べております。3.は、以上のように優先行動分野ごとに具体的なメニューを書いております。従来の国内実施計画とはちょっとスタイルを変えておりまして、なるべく具体的に、何が行われるかということをわかりやすく書いたという意図でございます。
それで、4.点検・見直し・評価でございます。ここでは、国内実施計画に基づく各ステークホルダーの取組の点検・見直しについて記述しているわけでございますけれども、性質上、政府以外のステークホルダー、NGO/NPOの取組を国が評価するといったことは不適切かと思いまして、その点検・見直しの評価主体は、各ステークホルダーだというような考え方で書いております。また、その点検・見直しの具体的あり方については、まさにこのESDの円卓会議等におきまして議論をいただければということで考えております。(1)毎年の取組状況の点検・見直しでございますけれども、こちらもNGOや公益法人、企業、メディア、学校、また個人といった、関係する全てのステークホルダーがESDを推進していただき、その取組を自主的・主体的に行っていくことが望ましいと考えております。政府におきましては、2パラ目ですけれども、ESDの関係省庁連絡会議で、国内実施計画に基づく施策の進捗状況の点検・見直しを行うといったことを書かせていただいております。
最後のページですけれども、国内実施計画の最終年でございます2019年には、この5年間の総括的なレビューを行う必要があるということでございます。また、GAPに記載されておりますけれども、2019年には、GAPそのものがレビューをされて、場合によっては優先行動分野自体の見直しもあり得るとされております。最終年における評価は、こういった動きを見ながら、2020年以降、これもESDを続けていくべきだと考えておりますので、2020年以降の効果的な推進につながるようなものにしたいということを書かせていただきます。
簡単ではございますが、概要の説明でございました。

【及川議長】
ご説明ありがとうございました。
それでは、ただいまのESD国内実施計画(案)の事務局案を踏まえまして、委員の皆様からご意見を頂戴したいというふうに思います。
その前に、今ご説明いただいた資料の3ページ目を、ちょっとお開きいただきたいのですけども、そこの2の基本的考え方の上のパラグラフなんですが、「したがって」というところで始まるところご注目ください。「したがって、我が国において、ESDをより一層推進していくために、NPO/NGO、教育機関、企業等、各ステークホルダーで構成する「持続可能な開発のための教育円卓会議」(以下、ESD円卓会議)」において、ESDの推進方策について意見交換を行いながら、本実施計画を実施する」というふうにここに記載されています。ということは、ここで今皆様からご意見をいただくことが、ここの部分に当たるということで、この円卓会議の位置づけがここに示されているというふうに思いますので、ぜひ、各委員の皆様から積極的なご発言をお願いしたいと思います。
今日の議題は、実質的にこの実施計画案1本ですので、たっぷりと時間はございます。ぜひ、皆様全員からご意見を頂戴できればというふうに思いますので、それぞれの立場からご意見をいただければと思います。
ただ、ちょっと事務局に一つだけ確認ですけども、単なる事実確認で申し訳ないですが、「したがって」の上の、二つ上の「国会」と書いてありますが、これは「国会」でよろしいんですか。「国家」ではなくて。

【松木室長】
「国家」の間違いでございます。

【及川議長】
そこを修正しておいていただければと思います。
それでは、議事に入っていきたいと思います。
どうぞ。

【柴尾委員】
事前に、たしか昨日ですが、送っていただいた資料と、今配付いただいているものは、全く同じものなのか、若干違うところがあるのか、ちょっと確認させていただいてよろしいでしょうか。メモをとってきたりしましたものですから。

【及川議長】
そうですね。では、その辺について、事務局から、ちょっとご説明いただいていいですか。昨日の夕方送られたものと今渡されたものは、どこか改訂の部分があればご指摘をいただければと思います。

【松木室長】
昨日お送りしたものから1カ所だけ変わっておりまして、それは全国支援ネットワーク、ページ数を申し上げますと、4ページ目の下から8行目に「全国的なESD支援のためのネットワーク機能の体制整備【文科省・環境省】」とございます。昨日お送りした時点では、これは1)ではなくて5)のほうに入れさせていただいておりましたが、位置を修正いたしました。この1点が昨日お送りした資料との違いでございます。よろしいでしょうか。

【柴尾委員】
わかりました。

【及川議長】
ただいまのご説明、わかりましたでしょうか。先ほど小林局長さんのほうからお話があった、全国的なセンター構築へ向けての取組のところを、地域のマルチステークホルダーから、もっと上の政策的な、全国的な政策的な部分に、すなわちガバナンスのほうに入れたというふうなことですね。よろしいですか。
どうぞ。

【上條委員】
ありがとうございます。
私のほうから、いろいろ質問ですとかご提案したいことに関しては、多分、この会議の最初に確認をしておいたほうがよいかなと思いまして、最初ですけれども、発言の機会をいただきました。
先ほど資料確認のときにご説明しそびれてしまいましたが、直前に配付させていただいたESDに関するグローバル・アクション・プログラム実施計画への提案、開発教育協会ということで、一番封筒の前に置かれているかと思いますけれども、そちらの資料を、出させていただきました。
先ほどお話のあった仁川の会議ですね、行ってまいりまして、質の高い教育という話がありましたけれども、現場でさまざまな意見を聞く中で、非常に重要なもう1点、市民参加のプロセスをどうつくっていくかということも大きな議題でした。質、それから、それをどういう方法で実施していくか、計画を策定していくかという、その両方が重要というふうに考えまして、どちらかというとプロセスのほうについての質問、それから提案をさせていただきたいというふうに思っております。
私、皆様も同様かと思いますが、今日、個人というよりは、それぞれのステークホルダーとして参加をさせていただいていますので、事前に資料をお送りいただけるということでしたので、それについての議論をずっと所属する団体、それから、今回、教育に関する市民組織として前回教育協力ネットワークさんですとかも入っていらしたと思うんですけれども、今回、いらっしゃらないということなので、そういった関係者と思われる方々に、いろいろな意見を聞いてまいりましたので、私の後ろに何十人と姿が見えると思って聞いていただきたいんですけれども、まず、資料に書かれていないことの質問としては、先ほど及川委員のほうから確認をしていただきました、この会議の位置づけなんですけれども、連絡会議、そしてこの円卓会議ということで、その2者の関係について、一つ確認をさせていただきたいと。つまり、円卓会議は連絡会議の下部機関なのかどうかということを確認させてください。
それに対して、具体的に、円卓会議の役割は意見交換ということで先ほどご説明がありましたけれども、配付しているほうの資料1に、最初の両面の提案書のほうなんですが、その2ページのほうの基本的考え方のところの「全てのステークホルダーの参画の保障」というところで書かせていただいているんですが、やはりESDが新しいステージに入っていくということで、やはり議論の仕方ですとかも、関係性も新しいステージに入っていくだろうと。ESDは機関包括型ということで、共同決定、市民参画、マルチステークホルダーの場での各ステークホルダーの参画ということで、実施、それから評価に関しては、計画の中に随分記述されていたと思うんですけれども、そもそも策定の部分にどれだけ私たちが最初から参画できるかというところがどう保障されるのかというところの確認をしたいと思います。
円卓会議が最終決定機関ではないということで、連絡会議が最終決定機関であることの意味は何なのかということをまず確認をさせていただきたい。
それが、円卓会議は最終決定ではないとすると、共同決定というところからいきますと、ちょっと違うかなということで、円卓会議が、もし最終共同決定機関というふうになり得ないのであれば、その決定というところで、別な委員会を設けてはいかがかという提案がここに書かれております。
「仁川宣言」というのは、先ほどご紹介があった世界教育フォーラムですね、そこで何が重要かということを、文科省の前川審議官からも当日スピーチがありましたけれども、そういった中で特に質の高い教育と市民参加ということを強調されていますよということのご紹介で、資料としてつけさせていただきました。これは私どもで翻訳をいたしました。
それから、最後の補足資料ですけれども、先ほどの決定機関として、それぞれのステークホルダーがやはり計画の策定にきちっと関わるべきだ、であるからこその実施であり評価であるという観点から、市民組織としても、ステークホルダーの委員会を設けたいということの具体的な提案書を一番最後につけております。
まず、それが確認事項です。

【及川議長】
ご提言ありがとうございます。
今のところを簡潔にちょっと整理いたしますと、要はプロセスの問題ですよね。この実施計画(案)が、(案)が取れるまでのプロセスの問題として、この円卓会議の位置づけということで、これが次の関係省庁連絡会議との関わりで、下部機関と言う話が出ましたが、実際そんなことはないと思うんですけども、そういう位置づけの関係性についてどうなのかというふうなことだと思いますけども、その辺についてよろしくお願いします。

【松木室長】
位置づけでございますけれども、この円卓会議は、関係省庁連絡会議の下部機関ではありません。設置根拠ですけれども、本日お配りしている参考1、これが円卓会議の設置根拠となります。これの右上を見ていただきますと、文部科学省国際統括官・環境省総合環境政策局長決定によって独自に設けたものと。下部機関の場合には、関係省庁連絡会議の決定ですとか、あるいは申し合わせとか、そういったクレジットになるということなんですが、下部機関とすることはふさわしくないというふうに考えまして、そこから独立したものとして設けるために、こういったクレジットにて、6月11日付で設置したという形をとらせていただいております。

