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3. 教育課程審議会答申(昭和62年12月24日)
「幼稚園、小学校、中学校及び高等学校の教育課程の基準の改善について」(抄)

1 教育課程の基準の改善の方針

1   教育課程の基準の改善のねらい


   (3) 国民として必要とされる基礎的・基本的な内容を重視し、個性を生かす教育の充実を図ること
       初等中等教育においては、人間の一生を通じての成長と発達の基礎を培い、国民として必要とされる基礎的・基本的な内容を確実に身に付けさせる必要がある。また、その過程を通して、更にそれを基盤としながら、一人一人の幼児児童生徒の個性を生かすよう努めなければならない。
   そのためには、個人として、また国家・社会の一員として望ましい人間形成を図る上で必要な基礎的・基本的な内容を明確にしつつ、学習の適時性やこれまでの教育課程実施の経験などを考慮し、各教科の内容の一層の精選を図らなければならない。また、その内容を一人一人の児童生徒に確実に身に付けさせるためには、個に応じた指導を工夫することが大切である。
   さらに、中等教育の段階では、中学校及び高等学校を通じて、個々の生徒の能力・適性等にこれまで以上に応じることができるようにする必要がある。このため、おおむね中学校高学年の段階から多様な内容を用意して、漸次、選択履修の幅を拡大していくようにする必要がある。


2 教育課程の基準の改善の関連事項

2   学校運営と学習指導

       教育課程の実施の効果は、学校運営や学習指導の改善充実に負うところが大きい。学校運営の改善について校長の果たす役割は大きく、校長は指導力を発揮して、例えば、校長や教頭が道徳等の授業の指導を行ったり、学習指導について経験豊かな教員の他学級での指導を推進したりするなど、指導体制の活性化を図る必要がある。それとともに、学校は、地域の施設を積極的に活用したり、学校教育活動について地域の人々の理解や協力を求めたりするほか、家庭や地域社会の建設的な意見に耳を傾けるなど、地域に開かれたものとなるよう学校運営の一層の改善充実を図ることが必要である。また、学校は、地域や学校の実態に応じて、他の学校との連携や交流を通して、他の学校の幼児児童生徒との触れ合いなどの機会を拡充し、望ましい人間形成を図るよう努めることが大切である。
   さらに、教育課程の基準の改善のねらいを達成するためには、各学校において教科のねらいや幼児児童生徒の実態を考慮し、時間割の編成の工夫や多様な指導方法の工夫がなされなければならない。その際、各学校段階を通じて個に応じた指導の方法や体制について工夫する必要がある。

   特に、中学校においては、生徒一人一人に学習内容を確実に身に付けさせるという観点から、教科によって、学習内容の習熟の程度に応じ、教材の効果的利用や教育機器の活用を図ったり、個別指導やグループ別指導あるいは学級の枠を超えて学習集団を弾力的に編成する等の工夫により効果的な指導を行ったりするなど、各学校が生徒の実態等に応じ指導方法の一層の工夫改善を進めていくことが必要である。なお、学級の枠を超えた学習集団の編成については、基本的な学級編成を変更することなく、学校の実情等に応じ必要な教科について適宜弾力的、流動的に行うこととし、また、義務教育段階ということも考慮して実施時期、指導方法、評価の在り方等について十分研究のうえ、慎重な配慮の下に実施することが必要である。

 

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