女性スポーツに関する国際的な取組

スポーツ庁では,国際的潮流の情報収集,国際会議への議論への参画,またスポーツ団体等と連携し,スポーツ・フォー・トゥモロー等を通じて先進事例を各国と共有することなどにより,国際的な女性のスポーツへの参画を促進していきます。

1.主要な国際的な提言


(1)国際女性スポーツワーキンググループ International Working Group on Women and Sport(IWG)


○ブライトン・プラス・ヘルシンキ2014宣言 Brighton Plus Helsinki 2014 Declaration
「国際女性スポーツワーキンググループ(International Working Group on Women and Sport 通称:IWG)」(※1)が発表する女性スポーツ発展のための国際的な戦略であり、行動計画を指導する10の原理・原則を提言しています。1994年にイギリス・ブライトンで開催された「第1回世界女性スポーツ会議」において、採択されました。同宣言は、2014年にフィンランドのヘルシンキにて開催された、「第6回世界女性スポーツ会議」での見直しが行われ「ブライトン・プラス・ヘルシンキ2014宣言」として、新たに承認されました。
※1 IWGは、男女平等を土台として持続可能なスポーツ文化を創出することをビジョンとする独立した調整団体です。(1)政府機関、スポーツ団体、国際機関、大学、NGOといった多様なステークホルダーとのネットワークの形成、(2)4年に1度開催する「世界女性スポーツ会議」における各国や各組織のグッドプラクティスの共有、(3)女性スポーツ発展のための助言、(4)世界の女性スポーツ発展のモニタリング、そして(5)「ブライトン・プラス・ヘルシンキ2014宣言」をスポーツに携わるすべての団体に広げていく活動をしています。

<10の原理・原則>
(1)社会・スポーツにおける公平と平等
(2)施設・設備の配慮
(3)学校体育・青少年スポーツにおける平等
(4)スポーツへの参加促進
(5)ハイパフォーマンススポーツへの参加
(6)スポーツにおけるリーダーシップの発揮
(7)スポーツ指導者等に対する教育・啓発
(8)調査研究及び情報提供における平等
(9)資源(人的・物的)配分における配慮
(10)国内・国際活動における連携・協力

平成29年4月10日にスポーツ庁、独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)、公益財団法人日本障がい者スポーツ協会(JPSA)・日本パラリンピック委員会(JPC)、公益財団法人日本体育協会による合同署名式が実施されました。(その他の日本の署名団体は、熊本県体育協会、熊本市体育協会、公益社団法人日本女子体育連盟、NPO法人ジュース。)

段左からモヒビIWG事務局長、山口スポーツ庁参与、木村スポーツ庁審議官、マホリサIWG共同議長、小笠原IWGアジア代表、デ・ソイサIWG特別メンバー。
下段左から泉日体協専務理事、高橋日障協常務理事・JPC副委員長、鈴木スポーツ庁長官、平岡JOC専務理事、森岡JSC審議役

(2)国際オリンピック委員会(IOC)


○ロサンゼルス宣言 The Los Angeles declaration
2012年2月にIOCは、女性スポーツの更なる発展を目指し、より多くの女性がマネジメントと指導的なポジションに従事する必要性とジェンダー平等を促進するために、特に国際連合との連携やパートナーシップを強くする必要性を強調したロサンゼルス宣言を発表しました。
<概要>
・女性のマネジメント・リーダーシップスキル向上のためにより多くの資金を投資
・IOCの女性委員の最低人数の目標修正及びモニタリングシステムの設定
・2012-13年及びそれ以降の委員選定における、IOCとその他の全ての関連団体(NOC,IF、NF)の更なるジェンダー平等の実現
・関連スポーツ機関における政策的な男女平等の実現とその公開
・全ての団体組織における女性の権利と幸福の促進のための連携
・女性のスポーツ実施率の向上やマネジメントへの参画による、男女平等及び女性と女子のエンパワーメントの国際的なアジェンダへの貢献。
・国際連合によるジェンダー平等と女性のエンパワーメントに対する貢献の活用
・国際連合やUNウィメンとの協力関係の強化及び地域レベルでの連携
・議会での決定を促進するための列国議会同盟との連携強化
・女性とスポーツのプラットフォーム創りの促進

○オリンピック・アジェンダ2020(20+20提言)※抜粋
提言11:男女平等を推進する
  1.IOCは国際競技連盟と協力し、オリンピック競技大会への女性の参加率50%を実現し、オリンピック競技大会への参加機会を拡大することにより、スポーツへの女性の参加と関与を奨励する。
  2.IOCは男女混合の団体種目の採用を奨励する。
提言14:オリンピズムの根本原則第6項を強化する
  IOCは オリンピズムの根本原則第6項に、性的志向による差別の禁止を盛り込む。
※オリンピック憲章根本原則第6項
オリンピック・ムーブメントの目的は、いかなる差別をも伴うことなく、友情、連帯、フェアプレーの精神をもって相互に理解しあうオリンピック精神に基づいて行なわれるスポーツを通して青少年を教育することにより、平和でよりよい世界をつくることに貢献することにある。

