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優秀な学生が国費留学生であるか私費留学生であるかについてはあまり影響を及ぼさないとのことだが,調査時点の国費留学生の比率が10パーセント未満であることを考えると,国費留学生の方が優秀な留学生の出現率は高いのではないか。優秀な留学生が数の上でどのくらいの人数いるのかが,重要な要素ではないか。
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調査対象の大学における国費留学生数は把握していないため正確には分からないが,国立大学の大学院が調査対象の中心であることを考えると,選ばれる国費留学生数がもっと多いのではないかと思ったが,そうはならなかった。
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この調査は大学教授が選んだ「最も優秀な」留学生の属性について調査したものであり,その際,絶対数はあまり関係がないのではないか。よって,調査結果のとおり国費留学生と私費留学生の間ではあまり差がないのではないか。
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18歳人口の減少により,大学において,今後,留学生をどのように確保していくかは大きな問題である。「優秀な留学生」の考え方については,日本の留学生が外国に留学した場合は現地語で学習するように,来日する留学生も日本語でコミュニケーションがとれ,日本の文化や風習について理解できる者が優秀な留学生と言えるのではないか。
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学士課程の留学生をどのように引きつけ,どのような教育を提供するかは,大学のアドミッション・ポリシーによるのではないか。日本語能力の有無についても,大学が求める人材像に照らして各大学が判断すべきことと考える。
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ただ今の発表は,国費留学生は,国が最も戦略的に考えなければならないにもかかわらず,現実にはそのように機能していないため,様々な問題を含んでいるという指摘と理解して良いか。また,国費留学生は殆どが研究留学生であるが,一方,日本の留学生の大部分は,学部段階の私費留学生である。留学生の質の問題を考える際に,例えば,受け入れる留学生の学力を測るシステムが脆弱である点,学部等で多様な入学者選抜を行っているため,学力に相当ばらつきがある点等,私費留学生は国費留学生以上に問題を抱えているのではないか。数を確保することが先行し,学力を不問に付している部分もあるのではないか。また,貴大学として,留学生問題に対してどのような方針を持っているのか。
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国費留学生制度は多額の国費を投じており,戦略的であって然るべきである。一方,国際競争力を高めるために私費留学生の受入れを制御するのは難しい。国費留学生の戦略性を重視した対応をとれば,優秀な留学生を毎年少なくとも1,000名は確保できるのではないか。
我々の大学では,「大学国際戦略本部強化事業」に採択されており,大学の国際戦略として,どれだけの留学生に対して質を落とさずに教育できるかというキャパシティー計算を行っている。計算上は1,600名まで受入れが可能であるが,学士課程では入学定員の5パーセントまでを目安にしている。それ以上になると,責任を持った受入れが困難になり,日本人に対しても負の効果が出てくる可能性もあるためである。また,私費留学生については日本留学試験を受験し,そこで学力と日本語能力を測定しているため,そこで一定の質を備えた学生を学士課程でも確保できるのではないか。
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日本の大学の積極的な情報公開の必要性については,同感である。日本学生支援機構も様々な国で日本留学フェアを開催しているが,現状では参加校が少ない。もう少しオールジャパンとして取り組む必要があると考えているが,この点についてはどう考えているか。
また,留学生の出身国に偏りがある。中国,韓国で日本の留学生の大半を占めている状況である。様々な国から留学生が日本に来るように国として政策的にコントロールするべきなのか,それとも現在のようにコントロールする必要はないと考えるのか。
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日本留学フェアについては,重要だと考えている。日本留学フェアのような,留学生を日本に引きつける催し物は,もっと世界中で行われるべきと考える。しかし,情報提供の場にとどまるだけではなく,例えばその場で出願できるようにするなど,日本の大学は学生のリクルートの観点から,日本留学フェアをより戦略的に捉えるべきではないか。
現在,留学生を数多く派遣しているのは,サハラ諸国や中近東アラブ諸国であると言われ,これらの国々の学生をどのように引きつけるかが課題となっている。特にアラブ諸国では英語が通じるため,英語を使用することで,日本の大学もアラブ諸国の市場価値のある人材育成に協力できるのではないか。一方,ヨーロッパは域内交流が殆どであり,アメリカの学生は世界で最も動かないと言われている。
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留学生の数が偏っていることについて,日本はアジアに貢献しているため,アジアからの留学生数が多いという現状を認めるべきか,それとも現在留学生の受入れ数が少ない国からより受け入れるような政策を展開すべきか,どちらが良いと考えるか。
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国費留学生については,研究に焦点を絞っており,戦略的にリクルートをすることが望ましいと考える。一方,私費留学生については,市場に任せるべきであり,どれだけ日本の高等教育市場を魅力的にできるかによるのではないか。例えば,就職支援も含めて世界中からオンラインで日本の大学に出願できるようにする等により,アクセサビリティーを高めることが必要ではないか。結果として,特定の国からの留学生が多くなっても構わないのではないか。
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国費留学生に関しては膨大な国費を投じており,戦略的にすべきであるが,現状ではそうなっていない。国費留学生に関しては,選抜方針や方法が明確になっていない部分があると考えられるが,その点についてはどうか。
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国費留学生のうち約5割が大使館推薦枠である。残りの約4割がいわゆる大学推薦枠で,残りの約1割が国内採用となっている。大使館推薦については,外交的・戦略的な要素があり,特にアジアに偏重しているというわけではない。推薦枠については,在外公館が置かれた国々に配分しているが,選抜方法は在外公館によって若干差があるようである。今後,外務省とも大使館推薦の充実について相談したいと考えている。また,本年度から大使館推薦について日本での予備教育の際に学生の質についてチェックする仕組みを導入した。予備教育の段階で質が高くないと判断された場合は帰国してもらうことも考えている。今後は,ペナルティー的な要素も含めて,在外公館の推薦状況については注意を払ってまいりたい。
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地域的偏在については,3〜4年に一度しか受け入れていないような国もある。推薦枠の配分方法を見直すことで解消できるのではないか。選抜方法についても,実態を把握し改善する必要があるのではないか。
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