「世界の記憶」国内案件に関する審査委員会(第1回)(令和3年8月6日)

 

(1)日時

令和3年8月6日(金曜日) 8時30 分~10 時30 分

(2)開催形式

オンライン開催

(3)議題

1.「世界の記憶」の国内外の現状について
2.「世界の記憶」国内案件の審査等について
3.その他
議題2、3は非公開で開催されました。

(4)出席者

(委員)
島谷弘幸委員長、芳賀満委員長代理、松田陽委員長代理、井上由里子委員、井上洋一委員、兼原信克委員、鎌田薫委員、久留島典子委員、西園寺裕夫委員、本郷恵子委員
(事務局)
田口康国際統括官、石田善顕国際戦略企画官、新免寛啓ユネスコ協力官、渡辺悦子ユネスコ調査官、その他関係官

(5)議事

【石田企画官】  皆様、おはようございます。文部科学省国際統括官付の石田でございます。それでは、時刻が参ってきておりますので、始めさせていただきたいと思います。本日は、お忙しい中、また、朝早い中お集まりいただきまして、大変ありがとうございます。それでは、定刻になりましたので、ただいまより第1回「世界の記憶」国内案件に関する審査委員会を開催いたします。
 会議に先立ちまして、事務局から一言申し上げます。本会議は、事前に傍聴登録いただきました方にユーチューブで配信を行っております。
 それでは、本会議の開会に当たりまして、文部科学省国際統括官の田口より御挨拶を申し上げます。
【田口国際統括官】  皆さん、おはようございます。文部科学省の国際統括官の田口でございます。
 このたびは、まず何といっても、この委員会の委員を皆様お引き受けいただいて、大変ありがとうございます。そして、本日朝早くからの会議になってございますが、また、オンラインで御不便かけることもあろうかと思いますが、どうぞよろしくお願いします。
 「世界の記憶」は、世界的に重要な記録物の保存を促進して、かつ記録物へのアクセス環境を整える、これによって、多くの人々が記録物の存在や重要性への認識を高めることを目的としたユネスコの事業でございます。1995年に登録制度が開始されましたが、2017年以降、制度改正の検討のためにしばらく審議の案件登録を停止しておりました。
 今年の4月、制度改正の内容が執行委員会で決定されまして、つい最近7月30日にユネスコから新規の登録の申請の募集を開始すると、その旨の発表がございました。文部科学省としても、このユネスコの発表を受けまして、国内にユネスコが新しい制度で開示した話、それから、文科省のみならず関係省庁が連携して新制度に取り組んでいくということで、この審査委員会で審査をしたものを関係省庁の連絡会議で決定して、我が国の申請案件を決めると。それをもう8月2日にプレス発表してございます。
 本日はまず国内申請を募集するための審議をお願いすることとなりますが、第1回目の会合でございますので、今後我が国が本事業に取り組んでいくための中長期的な課題などについても御意見を頂戴したいと思ってございます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
【石田企画官】  それでは続きまして、お時間の関係上、全体の資料でいいますと50ページになりますけれども、参考資料1に基づきまして、事務局からお一人ずつ御氏名とお役職を御紹介させていただきます。
 まずは、井上由里子先生、一橋大学大学院法学研究科の教授でいらっしゃいます。
【井上(由)委員】  よろしくお願いします。
【石田企画官】  よろしくお願いします。
 それから、井上洋一先生、奈良国立博物館長でございます。
 それから、続きまして、兼原伸克同志社大学法学部特別客員教授でいらっしゃいます。
 続きまして、鎌田薫国立公文書館長でございます。よろしくお願いいたします。
 続きまして、久留島典子神奈川大学国際日本学部教授でいらっしゃいます。よろしくお願いいたします。
 それから、続きまして、西園寺裕夫公益財団法人五井平和財団理事長でいらっしゃいます。
【西園寺委員】  よろしくお願いします。
【石田企画官】  よろしくお願いいたします。
 続きまして、島谷弘幸独立行政法人国立文化財機構理事長兼九州国立博物館長でいらっしゃいます。
【島谷委員】  島谷です。よろしくお願いいたします。
【石田企画官】  続きまして、芳賀満東北大学高度教養教育・学生支援機構教授でいらっしゃいます。
【芳賀委員】  芳賀です。よろしくお願いいたします。
