FAQ

部活動の地域連携・地域移行全般や、「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関するガイドライン」に関するQ&Aをまとめましたので、参考として御活用下さい。
御不明な点がございましたら、スポーツ庁・文化庁までお問い合わせください。
※内容については、逐次、改定の可能性があります。(令和5年8月:Q3-2、Q12-2追加 9月:Q18-2追加、Q29更新)

目次

◆総論◆

◆Ⅰ 学校部活動◆

◆Ⅱ 新たな地域クラブ活動◆

◆Ⅲ 学校部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行に向けた環境整備◆

◆Ⅳ 大会等の在り方の見直し◆

◆その他◆

FAQ

◆総論◆

Q1 部活動改革の課題、今回のガイドラインの策定の趣旨は何ですか。

少子化が進展する中、学校部活動を従前と同様の体制で運営することは難しくなってきており、学校や地域によっては、存続が厳しい状況にあります。また、専門性や意思に関わらず教師が顧問を務めるこれまでの指導体制を継続することは、学校の働き方改革が進む中、より一層厳しくなります。
本ガイドラインは、少子化の中でも将来にわたり、生徒がスポーツ・文化芸術活動に継続して親しむことができる機会を確保することを目指し、学校部活動が生徒にとって望ましいスポーツ・文化芸術活動となるよう、適正な運営や効率的・効果的な活動の在り方について示すとともに、新たな地域クラブ活動を整備するために必要な対応について、国の考え方を示すものです。

Q2 改革推進期間が終わるときにはまた改訂するのでしょうか。

本ガイドラインについて、改革推進期間における取組の進捗状況等を勘案し、適宜必要な見直しを行うこととしています。

Q3 「学校部活動の地域連携」と「地域クラブ活動への移行(地域移行)」はそれぞれどのようなものですか。

学校部活動は、学校教育の一環として、学校の責任下で行われる活動を指しており、部活動指導員や外部指導者といった地域の方々に参画いただいたり、複数の学校で合同練習を行ったりすることを「地域連携」と称しています。
地域クラブ活動は、社会教育の一環として捉えることができ、また、スポーツ基本法や文化芸術基本法上の「スポーツ」「文化芸術」として位置づけられるものです。したがって、学校ではなく、地域クラブ活動の運営団体・実施主体が行うものであり、学校部活動とはそもそもの責任主体が異なります。学校部活動を地域クラブ活動に代替させていくことを、「地域移行」と称しています。

Q3-2 合同部活動、合同チーム、合同練習はどう異なるものですか。

合同部活動は、複数の学校で一つの部活動を拠点校等に設置することをさし、その際は1人以上の指導者(顧問等)がその一つの部活動に対して配置されることとなります。そのため、運営の主体と責任の所在をはっきりとさせ、生徒や保護者の理解を得て行うことが必要です。
合同チームや合同練習は、それぞれの学校に部活動がありそれぞれに指導者がいるものの、あくまで一時期に、大会に同じチームとして出場したり、一緒に練習をしたりするものです。

Q4 Ⅰは高校も原則適用、Ⅱ~Ⅳは実情に応じてとのことですが、地域クラブへの移行について高校にも適用していく予定はありますか。

高等学校段階については、義務教育終了後に多様な教育活動が行われている状況を踏まえつつ、生徒の心身の健全育成等の観点から、学校等の実情に応じて学校部活動の改革に取り組むことが望ましいとしています。
高等学校における学校部活動の地域クラブへの移行に関しては、一般的に中学校段階に比べて広域から生徒を募集しているなどの高等学校の特性や、中学校段階での取組の状況も踏まえた検討が必要になると考えます。

◆Ⅰ 学校部活動◆

Q5 平日の活動時間を2時間程度、休養日を週2日以上設けること等が示されているのはなぜですか。

「スポーツ医・科学の観点からのジュニア期におけるスポーツ活動時間について」(平成29年12月18日 公益財団法人日本体育協会(※))では、「行き過ぎたスポーツ活動を行うことは、スポーツ外傷・障害やバーンアウトのリスクが高まり、体力・運動能力の向上につながらず、具体的には、休養日を少なくとも1週間に1~2日設けること、さらに、週当たりの活動時間における上限は、16時間未満とすることが望ましい」とされています。本ガイドラインでは、こうしたスポーツ医・科学の研究を踏まえて、活動時間等に関する基準を示しております。スポーツ医・科学に基づく適切な運動部活動の実施により、成長期にある生徒が、バランスの取れた生活を送るとともに、自らのニーズに合ったスポーツ活動を行うことが期待されます。
(※)団体名称を「公益財団法人日本スポーツ協会」に変更(平成30年4月1日)

