資料30-2 日本ユネスコ国内委員会自然科学小委員会人間と生物圏(MAB)計画分科会の活動の概要(平成25年6月~平成26年5月)

第25回MAB計画国際調整理事会

 平成25年5月27日~30日にユネスコ本部(パリ)にて開催。12地域のユネスコエコパーク(BR)への新規登録承認と、1件の削除(英国からの申出)により、BR総数は、621地域、117か国となった。第24回国際調整理事会決議のフォローアップとして、BRとしての活動報告及び基準を満たす取組を行っていないBRを世界BRリストから外していく方策が事務局から提案され、多くの国からの賛同を得て、2015年末までにBRの基準を満たす形での変更申請がないBRはBRのリストから外していく方向性が決定された。
 会議の最後に、シャーフ生態・地球科学部長代理の、ユネスコ事務局早期退職について、その後任としてハン・チュンリー(Han Qunli)ユネスコ自然科学局総務部長(元ユネスコジャカルタ事務所副所長)が着任することが発表された。
出席者:松田 裕之 日本ユネスコ国内委員会MAB分科会調査委員/横浜国立大学環境情報研究院教授
      堀尾 多香 文部科学省国際統括官付ユネスコ協力官

ユネスコエコパークの推薦書提出

 平成25年9月4日開催の、人間と生物圏(MAB)計画分科会第26回会議で決定した、「只見」(福島県)及び「南アルプス」(山梨県、長野県、静岡県)の2件の新規登録申請と、昭和55年にユネスコエコパークに登録されていた「志賀高原」(群馬県、長野県)について、移行地域(Transition Zone)の設定を含めた拡張申請を、9月末に日本ユネスコ国内委員会から、ユネスコ事務局に推薦書を提出した。
 昭和55年に登録されたほか三つのユネスコエコパーク(屋久島、大台ヶ原・大峯山、白山)に関して、各地域において協議会等を開催し検討を行った結果、いずれもBRの基準(セビリア戦略)を満たすよう、変更申請を行う前提で継続していく各地域の意向が国内委員会事務局に回答された。各自治体においては、移行地域の追加を含むユネスコエコパークの活性化について検討を進め、本年8月末に国内委員会に申請書を提出する予定。

サステイナビリティ・サイエンスに関する国際シンポジウム

平成25年9月19日、ユネスコにて「サステイナビリティ・サイエンスに関する国際シンポジウム」(国連大学、東京大学サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)及びユネスコ主催、文部科学省及び日本学術振興会共催)が開催された。ユネスコ加盟国の代表部や研究者等、約150名が参加し、ユネスコ事務局からグレッチェン・カロンジ(Gretchen Kalonji)自然科学担当事務局長補、ピラール・アルバレス・ラソ(Pilar Alvarez-Laso)人文・社会科学担当事務局長補ほかが出席した。

第37回ユネスコ総会

 平成25年11月5日~20日、ユネスコ本部(パリ)において第37回ユネスコ総会が開催された。サステイナビリティ・サイエンスが、37C/5の中で明確に位置付けられるとともに、自然科学及び人文・社会科学の各委員会において、我が国を含め多数の国からサステイナビリティ・サイエンスの重要性に対する発言があり、全体会合における各議長の口頭報告においても報告された。
 また、総会期間中に、ユネスコ事務局、ドイツ代表団、インドネシア代表団及びチュニジア代表団等とサステイナビリティ・サイエンスの今後の推進についての意見交換を行った。
 そのほか、サステイナビリティ・サイエンスに関するサイドイベントを、11月18日にユネスコ事務局及び国連大学が開催し、イリーナ・ボコバ(Irina Bokova)ユネスコ事務局長が挨拶を行った。

日本生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)ネットワーク会議

 平成25年10月25日~26日に、福島県只見町において、最初の日本ユネスコエコパークネットワーク会議が開催された。会議には、登録されている5地域(「志賀高原」、「白山」、「大台ヶ原・大峯山」、「綾」、「屋久島」)と、ユネスコに新規登録推薦中の2地域(「只見」、「南アルプス」)の関係者、ユネスコエコパーク関係省庁、及びMAB(人間と生物圏)計画委員会委員が集まり、各地域における取組について紹介するとともに、国内全体及び各地域において、今後ユネスコエコパークの活動を活性化していくための課題・方策等について、意見交換を行った。
 また、長野県山ノ内町の竹節義孝町長から、来年、日本のユネスコエコパーク関係自治体の首長レベルが参加する会議の開催について提案があり、了承された。ユネスコエコパーク関係者が集まって情報共有、意見交換を行う機会は必要であるという意見が多く、ネットワーク会議の在り方については引き続き議論を行っていく予定。
 続く10月27日には、只見町主催の一般の方向けのシンポジウムが「ユネスコエコパークと地域振興」をテーマに開催され、佐藤哲日本ユネスコ国内委員会MAB計画分科会調査委員(総合地球環境学研究所副所長/同研究所「地域環境知プロジェクト」プロジェクトリーダー)より「国際的な仕組みを取り入れ使いこなす~地域環境知とユネスコエコパーク」をテーマとした基調講演に続き、各地域からの報告及びパネルディスカッションが行われた。