【石田企画官】  よろしくお願いいたします。
 続きまして、本郷恵子東京大学史料編纂所長でいらっしゃいます。
【本郷委員】  よろしくお願いします。
【石田企画官】  よろしくお願いいたします。
 最後に、松田陽東京大学大学院人文社会系研究科准教授でいらっしゃいます。
【松田委員】  松田です。どうぞよろしくお願いいたします。
【石田企画官】  よろしくお願いいたします。
 それでは、議事のほうに入っていきたいと存じます。続きまして、議題1、「世界の記憶」の国内外の現状につきまして、資料に基づいて御説明をさせていただきます。
 まず初めに、「世界の記憶」を取り巻く状況や国内の推進体制についての御説明をさせていただきます。画面でも共有をさせていただきますけれども、こちらは、本日委員の皆様に審査について御審議をいただく前に、事務局として情報共有をさせていただきたいと考えている、「世界の記憶」に関するユネスコの制度改正やそれを踏まえた国内の推進体制に関する御説明でございます。
 まず資料1-1から資料2について御説明をさせていただきます。資料でいいますと1ページ目からでございます。改めてということになりますけれども、「世界の記憶」についての概要を資料1-1で御説明させていただきます。
 ここに書いてありますように、1992年にユネスコが開始した事業の総称が「世界の記憶」でございます。この中で、人類史において特に重要な記録物を国際的に登録する制度、これが95年より実施されておりまして、今回の登録というのはその事業の一部ということになっております。登録に関する審査は2年に一回となっておりまして、1か国からの審査は2件以内とされております。この国際登録のほかに、アジア版という形で「世界の記憶」アジア太平洋地域委員会あるいはMOWCAPと申し上げておりますけれども、これが決定する地域登録もございます。
 目的としては、世界的に重要な記録遺産の保存をふさわしい技術を用いて促進すること、それから、そういったものに多くの人がアクセスできるようにすること、さらには、加盟国におけるこういった記録遺産の存在・重要性への認識を高めると、こういったことを目的としております。
 対象となりますのは、幅広く、手書き原稿、書籍、新聞、ポスター、地図、絵画、楽譜、映画・フィルム等ございまして、現在、国際登録では429件、地域登録では56件の登録があるということでございます。登録例としては、ウィーン会議の最終議定書とか、ゲーテの直筆文学作品、日記、手紙、あるいは人権宣言等ございます。日本からの登録案件は、2ページ目に参考でお示ししておりますけれども、国際登録で7件、地域登録では1件ございます。
 この制度でございますけれども、2015年からこの審査についてのプロセス、これを透明化すべきだということとか、あるいは加盟国間で見解に相違があるといった、こういった申請案件の対応等を論点として制度改正の議論がなされておりました。数年かかりましたけれども、この議論の結果、加盟国政府を通じて申請をする、当事国からの異議申立制度を新設する、それから、問題があれば対話を行うんだと、それが帰結するまでは登録を進めないと、こういったことを内容とするような制度改正がなされたところでございます。これについては改めまして後ほど御説明をさせていただきます。
 次、2ページ目でございますけれども、日本関連の登録案件ということです。山本作兵衛氏の記録画・記録文書にはじまりまして、「御堂関白記」、それから、「舞鶴への生還」ということで引揚者の方々の記録、それから、「東寺百合文書」、「上野三碑」といった国際登録、これらは単独の登録でございます。共同申請として、「慶長遣欧使節関係資料」や「朝鮮通信使に関する記録」がございます。先ほど申し上げたMOWCAP、地域登録としては、水平社、それから、衡平社に関する記録、こういったものも登録されているということでございます。
 続きまして、資料1-2を御覧いただければと思います。3ページ目、4ページ目になります。先ほどユネスコのほうで議論がなされたという、世界の制度改善のポイントを示したものでございます。
 まず申請から御説明させていただきますと、これまで申請は個人を含めて誰もが申請することが可能でありましたが、これは直接ユネスコに個人の方あるいは団体の方が行うことができるという構造でございました。これを制度改善後は、右にございますように、各国政府機関を通じて提出する必要があるということで、国の関与をしっかりと担保すると、こういった制度改善がなされております。
