熊本県立第二高等学校は、理数科・美術科・普通科の3学科の全校体制で、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業に取り組んでいます。評価の基準である「二高ICEモデル」で教員同士の共通理解を図りながら、独自のSTEAM教育の視点で探究型の学習・教科横断型学習を推進。生徒の「総合知」を育み、イノベーション人材の育成につなげています。探究的な学習は授業に加え、希望者が参加するプロジェクト型、普通科と美術科の生徒による「ゼミ」といったさまざまな方策をとっており、産官学連携を図りながら、生徒の思考力や課題解決力の育成に取り組んでいます。
お話を伺った先生

- 森田 淳士(もりた じゅんし)
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校長。熊本県の県立高等学校教諭として1990年度より20年間勤務。文部科学省、県教育庁教育政策課、県立高等学校の教頭・副校長・校長を経て2024年度に同校に着任。

- 染森 千佳(そめもり ちか)
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SSH探究部長・美術科。1998年度から同校に4年間勤務、2002年度から県立高等学校に10年間勤務した後、2013年度に再び同校に着任。2022年度からSSH探究部長。

- 田中 知史(たなか さとし)
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SSH探究部・SSH研究主任・2年部 物理部。県立高等学校での10年間の勤務を経て、2020年度に同校着任。2021年度よりSSH研究主任。
スーパーサイエンスハイスクールに全校体制で取り組み 「科学的探究力」を育む
1962年に創立された本校には、1学年につき普通科8クラス、理数科1クラス、美術科1クラスの3学科があります。文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受け、現在先導的改革期Ⅰ期目、22年目を迎えました。本校の同事業の大きな目標は、3学科全体における「科学的探究力」の育成であり、そのための「思考力・判断力」を高める授業をめざしています。社会に出たときにはさまざまな課題に出会いますが、それを乗り越えクリアする力を生徒たちにもってほしい、と日々取り組んでいます。
先導的改革期Ⅰ期目では「特異な才能を発見・開発・開花するイノベーション人材の育成システムの構築と自走化」に取り組んでいます。研究テーマは大きく二つ。一つは「課題研究を中核とした独自のSTEAM教育システムの開発と普及」、もう一つは「高度な専門性と独創性・創造性に富んだ人材育成のための高大接続研究」です。
理数科の取組を美術科・普通科にも取り入れる。3学科合同のポスター発表が転機に
新学習指導要領が推進する全教科における探究的な学習について、現在、本校がスムーズに取り組めているのは、理数科が長年スーパーサイエンスハイスクール事業で培った力が非常に大きいと思います。教員が理数科で得られた生徒の学び方の知見を、他教科にも取り入れることで、思考力や課題解決力を高めています。
全校体制の始まりはスーパーサイエンスハイスクール第Ⅲ期(2011年~2015年)後半です。
本校の理数科では、学校設定科目「スーパーサイエンスⅠ・Ⅱ・Ⅲ」における「課題研究」を大きな柱として長年取り組んできました。「化学班」「物理班」「生物班」「宇宙工学班」「環境班」などに分かれてそれぞれの研究を深め、科学技術振興機構理事長賞ほか、さまざまな受賞などの成果をあげてきました。