【及川議長】
今の説明で、ほかの委員の皆さん、よろしいですか。
じゃあ、上條さん、お願いします。

【上條委員】
ありがとうございます。下部機関ではないということがわかって安心しました。
ということは、この円卓会議は意見交換である、連絡会議は決定の場である、ただ、両者は同列であるということですか。

【松木室長】
国内実施計画につきましては、これはDESDの際もそうだったんですけれども、やはり関係省庁連絡会議決定というスタイルを従来からとっておりまして、今回もその形式をとるということなんですが、他方、円卓会議や、そういった実際にESDを推進されている方々の声は十分反映されるべきであると考えておりまして、そのことは、この国内実施計画の文章の中自体にも、円卓会議というものの位置づけとか役割というものを書かせていただきましたし、また、今後のプロセスといたしましても、まず、今日の議論の結果を、必要な修正などをいたしまして、パブリックコメント、これは議題にて説明する予定だったんですけれども、パブリックコメントで広く意見を募った上で、また第2回の円卓会議を開催させていただきまして、ご議論を経た上で、最終的に国内実施計画決定というふうにしたいと思っております。したがって、十分ご意見を反映させたいというふうに我々としては考えております。

【及川議長】
ありがとうございました。
今のお話で、まず円卓会議、1回ご意見をいただいて、修正してパブリックコメント、そして再度円卓会議ということで、円卓会議は2回やりますし、パブリックコメントでその他のステークホルダーの方々のご意見を伺うとこと。そして、最終的に関係省庁で決定するというふうなプロセスということでよろしいですね。

【上條委員】
ありがとうございます。

【及川議長】
それでは、手続論をずっとやっていますが、そろそろ実質論に入りたいと思います。また後で、仁川のところについては、コンセプトのところであるとか、実際のグローバル・アクション・プログラムのところであるとか、その辺でまた補足いただければというふうに思います。
それでは、よろしいでしょうか。
資料1の実施計画(案)の部分について、皆さんからご意見を賜りたいと思います。
まず、序ということで、ESDの意義、それから10年の取組の成果とその課題、その中でDESDにおける我が国の取組、そしてDESDの成果と課題、(3)グローバル・アクション・プログラムと「あいち・なごや宣言」というふうに続いて行きますけれども、ここの部分は、今までの総括の部分、あるいはこれからの展望というふうなことだと思いますので、ここの1.の序と基本的な考え方、このベーシックな部分については一括して審議したいと思うんですけども、よろしいでしょうか。

(はい)

【及川議長】
では、まずここの部分について、何かご意見をお持ちの方がいらっしゃいましたらお願いしたいと思います。
じゃあ、小川委員、お願いします。

【小川委員】
この2ページの(ロ)の一番最後のくだりのところなんですけれども、「これらの課題を意識し、ESDを広める取組、ESDを深める取組、ESDを国際的に浸透・充実させる取組」とありますね。今回の具体例、具体的な今後の展開事例の中で、外務省が入っていないんですね。あまり見えてこないんですけれども、一部、ちょっと入っているんですけれども、なぜかというと、外務省の中で、我々も今、草の根事業とか、あと海外の方の受け入れの研修事業とか、こういった事業が相当数入っているんですけれども、この中にESDという項目をうたっているようなものというのは、まだあまりないと思うんです。ただ、我々も海外の方を受け入れて研修する際は、廃棄物のテーマであれ、それから地域政策であれ、やはり教育という分野がどうしても大きくなってくるんです。そうすると、ここでESDを踏まえたODAの実施というところはあるんですが、むしろ日本国内に研修生を受け入れて行っているようなものも、もう少しメニューの中に入れて、具体的なプログラム内容について、少しESDというのを放り込んでいくだけで、相当大きな国際協力にもつながっていきますし、ここの国際的に広げる部分については、既存の事業で展開できるのではないかなというふうに思っています。そういう点で、ちょっと具体的な事業イメージの中に、この国際的な取組の部分と外務省がやっておられる、またはJICAさんが行っておられる、そういったところをもう少しうまく入れ込んだらどうかなというのをちょっと最初に感じましたので、連絡会議でそこら辺の協議がどうされたか、ちょっとわかれば教えていただきたいと思います。

【及川議長】
今のご質問ですが、再度、発足した円卓会議は文部科学省と環境省のタッグを組んでというお話がありましたが、これに対して、国際協力だとか、ODAを含めた外務省の関わりはどうなのかというふうな話だと思います。その辺について、何か経緯がありましたらお願いします。

【松木室長】
本日お示ししております政策的な国の支援のメニューでございますけれども、ここにお示しするまでに、特に関係省庁連絡会議にかけてこれを選んでいるというプロセスではございませんで、まず、円卓会議の皆様に最初に見せているという形になります。ここに来るまでに、外務省を含めて関係省庁の方々に、どういった支援メニューがあるかということはお聞きして、記載しているというものでございます。
ご指摘のあったものについては、また再度、関係省庁に聞いて、何か書けるものがないか聞いてみたいと思っております。

【及川議長】
ありがとうございました。
今おっしゃった書けるものというふうなプラス面を、そこに書き込んでほしいというニュアンスもありましたので、既存のそういうESD的なもの、国際的に持続可能性に寄与しているもの、そういう事業・プロジェクトについて、ぜひ、ESDという言葉を溶かし込んでいただきたいという、多分、そういうご意見だと思います。その辺も含めて、どうぞ調整のほうをよろしくお願いしたいと思います。
では、その他ございませんでしょうか、この部分につきまして。
じゃあ、上條委員、お願いします。

【上條委員】
たびたびありがとうございます。
先ほどのご紹介した資料の一番最初に書かれているんですけれども、ぜひ、この序の部分に、GAPの中で出てきた重要なワードをこの計画案の目的ということで、繰り返しになったとしても、盛り込みつつ、日本としてどう取り組んでいくかということをうたっていただければなというふうに考えております。1ページ目のところにありますように、原則ですね、ESDのGAPの7つの原則が合意されていると思いますけれども、そういったものの確認であるとか、政府の責任は何であるかとか、包摂性の確保であるとか、マルチステークホルダーの参加であるとか、そういった文言、計画の中に出てくると思うんですけれども、その前提とした目的の記述、あるいはそういったことに盛り込んでいただければというご提案です。
教育の再方向づけというのがGAPの中には目的としてかかれていますのでそういったことも盛り込んでいただければと思います。

【及川議長】
GAPのほうですね。

【上條委員】
はい。

【及川議長】
ということなので、可能な範囲で、その辺のところの文脈の整理というのは必要でしょうけども、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
ほかの委員からはいかがでしょうか。
じゃあ、岡本委員、お願いします。

【岡本委員】
今のこととも関連するのですが、この後に3.で各分野ごとの計画があり、4.で点検・見直し・評価という流れになっています。これまで10年やってきたものについての成果・課題がここにはあるのですが、それを幾らかはこれから進めていく五つの分野に基づいてを評価した上で、今後の実施計画にも生かしていくという部分があれば、より継続的な取組が見えるのではないかという気がしました。ですから、この1.の(2)のところ、何かそういうものがあってもいいのではないかと思いました。
以上です。

【及川議長】
すなわち、今までの総括・評価の中の視点として、今後展開すべきGAPの五つの視点が今までどうだったのかというところの評価を受けて、今後の施策というふうな展開にしたほうがいいというご意見でしょうか。そういう、今のご意見は、総括や評価がなくして、3の実施計画のところにぽっとグローバル・アクション・プログラムの視点に入っているというような感じがすることことで、そのつながりの部分に対する指摘だと思います。これまでの簡単な評価の部分をどうするかというふうなことだと思いますが、これに関して何かございますか。よろしいでしょうか。
じゃあ、小川委員、お願いします。

【小川委員】
すみません、ちょっとお手元のほうに私たちの協会の機関紙のLEAFというのが配られているんですが、今回、この号をまとめるに当たって、今、岡本委員が言われたことをかなり想定して、実際に自分たちがやっている地域の中では、このグローバル・アクション・プログラムがどんなふうに既に盛り込まれているのか、もしくは弱いのかというところで、一応、まとめさせていただいた資料になります。きっと、これから国レベルでの評価とか、課題抽出もあるんですが、地域レベルで、こういう視点からの見直しをしておかないと、やはり具体的な積み上げが非常に弱くなっていくのではないかなということで、ちょっと教育実践も含め、西宮でやられていることを一度整理してまとめてみたんです。そういう作業が、特にESDに関するモデル事例もかなり幾つかありましたから、それぞれの地域でGAPの視点からの自己評価なりをうまく積み上げると、今おっしゃられたようなことをベースにして、次への課題がもう少し鮮明に見えてくるのかなというふうに思いますので、ちょっと紹介だけさせていただきました。

【及川議長】
ありがとうございました。
ビルドアップですね、下からの積み上げで、この実施計画案に何かアウトプットとして記述され、それが前段と実際のこれからの展望をつなぐ一つのアクセスになればというふうなことだと思います。
じゃあ、柴尾委員、お願いします。