 それから、受領性審査について、そもそも受けられるかどうかということについて専門家が審査して、そうでない、問題がある案件については以後のプロセスに進めなくなるということとなりました。
 それから、これまでどういった申請がなされるかという情報共有が必ずしも加盟国へなされていなかったということがございました。これにつきましても、加盟国が閲覧可能なウェブサイト、データベースといいますか、そういったものが作られまして、そこに申請情報が掲載され、ほかの国から一体どんな申請がなされたのかということが確認できるようになってございます。
 それから、一次審査、それから、最終審査、審査は2段階に分かれてございますけれども、一次審査においては、RSC、登録小委員会という、そういった小委員会が審査をするということ、ここは変わっておりませんけれども、最終審査では、IACという、その上部団体になります国際諮問委員会、こちらのほうで審査し、これまでは事務局長に勧告して、そこで決定がなされるということでございましたけれども、これからは、事務局長を通じてユネスコの執行委員会に勧告をし、執行委員会で決定するという形になりますので、加盟国がここで最終的な判断をできるという仕組みになってございます。
 対立案件の扱いということで、異議申立制度が出来た、その扱いでございますけれども、これは若干複雑でございますので、次のページを御覧いただければと思います。フローチャートの形になっております。上が旧規定の流れ、下が新規定の流れということでございます。新しい規定では、下に御覧いただければと思いますけれども、丸5のところで、先ほど申し上げましたように、どういった申請が行われるかということが加盟国に情報共有がなされます。それを見て、各加盟国によって異議申立てがなされるという、こういう仕組みが出来たわけですけれども、細かく言いますと2つございまして、技術的事項と非技術的事項ということになります。
 技術的事項は、これは後ほど御議論いただきますけれども、真正性とか完全性とか、「世界の記憶」にまさに登録されるかどうかという、こういった条件、基準に関わるようなもので疑義がある場合は技術的事項ということで、登録小委員会のほうに行きまして、そこで議論がなされて、助言がなされます。その助言を踏まえて皆さん納得するということであれば、通常の審査にまた戻っていくということになりますけれども、加盟国間あるいは異議を申し立てた国が不同意だということであれば、これは非技術的事項というようなプロセスになってまいります。
 非技術的事項といいますのは、今申し上げた真正性や完全性といったような記録物そのものについての事項以外のあらゆる事項がこのカテゴリーになるわけですけれども、こういった異議申立てがなされた場合は、これは加盟国間が対話をするというようなプロセスに入ってまいります。
 どういった対話をするかというプロセスについては、2種類のやり方が規定されております。1つは、上のほうですけれども、RSCという登録小委員会での審査そのものもストップした上でしっかりと対話をするというような場合は、期限なく仲介の方を設定して対話をするというような形になります。
 それから、下のほうでございますけれども、加盟国間の対話でRSCの審査には反対しない、RSCでの審査は継続しながら、対話も同時並行でやっていくといった場合には、これは仲介なく対話をするというような、こういった2つのやり方が認められておりますけれども、いずれにせよこの対話がなされてその結果が出るまでは、この審査は国際諮問委員会以降のプロセスには進んでいかないと、こういう形になってございます。ここが大きく変わったところでございます。
 以上、雑駁ではございますけれども、ユネスコのほうで大きく変更がなされた点について御説明をさせていただきました。
 続きまして、資料1-3と1-4で、こういったユネスコにおける制度改善を踏まえて国内で体制を変えさせていただいて、まさに今日集まっていただいているということになっておるわけですけれども、そこを御説明させていただきます。
 まず1-3でございますけれども、1-3は、国内案件に関する審査委員会の開催についてということで、本委員会の開催についての規定でございます。趣旨のところにございますが、「世界の記憶」事業に推薦する国内案件について専門的・技術的観点から調査審議をいただくということで、国際統括官の下に開催されることになった審査委員会という位置づけでございます。