2024年度の理数科の課題研究「がん細胞の研究」。熊本サイエンスコンソーシアム(KSC)の取組により崇城大学との連携で行われている。(提供:熊本県立第二高等学校)
同事業第Ⅲ期の後半の時期に、新学習指導要領に向けてアクティブ・ラーニングが注目されるようになったことから、美術科・普通科も、探究的な学習に力を入れるようになりました。特に「総合的な学習の時間」を使って長年実施してきた「地球市民」と名付けたテーマ研究をSSH事業に接続していったのです。
一方で、理数科では研究成果を学校外の一般の人たちにアウトプットする際に、よりよく伝えたり興味をもってもらえたりするような要素が必要なのではないか、という悩みがありましたが、2016年2月、理数科の「科学英語」と、美術科・普通科のテーマ研究の成果を持ち寄り、1年生全員でポスター発表を実施したことが大きな転機となります。理数科の生徒たちは美術科の生徒たちの作品を見て“美しく、楽しく見せること”の大切さに気付き、美術科や普通科の生徒たちは“数字や科学的根拠を明らかにすること”の必要性がわかりました。「科学的探究力」を身につけるために、お互いの良さ、自分たちの足りない部分に気付いたのです。
そこで第Ⅳ期申請にあたっては、理数科・美術科・普通科の「全校体制によるSSH探究の実施」を盛り込むことになりました。当時、ポスター発表はまだイベント的な要素が強かったため、ここで得た気付きを、科学的探究力を育み「思考力・判断力」を高める授業につなげられるような、より継続的な取組をめざしました。
熊本地震発生。生徒の主体的に動く姿から探究的な学習で身につく力に着目
そうしたなか、2016年4月に熊本地震が発生しました。本校は校舎の一部や体育館が使用できなくなるなど、県内の公立学校で最も大きな被害を受け、生徒やその家族、教職員も被災しました。それでも生徒や卒業生たちはボランティア活動に取り組み、SNSでの情報共有やボランティアの人の配置など、指示がなくても主体的に行動していたのです。生徒たちの姿に教職員も励まされ、映像を投影するためのスクリーンを手づくりしたり、ポスター発表の会場の確保をしたりなど、学びの継続に取り組みました。
「防災」という非常に大きなトピックは、スーパーサイエンスハイスクールの全校体制での展開を進めるなかで、「課題発見・解決力」「探究的な学習で身につく力」について、教職員全体が視点を重ねることにもなりました。
教員体制を組織化し「二高ICEモデル」による評価を導入
2017年度からの第Ⅳ期以降、本格的に、理数科・美術科・普通科の全校体制で展開しています。第Ⅲ期までは理数科の担当教員が担っていた同事業関連の事務や業務について、全校体制で取り組もうと、複数教員で構成する「SSH探究部」を設置。組織的に進めることになりました。当時のSSH探究部長だった家庭科の田尻美千子先生を中心に、「インストラクショナルデザイン」(教育設計学)と、評価の基準となる「二高ICE(アイス)モデル」を開発し、探究型学習と評価研究を進めていきました。
現在「SSH探究部」は、授業開発班(美術科2,英語1の3名)、SSH班(理科5名)、EdTech班(情報科1、数学科3、理科1の5名)の計13名で構成しています。
二高ICEモデルは、カナダで実践される「ICEモデル」をベースに本校で独自に研究開発したもので、それぞれIdeas(知識の習得)、Connections(知識の活用)、Extensions(応用・探究)として定義。頭文字をとったIフェーズ、Cフェーズ、Eフェーズそれぞれの段階で評価します。新学習指導要領の3観点と照らし合わせると、「知識及び技能」はIフェーズ、「思考力、判断力、表現力等」はCフェーズ、「学びに向かう力、人間性等」はEフェーズに、それぞれ親和性が高いものと考えますが、実際の評価は各フェーズを参考にして、各教科の特性や専門性を尊重し、職員研修や教科会で議論を重ね、生徒の探究的な学びを多面的に評価するようにしています。
各教科のシラバスも、二高ICEモデルに基づいて作成します。シンプルな雛型に記入することで、教員は各単元の学びの本質を確認できます。二高ICEモデルは「生徒の思考・判断を促す問い」に学校全体で考える共通言語となっています。

全教科で育みたい資質・能力について(提供:熊本県立第二高等学校)
校内研修はグループ協議のスタイルへ。教科の連携にもつながるものに
当初は二高ICEモデルについての校内研修を何年間か行いましたが、その考え方を全教員で共有しようとしたとき、文書や全体に向けた講義スタイルの研修で伝えるのは職員の業務が多いなか、本当に難しいと感じました。探究的な学習についても当初は「これからはこのような探究の授業をお願いします」といった、一方向の研修になっていたのではないか、という反省がありました。
そこで第Ⅳ期の終わり頃からは校内研修をグループ協議中心に変えました。ベテランや若手教員、各教科教員が混ざるように編成して、各教科の本質をお互いに理解したり、考えや悩みも含めて共有したりするものにしています。毎年5月に実施しており、二高ICEモデルによる評価の考え方を共有しています。自然に教員同士がつながっていき、教科連携もスムーズになります。
2024年度から定期考査では全学年・全教科で思考力を育てるための問題を取り入れ、テスト時間は従来よりも10分延長して60分としています。思考力に関する問題作成と評価については二高ICEモデルのCフェーズ(知識の活用)についての校内研修が活きています。
一般的に高校は教科の縦割りになりがちですが、探究的な学習を進めていくと、単独の教科には収まらず、各教科の協力がなければ生徒の研究の幅は狭くなってしまいます。教員の配置についても、SSH探究部長に美術科教員、SSH研究主任には物理科教員、理数科の主任は国語科教員が担い、教科のバランスを取っています。職員の配置を工夫することによって教科の垣根を低くする必要があります。
理数科・美術科・普通科の強みを活かし、課題研究内で独自のSTEAM教育を展開
スーパーサイエンスハイスクール先導的改革期Ⅰ期目の研究テーマの一つは前述の通り、「課題研究を中核とした独自のSTEAM教育の開発と普及」です。探究的な学習や教科横断型な学習は、全教科で取組を進めていますが、その核となっているのは本校独自のSTEAM教育「STEAM-D(STEAM with Design)」の実践です。STEAM-Dではより本質的な問いに迫る力や独創性・創造性及び変化する社会に対する応用力を育成するための取組が行われています。
「STEAM-D」の授業は、理数科では学校設定科目「スーパーサイエンス(SS)」内で行い、美術科と普通科では「総合的な探究の時間」と「情報」を合わせた学校設定科目であるSTEAM-Dの一部である、美術科「アートサイエンス(AS)」、普通科「グローバルリサーチ(GR)」内で行っています。「科学哲学」「科学倫理」「科学芸術」「データサイエンス」などで、これらを通じて哲学的な思考や倫理観を備えた高度な科学的探究力の育成を図り、各々の研究につなげます。併せて、課題研究内でICT活用や情報活用などについても学び、その効果がより深まるように工夫しています。
理数科・美術科・普通科の1年生STEAM—D「科学哲学」の授業で思考力を養う