【柴尾委員】
今のご意見に関連してでもあるんですけれども、「ジャパン・レポート」というものが、我々、前回の円卓会議も参画させていただいて、日本語、英語でできて、秋の国際会議でも広く配布されたわけです。その中に、日本のESDの成果として、ボトムアップ、トップダウン、両方あったよということがうたわれ、幾つかの特徴の中の一つとしてうたわれています。そのことを今の議論と引きつけて考えてみますと、今、序に書かれているところは、とてもグローバルな意識であり、GAPにしてもグローバルな文書として提示をされているということでありまして、もう一方で、昨日も送っていただきましたから、「ジャパン・レポート」とともに、実施計画、10年の実施計画の前文のほうなどを見ますと、世界的にこうである、そして日本国内ではこういう状況がある、だからESDが大切なんだということが書き込まれていると思うんです。多くの方が参画してつくられた文書ですので。そういう意味で言うと、今ある骨子では、まだ、グローバルな部分が主に強調されていて、もう少し国内に引きつけた記述があったほうがよいのではないかなという気がいたします。
皆さんも感じていらっしゃると思うように、ESDという言葉の難しさなのか概念の難しさのか、本当は難しくなくても、難しいと感じさせるものがあるために、本当はもっとたくさん仲間がいるのに、そこにリーチできていないんじゃないか、あるいは、リーチしてもつながり切れていないんじゃないかというのが問題意識としてある中で、もう少し平場で語れるような、日本の普通の地域に住んでいる人たちが、「ああ、そうだよね、だから教育って大切だよね」というふうな感じで引用できるような文章が序、あるいは最初のほうに出てきてほしいなと思っております。
「ジャパン・レポート」をもう一回見ていると、こんな美しい言葉があったんですね。国全体が将来にわたり持続可能な低炭素で自然との共生した、循環型の社会経済システムへと変革するためには、その基盤となるESDを2015年以降も一層強力に進めていく必要があります。」今のものよりも、もっと現場に近い感覚かなと思いました。
と思って今日来たところ、冒頭のご挨拶の中で、統括官からも局長のご挨拶の中にも、とても日本の地域、日本の社会の現状と、この円卓会議の関連をおっしゃってくださったところにいっぱいキーワードがあったと思いますので、そういったことも織り込んで、この序がグローバル、ローカル、両方に訴えるようなものにもう少し書き込まれていくとよいのではないかと思いました。

【及川議長】
どうもご提案ありがとうございます。今までの経緯も含めて、そういうふうなご提案があったというふうに思います。グローカルな視点だということだと思うんですが。前といいますか、2005年に実施計画が、最初の実施計画ができまして、2011年にたしか改訂されたと思うんですね。あのときには、皆さんもご存じのように東日本大震災が起きまして、その大震災の中でそこに噴出したさまざまな持続不可能性であるとか課題を盛り込んだ形で、実施計画を改訂してESDの10年を迎えたわけですね。そのようなな今までのプロセス、経緯、流れをですね、多分、踏まえた上でグローカルとか、日本の持っている特殊な課題と世界の課題を結びつけるような、そういう話の流れというか、コンテクストが必要なのかなとご意見だと思います。それに関して、私からの意見ですけども、4ページの部分の一番上なんですが、「「あいち・なごや宣言」において、ユネスコ加盟国政府に、ESDをポスト2015年開発アジェンダに反映、強化させることが求められている」と。そして、「EEAダカール行動枠組の後継行動枠組」やというふうな話があるんですが、例えばその中に、今年3月に仙台で国連の世界防災会議がございまして、山脇統括官にもお越しいただいて、ESDと防災のシナジーを世界に日本から発信しましたが、これも一つの大きな成果であり、日本が抱える課題なんだろうと思います。そういう中で、仙台防災枠組(Sendai Framework for Disaster Risk Reduction)の中を見ますと、防災を通じた持続可能性の実現、持続可能な社会の実現というところが強く強調されていて、sustainable developmentとかsustainable societyという文言がもう30カ所近く出てきているんですね。それから、エデュケーション(教育)の重要さ。仙台枠組みのほうのプライオリティ・アクションのほうの1番目には、教育の重要性というのが出されていますし、あるいはグローバルレベルの協力・協働の重要性、まさしくESDのコンセプトと相通ずるところが書かれているというふうなことを考えた場合に、震災を経験した日本のESDから――ですから、世界に発信していくという側面から見ても、やっぱり減災・防災の視点もあってもいいのかなと個人的には思った次第です。
じゃあ、お願いします。じゃあ、棚橋委員、お願いしますね。

【棚橋委員】
2ページ目の(ロ)DESDの成果及び課題のところについてですが、とても分りやすく書かれていますけれども、学校から見るとユネスコスクールのESDは、なかなか浸透が進んでいないように感じます。深まっているというのも、なかなか感じ得ない状況があって、危機感を私は持っています。マイナス面に目を向けるのは嫌なことではありますが、改善をしていく上ではどうしても避けられないことだと思います。一定の成果はありましたけれども、それでも足りないところはたくさんあると示すことが必要だと思います。
ユネスコスクールは年内に1,000校を超えると思われます。その1,000校のユネスコスクールがESDを理解し、取り組んでいるかということになると、これは疑問です。ですから、教育のところについて、しっかりと課題があるんだということを明示していただく必要があると思います。
2ページ中段に「今後のESDへの取組に向けた課題として、ESDの取組の成果が一定範囲の生産者や消費者の行動の変化、一部の地域社会での変革に留まっているという課題や、取組が行われていても更なる支援が求められている地域があるという課題も見えてきたところである」と。これはESDではなくSDの話が書いてある気します。どうしても忘れがちなESDの頭のEはエデュケーションなんだ、教育がどれだけ充実するのかというところが、さっきお話のあった質の高い教育というところにESDがつながっていくことだと思います。19年までの時間はありますけれども、その間に学習指導要領が変わります。その中にアクティブラーニングが出てくると言われています。果たしてそれがESDのような持続可能な社会をつくっていこうという大きな命題を持っているかどうかということを考えたときに、学習指導要領の前に取り組むべきことがあり、ゆっくりしている時間はないと感じています。教育についての課題というのをここにぜひ入れていただきたいと思います。

【及川議長】
ありがとうございます。教育現場で、実際にESDに携わっている先生からのご意見だと思います。
ただ、事務局サイドからすれば、皆さんのご意見全てがここに入れられるというのは、なかなかそれは技術的には不可能なことでありまして、ここに入れるのがふさわしいのか、次の実際の五つの優先行動分野の例えば教育の部分ありますよね、教員研修や指導者養成、そこの部分でそれに触れるべきであるとか、それに対する解決策を入れるであるとか、そういうふうな書き込み方もできるかと思いますので、その辺についてもご考慮願います。

【諏訪委員】
日本環境教育学会の諏訪ですけれども、ただいまの棚橋先生のご発言のことに、そのとおりだと思っておりまして、ここでの課題について正しく評価して初めて、その後の優先行動分野での記述がもっとちゃんとしたものになるというふうに考えております。実際に私も大学の学生など何百人に聞いても、ESDという言葉を知らない、知っている人が1人か2人という現実であるというようなことなども考えて、正当に過去10年を評価して初めて次の出発ができるというふうに考えております。また後ほど発言させていただきます。

【及川議長】
ありがとうございました。
じゃあ、お願いします。

【籾井国際戦略企画官】
今の点に関連いたしましてでございますけども、先ほどご紹介のありました「ジャパン・レポート」、これは国連ESDの10年の総括としてまとめたものでございますけれども、その際に、この10年間を踏まえた成果と、それから課題について、やはり関係省庁連絡会議、円卓会議のご意見も踏まえて関係省庁連絡会議で整理をいたしておりますので、ちょっと全体の分量を見ながらのバランスはございますけれども、もう少し、この成果と課題の部分については、「ジャパン・レポート」を踏まえてもう少し丁寧に記述をしたいというふうに思います。

【及川議長】
ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。全体のバランスがありますから、ここだけ頭でっかちになっても、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、前段だけで少し時間をとりましたが、柴尾委員、お願いします。

【柴尾委員】
(ロ)の中に言及されているのは、「あいち・なごや宣言」と、岡山で大成功しました「公民館-CLC国際会議」の宣言なんですが、正式なステークホルダー会議として三つ、岡山で、RCE、それからユース、そしてユネスコスクールの世界大会がありましたので、ぜひ、そこについては忘れないでいただければと思います。

【及川議長】
フォローアップは世界会議だけじゃなくて、この実施計画でもきちっとフォローアップをすべきというご意見だと思います。
じゃあ、よろしいですか。

(はい)

【及川議長】
それでは、中核部分に移りたいと思うんですが、3.ですね、優先行動分野ごとの実施計画ということで、ここではグローバル・アクション・プログラムの五つの優先行動分野に沿って記述がされているわけですが、これ、進め方をちょっと迷っていました。一括でやったほうがいいのか、一つずつある程度やったほうがいいのかというところがあるんですが、一括でやると話があっちへ行ったりこっちへ行ったりする可能性があるので、ちょっと時間の許す限り一つずつやっていって、また時間を見ながら、あとまとめてやるという形で、できれば、全体をもう一回振り返ってつなげた形でもう一回話し合いを深めたいというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。よろしいですか。