Q6 こうした休養日等の基準を設けることによって、競技力の低下や、活動したい生徒の希望を抑えることにつながらないでしょうか。

スポーツ医・科学の見地からは、トレーニング効果を得るには、適切な休養が必要であり、過度な練習はスポーツ障害等のリスクを高め、体力・運動能力の向上につながらないものです。運動部の顧問等(教師、部活動指導員、外部指導者)は、こうしたことを正しく理解した上で、生徒とコミュニケーションを十分に図り、技能や記録の向上等、生徒の目標達成に向けて、短時間で効果が得られ、生徒のニーズにあった活動を行うことが期待されます。
今後、中央競技団体が策定する運動部活動の指導手引も活用する等して、科学的なトレーニングを導入した活動を進めること、さらに、スポーツ医・科学の見地に基づいた取組について、保護者の理解を頂くことも大切です。

Q7 ガイドラインでは、高等学校も中学校と同じように平日2時間程度、休養日週2日以上等で行うことになるのですか。

入学者選抜を経て進学した高校生は、中学生より心身が発達していること、中学校に比べて多様な教育が行われていることから、高校における取組について、「本ガイドラインを原則として適用」し、その際、「多様な教育が行われている点に留意する」こととしております。
高校の運動部では、地域、学校、競技種目等に応じた多様な形で、最適に実施すること、その際には、中学校との違いも考慮の上、過度な運動はスポーツ障害等の発生率が高くなることや体力・運動能力の向上につながらないことを踏まえ、生徒の発達の段階や競技レベルに応じて、できるだけ短時間で、効率的・効果的な活動をすることが求められます。

Q8 休養日の考え方は、私立学校も対象となりますか。

生徒に望ましいスポーツ環境を構築することを目指す本ガイドラインは、知・徳・体のバランスの取れた「生きる力」を育むこと、生徒がバランスのとれた心身の成長、学校生活を送ることができること、スポーツを楽しむことで運動習慣の確立等を図り、生涯にわたる豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力を育成することを重視しています。こうした本ガイドラインの基本的な考え方は、学校の種類や設置者の違いにかかわらず該当するものであり、公立、国立、私立全てが対象となります。

Q9 あらゆる学校部活動において、ガイドラインが示す活動時間や休養日の基準に基づき活動すべきですか。

技能や記録の向上に向けては競技特性を踏まえたトレーニングを行うことが必要ですが、その内容は競技種目によって様々です。同時に、学業との両立ができるバランスの良い生活を送るという観点や、スポーツ障害等を避けるという観点からも、行き過ぎた練習が望ましくないことは全ての運動部に共通することです。
前述の「スポーツ医・科学の観点からのジュニア期におけるスポーツ活動時間について」(平成29年12月18日 公益財団法人日本体育協会(※)においては、研究等が競技レベルや活動場所を限定しているものではないことを踏まえて、「休養日を少なくとも1週間に1~2日設けること、さらに、週当たりの活動時間における上限は、16時間未満とすることが望ましい」とされております。
今後、中央競技団体が策定する各競技種目の運動部活動の指導手引も活用して、競技特性を踏まえつつ、生徒の発達の段階や競技レベルに応じて、できるだけ短時間で、効率的・効果的な活動をすることが求められます。
(※)団体名称を「公益財団法人日本スポーツ協会」に変更(平成30年4月1日)

Q10 部活動は生徒全員が参加しないといけないのですか。

部活動は、生徒の自主的、自発的な参加により行われるものであることを踏まえ、生徒の意思に反して強制的に加入させることがないようにしなければなりません。 また、生徒が希望すれば、特定の種目・部門だけでなく、スポーツ・文化芸術や科学分野の活用や地域での活動も含めて、様々な活動を同時に経験できるよう配慮する必要があります。