1年生「科学哲学」の授業。グループで話し合った内容をクラス全員で共有する。(提供:熊本県立第二高等学校)
例えば、STEAM-Dの授業「科学哲学」では、1年生全員が、理数科のスーパーサイエンス、美術科のアートサイエンス、普通科のグローバルリサーチでそれぞれ取り組みます。2024年7月のテーマは「人類の発展のために、動物実験は本当に必要か」。動物実験の現状や、資料提供、法律を適宜紹介しつつ、生徒たちが考えたことを話し合い、生徒たちの考えをGoogleフォームで集め、一部は本校のHPでも紹介します。この授業では、よく考えること、一つの考えにこだわらずに、相手の考えも尊重しながら、総合知や共通了解を得ようとする、そうした営みをしっかりトレーニングします。答えが出ない問いであっても、思考停止しないことが大切であり、いずれ自分が何かをジャッジする立場になるかもしれません。ルールを決めるのは人間ですから、判断のために必要な「科学倫理」も併せて指導していきます。そうした倫理も基盤としてもっていなければならない、という生徒へのメッセージでもあります。
生徒全員が取り組む教科横断型授業はシンプルな内容で授業者も実施しやすく
また、教科横断型については、STEAM-D「科学芸術」として1年生全学科美術選択者で取り組む「ペーパーブリッジ」(紙の橋)の授業があります。授業を通して伝えたいのは、美術では「紙という素材をいかに強くするか」という創意工夫、物理は「力学的な考え方」、土木や建築といった分野につながることを意識した「キャリア教育」の視点、さらに普通科や美術科における理系人材の掘り起こしという側面もあります。
生徒は1人ずつペーパーブリッジを2回作ります。授業のはじめに生徒たちにも、1回目は「耐久性」を、2回目は「デザイン」を評価することを伝えます。材料は紙とたこ糸と糊のみ、授業時間は10時間です。授業を全員で取り組むにあたっては、授業内容と評価をできるだけシンプルにすることで、生徒にも評価の基準が明確に伝わり、非常勤の先生も含め、授業者もストレスなく進められるものになっています。

