【ポイント解説】建物の出入口・屋内通路・教室等の出入口
【目次】
1.建物に出入りしやすい昇降口、玄関

学校施設の昇降口や玄関については、出入りがしやすい幅や段差のないつくりを確保するとともに、利用者のために分かりやすい案内を設けることが重要です。
(出入りしやすい昇降口・玄関のポイント)
- 建物に出入りしやすいよう、分かりやすい位置に、昇降口、玄関及び受付の配置を計画することが重要である。また、運営面でのサポート等の観点から、職員室や事務室等の配置にも考慮して計画することが重要である。
- 昇降口、玄関は、床面を滑りにくい仕上げとし、車いす使用者の通過を妨げるような段差を設けず、必要かつ十分な幅を確保するなど、安全かつ円滑に通過できるように配慮することが重要である。やむを得ず段差が生じる場合は、適切なスロープ、段差解消機等を設置することが重要である。その際、一足制を採用することなどにより段差を解消するなど、ハード、ソフト両面から検討することも有効である。
- 出入口の前後には、車いす使用者が方向転換できるスペースを確保することが重要である。
- 昇降口、玄関の戸は、開閉しやすい形式のものを設置することが重要である。また、必要に応じて、自動ドアを設置することが望ましい。
- 昇降口、玄関の戸のガラス等は、衝突時の事故防止等に配慮することが重要である。
- 受付の位置は、障害者、高齢者等に対する情報提供やサポート等の運営体制を考慮して計画することが有効である。
- 出入口付近に受付カウンターやカメラ付のインターホン等の案内設備を設置することが望ましい。この場合、視覚障害者誘導用ブロックや音声等により案内設備への誘導を行うことが有効である。
※インターホンを設置する場合は、児童生徒や車いす使用者の眼高に配慮した高さとする。
※車路に近接する部分、段がある部分又は傾斜がある部分の上端に近接する部分には、視覚障害者に対し注意喚起を行うために、点状ブロック等を敷設する。 - 車での送迎が必要な児童生徒等の利用に配慮して、車いす使用者用の駐車場や車寄せには屋根を設置することが望ましい。
[事例]
建築物移動等円滑化誘導基準に相当する整備内容や設計例等については、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」(令和7年5月国土交通省)の「第2章 3.建築物の出入口の設計標準」(P46~P53)を参照。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/content/001892119.pdf(※別ウィンドウで開きます)
2.移動しやすい屋内通路
屋内通路については、配慮を必要とする児童生徒等が容易に通ることができる幅を確保するとともに、転倒等の事故の危険がないよう安全性の確保に配慮することが必要です。
(円滑に利用できる屋内通路のポイント)
- 屋内の通路は、滑りにくい仕上げとすることが重要である。
- できる限り段差を設けず、突起物、支障物をなくすなど、安全でわかりやすい動線となるように計画することが重要である。やむを得ず段差が生じる場合は、適切なスロープ、エレベーター、段差解消機等を設置することが重要である。
- 屋内通路は、安全かつ円滑に利用できる幅員を確保することが重要である。
- スロープは、車いす使用者だけでなく、多様な人々が安全で使いやすいように、勾配、手すりの設置等に配慮することが重要である。
- 床と壁の立ち上がりの境を視認しやすくするため、床と壁の仕上げは、色相や明度、彩度の差を大きくしたり、材質を使い分けるなどの配慮をすることが望ましい。
※通路にスロープを設置する際も、通路とスロープとの色の明度、色相又は彩度の差が大きいことにより、通路の範囲を容易に識別できるものとする。当事者からのコメント(視覚障害)
弱視者などの視覚障害のある人にとっては、床壁にコントラストがないと歩きにくいです。特に、色覚にも多様性があり、特性によっては、同系色の色が混在していると境界線を認知しづらいです。
- 車いす使用者に配慮して、必要に応じて通路の壁には車いすフットレストあたりを設置することが有効である。
- 障害のある児童生徒等の利用に配慮して、必要に応じて滑りにくい材質の手すりを設置することが有効である。
- 通路内に休憩できるスペースを設ける場合は、児童生徒等の移動に支障がないように配慮しながら、腰掛け等を設置するとともに、車いす使用者のスペースにも配慮することが有効である。
「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」(令和7年5月国土交通省)より
- 空間の認知が難しい児童生徒等が自分の位置が把握しやすいよう、階ごとに案内表示の色を分けたり、目的地までの動線が把握しやすいよう記号表示、番号表示等を付したりするなどの工夫を行うことも有効である。
当事者からのコメント(発達障害)
