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  資料 6  




「個に応じた指導」に関する学習指導要領上の規定の経緯

 


1.平成元年の改訂

   1

臨時教育審議会答申(昭和60年、61年)
   昭和60年、61年の臨時教育審議会答申(教育改革に関する第一次答申、同第二次答申)は、「個性重視の原則」を掲げ、指導方法の個別化を重視し、教育・指導の方法や形態等を工夫する必要性を提言した(参考)。

2 教育課程審議会答申(昭和62年)
   昭和62年の教育課程審議会答申は、1の答申を踏まえ、「教育課程の基準の改善の関連事項」として、各学校段階を通じて個に応じた指導の方法や体制について工夫する必要性や、中学校において、学習内容の習熟の程度に応じた個別指導やグループ別指導、学級の枠を超えた学習集団の弾力的編成等の工夫により効果的な指導を行う必要性について提言した(参考)。

3 学習指導要領の改訂(平成元年)
   2の答申を踏まえ、平成元年に改訂された学習指導要領においては、基礎的・基本的な内容の指導を徹底し、個性を生かす教育の充実を図る観点から、小学校において、「個に応じた指導」など指導方法の工夫改善や「教師の協力的な指導」など指導体制の工夫改善が初めて記述された。また、中学校においては、中学校段階では教科により生徒の習熟の程度に差が生じやすいことを考慮し、個に応じた指導及びその例示としての「学習内容の習熟の程度に応じた指導」を初めて記述した。


2.平成10年の改訂

   1 中央教育審議会第一次答申(平成8年)
   平成8年の中央教育審議会第一次答申においては、これからの学校教育の目指す方向として、「『生きる力』をはぐくむ上では、一人一人の個性を生かした教育を行うことは極めて重要」であるとした上で、子供たちの発達段階に即し、ティーム・ティーチング、グループ学習、個別学習など指導方法の一層の改善を図りつつ、個に応じた指導の充実を図ることが提言された。また、特に中学校においては、生徒の特性等に応じることができるよう履修の選択の幅の一層の拡大を図る必要性が指摘された(参考)。

2 教育課程審議会答申(平成10年)
   1の答申を踏まえ、平成10年の教育課程審議会答申においては、児童生徒の発達段階等を考慮し、学習内容の理解や習熟の程度に応じ、弾力的に学習集団を編成したり、学級編成を弾力的に行うなどの個に応じた指導の工夫改善等を一層進める必要があるとし、その際、異なる教科間の教師の協力も含め、ティーム・ティーチングなどの指導を一層進めることが大切であるとしている(参考)。

3 学習指導要領の改訂(平成10年)
   2の答申を踏まえ、同年に改訂された学習指導要領においては、基礎・基本の確実な定着を図り、個性を生かす教育を一層充実させる観点から、小学校において、個に応じた指導の充実の例示として、個別指導やグループ別指導、繰り返し指導を掲げた。また、中学校においては、これらに加え、学習内容の習熟の程度に応じた指導を明記するとともに、従前は小学校のみに盛り込まれていた「教師の協力的な指導」を記述した。
   また、中学校の選択教科の内容については、従前は総則において特段の記述をせず、各教科の「指導計画の作成と内容の取扱い」において、それぞれの教科の特質に応じて課題学習や作業的な学習などを行うこととしていたところ、生徒の能力・適性、興味・関心等に応じ、一層多様な学習活動ができるよう、課題学習、補充的な学習や発展的な学習を例示した。






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