(3)国際連合教育科学文化機関 (UNESCO)


○体育・身体活動・スポーツに関する国際憲章 
1978年に採択された同憲章は2015年に大幅に改訂されました。改訂版では女性へのジェンダー関連問題に対する14の言及が含まれました。スポーツを行うことは基本的な人権であり、人種、ジェンダー、性的志向、言語、宗教等のあらゆる要素によって差別を受けるものではないと言及しています。また、女性や少女が安全にスポーツや身体活動に参加できる施設の確保や、ジェンダーに基づく暴力の防止などが含まれています。

○MINEPS V「ベルリン宣言」MINEPS V-Declaration of Berlin
2013年5月に開催された第5回体育・スポーツ担当大臣等国際会議(International Conference of Ministers and Senior Officials Responsible for Physical Education and Sport, 略称:MINEPS)の成果物として「ベルリン宣言」が121か国により採択されました。ジェンダーの主流化の重要性や障がいを持つ女性のスポーツ参加、文化や社会的規範を考慮した適切な施設や器具及び服装への留意、意思決定ポジションにおける女性の増加などが含まれました。

○MINEPS VI 「カザン行動計画」Kazan Action Plan
2017年7月に開催されたMINEPS VIにおいて、「カザン行動計画」が約120か国の大臣により採択されました。同行動計画の中で、スポーツを通じたジェンダーの平等と女性のエンパワーメントは国内外のスポーツ政策における重点要素であり、グッドガバナンスと国際連合が定める「持続可能な開発目標(SDGs)」への貢献を最大化するために重要であることが明記されました。また、5つの同計画の中で「女性・スポーツ・体育・身体活動のための国際モニタリング機関の設置に関する実現可能性の研究の実施」についても含まれました。

(4)国際連合(UN)


○北京宣言及び行動綱領 Beijing Declaration and Platform for Action
1995年9月に北京で開催された第4回世界女性会議では、「平等、開発及び平和のための行動」をスローガンに「北京宣言」及び「行動綱領」が採択されました。「行動綱領」は、女性のエンパワーメントに関するアジェンダであるとされ、12の重大問題領域(貧困、教育と訓練、健康、女性に対する暴力、人権、メディア、環境、女児など)が設定され、それぞれの戦略目標と、政府やNGO等のとるべき行動指針が示されたジェンダーに配慮した施設やプログラムの確立、スポーツ及び身体活動の全ての分野における女性の地位向上が含まれています。また、女性の健康を促進する予防的プログラムの強化や教育現場における女子の平等なスポーツ参画についても言及されました。

2.主要な国際会議


(1)IWG 世界女性スポーツ会議 


1994年にイギリスのブライトンで第1回会議が開催され、以降4年に1度開催されています。第1回会議では、女性スポーツ発展のための国際的な戦略である「ブライトン宣言」が採択されました。会議参加者は、国際機関、政府、国内及び国際スポーツ組織、公的機関、学校、企業、教育、女性組織、NGO等です。2006年5月には、日本の熊本市で第4回会議が開催されました。この会議は、アジアで初めて行われた会議であり、「変化への参加」をテーマとし約100の国と地域から約700人の代表者が参加しました。2014年に開催された、第6回会議は、フィンランド政府の全面的なバックアップ及びIOCのサポートを得て、ヘルシンキで開催されました。約100の国と地域から700人以上が参加し、過去最大規模の会議となりました。開会式では、IOCのバッハ会長、IPCのクレイヴァン会長がスピーチを行ないました。また、第1回会議の決議文である「ブライトン宣言」を加筆、更新し、「ブライトン・プラス・ヘルシンキ2014宣言」を採択しました。

(2)IOC 世界女性スポーツ会議 


IOCが4年に1度開催する世界女性スポーツ会議です。1996年に第1回IOC世界女性スポーツ会議がスイスのローザンヌで開催されました。本会議はスポーツ界における女性の役割の発信、スポーツ界における男女平等の進捗分析、女性スポーツ発展のための将来の優先順位を決定することを目的としています。参加者は各国のNOC、IF、NF、スポーツ団体、企業等です。2012年にアメリカのロサンゼルスで開催された第5回会議では、「ロサンゼルス宣言」が採択されました。
※IOC世界女性スポーツ会議は、第5回会議以降開催されていません。




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