大台ヶ原・大峯山ユネスコエコパーク地域シンポジウム

 本年1月17日、三重県大台町において、「大台ヶ原・大峯山ユネスコエコパーク保全活用推進協議会設立総会」が開催された。会議には、三重県の大台町、奈良県の上北山村、川上村、五條市、天川村、下北山村、十津川村の首長(一部代理)と、三重県及び奈良県、関係省庁の関係者が出席した。
 今般設立された「大台ヶ原・大峯山ユネスコエコパーク保全活用推進協議会」において、今後、大台ヶ原・大峯山ユネスコエコパークにおける移行地域の設定を含む地域の拡大、活動の活性化について議論がされる。
 また、設立総会に引き続き、地元住民等一般の参加者も含めて、「大台ヶ原・大峯山ユネスコエコパーク地域シンポジウム」を文部科学省及び日本ユネスコ国内委員会主催にて開催し、大台・大峯地域の魅力や今後の活動に向けて、講演及びパネルディスカッションが行われた。

白山ユネスコエコパーク協議会発足

 本年1月27日、石川県白山市において、白山ユネスコエコパーク協議会が設立され、第1回会合が開催された。協議会は、関係する4県7市村(富山県:南砺市、石川県:白山市、福井県:勝山市・大野市、岐阜県:郡上市・高山市・白川村)及び環白山保護利用管理協会を委員とし、関係省庁及び関係機関、有識者を参与として発足された。

アジア・太平洋地域での取組

 平成25年10月21~25日、東アジアBRネットワーク会議(EABRN)の第13回会議が、「Biological and Social Consequences of Global Change」というテーマのもとウランバートル(モンゴル)にて開催された。我が国からの大澤雅彦MAB計画分科会調査委員(雲南大学教授)を含む、加盟7か国から50名が参加し、域内のBR管理における人材育成や情報交換、国境を越えた連携の重要性等について意見交換が行われた。

生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)ホームページ整備

 生物多様性の保全と持続可能な利活用の調和、自然と人の共生といった、ユネスコエコパークの理念が各地に浸透するにつれて、ユネスコエコパークに関心を持つ自治体関係者等が増え始めている。日本ユネスコ国内委員会では、ユネスコエコパークの更なる理解増進を図るため、平成25年11月、文部科学省/日本ユネスコ国内委員会ホームページ内に、ユネスコエコパークのホームページを開設した。(生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)
 ユネスコエコパークの概要、申請手続き、参考資料等について情報を提供している。また、同ホームページから、広報パンフレットをダウンロードすることが可能。

<参考資料>

会議等一覧

会議等名称

開催日程
(開催地)

主な内容

我が国出席者

第2回世界島嶼沿岸生物圏保存地域ネットワーク

平成24年9月12日~13日
(済州島・韓国)

 島嶼沿岸の生物圏保存地域関係者が集まり、意見交換を行った。

松田MAB計画分科会調査委員・横浜国立大学教授 ほか

平成24年度第2回日本MAB計画委員会

平成24年12月26日
(横浜)

日本の既存ユネスコエコパークの取組の報告、並びに新規登録を目指している地域の担当者から現状説明を行った。

 松田MAB計画分科会調査委員・横浜国立大学教授 ほか

国際ワークショップ「持続可能な地域社会を目指すカナダと日本のユネスコエコパークの取組」

平成25年1月23日
(横浜)

カナダでMAB活動を行うサスカチュワン大学Maureen Reed教授を招き、カナダのMAB活動を紹介、ユネスコエコパーク登録を検討している地域の取組等を紹介した。

 松田MAB計画分科会調査委員・横浜国立大学教授、堀尾ユネスコ協力官 ほか

Strategic Meeting of Asia and the Pacific Biosphere Reserve Networks in Shaping the Future We Want for All」(アジア太平洋BRネットワーク会議)

 平成25年4月21日~26日
(ハノイ)

マドリッド行動計画(MAP)、ミレニアム開発目標(MDG)が終わることを踏まえてサブリージョナルBRネットワークのそれぞれがどのように取り組んできたかについて報告。綾ユネスコエコパークの取組等について紹介を行った。

大澤MAB計画分科会調査委員・雲南大学名誉教授 ほか

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