Q11 生徒の多様なニーズに応じた部活動としては、例えばどのようなものがありますか。

本ガイドラインにおいては、性別や障害の有無を問わず、気軽に友達と楽しめる、適度な頻度で行えるなど、生徒の多様なニーズに応じた活動を行うことができる環境を整備することとしています。
具体的な例としては、運動部活動では、複数のスポーツや季節ごとに異なるスポーツを行う活動、競技・大会志向でなくレクリエーション志向で行う活動、体力つくりを目的とした活動等、生徒が楽しく体を動かす習慣の形成に向けた動機付けとなるものが考えられます。また、競技種目ごとの運動部においても、競技力向上志向の生徒と当該競技種目を楽しみたい生徒が併存して活動するものも考えられます。

Q12 部活動指導員と外部指導者の違いは何ですか。

部活動指導員は、学校教育法施行規則に基づき学校設置者が雇用する正規の職員で、部活動の顧問となることが可能です。外部指導者は、部活動指導員以外の指導者で、学校設置者との雇用関係によらず、学校外の指導者等との連携・協力関係のもと、部活動の指導に加わってもらう方のことを指します。外部指導者の報酬の有無や条件、待遇の取扱いは、各学校設置者や学校の判断となります。
外部指導者は、部活動指導員と比べて柔軟な活用が可能ですが、適切な外部指導者の採用や必要な研修の実施等については、各学校設置者や学校の責任において、判断いただくこととなります。

Q12-2 教員や自治体職員は部活動指導員になれますか。

教員や自治体職員(学校事務職員を含む)、地方議会議員、民間企業に従事する者の部活動職員の任用に当たっては、こちらの留意事項をご参照ください。
「中学校における部活動指導員の配置支援事業」部活動指導員の任用に当たっての留意事項 新しいタブで開く

Q13 ガイドラインにおいて、「部活動指導員が十分に確保できない場合には外部指導者を配置」「都道府県及び市区町村において、適切な部活動指導員や外部指導者による引率が可能となるよう見直す」との記載がありますが、これらの趣旨はどのようなものでしょうか。

ガイドラインの中の外部指導者に係る記載は、学校設置者や学校長の責任において、外部指導者に任せられる活動の範囲を増やし、現場の選択肢を増やすことができるよう意図したものです。
なお、外部指導者による引率の可否については大会により取扱いが異なりますので、各大会の開催要項等を御確認ください。
(参考)日本中学校体育連盟 開催基準・規程等
https://nippon-chutairen.or.jp/sports/regulation/新しいタブで開く

Q14 どのような外部指導者が適切と考えられるのでしょうか。

「適切な外部指導者」について、定義付けは行っていませんが、当該外部指導者の人となりについて、単独での指導や引率を任せるに足る人物かどうかを学校等において見極めていただくことが必要です。
例えば、
① 当該競技について専門的な知見を有していること
② 日頃から部活動の練習等に立ち会い、チームや生徒の実情をよく把握していること
③ 学校関係者や保護者との関係が良好であること
④ 事件や事故、部活内でのトラブル等への対応が適切に行われていること
⑤ 金の管理や生徒への指導を第三者の目が届かない場所や状況で行うなどの不適切な対応が疑われるような言動をしていないこと
⑥ 過去に部活動指導について処分等を受けていないこと
⑦ 公認スポーツ指導者等の資格を有していること
などが判断基準として考えられます。
なお、校長が判断を行うにあたり、個人的な好き嫌いや当該指導者の一面のみを見て判断を誤るようなことがないよう、学校設置者において一定の判断基準や手順を示し、判断の結果について報告を求めるなどの仕組みを整えることも考えられます。

Q15 ガイドラインを遵守していない学校への処罰等はありますか。

本ガイドラインはあくまで関係者らが取り組むことが望ましいとされる指針を示しているものであり、法的な拘束力はなく、違反に対する処罰はありません。
一方で、大会の参加基準等に「ガイドラインを遵守していること」というような項目が設けられている際は、遵守していないことをもって大会に参加できないという可能性は考えらえます。