(はい)

【及川議長】
じゃあ、一つ目の政策的支援(ESDに対する政策的支援)、ガバナンスの部分ですね、ここの部分についてご意見を賜りたいと思います。
これにつきましては、行政の方もここにいらっしゃっておりますので、行政といいましても、地方行政、もちろん中央の政府の方々もいらっしゃいますが、分野別では、教育行政、あるいは環境行政、さまざまな立場があると思うんですが。
どうぞ、川嶋委員、お願いします。

【川嶋委員】
日本環境教育フォーラムの川嶋です。
ちょっとこの1)以降の、4ページ以降の「各省の主な取組は以下のとおりである」ということの読み方を教えていただきたいんですけども、これ、つまり5年間のことを書いているペーパーですよね。これは5年間の間にこういうことをやりたいということなのか、例えば今年度以降、5年間事業としてこういうものが既に動くことになっているという1案なのか、すみません、ちょっと霞が関以外の人間にはそこら辺がわからないので、教えてもらえると助かるんですけど。

【及川議長】
過去形なのか、現在形なのか、未来形なのか、現在進行形なのか、その辺のところを教えていただきたいということでございますね。

【松木室長】
ここに書かれてあります政府の支援メニューにつきましては、基本的には、今後、GAPの対象期間である2019年までというのがありますので、厳密に5年間存続するかどうかという観点ではないのですけれども、ある程度、そういう中長期的なもので各ステークホルダーの取組を支援するようなものを出してほしいというふうに、関係省庁に依頼して並べておるものでございます。

【及川議長】
ありがとうございます。
よろしいですね。

【川嶋委員】
つまり、僕が知りたかったのは、例えば来年から始まるとか、再来年から始まるとか、さらに先から始まるというのは書かれていないわけですね。

【松木室長】
それは書かれていないということでございます。

【川嶋委員】
わかりました。

【及川議長】
今の事実確認を踏まえまして、ご意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。どうですか。
岡山市の安田委員、お願いします。

【安田(充)委員】
政策的支援なんですが、岡山市の場合は、市長がトップダウンで大分進めてきたんですけど、このアプローチで、例えば6団体といいますか、市議会とか市長会とかですね、岡山市の場合は県内で、市長会とかで呼びかけたりはしたんですけど、そういった総務省サイドというか、そういったアプローチって、こういう取組の中に挙げられないんでしょうかという、ご提案というか、お問い合わせなんですが。

【及川議長】
いかがでしょうか。
今の最後のちょっとご発言、もう一度お聞かせいただいてよろしいですか。

【安田(充)委員】
要するに市長というか、首長の判断なり、教育長さんなり、そういった方のトップダウンの部分もある程度は大きいので、そういったところへアプローチするというようなことも記述したらどうかなというご提案でございます。

【及川議長】
なるほど。特に地方行政の部分での首長さん、あるいは教育長さん、そういうところのイニシアチブの必要性であるとか効果というふうなことも記述したほうがいいのではないかということですね。岡山市もそうですし、お隣にいる大牟田市もそうですね。教育委員会、教育長さんのリーダーシップで、「ユネスコスクールのまち大牟田」というふうな形で、全市的にESDを展開されているんですけど、安田委員は、その辺のところでご意見はございますか。

【安田(昌)委員】
同じ安田ですけれども。
やはり教育長の会議の中でも、まだまだこのESD、ユネスコスクールということを詳しくご存じない教育長さんもやっぱり多いんですね。そういう面で、全国都市教育長会議の中で、数年前に一度、文科省のほうからユネスコスクールのお話があったというふうな、私はそのときまだ教育長ではなかったんですけれども、そういう話も聞いております。そういう意味で、やはり今、岡山の安田委員がおっしゃったように、きちんと教育長なり首長なりにですね、ESDなり、ユネスコスクールというものを説明する機会であるとか、研修会であるとかというのは、やはり国としても位置づけをしていただければありがたいというふうに思います。

【及川議長】
ありがとうございました。
この4ページの中で、一番上の学校におけるESDの普及及び実践力の向上の中に、この辺が含まれているのかどうかという部分も若干ちょっと気になったところなんですけども、教育委員会の場合は、含まれるというか、そうなんでしょうけども、首長部分のほうは、ここはまた違ったセクションになってくると思うんですけど。何かご意見はございますか。

【松木室長】
今、お二方からご意見をいただきまして、具体的に、今、議長がおっしゃったような、個別の項目の中で具体的な内容を書く中で対応するのか、あるいはもっと別の形になるのかというのは、ちょっとまた検討させていただきたいと思いますが、ちょっと考えたいと思います。

【及川議長】
やはりガバナンスの部分で、特に地方行政の部分のガバナンスと非常に有効だったのはこの10年で立証されている部分ですので、中央の部分の、いわゆるナショナルレベルの部分のガバナンスとローカルレベルのガバナンスと、その辺のところの兼ね合いといいますか、リンクといいますか、そういうところが今まさに提案されたところだと思います。
じゃあ、諏訪委員、お願いします。

【諏訪委員】
先ほどの川嶋委員の確認で、これはそういうことなのかと感じたことなんですけれども、そもそもこの3というのは優先行動分野ごとの実施計画で、今後何をするかということなんですが、ここに挙がっているものは、今後何をするかということとはあまり関係ない、というか、これまでこうやってきたことがるる書かれていて、ここは一番肝心なことは、今後何をやるかということを書くべきではないかということを強く感じました。

【及川議長】
関連して。重委員、お願いします。

【重委員】
今のことに関連しまして、各分野の一番初めのところに説明文がありますけれども、ここにこの分野のターゲットはどこに置くのか、目標、ビジョンをどこに置くのかということがもう少し明確に書かれていないと、国内実施計画としてどういう評価をしていくのか、評価スケールも見えないのではないでしょうか。此の説明文のところに、こういうターゲットを置くとかというふうに書いたほうがよいんじゃないかというふうに思いました。

【及川議長】
では、ほかにご意見は。
どうぞ。

【松木室長】
先ほどの川嶋委員からのご質問で、来年度以降のものは入っていないのか、来年度、再来年以降というような話があったんですけども、基本的には、既存のもの、既に動いているものであるか、あるいは新しく、まさに来年度からやろうとするものかというのは問わず、2019年ぐらいまでの中長期的な間で今後やっていきますといったものを並べておりまして、例えば1)の中で言うと、全国的なESD支援のためのネットワーク機能の体制整備というのは、まさにこれからやろうとしているものですし、その上の学校におけるESDの普及及び実践力の向上とか、その二つ下のポスト2015年開発アジェンへのインプットといったのも、まさにこれからというものでございます。私の説明がなかなかよくなかったと思いますので、訂正させていただきます。

【及川議長】
ありがとうございました。
多分、お話の中で、今までやってきて、これからも継続するものも入っているし、これから新たに始めるものも入っているというふうなことですよね。だから、そういうことで、何か前もやっていたものが入っていると、何か前のものじゃないか、何も全然聞いたことがないと新しくやるものじゃないかということですけども、それが、ここから5年のスパンの中で、それが同時進行で行われていくというふうな捉えでよろしいのかと思います。

【川嶋委員】
それがわかりやすく書いてあるといいですけど。

【及川議長】
記述の方法とか、前文とかですね、そういう形で多少説明が必要かもしれませんね。
棚橋委員、お願いします。

【棚橋委員】
現場の教員にとって、政策的支援というのは非常に発言しづらいんですが、1)の一番最後のところ、5ページの真ん中のところに、「これらは以下に述べる優先行動分野2)~5)における各ステークホルダーによる取組を総合的に支える性格のものである」という意味において、小中学校は、3)のESDを実践する教育者の育成に関わるわけです。その意味では、文科省の初等中等教育局(初中局)がここに積極的に関わってくださるということがすごく大事だと思うんですね。
今日も関係省庁席にはいらっしゃるとは思うんですけれども、私の学校のある東京都で言えば、東京都教育委員会がなかなか動いてもらえない。国際統括官付のところで全体を掌握して、教育関係に、特にユネスコスクールを中心にしておろしてくださっているのはよくわかるんですが、ユネスコスクールだけがESDをやればいいというものではありませんので、日本中の全ての学校がESDの価値を認識して、これに取り組むというときに、やはり初中局に頑張っていただきたいなという思いがあります。そこで、1)の4行目ですけども、「各省の主な取組は」という辺りとか、その上ですけども、「各省」でとどまらず、「各省、各局の」と含みを持たせることは無理ですか。

【及川議長】
なかなか難しい問題ですが、ご要望です。
ただ、今の話を少し補足させていただくと、皆さんのお手元に机上配付させていただいた、グローバル・アクション・プログラムの政策的支援の項を見ていただきたいんですけど、実は(a)、(b)、(c)と三つの項目があるんですね。その中で、実は今、棚橋委員がおっしゃったのは(a)の部分なんだと思うんですよ。しかし、実施計画案ここに結構羅列されているのは(b)の部分が多くて、「持続可能な開発の重要な課題に関する政策にESDを計画的に取り入れること」と、この部分が結構書かれているわけですよ。ところが、その上にある、もっと大もとの「教育分野の全て若しくは一部を定める教育政策にESDを計画的に取り入れること。これは、カリキュラム及び国家的な基準」、学習指導要領ですかね、「学習結果の基準を設定する指標」、評価ですかね、そういうところに導入することと、国際的にはそういうふうな脈略で書かれている、要求されていることに対する対応をどうするかというのが多分難しいところだと思うんですけども、いかがでしょうか。