 検討事項としては、今日この後御議論いただきますけれども、まず募集方法について、それから、審査、それから、案件に係る調査、こういったことをやっていただくということになります。庶務については我々のほうで行わせていただきますが、場合によって、必要に応じて委員の方以外の協力もいただきながら審議を進めていただきたいというふうに考えております。これが1-3でございます。
 それから、その上で1-4を御覧いただければと思います。1-4につきましては、この審査委員会の運営規則ということで、第1回目ですので、こちらについて御了解をいただければと思っておりますけれども、案として作成させていただいております。
 まず2条として、委員長について、委員会に委員長を1人置くということ、それを互選によって定めるという形にさせていただいております。委員長に事故があるときの代理を指名するということ。
 それから、3条でございます。先ほど少し申し上げましたけれども、今回新しい制度が出来た趣旨として、1つの考え方として、国の機関がしっかりと責任を持って推薦するということになりましたので、今回この委員会で調査審議をした事項は、会議終了後に文部科学省の国際統括官に報告をすると。この国際統括官がメンバーになっております関係省庁連絡会議を政府内に設けさせていただておりますので、そこで決定をするという形になってまいります。ですので、ここで御議論いただいた内容というのは、関係省庁連絡会議のほうで最終的に決定される、その案をつくっていただくということになります。
 それから、やや細かいですけれども、国際的性格の付与ということでございます。「世界の記憶」の一般ガイドラインでは、ナショナル・コミッティを設定するということになっておりますので、これはユネスコ国内委員会のほうで御承認をいただいて、この委員会を「世界の記憶」のナショナル・コミッティとして位置づけさせていただくという趣旨の規定でございます。
 それから、以降は、会議の公開でございますけれども、人事に関する件とか、あるいは公平・中立性が求められる審査そのものについて、あるいは審査のやり方については、これは非公開ということで規定をさせていただいておりまして、本日この後、よろしいということであれば、本日から施行をさせていただければと思っております。
 資料の説明は以上でございます。特に資料1-4の運営規則案につきましては、本審査委員会において定めることとしておりますので、御質問等ございましたら、お寄せいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 特に御質問とかおありの方がありましたら、挙手いただければ受けさせていただきますけれども、いかがでしょうか。
 よろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、よければ、本審査委員会の運営規則、これは原案のとおり決定させていただきまして、次に進みたいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。もし万が一御質問等ございましたら、また戻って御質問いただければと思います。
 それでは、以上御説明させていただきましたけれども、ここからの議事につきましては、先ほどの運営規則で定められた委員長の選任に移らせていただきます。人事に関する案件でございますので、運営規則によりまして、これよりは非公開とさせていただきます。それから、その後も、審査等について御審議をいただく議題になっていきますけれども、こちらも公平性や中立性の観点から非公開とさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、ユーチューブのほう、配信の停止をしていただけますでしょうか。それで、ユーチューブの配信まで30秒ほど時間がかかりますので、少々お待ちください。

議題1の終了後、「世界の記憶」国内案件に関する審査委員会運営規則第2条第3項に基づき、本委員会所属の委員の互選により、島谷弘幸委員を委員長に選出した。また、「世界の記憶」(国際登録)にかかる国内公募や国内案件の審査の進め方等について審議が行われた。

(6)配布資料

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国際統括官付