Q16 教師は顧問を拒否することができますか。

ガイドラインでは、「校長は、教師を部活動顧問に決定する際は、校務全体の効率的・効果的な実施に鑑み、教師の他の校務分掌や本人の意向、部活動指導員の配置状況を勘案したうえで行うなど、適切な校務分掌となるよう留意するとともに、学校全体としての適切な指導、運営及び管理に係る体制を構築する」としています。
ただし、勤務時間内における部活動顧問については、職務命令があれば担う必要がありますが、勤務時間外において、部活動を行うことを教師に命じることはできません。
部活動指導をしたい教師だけでは部活動運営ができない場合、校長は外部指導者や部活動指導員を配置などについて教育委員会等と調整するほか、合同部活動の実施、部活動の地域クラブへの移行、部活動を設置しないことといった判断をとることも考えられます。

◆Ⅱ 新たな地域クラブ活動◆

Q17 地域クラブ活動で継承・発展される教育的意義とはどのようなものがあるのですか。

部活動はこれまで、体力や技能の向上を図る目的以外にも、異年齢との交流の中で、生徒同士や生徒と教師等との好ましい人間関係の構築を図り、学習意欲の向上や自己肯定感、責任感、連帯感の涵養に資するなど、学校という環境における生徒の自主的で多様な学びの場として、教育的意義を有してきました。
これらの教育的意義については、地域クラブ活動においても継承・発展させ、地域での発達段階やニーズに応じた多様な体験や、様々な世代との豊かな交流等を通じた学び等の新しい価値を創出することが重要です。

Q18 地域クラブ活動では生徒の自主性が損なわれるのではないでしょうか。

地域クラブ活動においても、「地域クラブ活動の運営団体・実施主体は、地域の実情に応じ、生徒の自主的・自発的な活動を尊重」することとしています。むしろ、これまで学校内に閉じていた生徒の活動が、地域全体というフィールドで、他世代も巻き込んで行えるようになるため、自発的に企画立案する活動の幅も広がるものと考えられます。

Q18-2 広い地域から生徒を集めることで、勝利至上主義的なチームが生まれることにならないでしょうか。

本ガイドラインでは、地域クラブ活動の参加者として「希望する全ての生徒を想定する」としています。 そのため、強豪チームを作ることを目的として選抜等を行ったりすることはガイドラインの趣旨と異なるため、大会の規定に抵触し、大会に出場できない可能性があります。 ただ、生徒のニーズに応じて、楽しむことを目的としたチームと、技術の向上を目的とし大会に出場するチームを分けること等は考えられます。

Q19 平日に活動を行わない地域クラブ活動が、土日とも活動することはできないのですか。

平日に活動を行わず、土日だけ活動する地域クラブ活動の場合でも、原則として土日のどちらかを休養日とすることが適切です。
一方、例えば、平日の学校部活動と連続的なものととらえられる場合(特定の競技に関して、参加者が同じで指導者のみ違う場合等)において、学校部活動は週当たり少なくとも2日以上の休養日を設定した上で、地域クラブ活動を土日とも実施する場合などには、『原則』とある通り、どのように地域移行を進めて行くかという地域の方針にも応じて、指導者・生徒・保護者の合意のもと、柔軟に運用することも可能です。
ただし、この場合でも、参加者・指導者共に過負荷にならないようにという観点から、第〇土(日)曜日は休養日とする、日曜日の活動は自由参加(他の曜日の活動と非連続)とする、オフシーズンを設ける等の工夫を行うことも考えられます。

Q20 これまで学校に関係なく活動してきたクラブチームも休養日の設定を守らなければいけないのですか。

この休養日の設定に関しては、学校と連携して活動を行う新たな地域クラブ活動に適用されることを想定しており、これまで独自に行ってきたリトルリーグ等のクラブチームの活動に直ちに制限を設けることを企図したものではありません。
しかしながら、こうした地域のスポーツ活動や自宅でのトレーニング等においても、生徒の発達の段階や体力、技能の程度も考慮した、適切な質・量の活動が望まれます。
また、こうした取組に向けて、生徒本人や保護者、指導者が、休養もトレーニングの一環である等、スポーツ医・科学に基づくスポーツ活動が重要という考えを共有することができるようにすることが大切です。スポーツ団体、学校、地方公共団体等においても、これらの関係者の理解と協力を促すことが求められます。
なお、部活動の地域移行に係る協議会等で議論され、その位置づけがガイドラインに基づく活動については、休養日の設定を含むガイドラインの内容を十分踏まえる必要があります。(当然のことながら、部活動の地域移行に関する実証事業の一環として行われる活動にも適用されます。)