【籾井国際戦略企画官】
その点につきましては、教育分野でいかに推進していくかについては、ご存じの方もいらっしゃると思いますし、今、ここでメンバーになっていらっしゃる方もいらっしゃいますけれども、日本ユネスコ国内委員会の中で、学校教育を中心にどう広めていくかという議論をしておりまして、今、項目で言いますと、「学校におけるESDの普及及び実践力の向上」という形でしか書いておりませんけれども、そこの記述をするときに、そちらの日本ユネスコ国内委員会での議論も踏まえて、少し書きぶりについては検討をしたいと思います。

【及川議長】
多分難しいでしょうけども、中教審への教育課程に関する文科大臣の諮問がありましたよね、あの中にもESDって入っていますよね、きちっと。それから、アクティブラーニングなども入っているんですが、あるいは、もっと大きい話で言えば、入試制度、高校・大学を連関した入試制度改革の中でも、下村文科大臣はESD的な教育を進め次世代の不透明な時代に対応できるような人材を育てるみたいな話もおっしゃっています。ここはこれからのところなので、なかなか書ける部分と書けない部分があると思うんですけども、やはり現場の切実な思いとしては、そういうふうな骨太のところでのESDに対する政策的な支援がなかなか打ち出せなかったこの10年かなというのもちょっと多分あって、そういう発言をなさっていると思うんですね。やっぱりそういうところの部分について、今後の5年ですか、どういうふうに――今、まさしくちょうど教育改革が行われているすばらしいタイミングだと思いますし、世の中の流れもそういう方向に向かっていますので、そういうところについても、可能な範囲で書き加えができると思いますのでご検討ください。
手島委員、お願いします。

【手島委員】
この話は、政策的支援よりも機関包括的アプローチに関わってくることがあるのかなというふうな気持ちもありましたので、ちょっと待ってはいたのではありますが、やはり全国の全ての幼稚園から大学までが、全職員の協力のもとにESDに取り組むようにするということは、日本でESDを推進していく上で大変重要なことだと思うんです。それは、1)のさまざまな関係省庁の取組として挙がっている事例があるわけですけども、その一つ一つを学校教育と関連づけながら進められるようになったときに大きな意味があるんだろうと私は考えています。
例えば農水省で「木づかい運動」とか、森林環境教育の推進とか、それからエコツーリズムの推進とか、いろいろあるわけですけども、それだけがやれたからESDが推進できたということには、なかなかなりにくいわけで、ESDのある部分の取組でしかないと思うんです。それを大きな教育全体の中に位置づけながら、子どもたちに持続可能な社会に向けた資質・能力を育てていく、あるいはそういう人としての思いを育てていくということが大変重要なことだろうと思います。
そういうことを考えると、やはり学校教育でそれを進めるには、学習指導要領にESDの位置づけをきちっとすることが大事だと思うんです。今の学習指導要領にも大分書き込まれているのは確かなんですが、これはきちんと書き込んでいかないと、この後の5年間が、今までの10年間と同様の、ある一部分でしかないような取組になってしまうように思うんです。
学習指導要領の改訂については、ここのESDの円卓会議とは全く別の機関で取り組まれて進められていることではあるんですけれども、ESDの推進ということについては、政府が進めるグローバル・アクション・プログラムの中の一つであるということを考えて、文部科学省として、機関包括的に進めることはできないものかなというふうに期待しているところであります。

【及川議長】
手島委員、ありがとうございました。文科省の機関包括型というのが出てきましたが、先ほど籾井企画官がおっしゃいましたように、ユネスコ国内委員会のほうでも特別部会を設けて、今、その議論を重ねているところなんですね。だから、その部分のアウトプットなり経緯と、今のご発言、また、ここはここで、もうマルチステークホルダーでやっていますので、そういう立場でのやはり皆さんのご意見ですから、そこの部分を加味した上で、可能な範囲で、記述を考えていただければなと思います。

【上條委員】
国内実施計画は、政府の計画ではなくて、私たちの計画だと思うんですね。書きぶりとして、政府もマルチステークホルダーの1メンバーであるという点からいくと、ここに書かれているのは政策的な支援ということで、政府の案だと思うんです。ですので、これからパブリックコメントであるとか、また2回目の円卓会議などで、こんな政策があったらいいなということを私たちから提案する余地をぜひ残していただきたい。というか、それが余地としてあるかどうかという確認と、十分な議論の時間をいただきたいというふうに思っています。

【及川議長】
その辺につきましては、先ほどパブリックコメント、プラス、再度それを確認する円卓会議があるということなので、その辺でぜひご提案いただければと。ただ、なかなかそれは、皆さんの意見の全てがなかなか反映されるのは難しいと思うんですけども、そこのところは、落としどころを皆さんで確認しながらやっていく必要があるかなというふうに思います。

【柴尾委員】
3の1)の前の4行なんですけども、「ESDの推進においてはNPOをはじめとする政府以外の各ステークホルダー」という記述ですが、NPOを特出しするのではなくて、この円卓会議のメンバーであるところの「NPO・NGO、教育機関、企業等」というふうに、全て入れたほうがよろしいのではないかと思いました。

【及川議長】
マルチステークホルダーを記述したほうがいいということですね。
どうぞ。

【小川委員】
この「政策的支援」という言葉が、なかなか難しいと思うんですね。グローバル・アクション・プログラムの中に明記されている、先ほど(a)、(b)、(c)でいくのか、それとも、国内の行動計画をつくるときに、ほかの機関包括的アプローチとかコミュニティとかユースとか、そういったものとの絡みの中で政策的支援というのをどう位置づけるかということを少し明確にしたほうが、ほかの優先行動分野とのつながりが見えてくると思うんです。今、どうしても具体例のところだけを羅列されているので、体系化が見えない。(a)は教育、それから(b)はSDに関すること、(c)は国際的なことに関することとかというふうにあるんですが、このそれぞれに対して政策的支援とはどういうふうなものを意味づけして、そこで絞り込まれたほうがいいのではないかなと。そのことが、ほかのものに対してどういうふうに影響が出てくるかというふうに見ないと、ちょっと政策的な支援というところが逆にぼやけてしまって、今言われたようないろんな意見になってしまうのかなと思うので、できたら、ここの冒頭の言葉の中に、「政策的支援」というのをどの範囲のことで政府としてやるのかというのが、もう少し言葉がはっきりしたほうがいいかなと思いました。

【及川議長】
ただ、先ほど上條委員の話がありましたけど、政府だけではないというふうなこともありますので、その政策的支援、今言ったように全国レベルとか地方レベルとかございますから、その辺の部分での整理の仕方というのは非常に難しい部分はあるかなと思うんですけども、要はもう少しカテゴライズしたほうがよろしいのではないかと思います。今は便宜的にただ羅列しているだけだと思いますけども、今後、その辺の中身を記述する際に、グルーピングといいますか、そういうところがあると見やすいし、わかりやすいという話だと思います。
それでは、皆様、熱いご議論で、どんどん時間だけが過ぎていくんですが、2番目の機関包括型の部分についてはいかがでしょうか。
手島委員、お願いします。

【手島委員】
一つ目のところに、「学校における教科・教員間の連携の強化」というふうにあるわけです。きっとこれは具体的にまた書き込まれる内容があるんじゃないかと思うんですが、この教科の連携、教員の連携というのは大変重要なことだと、ESDを進める上に、本当にこれができるかどうかが勝負だろうというふうに私は思っています。単独の教科の中に閉じた教育から教科横断的な学びにつなげていく、ESDの視点を踏まえてつなげていくということが大変重要なことだと思うんです。
具体的には、ESDの視点を踏まえ、総合的な学習の時間を中心とした、全校的なカリキュラムづくりを各学校、各地の学校で進めるんだ、あるいはそれを支援していくんだというような中身になっていただけるといいかなというふうに思います。そこに、それを今度は実践する場合に、教員が今までの教科の枠にとらわれずに、教員間が協力し合って、連携し合って、総合的な学習を進めていき、全校でESDの教育が進むというような形になっていくことが一番大事なことだろうと思います。
以上です。

【及川議長】
ありがとうございます。
ここの部分につきましては、学校で考えればホールスクール・アプローチになるわけですから、そういうカリキュラムの部分だけじゃなくて、教員研修とか、あるいは学校の校長先生を初めマネジメントとか、PTAの関わりとか、そういう部分で学校全体ということで、校舎の経営とか、そういう部分も含めて学校全体ということで、考えていかなきゃならないというふうな話だと思うんですが、ここの部分は、その中で教科と教員の連携を強化していくというふう書きぶりだと思います。
ほかにございませんでしょうか。
じゃあ、今井委員、お願いします。

