スポーツ・アカデミー形成支援事業中間評価結果

 スポーツ庁では、2020年東京大会の招致に当たり2013年9月の国際オリンピック委員会(IOC)総会で安倍総理が約束した、スポーツを通じた国際貢献事業「Sport for Tomorrow(SFT)」プログラムを推進しています。SFTプログラムでは、2020年までに発展途上国を始め100か国以上・1000万人以上を対象として、スポーツの価値を伝え、オリンピック・パラリンピック・ムーブメントを広げていく取組みを進めていますが、その一環として、次世代の国際スポーツ界の核となる人材の受け入れ・養成を行う国際的な中核拠点を、我が国のスポーツ系大学群と各国スポーツ系大学間のネットワークにより構築する「スポーツ・アカデミー形成支援事業」を2014年から2020年までの7年間で実施しています。
 スポーツ・アカデミー形成支援事業については、事業開始3年目に中間評価を実施し、事業の効果的な実施、事業目的の達成に資するため、事業の進捗状況や成果等を確認し、事業継続の判断及び適切な指導・助言を行うこととしています。
 このたび、本事業を実施する3大学(筑波大学、鹿屋体育大学、日本体育大学)を対象に、外部有識者による「スポーツ・アカデミー形成支援事業中間評価委員会」において中間評価を行い、以下のとおり評価結果を取りまとめました。

 
1.中間評価方法
 「スポーツ・アカデミー形成支援事業中間評価委員会」において、中間評価対象3大学から提出のあった中間評価資料による書面審査及びヒアリングを実施し、以下の5区分における評価(絶対評価)を行いました。

[評価の区分]
 S:適切かつ効果的に事業が実施されており、大きな成果も得られている。現行の取組を継続することによって本事業の目的を十分に達成することが期待できる。
 A:適切かつ効果的に事業が実施されており、成果も得られている。現行の努力を継続することによって本事業の目的を達成することが期待できる。
 B:取組は概ね妥当で、成果も見られるものの、改善が必要な問題があり、本事業の目的を達成するための一層の努力が必要である。
 C:事業の実施に当たり問題があり、成果もあまり見られない。本事業の目的を達成するために事業の抜本的な見直しを行い、見直し後の計画に応じて委託費を配分することが必要である。
 D:現在までの進捗状況に鑑み、本事業の目的を達成する見通しがないと思われるため、事業を中止することが必要である。
    
                                            
2.中間評価結果
[中間評価結果詳細]

実施大学

評価

中間評価委員会からの所見

筑波大学

B

 

・整備された実施体制のもと、大学の独自性を活かした学位プログラムが構築され、学生によるジャーナルを発刊するなど着実に事業を進めている。
・関係機関との連携において、シンポジウムなどのイベントに参加しただけの者が多数見受けられ、具体的な連携内容という点で疑問が残った。
・IOCや各国オリンピック委員会への人材輩出を見据え、学生募集の際に日本オリンピック委員会の協力を得て各国オリンピック委員会へ案内するなど、戦略的な学生の受入れを検討すべき。
・鹿屋体育大学、日本体育大学との連携を図るべき。連携に当たっては、「何をもって連携が図られたと言えるのか」「そのためのアクション」を明確にして取組むべき。
・学生の募集や講師派遣等について各国関係機関とやり取りする際は、本事業が、2013年9月のIOC総会で安倍総理が約束した、スポーツを通じた国際貢献事業「Sport for Tomorrow(SFT)」の一環として行われていることを伝え、世界へのSFTの理解拡大に努めるべき。


鹿屋体育大学

B


・大学の特徴であるアジアにおけるネットワークを活かした募集を行い、多くの応募があること、武道やホームステイを取り入れた独自性のあるプログラムを展開されている点は評価できる。
・一方で、アジアに特化するだけでなく、今後はグローバルな視点に立った人材(講師・学生)の受入れを検討することが望まれる。
・これまでの参加者間のSNSを通じたネットワークは構築されているが、大学側と参加者のコミュニケーションが希薄で、フォローアップが不十分であり、早期の改善を求める。
・筑波大学、日本体育大学との連携を図るべき。連携にあたっては、「何をもって連携が図られたと言えるのか」「そのためのアクション」を明確にして取組むべき。
・学生の募集や講師派遣等について各国関係機関とやり取りする際は、本事業が、2013年9月のIOC総会で安倍総理が約束した、スポーツを通じた国際貢献事業「Sport for Tomorrow(SFT)」の一環として行われていることを伝え、世界へのSFTの理解拡大に努めるべき。


日本体育大学

B


・コーチデベロッパーの養成に絞ったアカデミーという点で、競技力に対する良い効果が期待できる。
・学生については、各機関から卓越した方々が多く参加され、修了後にそれぞれの国・機関で活躍されており、また参加者と大学のネットワークも構築されている。
・一方で、スポーツ先進国の参加者が優遇されるプログラムになりかねない懸念がある。「Sport for Tomorrow(SFT)」の本来の趣旨も鑑み、発展途上国の方や将来を目指す人材が参加できる機会が拡大されることを期待する。
・筑波大学、鹿屋体育大学との連携を図るべき。連携にあたっては、「何をもって連携が図られたと言えるのか」「そのためのアクション」を明確にして取組むべき。
・学生の募集や講師派遣等について各国関係機関とやり取りする際は、本事業が、2013年9月のIOC総会で安倍総理が約束した、スポーツを通じた国際貢献事業「Sport for Tomorrow(SFT)」の一環として行われていることを伝え、世界へのSFTの理解拡大に努めるべき。




3.スポーツ・アカデミー形成支援事業中間評価委員会委員

  尾縣 貢

 筑波大学体育系教授

  杉田 正明

三重大学教育学部保健体育科教授

  田中 暢子

桐蔭横浜大学スポーツ健康政策学部スポーツ健康政策学科准教授

  西村 賢二

公益財団法人日本オリンピック委員会国際部長

◎ 平野 裕一

法政大学スポーツ健康学部スポーツ健康学科教授

  溝口 紀子

静岡文化芸術大学文化政策学部国際文化学科教授

  村松 邦子

株式会社ウェルネス・システム研究所代表取締役

                          (敬称略、五十音順、◎=委員長、役職は平成29年2月1日時点)
※委員が業務上関係する大学がある場合、その委員は当該大学の評価には参加していない。
    ・尾縣委員 : 筑波大学の評価不参加
    ・杉田委員 : 日本体育大学の評価不参加
    ・田中委員 : 筑波大学及び鹿屋体育大学の評価不参加


お問合せ先

スポーツ庁オリンピック・パラリンピック課

(スポーツ庁オリンピック・パラリンピック課)