事例概要
八戸市立西白山台小学校は、八戸ニュータウンの南西に位置し、児童数の増加が続いていた白山台小学校から分離新設された小学校である。遠景の緑豊かな自然や、住宅地に囲まれた周辺環境に寄り添いながら、まちとつながる木造の小学校として計画されている。
地域木材を機能・用途に応じて構造材、内装材、家具などに活用し、地域への愛着を育む学校づくりが目指されている。教室は材を交互にかみ合わせながら並べた小屋組の架構や四叉の柱など、校舎を使用する児童と教員が木組みの魅力を感じることのできる構造となっている。
学年ごとにまとまりをもつ教室棟は、開放的な普通教室と予備教室を活用したフレキシブルなオープンスペースで構成されている。また、教室と連続する、廊下を兼ねた多目的スペースが児童の居場所となっている。施設の核となるメディアセンターを囲むように特別教室を配置することで、互いの空間を活かし、機能的に連携可能な学習環境を創出している。
事例ポイント1
景観に溶け込む分散配置型の校舎
校舎を構成するボリュームは平屋又は2階建てで高さを抑え、周囲の住宅街の景観に溶け込むように計画されている。校舎全体を12からなる棟に分散配置している。

耐火性能の確保と棟別構造種別の考え方
各棟の計画にあたっては、W造とRC造(木屋根)を併せて採用しつつ、耐火性能をもつRC、S造によって棟を分離す津ことで耐火性能を確保している。
また、RC、S造部分についても、内容の木質化を行うことで校舎全体として木の温もりを感じることができる計画となっている。

木組みの魅力に溢れた教室空間
校舎を構成する棟は、平屋又は2階建てで高さを抑えた計画となっている。平屋及び2階建てに配置された教室は小屋組みをもり、その構造を見せる計画にすることで高い天井をトップライトが確保されている。

事例ポイント2
児童の居場所となる多目的スペース
廊下を兼ねた多目的スペースは、間仕切りによって教室と区切ることもできるが、学びの空間を広く確保すつために、日常から解放して使用されている。多目的スペースには、造り付けの棚や家具等が置かれ、児童の伊庭祖として利用されている。

授業の際に間仕切りを使用しなくても、児童が他の教室の音の気を取られることは少ない、という。

(左)多目的スペースの机を使用し、ALT(外国語指導助手)と折り紙について話をする児童の様子。
(右)廊下に造り付けられた棚と手洗い用の蛇口。
木に囲まれた児童の居場所
多目的スペースの各所には、企に囲まれた児童の居場所が計画されている。造り付けの棚には本等が置かれており、休み時間に児童は、各々、自分の時間を確保して読書をすることもできる。

事例ポイント3
施設の核となるメディアセンターと特別教室
メディアセンターには「図書室」、「視聴覚室」、「パソコン室」としての機能を集約している。校舎の端に設置されることの多かった図書室を学校の中心に配置することで、利用率の向上を図るとともに、メディアセンターを中心として特別教室を配置することにより、図書等を活用した「調べ学習」を授業に取り入れやすくしている。




様々な用途に使用できる多目的ホール
大階段を備えた多目的ホールは児童約300人が座ることができ、授業や集会といった様々な用途に使用されている。音響設備や大型スクリーンを整備するとともに、児童と教員がしようするWi-Fi設備を別途整備することで、端末を使用した学習活動を円滑に進めている。
また、多目的ホールは、行事を行う際など地域住民にも開放し、大規模な集会等をい行う場として活用されている。
光を取り込む職員室
教室と同様、職員室においても木の温もりを感じることができる計画となっている。木の架構によって、大きく天井高を確保されるとともに、広々とした心地よい空間となる。
また、執務空間とは別に、休憩をとるための空間を設けている。

事例概要
※令和6年4月時点
- 学校名
- 西白山台小学校(青森県八戸市)
- 全体工期
- 平成27年10月~平成29年6月
- 学校規模
- 21(3)学級、504人 ※学級数のカッコ内は特別支援学級数をし表す。
- 敷地面積
- 25,008㎡
- 延べ床面積
- 6,846㎡
- 構造
- 校舎 木造、RC造、S造 3階建/屋根 RC造一部2階建