【今井委員】
高等学校の視点からお話をさせていただきます。
今、手島委員のほうからお話のあったとおりだというふうに私も思っております。愛知県は昨年度、名古屋で国際会議があり、さらに岡山でもございましたけれども、全国でユネスコスクール、913(※939校(6月現在))だったと思いますが、その中で愛知県は156ぐらいあるんですね。県立学校は、160校ある中で10校であります。ここには教科・教員間の連携の強化とありますが、高校においては裾野を広げていくというところに大変大きな産みの苦しみを持っております。
実は学習指導要領のほとんどの科目の中に、ESDの視点が文言として盛り込まれております。数学辺りは盛り込まれていないのですが、それ以外はほとんど盛り込まれている。それにのっとって教育を行っていくというところではありますけれども、高校では、普通科、専門学科、総合学科、そして特別支援と、さまざまありますが、その中で裾野を広げて各学校がESDの取組をしていくということについては、大変苦しんでおります。
本校、豊田東高校は、フラッグシップとしてさまざまな取組をやっております。愛知県の中でも、私の高校が一つの取組をリードしていくことが必要なのかなというふうにも思っておりますけれども、教科・教員間の連携の強化、その前に、高校においては義務教育との連携も含めて、あるいは高・大の連携も含めて、いかに裾野を広げて意識の改革を図っていくかということが大変重要なことだというふうに考えております。高校という文言ということからは少し離れていたかもしれませんが。
以上でございます。

【及川議長】
学校教育におけるホールスクール・アプローチの進め方とか視点ということでお話をいただいたと思います。
今までずっと教育現場と学校が中心でちょっと話が進んでいるんですけども、ここはマルチステークホルダーですので、教育のみならず、やっぱりオールジャパンでESDを推進するという立場であります。そういう意味では、ここに企業の方もいらっしゃっていますので、機関包括型というのは、もうそういう企業もですね、あるいは行政も含めた部分です。
そこで、大変恐縮ですけども、篠塚委員さん、経済界の立場として、学校教育とか、そういうのを離れて、ESDを進める際に、企業を挙げてというか、そういう形で進める際のポイントでご意見を賜ればありがたいなと思いますが。

【篠塚委員】
経済同友会の篠塚でございます。
今、ご指名いただいたところでございますけれども、私ども、経営者個人の団体ではあるのですが、比較的教育全般について、以前から世の中に向かって、僭越ですが、提言という形で発信させていただいております。その中で、やはり企業と経営者は、従業員の方々がお子さんをお持ちとか、いろいろな状況がある中で、教育に対しても幅広く理解と協力をさせていただく、という形で取り組んでいくべきと考えております。例えば地域の活動等についても、なるべく休暇の取得を推奨させていただいたり、あるいは学校と企業が連携しながら教育を、次世代を担う人材を育てる教育に貢献していきたいということで考えております。ますますグローバル化する中で、持続可能な開発に資する教育という観点も重視しておりますので、そういう観点から、経済界としてもこういった部分については極めて重要な取組であると考えておるところでございます。

【及川議長】
ありがとうございます。
今、進行形でも、コンソーシアムであるとか、さまざまなESDの取組の中で、企業の果たす役割というのは非常に重要だということが皆さん認知しているところであります。そういう中で、企業そのもののESD活動と、外部と連携する、学校と連携する、そういうところでの活動のこれからのポテンシャルというのは非常に大きなものがあるのかなと思いますので、ぜひ、そういうところもこれからのプランの中で生かしていっていただければなというふうに、今話を聞いて感想を持った次第です。
小川委員、お願いします。

【小川委員】
報告ですが、せんだって愛媛の経済同友会の会が、ESDをテーマに研修会をやるから来いということで行ってきました。企業の方が30名ほどおられて、非常に熱心に自分たちがどう関わっていったらいいかということを考えられていましたので、そういう動きが全国で出てくるとすごくいいなと思った次第です。報告です。

【及川議長】
ありがとうございます。
時間を見てまだご発言いただいていない方の部分で、十分な情報を引き出すタイミングをちょっとはかっているところなんですが、辰野委員、コメントをお願いします。

【辰野委員】
ありがとうございます。
昨年、岡山で開催されたユースコンファレンスでも、一つアイデアとして挙がっていたものなのですが、サービスラーニングというものがありまして、それは今、アメリカでも1000校以上がネットワーキングをし事業を行っているものなんですが、このサービスラーニングとESDを連携することができないかと考えております。
サービスラーニングとは何かといいますと、学生たちがコミュニティやNPO・NGOに貢献することによって授業の単位をもらうことができるという授業でして、言ってみれば、大学の外に出て、そこにある自治体であったり、NGO・NPOに貢献をし、そこで自分のスキルを試し、大学での学びとつなげていく授業なのですが、今はICUですとか明治学院大学など、幾つかの大学が導入しています。この考え方こそがESDだと思いますし、大学生がそういった取組をすることで単位が取れる、大学の外に出て、自分の力で何か貢献することによって単位が取れるという形で、この授業をとれるようになればと思います。その授業の中で、ESDの考え方や、そういった若者の力や市民参画というものが必要とされるという内容も扱えますので、今既に広まりつつあるサービスラーニングとESDのコンセプトの連携を強化できればと思っております。

【及川議長】
ありがとうございます。
今のご発言の趣旨から言うと、4)番目のユースの部分ですかね。

【辰野委員】
そうですね。あと、実はこの2)にも当てはまるところがあります。大学と、そして外の自治体であったり、NPO・NGOとの連携にも関わりますので、言ってみればプログラム開発というものを学校一つでやるのではなく、コミュニティであったり、NGOやNPOとともにプログラムを開発していくというものになり一つの連携のあり方でもあるのかと思います。

【及川議長】
なるほどね。活動的には4)なんだけども、2)の部分の、仕組み的には2)に当たる部分があるということですね。
それでは、申し訳ありません。3)のほうの教育者のほうに移りたいと思うんですが、ここについては、今までさまざまなご意見が出ていますので、今までの意見以外の部分でですね、教員の能力向上といいますか、教員だけでない教育者、トレーナーも、資質向上ということで何かご意見があればお伺いしたいと思うんですけども、まだちょっとご発言いただいていない先生、委員さんがいらっしゃいますので、そういう意味では、教員養成であるとか、教育に携わっている奈良教育大学の加藤委員、この辺につきましてご意見を賜ればと思うんですが。よろしくお願いします。

【加藤委員】
大学の授業って、必須科目と選択科目がありますよね。ESDは必須か選択かという話だと思うんですよ。必須にするとESDではなくっちゃうような気もするんです。選択でこそESDだという気もするんです。ところが、選択だと、なかなか進まないというプレッシャーになると。本当に悩み深い。うちで言いますと、教員養成ですから、ESDが学習指導要領に入ってきたので、先生になる人はESDは知ってなきゃいけないよと、そこまでは言います。なぜ言えるかというと、学習指導要領に入ってきたんだから、こちらは学習指導要領に基づく教育をしなきゃいけないんだから、その資質を持って現場に出なきゃいけないんだからというところは言えるんですけれども、そういう言えるというところの仕組みを、棚橋委員がおっしゃったように、少しずつつくってほしいなというのが願いです。

【及川議長】
具体的には、どういう。

【加藤委員】
もちろん、初中局の。申し訳ないけれども、そういうところが。ちょっと頼り過ぎているのかもしれませんけれども、そういうところが。

【及川議長】
ただ、ここの3)番目の部分は教員研修ですので、先ほど言った1)番目のガバナンスとは、またちょっと立て分けないと混乱してしまうと思います。その辺のところで、大学ができる部分だとかありませんでしょうか……。

【加藤委員】
教員研修、今いただいている日本/ユネスコパートナーシップ事業で、何の研修をしたらば、どういう先生方に能力がつくのかという、評価指標までつくっておかないといけないというところで、なかなか厳しいのでありますけれども、次年度ぐらいには何かモデル的なものをつくりたいなと思っています。

【及川議長】
ありがとうございます。
そういう今教員研修のプロジェクト事業をやっていらっしゃるということで、そこの部分のアウトプットを今後この計画に生かしていただくというふうなことがあり得るかと思います。
じゃあ、岡本委員、お願いします。

【岡本委員】
今、教員の資質向上の話が出まして、それで教員養成のことも出ましたので、少し意見を述べさせていただきたいと思います。資料の6ページを拝見すると、研修が教員の資質向上の中心になっていますので、養成の部分ももっと充実させる必要があるのではと思いました。先ほどESD必修か選択かという話がありましたが教員養成につきましては、教育職員免許法の施行規則というもので定めがあるわけですから、その一部改正を進めるぐらいして、教員を目指す学生には必ずESDに関する科目を必修科目にしてもいいんじゃないかという、そういう意見は持っております。
それから、ついでにもう一つよろしいですか。研修と同時に、現職教員免許状の更新講習を今やっておられます。これもちょうど来年度から新しい枠組みが導入されるようになっています。現行では必修と選択という二つの枠組みなのですがそれに加えて選択必修という枠組みが入ってきます。例示で幾つかの講習の内容が示されてはいるのですが、その中にESD関係のものがないのです。ですから、教員免許状の更新講習のテーマにもESDに関する内容を少なくとも選択必修の枠組みに加えていけば、現職教員のESDに関する資質向上にも大いに役立つのではないかと思います。
以上です。

