平成18年11月
[ダウンロード/印刷用(PDF:1,980KB)]
はじめに
近年の産業・経済の構造的変化や、雇用の多様化・流動化等を背景として、就職・進学を問わず児童生徒の進路をめぐる環境は大きく変化しています。さらに、現在、生徒の勤労観、職業観の希薄化や社会人・職業人としての基礎的・基本的な資質をめぐる課題、高い早期離職率、フリーター志向の広まりやいわゆるニートと呼ばれる若者の存在等が社会問題となっております。
このような中、児童生徒が「生きる力」を身に付け、社会の激しい変化に流されることなく、それぞれが直面するであろう様々な課題を柔軟にかつ、たくましく対応し、社会人・職業人として自立していくことができるようにするキャリア教育が強く求められています。
文部科学省においては、初等中等教育におけるキャリア教育の在り方について、平成16年1月に「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書」を公表しました。この中では、各学校段階を通じた組織的・系統的なキャリア教育を一層推進することと提言されました。この提言等も踏まえ、「新キャリア教育プラン推進事業」「キャリア教育実践プロジェクト」等を実施してまいりました。
このほか、平成15年6月、文部科学大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣、経済財政政策担当大臣の関係四閣僚により、教育・雇用・産業政策の連携強化等による総合的な人材対策として取りまとめた「若者自立・挑戦プラン」から、その後の内閣官房長官、農林水産大臣等を加えた平成18年1月の「『若者の自立・挑戦のためのアクションプラン』の強化(改訂)」にいたるまで、若者の働く意欲を喚起しつつ、その職業的自立を促進し、フリーター・ニート等の増加傾向を反転させることなど、若者をめぐる諸課題に対応するため、様々な施策を講じているところであります。
一方、大学等においては、明確な目的意識をもたずに入学してくる学生の状況、雇用環境が好転してきている状況にもかかわらず、卒業時に進学も就職もしない者の割合が2割程度であることなどの課題が指摘されています。また、高等学校卒業者の約半数が大学進学、約2割が専門学校に進学、2割近くが就職し、1割近くが進学も就職もしないという状況にあります。こうした状況は、いわゆる「出口指導」に終始した進路指導の課題であるなどと指摘されており、高等学校と高等教育・社会との円滑な接続を図るため、キャリア教育の充実を図ることが喫緊の課題となっています。
このようなことから、初等中等教育の最終段階である高等学校、とりわけ高等学校の7割を占める普通科におけるキャリア教育の在り方について具体的な検討を行うため、「高等学校におけるキャリア教育の推進に関する調査研究協力者会議」を設置し、提言や参考事例をまとめました。本報告書における提言等が行政機関や学校等において参考とされ、キャリア教育が一層推進・充実されることを期待します。
目次
はじめに
第1章 | 普通科におけるキャリア教育の必要性 |
1 | キャリア教育の現状 | ||
2 | キャリア教育の必要性 |
第2章 | キャリア教育の推進のための方策 |
1 | キャリア教育の学校教育への位置付け | ||
2 | キャリア教育の推進体制 | ||
3 | 学校間・学校種間の更なる連携・協力の推進 | ||
4 | 産業界・関係機関・地域との連携 | ||
5 | インターンシップ等体験活動の一層の推進 | ||
6 | キャリア教育の啓発・普及等 |
第3章 | キャリア教育の進め方具体例 |
1 | A高等学校(進路希望の多様な生徒が在籍する全日制普通科)の例 | ||
2 | B高等学校(進学希望の生徒が多く在籍する全日制普通科)の例 |
参考 |
高等学校学習指導要領における進路及び職業に関する主な記述 |
高等学校におけるキャリア教育の推進に関する調査研究協力者会議について |
高等学校におけるキャリア教育の推進に関する調査研究協力者会議協力者 |
高等学校におけるキャリア教育の推進に関する調査研究協力者会議における検討の経緯 |
報告書の骨子 |
報告書のポイント |