事例概要
津島市では、平成30年度に策定された長寿命化計画に基づき、老朽化が著しかった津島市立神守中学校と津島市立蛭間小学校の体育館の長寿命化改修工事を行った。
令和3年度までに実施された市内全小中学校エアコン設置工事及びトイレの洋式化改修工事に引き続き、防災機能強化の観点から体育館の長寿命化改修が実施された。本改修では、内外装材の更新、鉄骨の腐食対策、防水改修、建具の交換、外壁シーリングの更新及び床の全面改修等を実施した。
また、火災報知器、放送設備、コンセント、舞台設備等の設備更新を行い、子どもたちや地域住民らが快適に使える屋内運動場として再生整備された。
両校とも、屋根や外壁に断熱が施され、外皮の断熱性能を高めることで、快適な環境を創出するための配慮がされている。
津島市立神守中学校
浸水リスクを避け、2階に配置された防災倉庫
神守中学校の体育館は、災害時の指定避難場所として指定されており、舞台側の2階に設置された防災倉庫には、非常用の簡易トイレやテント等が保管されている。また、体育館の裏手には応急給水栓があり、地震等の災害で断水が発生した場合にも、飲用水を供給することができるよう工夫されている。
バリアフリー化で誰もが使いやすいエントランス
入り口には横に伸びるスロープが設置され、靴を脱いで上がるエリアとの境目においても段差を完全になくし、ドアはスライド式とすることで車椅子ユーザーが利用しやすい設計になっている。

中2階の窓から採光し、明るい空間に
改修前は薄暗い体育館であったが、新たに中2階に窓を設けて、より自然光を取り入れるようにしたことで、体育館全体が明るくなった。また、窓に合わせて設置されたカーテンは、美術教員のアドバイスをもとに濃い緑色を選んだという。
設置されている。
改修前の様子

津島市立蛭間小学校

スポットクーラーの使用を前提にした電源計画
夏の高温対策として、長寿命化改修工事前から導入されていた可動式スポットクーラーの使用を続けることを想定し、館内の四隅に三相コンセントが設けられた。コンセントを覆う蓋を閉じた際の出っ張りがなくなるよう、壁に埋め込ませている。
また、コンセントの真横には、スポットクーラー使用時に必要になる排水ホースを外に出すための穴(開閉式)が設けられた。
その他、両側の壁面にあるスライド式のドアは2重になっており、ブラインド状にスリットの入った内側のドアのみを閉めることで、通風を確保することができる。
コンクリート製スロープを設け、入り口の段差をなくす
体育館前入り口に段差があるため、長寿命化改修時にコンクリート製のスロープを設置し、入り口の段差を無くしている。
舞台脇の空間を掘り下げて、空間を拡張し、収納力が向上
舞台の両脇にある倉庫スペースは、改修前は舞台と同じ高さの木製の床であったが、土間まで数十センチ空間を掘り下げ、不使用時のスポットクーラーや運動器具等を収納できるようにした。
男女トイレと多目的トイレの設置
舞台の対面の壁には、左から倉庫、女子トイレ、多目的トイレ、男子トイレ、会議室が設置されている。
遮熱塗料を使用し断熱性能が向上した体育館の屋根
改修された屋根には遮熱塗料が使用されており、夏場の気温上昇を抑える工夫がされている。また、窓は今回の改修でペアガラスに交換され、断熱性能を向上させている。
改修前の老朽化の様子
学校概要
- 学校名
- 津島市立神守中学校
- 所在地
- 愛知県津島市百島町観音坊32−1
- 学校規模
- 18(5)学級、444(19)人
※学級数のカッコ内は特別支援学級数・在籍生徒数を表す。
- 延床面積
- 1,237㎡(体育館のみ)
- 構造
- 鉄骨造(体育館)
- 工事費
- 316,800千円(25.6万円/㎡)
(内訳)
工事費【建築】 286,070千円
工事費【電気】 23,443千円
工事費【機械】 7,287千円
- 完成年
- 2024年3月
- 利用した国の補助等
- 学校施設環境改善交付金、学校教育施設等整備事業債(長寿命化改良)
- 学校名
- 津島市立蛭間小学校
- 所在地
- 愛知県津島市蛭間町逆川東848
- 学校規模
- 13(3)学級、231(14)人
※学級数のカッコ内は特別支援学級数・在籍児童数を表す。
- 延床面積
- 725㎡(体育館のみ)
- 構造
- 鉄骨造(体育館)
- 工事費
- 199,320千円(27.5万円/㎡)
(内訳)
工事費【建築】 179,587千円
工事費【電気】 17,939千円
工事費【機械】 1,794千円
- 完成年
- 2024年3月
- 利用した国の補助等
- 学校施設環境改善交付金、学校教育施設等整備事業債(長寿命化改良)