【及川議長】
ありがとうございました。貴重な意見だと思います。
実はその話は、1)番目のガバナンスのところでも、そういう話が多分リンクするのかなというふうに私は思っていたんですけども、そういう養成の部分での教員免許状の規定の部分、それから免許状更新講習の部分ですね、そういうところで、教員の養成、あるいは研修のESD的な要素をつぎ込んでいくというふうなことも必要かなというふうなご意見だと思いました。ありがとうございます。
じゃあ、もう一方だけ、教育についてご意見いただきたいと思います。手島委員さん、ありますか。

【手島委員】
先ほど安田先生からいろいろお話が出ていましたけども、この研修の中に、学校の管理職や教員を対象にした研修というような形になっていますが、教育行政担当者ですね、地方教育行政の担当者への情報提供であるとか、あるいは研修というような形にしてもいいのかどうなのか、それをやっていかないと、一部の地域しか実施が広がらないという現状を打破できないんじゃないかなと思います。
以上です。

【及川議長】
要は指導主事とか、そういうことをイメージしていらっしゃるわけですね。

【手島委員】
はい。

【及川議長】
先ほど教育長の全国都市教育長会議とかの説明会で、そういうのが必要だというふうな話がありましたが、そこの一つまた実務的なレベルの話だと思います。ありがとうございました。
お待たせしました。ユースの部分で、大変お待たせして恐縮だったんですが、今日、ユース代表の方、何人かいらっしゃっています。先ほど辰野委員にはご発言いただいたんですけども、秋葉委員、何かその辺についてユースでご意見ございますでしょうか。

【秋葉委員】
エコ・リーグの秋葉です。本日は、ユースとして、このような場で発言できることを大変うれしく思っております。
私から1点お話がありまして、黒ポツの一番上ですね、ユースフォーラムの開催等、国内外の若者がESD推進に参画する取組の支援とございますが、先ほど辰野委員がおっしゃっていたとおり、コミュニティの中での学びというのも、私もすごく大切だと思っています。なので、ESD推進のみならず、さまざまなボランティア活動であったり、社会とつながる場というのに若者が参画するということの取組の支援をこの中に盛り込んでいただければと思います。
以上です。

【及川議長】
ありがとうございます。そのとおりだと思いますね。
ユネスコ協会のほうで、青年部とか高校生でキャンプとかやっていますけど、その辺からの視点でいかがでしょうか。

【川上委員】
ユネスコスクールとESDというテーマで、各全国のブロックでの研修会というのを行ったりするんですけれども、ESDという言葉が、やはりまだどうしても浸透していないというのが一つあります。ESDという言葉を使った段階で、全く別物、今まで私たちがやってきた活動、地域で行ってきた活動などと違うものなのではないかという、若者にとっても、何かそういう思いがあるようでして、まずそこを何とかクリアしていきたいということですね。
若い人たちに関しては、海外のスタディツアーなどを通して、グローバルな視点でのアクションを起こしてほしいということで、ヨーロッパへの派遣ですとか、それからカンボジア、私たちが教育支援を行っているカンボジアなどへの派遣などを行ってきています。そういったところで自己変革を感じた若者たちが、日本に戻ってきて、個人の経験として終えてしまうのではなくて、それをほかの若い人たち、また地域に戻ってアクションに結びつけていく、そこがすごく重要かなというふうに思っています。そこに私たちも今力を入れているところです。
もう1点、地域だけ、若者だけでは何もできないので、やはり地域、コミュニティ、それから市民社会、NGO、学校が連携して、アクションを起こしていくことが大事だろうということで、ESDパスポートという事業を2年前から始めました。今年で3年目になるんですけれども、これはこのパスポートを用いて何かしらのボランティア活動を若い人たちにやってもらいたいということで始めたものです。これも学校の負担があまり大きくなってもいけないですし、地域でできることは限られているので、とにかくいろいろなステークホルダーの人たちがともに行っていくことがすごく大事なんだろうなというふうに感じています。
以上です。

【及川議長】
ありがとうございました。
今、日本ユネスコ協会連盟のほうから話があったんですが、このユースの記述を見ますと、ほかの部分と比べて、事例といいますか、実例の部分がかなり少ない感じはいたします。そういう意味で、今皆さんが言われたように行政だけじゃなくて、この実施計画の、さまざまなマルチステークホルダーで進めるという意味であれば、そういうところの書き込みというのもあってしかるべきではないかなというふうに思いますので、ちょっとご検討いただければと思います。
辰野委員、お願いします。

【辰野委員】
ありがとうございます。1点だけお話しさせていただきます。
皆さん、お手元にこちらチラシがあると思います。
昨年からESDユースカンファレンスに関わらせていただいており、若者に関しても、ESDという言葉の理解のハードルの高さを感じておりまして、わかりやすく関わりやすい言葉の必要性を感じております。彼らの社会的な活動がESDであったことに気づいてもらえるように、とにかくまず、若者、熱い教育に関わる人たちが集まる場をつくるというコンセプトで、今回のユースカンファレンスのデザインをしております。
若手で社会起業家であったりですとか、ユースとして環境問題、国際問題に取り組んでいる若者はたくさんいますので、そういった人たちをとにかく集めて、集まった後に、彼らが実は自分がやっていることはESDだったんだと気がつく、そういう場づくりをしていきたいと思っています。
それを推進するために、ESDの応援ロゴというのが昨年あったかと思うんですが、ESD推進ロゴみたいなのをまた出していただければと思っております。学生団体はもちろんのこと、内閣府で行っている東南アジア青年の船事業ですとか、青年海外協力隊のウェブサイトですとか、そういった青年が社会に対して貢献しているものに対して、そのロゴがとにかくたくさんついているようになればと思います。もう、とにかく熱い若者はESDという言葉を見ないわけにはいなかいぐらい、そのロゴが普及されることによって、ESDをやっていることは格好いい、そして教育イノベーターとして活躍しているあかしなんだというふうな形で、ユースにどんどん広めていけたらと思います。

【及川議長】
ありがとうございます。
今、いろいろ事例的なところを発表していただきましたけど、そういうものもぜひアウトプットしていただいて、このユースの部分の今後の計画について、質的に厚みをつけていただければと思います。
では、重委員、お願いします。

【重委員】
今のことと関係しますが、ユースの内容に厚みや深みを持たせる書きぶりの工夫をお願いしたい。1)のガバナンス5)の地域コミュニティにも関連しますが、あらゆる分野にユースの参画の機会を意識した事業を施策として頂きたいこと。
子ども若者支援・青少年問題を扱っている内閣府や厚労省などとも連携した施策の事業を入れて頂きたいこと。
特別健全で優秀な若者だけを取り上げて対象にしているというような印象が強くならないようにしていただけるといいなというふうに思いました。

【及川議長】
なるほど。課題を抱えているような部分、負の部分についても、どう解決すべきかというふうなところですね。
ユースにつきましては、世界会議でも大きくクローズアップされたということの記述が前文にありますので、その部分も踏まえて、ここの部分につながるような形になるべきかなというふうに思いました。
最後の五つ目に入ります。五つ目は地域の部分ですが、これにつきましては、申し訳ありません、私のほうからご指名をさせていただきたいと思います。ずっと10年の間、国際的な取組ですが、地域ベースでRCEを展開されている国連大学の竹本委員のほうから、地域におけるネットワークづくりであるとか、課題解決についてのサジェスチョンをいただきたいと思います。

【竹本委員】
ありがとうございます。
国連大学は、このメンバーの中でも唯一の国連機関ということでございまして、只今議長からご紹介ありましたとおり、地域に拠点を置くESD活動として、RCEネットワーク活動を展開してまいりました。国連大学としては、ESDプログラムを2002年からやってきておりまして、この「ESDの10年」の推進という観点から、RCE地域の拠点活動に加えて、高等教育機関におけるESD活動の推進に貢献してきています。今回、GAPの中で、五つの優先行動領域が規定されておりますが、これら全てにわたって、ESDの更なる推進に努めていくこととしていきます。
RCEについては、第5のところでも明示的に書いてあるとおりですが、当初2005年には、7カ所から始まり、現在世界全体で130のRCEが認定されています。国内では6カ所のRCEが認定されていますが、ESDの推進にあたっては、地域の拠点を中心にコミュニティや多くのステークホルダーが関与していくという考え方が重要であり、そういう視点からも、国連大学として今後とも積極的に参画をしていきたいと思っております。
かかる上で、この5)のところに書いてあるRCEは例示として書いていただいておりますので、大変ありがたく思っているわけでありますが、それを踏まえて、「主な取組」のところでは記述がなされていないので、これからのプロセスでさらに具体的な記述がなされることを期待しております。
以上です。ありがとうございました。

【及川議長】
ありがとうございました。
国際機関、グローバルネットワークからの地域というふうな今視点ですけども、もう一つ、あと行政からの地域という視点があるかと思うんですが、愛知県の橋本委員、世界会議を踏まえて、その辺の地域におけるESDの推進について、ご提言、ご意見いただければと思いますが。