Q21 部活動の指導を続けたい教師はどうすればいいのでしょうか。

報酬を得て地域クラブ活動での指導を希望する教師については、服務監督教育委員会による兼職兼業の許可を得ることにより、指導に携わることが可能です。
詳細は、「公立学校の教師等が地域クラブ活動に従事する場合の兼職兼業について(手引き)」をご参照ください。

Q22 教師が兼職兼業で顧問となるのであれば、教師の働き方改革にはならないのではないでしょうか。

これまで学校部活動で行っていたものの全部又は一部(休日)について学校では行わないこととし、地域移行する場合は、移行した分について教師は担う必要はなくなり、働き方改革にも資すると考えられます。その上で、(学校部活動とは別の)地域クラブ活動において指導を希望する教師が、正当な報酬を得て指導を行うこととなるため、専門性や意思に関わらず教師が部活動顧問を務めていた場合もあるこれまでの指導体制に比べて、改善するものと考えています。

Q23 「公立学校の教育職員の業務量の適切な管理に関する指針」において教師の在校等時間は45時間以内を目安にしていたが、兼職兼業で行う指導と合計して45時間を超える(ことが見込まれる)場合は、兼職兼業をしてはいけないのですか。

「公立学校の教育職員の業務量の適切な管理に関する指針」は教師等の健康確保等のために「時間外在校等時間」の上限を示しており、「公立学校の教師等が地域クラブ活動に従事する場合の兼職兼業について(手引き)」においても、これに収まることが望ましいとしているものであり、本人の希望や本務への支障の有無、健康確保がなされるか確認の上、法令上の上限(単月100時間未満、複数月平均80時間以内)まですることは認められます。

Q24 地域クラブ活動で指導者のハラスメント行為等のトラブルが起こった場合はどこに相談すればいいのですか。

地域クラブ活動において指導者がハラスメント等を行った場合は、指導者本人、運営団体・実施主体が責任を負うことになります。
そのうえで、スポーツ団体が自ら設ける相談窓口や、自治体が設ける第三者窓口をご活用いただくとともに、問題がある場合は、地域クラブ活動を所管している自治体の担当部署にご相談ください。(自治体の担当部署は、地域クラブ活動に対する指導権限を有しています。)

Q25 地域クラブ活動の指導ではきちんとした報酬が支払われるのですか。

地域クラブ活動においては、運営団体・実施主体との契約関係において報酬が支払われることになります。その契約内容等については、運営団体・実施主体と指導者の関係性によりますが、基本的には最低賃金を遵守するなど、一般の労働法制に基づいたものになる必要があります。

◆Ⅲ 学校部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行に向けた環境整備◆

Q26 3年間で地域移行を完了しないといけないのですか。

各自治体の検討・準備状況がさまざまであること、部活動指導員の活用を含んだ地域連携の推進など、地域によって多様な進め方が考えられ、また、地方団体からも移行期間を限定しないよう御意見をいただき、令和7年度までに地域移行を達成するという明確な年限は設定せず、令和5年度から7年度までを「改革推進期間」として設定し、休日の部活動について、各地域の実情に応じて、可能な限り早期に地域連携・地域移行の実現を目指すことを求めることとしています。

Q27 部活動の地域移行について、進め方はこれに則らないといけないのですか。

Ⅱ及びⅢの柱書において、「各都道府県及び市区町村等においては、地域の実情に応じ、関係者の共通理解の下、できるところから取組みを進めていくことが望ましい」と記載している趣旨としては、あくまでガイドラインでは様々な事情を抱える学校現場や地域において、部活動改革を進めるための選択肢を示しているのであり、この方法その通りに行わないといけないということを意図しているものではありません。
複雑に絡み合う諸課題を解決していくためには、複数の道筋や多様な方法があるということは大前提です。