位置や空間を把握することが苦手な場合があるため、廊下にある赤色の矢印をたどっていけば体育館につながっているなど、矢印をたどると目的の場所に到達できるような表示があると分かりやすいです。
[事例]
- 中央区立晴海西小学校・晴海西中学校 廊下幅を2.3メートル以上確保
- 神戸市立灘の浜小学校・灘さくら支援学校 3メートル以上の廊下幅確保と分かりやすい案内
- 国立市立国立第二小学校 廊下幅を2メートル以上確保
- 段差解消の整備手法 廊下の段差解消
トピック 移動等円滑化経路
バリアフリー法においては、バリアフリー基準への適合義務が生じる建築物において、「移動等円滑化経路」を建築物に一つ以上設定し、バリアフリー化を図ることとされています。移動等円滑化経路に設定された通路については、主に、以下の基準を満たすことが必要となります。
- 階段又は段を設けない。(傾斜路又はエレベーターその他の昇降機を併設する場合を除く。)
- 幅は、120センチメートル以上とする。
- 50メートル以内ごとに車椅子の転回に支障がない場所を設ける。
- 戸を設ける場合には、自動的に開閉する構造その他の車いす使用者が容易に開閉して通過できる構造とし、かつ、その前後に高低差がないものとする。
「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」(令和7年5月国土交通省)より
- 傾斜路は、次に掲げるものとする。
- 幅は、段に代わるものは120センチメートル以上、段に併設するものは90センチメートル以上とする。
- 勾配は、1/12を超えないものとし、高さが16センチメートル以下のものでは、1/8を超えないものとする。
- 高さが75センチメートルを超えるもの(勾配が1/20を超えるもの)では、高さ75センチメートル以内ごとに踏幅が150センチメートル以上の踊場を設ける。
- 建築物又はその敷地には、建築物又はその敷地内のエレベーターその他の昇降機、便所又は駐車施設の配置を表示した案内板その他の設備を設ける(当該エレベーターその他の昇降機、便所又は駐車施設の配置を容易に視認できる場合、案内所を設ける場合を除く)。
※「道等から利用居室までの移動等円滑化経路」については、地上階又は直上階若しくは直下階のみに利用居室を設ける場合、地上階~直上階(若しくは直下階)の上下の移動に係る部分の移動等円滑化は不要(=エレベーター等の設置が不要)である。一方で、「利用居室から車いす使用者用便房までの移動等円滑化経路」については、例外なく上下移動に係る部分の移動等円滑化が必要(=エレベーター等の設置が必要)。
「便所、劇場等の客席、駐車場に係るバリアフリー基準の見直しについて」
(令和6年11月 国土交通省 住宅局 参事官(建築企画担当)付)より
建築物移動等円滑化誘導基準に相当する整備内容や設計例等については、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」(令和7年5月国土交通省)の「第2章 4.屋内の通路」(P54~P59)を参照。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/content/001892119.pdf(※別ウィンドウで開きます)
3.出入りしやすい教室等の出入口

教室などの出入口については、配慮を必要とする児童生徒等が容易に通ることができる幅の確保や段差がないことが必要です。
(出入りしやすい教室等出入口のポイント)
- 出入口は、車いす使用者の通過を妨げるような段差を設けず、やむを得ず段差が生じる場合は、適切なスロープ等を設置することが重要である。また、出入口の幅は、非常時の児童生徒等の避難や、学校開放時の高齢者、障害者の利用等も考慮し、必要かつ十分な幅を確保した上で、扉等は操作しやすく安全な形式等とすることが重要である。特に、敷居部分は、通行の支障となるような段差や隙間を生じないような形式、仕様等とすることが重要である。
- 出入口の戸は、開閉しやすい形式のものを設置することが重要であり、引戸とすることが望ましい。この際、危険な隙間への挟まれ防止に配慮した形式とすることが重要である。また、開き戸を設ける場合も、開閉時の安全性に配慮した形式とすることが重要である。
- 車いす使用者が戸の開閉や出入りを行うために必要なスペースを確保することが望ましい。
- 出入口の戸のガラス等は、衝突時の事故防止等に配慮することが望ましい。
- 視覚障害者の利用に配慮して、点字や浮き彫り文字により表示を行うことが有効である。
[事例]
建築物移動等円滑化誘導基準に相当する整備内容や設計例等については、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」(令和7年5月国土交通省)の「第2章 9.利用居室の出入口」(P95~P99)を参照。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/content/001892119.pdf(※別ウィンドウで開きます)