【橋本委員】
愛知県の橋本です。昨年、ESDユネスコ世界会議を経験しまして、感じることということですが、ESDにつきまして学校関係者を始め多くの方とお話しする機会がありました。私が聞く限りでは、学校や、市町村を含めた行政も、目の前のことを行うのでもう手一杯であると、先生方もおっしゃっていました。もう一杯一杯であると。そこにESDを行えということで多くの要請が来ていると。それを行う必要性はわかるんだけども、今していることをやめないとできないと。多分先進的な市町村、先進的な学校では、熱心な先生や、熱心な職員に負うところがかなり大きいということです。したがって、学校も生徒も手一杯なところに、これはもうやめるからESDを受け入れるといった方針を明確にしてもらわないと、なかなかできない。皆さんおっしゃられることはわかるんだけどもという声をよく聞きました。時間や対応できる人の数は限定されていますので、そういうことを選んでいくということをしないと、素晴らしいことなんだけども、なかなか浸透していかないということをよく昨年度伺いました。

【及川議長】
ありがとうございます。
その意味で、地域のネットワークにより、より負担感なり多忙感なりを解消しつつ支え合う仕組みづくりみたいな、ESDの持続可能な仕組みづくりが、多分、ここのところでは大事になってくると思うんですが、そのときのさっきの言った行政的な部分のセクターの位置付け、そして行政の役割というのが非常に大事になってくるのかなという話だと思います。
それでは、もう一つの視点として、行政から、今度、民間、経済界という視点が、当然、これはあるわけですが、日本経済団体連合会の池田委員から、経済部門から見る地域における、あるいは地域も広く、全国レベルでも構いませんけども、その推進についてご意見を賜ればと思います。

【池田委員】
経団連の池田でございます。
必ずしも地域コミュニティというような問題だけではないと思いますが、幾つかコメントさせていただきます。
先ほど同友会の篠塚さんからもお話がございましたように、企業は、環境教育に関してさまざまな活動をしております。例えば、独自のテキストや教材を作成したり、出前授業として企業人を教育の場に派遣をさせていただいたりしております。ただ、以前に、環境教育に携わっている企業や団体の方々と懇談をさせていただいたときに、せっかく教材をつくっても、教育の場で使ってもらえないといったご意見を伺ったことがございます。そういった意味で、企業とそれ以外のステークホルダーの方々との連携というのは大事ではないかと思っております。
また、今回の報告書では、マルチステークホルダーの中に労働組合が入っていませんが、企業の中で取り組みを進めるに当たっては、労働組合との連携も大事ではないかと思っています。
最後に、ESDは、幅広い分野に関わる教育内容を含んでいることは十分理解しています。また、ESDは、理解をするだけではなくて、アクション、行動することが大事であることも認識しています。そのうえで、今般、政府は年末のパリのCOP21に向けて、約束草案の原案を取りまとめておりますが、温室効果ガスの削減目標は非常に野心的な目標水準になっております。特に、家庭分野について4割削減するとか、運輸分野についても3割削減するといった目標になっており、今後、低炭素社会の実現に向けた国民運動を強力に進めていかなければならないと考えています。ESDは幅広い内容を含んでいることはわかりますが、温暖化問題に関する内容に力点を置くなど、めり張りをつけて取り組むことができないのかと感じた次第です。低炭素社会の取組というのは、一人一人が日々行動できる分野かと思いますので、そういう意味で、いい事例になるのではないかと考えました。
以上でございます。

【及川議長】 ありがとうございました。
経団連の池田委員からご発言いただきましたが、経済界と教育、それからNPOを含めた連携の必要性というものが、この5)の地域コミュニティに落ちていくような、そして、実質的に機能するような形で進まないといけない思います。繋がりをいくつつくっても、それがESDとして機能を発揮しないのであれば、それは目的と手段が逆の話かなということです。具体的にターゲットを絞ってというご提言もいただきました。どうもありがうとございます。
議長の不手際で時間が過ぎてしまいまして、大変恐縮です。最後、もう少しだけおつき合いいただいて、4番の点検・見直し・評価について、皆様から一括でご意見をいただければと思います。その中で、前の五つのアクションの部分に関わる部分があれば、もちろんそれはそれであるかと思うんですけども、点検・評価・見直しの部分で、ご提言ございますでしょうか。
では、諏訪委員、お願いします。

【諏訪委員】
点検・評価に当たるかわかりませんけれども、やはり最初にも申し上げましたように、過去10年をまず見直すというところで、何が足りなかったのかということで、今回もかなり分散的に出ておりますけれど、それらを統括するといいますか、例えばESD推進センターのような、中心的な機能をつくらないと、各省庁に権限がばらばらのまま、そしてそれぞれの分野でばらばらのまま進むのではないかという懸念を持っておりまして、やはり推進の中心になるようなものを組織としてきっちりとつくることが必要だというふうに感じております。

【及川議長】
ありがとうございます。
これにつきましては、冒頭、小林局長さんのほうから力強いお言葉をいただきましたので、それに向けてみんな取り組んでいければというふうに思います。
棚橋委員、お願いします。

【棚橋委員】
学校だけに関わることではないんですけども、ESDの活動をした後、それを振り返らない、やりっ放しということが多くないかなというふうに思うんですね。教育は、目的があって、それを達成したかどうかというモニターをしなければ、その次へ進めませんので、評価活動をきちんとするということの大切さというのは伝えていく必要があると思うんですけども、評価の前に何をやるかということを、発達段階に応じてきちんと丁寧に構築してあげるということがないと、大学生も、それから30代のユースも、小学生も、幼稚園も、みんな同じESDを語ってやっていけるのか。もう無理です、これは。ですから、発達段階に応じて、これぐらいの年まではこういうESDがあるだろう、こういう力をつけようじゃないか、それについての評価はどうなんだという、そういう丁寧な我が国のESDの形づくりというものがないと、なかなか進まないんじゃないかなというふうに思います。
以上です。

【及川議長】
発達段階に応じた評価指標みたいな話だと思うんですが、この実施計画にそこまで書き込めるかどうかという部分もあることから、なかなか難しい問題かと思います。それについてはユネスコの特別部会等でもぜひ検討いただければなというふうに思います。
柴尾委員、どうぞ。

【柴尾委員】
ありがとうございます。
評価につきましてなんですけども、評価は、ここにありますように、各ステークホルダーごとの評価、それから国レベルでの評価、それから国際的な評価、さまざまなレベルの評価があるというふうに思います。その中で、最後に申し上げたいのは、やはり国際的な発信ということが、これだけESDに熱心に取り組んでいる日本ですから、ぜひこれまで以上に進めていくべきだということがここにも書かれていますし、評価の視点にも取り組まれるべきだと思うんですね。
そのことで、一つご報告がございます。仁川での世界教育フォーラム、それから、次の週に、パリではGAPのパートナー機関による会議が行われまして、ACCUも全世界78機関のうちの一つとしてそこに参画をしております。その中で、我々の役割は、優先行動分野2.の包括的なところですね、ホールインスティチューションアプローチ、こちらの担当となっておりまして、そして日本の、それからアジアの取組を特に伝えるべく、うちの部長の進藤が、世界のコーチェア(co-chair)という形で任命されておりますので、そういったような国際的なところでも発信していけるために、ぜひ皆さんのご協力を得たいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【及川議長】
では、全体を振り返って、皆さんから何かご意見があればお願いしたいと思います。
小川委員。

【小川委員】
今の評価のところとの絡みなんですけれども、棚橋委員が言われたように、教育の分野と、それ以外のSDに関する分野と、これを混同して評価されると、結局、ESDというのがわからなくなってしまうところがあるので、ESDのEに関する分野と、それからGAPで出されてくる今後の方向性に関する取組に関する分野と、そこのところのすみ分けを明確にした上で、過去を評価して次へつないでいただくような整理をお願いしたいなと思います。
以上です。

【及川議長】
それは、皆さんも多分そう感じていらっしゃると思いますが、学校教育におけるESDの評価と、それからマルチステークホルダーで国としてESDを進めていくという中での評価というのは、やっぱり枠組みが違うんだと思うんですね。その中で、柴尾委員がおっしゃったように、ローカルの部分とナショナルの部分とグローバルの部分と、そのグローバルの部分に発信をつけるというふうな部分が出てくると思うので、やっぱりその辺のところを立て分けて、皆さんで評価の構築をしていかないといけないんだろうというふうに思って聞いていた次第です。それが5年後、皆さんがそういうプラットフォームで、皆さんがまた集まって、各セクターがやったものを持ち寄って評価できる場ができれば、そこでまた日本の今後の5年の歩みが共有され、次のウェイフォワード(way forward)が見えてくるのかなと思いますので、今始まったばっかりですけども、そのようなプロセス、ステップを意識してやる必要があるのかなというふうに思って聞いていました。
大変申し訳ありません。私の不手際で10分ばかりオーバーしてしまいましたが、皆さんから多様な意見をいただきました。これにつきましては、自由に意見をここで出し合い、今後の展開についての視点、あるいは展望をここで共有するのが、この円卓会議の目的ですし、それを踏まえて、反映できる部分、あるいはそれを割愛する部分も含めて、今後のパブコメの部分で原案ができていくものと思いますので、事務局の方には、さまざまな意見が出ましたが、その中で対応できる部分について、ご対応いただきたいなというふうに思う次第です。
以上で、私の使命を終わりにしたいと思います。
どうもありがとうございました。


―― 了 ――

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