Q28 自治体の中のどの部局が中心になって進めるのでしょうか。スポーツ・文化振興担当部署でないといけないのですか。

地域のスポーツ・文化芸術環境をどのように確保していくかということになるため、スポーツ・文化芸術担当部署が中心となって進めることが望ましいですが、これまで教育委員会の学校関連部署が部活動を担当していたこと等の経緯から、知見を有する学校関連部署とも連携して行っていくことも考えられます。行政部局の事情も様々ですので、それぞれの事情に応じて、適切な在り方をご検討ください。

◆Ⅳ 大会等の在り方の見直し◆

Q29 地域のクラブチームなどが中体連などの大会に参加できるようになるのですか。

大会の参加資格については、既に日本中学校体育連盟において、「全国中学区体育大会開催基準」を改正し、令和5年度から地域のスポーツ団体等の参加が認められました。
一方で、まだ都道府県や競技によっても対応に差が見られ、各方面からもより一層の参加資格の拡大の声が届いていることから、令和6年度に向けて更なる改善について検討いただくよう、本年9月にスポーツ庁から日本中学校体育連盟に対して依頼をしています。

Q30 全国大会はなくなるのでしょうか。

全国大会については、開催回数について、生徒や保護者等の心身の負担が過重にならないようにするとともに、学校生活との適切な両立を前提として、種目・部門・分野ごとに適切な回数に精選することとしています。そのために、都道府県中体連及びその域内の中体連並びに学校の設置者は大会の統廃合等を主催者に要請するとともに、中学校の生徒が参加する大会数の上限の目安等を定めることをガイドラインでは求めているところです。

◆その他◆

Q31 学習指導要領における部活動の記載を修正する予定はありますか。

このたびのガイドラインの改定を踏まえ、地域クラブ活動の位置づけや学校との連携の在り方等を更に明確にするため、今後、国が行う実証事業等の状況等も踏まえ、学習指導要領解説における関連の記載の見直しを行う予定です。
なお、教育課程外の活動である部活動は、学習指導要領の総則に関連の記載が盛り込まれているところ、今後の部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行の進捗状況の検証等を踏まえ、次期改定時にあわせて、その見直しを検討する予定です。

Q32 ガイドラインの取組を進めていく上で、保護者の理解・協力が必要なものとして主にどのようなことがありますか。

子供の教育は学校だけで行われるものでなく、学校と地域・保護者がそれぞれの役割を果たし、互いに連携・協力して行うものです。家庭教育を担う保護者は、子供の学校外の生活において、学業だけでない多様な体験をさせ、家族の団らんを通じ、その健全な成長を促していくことが期待されます。部活動の時間が長くなる余り、週末や長期休業期間などにおける多様な体験の機会が失われることは好ましくありません。
また、生徒にスポーツ障害やバーンアウトを生じさせるような、行き過ぎた運動部活動の背景・要因には、関係者の勝利至上主義の意識・価値観がある場合も見受けられます。保護者においても、目先の勝敗にとらわれて長時間の練習を行うことが子供のためにならないことを十分に理解することが必要です。
そのためにも、学校部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行についてご理解いただき、地域住民という立場で御協力いただく等のことが期待されます。

Q33 スポーツ実施率向上という課題と、部活動改革との関係をどのように考えるべきですか

国のスポーツ基本計画では、平成29年度で51.5%の成人のスポーツ実施率(週1回以上)を65%程度となることを目指しています。こうした目標の実現に向けて、発達段階の学校教育においては、体育の授業や運動部活動等を通じて、体を動かすことの楽しさを理解し、大人になってからのスポーツ実施率の向上につながる運動習慣を確立していくことが求められます。
また、中学生の運動部活動の参加率は約60%(令和4年度)である一方、運動部等に所属しない生徒も相当数います。こうした生徒が考える、運動部に参加する条件は「好きな、興味のある運動やスポーツを行うことができる」「友達と楽しめる」「自分のペースで行うことができる」等が上位になっています。このように、既存の運動部活動は、必ずしも生徒の潜在的なスポーツニーズに応えられていません。
生涯にわたる豊かなスポーツライフを実現する資質・能力を育む基盤の充実、ひいては、様々な世代を通じたスポーツ実施率の向上に向けても、生徒の多様なニーズに応じて、スポーツを楽しめる環境整備を進めるという視点に立った、部活動改革を進めることが求められます。