1年生が全員取り組む「ペーパーブリッジ」は、美術や物理、キャリア教育にもつながる探究型・教科横断型の授業(提供:熊本県立第二高等学校)
外部との連携が授業開発やモチベーションアップにつながる
先導的改革期Ⅰ期目のもう一つの研究テーマは「高度な専門性と独創性・創造性に富んだ人材育成のための高大接続研究」です。本校には非常勤を含め90人ほどの教員がいますが、加えて大学や企業、民間団体といった多くの外部の方に関わっていただき、専門的な知識や実践を授業に取り入れています。
これには熊本サイエンスコンソーシアム(KSC)が大きな役割を果たしています。KSCは、熊本県内のスーパーサイエンスハイスクール指定校および理数科・理数系コースを有する高校8校で組織され、崇城大学ほか県内3大学との連携による高大接続研究などを行っています。事務局は本校です。
外部講師による授業は単発ではなく継続して実施していただき、本校の教員もそれを学び、自分たちでその授業ができるようになることで授業開発に結びついています。「ペーパーブリッジ」の授業も、KSCで連携している熊本県立宇土中学校・高等学校の中学校の実践を取り入れました。宇土中学校の紹介による外部講師に、一部のSTEAM-Dの授業で何回か実施していただき、そのノウハウを導入し、全学科での授業が実現しました。
高大接続・産官学連携が「自走化」に結びつく
また、講師の方に来ていただくだけではなく、生徒が大学の研究室など外部に足を運んで学ぶことも頻繁で、毎週誰かが大学に行っているほどです。大学で学べることは生徒のモチベーションにもなっているようです。
学びのために外部の協力は非常に重要ですが、一般的に課題となるのは報償費です。KSCでは、県内の大学と研究支援に関する連携協定を結んでいることから、高校と大学間のつながりが生まれるのはもちろん、大学の先生の報償費に関してはすべて無償にしていただいています。スーパーサイエンスハイスクール先導的改革期Ⅰ期目でめざす「自走化」とは、一つは生徒が自らの探究に主体的に取り組む学びの「自走」ですが、もう一つ大切な資金面での「自走」も、高大・産学連携によって実現しつつあります。
崇城大学によるオンライン指導(提供:熊本県立第二高等学校)

美術科の生徒による熊本県立美術館の「細川コレクション永青文庫」についての探究から発展し、KSCの研究支援を通じて大学と連携。県立美術館と、大学協力のもと、3DモデルをPC上でつくり、3Dプリンターを使った作品ができあがった。
各学科の特徴を相互に活かす「全校体制」をめざして
現在積極的に取り組んでいるのは「プロジェクト型」の探究的な学習で、学科や教科の枠を越えて、生徒の興味を深め、主体的に取り組むものです。
STEAM—Dの探究的な学習は、1クラスずつの理数科、美術科の取組が軸となっており、人数が最も多い普通科8クラスですべてを同様に取り組むのは難しい面もあるため、「プロジェクト型」の探究的な学習によってそれを補ってもいます。各プロジェクトは「学校行事」として申請され、事前学習や作業などを含め合計6時間程度のものが多くなっています。
学科・学年を問わず、希望者を募るかたちで生徒を集めます。1つのプロジェクトにつき20人程度が参加。年に5~6件実施しているので、のべ100~120人が参加していることになり、普通科の生徒もその2割にあたる50~60人が参加しています。プロジェクト自体の数も増えており、参加者は年々増え、同じ生徒ばかりに偏ってもいません。興味があるテーマであれば参加してみよう、という雰囲気に生徒全体が変化してきているのではないかと期待しています。

「多良木駅点字ブロック修復プロジェクト」で産学連携によって制作された「点字ブロックアート」(提供:熊本県立第二高等学校)

「石棺移設プロジェクト」(提供:熊本県立第二高等学校)
2024年度からの取組としては、2年生のテーマ研究で普通科と美術科のクラスを解体し、生徒自身が興味のあるテーマで再編成する「ゼミ」が挙げられます。今年度は「食品 科学ゼミ」「日本文学 人文社会ゼミ」「スポーツ データサイエンスゼミ」「デザイン UDゼミ」「言語 国際ゼミ」「防災 建築ゼミ」、自分のやりたいことがある生徒のための「企画 連携ゼミ」の計7つのゼミで展開中です。
また新たに、美術科の生徒が行った研究を理数科の生徒がさらに実験や考察で深める、といった取組を始めようとしています。美術科が学校内のベンチャーで、理数科が科学的な根拠を得るシンクタンク、普通科で検証・展開、スタートアップの役割を果たす、といったイメージで、各学科の特徴を相互に活かし、同じ時間で活動ができなくても、目的を共有することによりゴールで落ち合えたり、違う学科でもお互いに刺激を与え合い、さまざまな活動を通して思わぬ人材が誕生するというような取組を進めていきたいと思います。
異なる思考プロセスを重ね合わせることで新しいアイデアが生まれる。イノベーション人材の育成へ
直近の3年間では、美術科の生徒がSTEAM—Dの探究プログラムを経て建築や医療系の受験にチャレンジしたり、理数科の生徒が課題研究の成果を活用して美術系の大学に進学したりしています。これは今までになかったことで、理数と美術の視点を獲得した生徒が少しずつ育成しつつあり、「イノベーション人材の育成」ということを捕まえられてきているのではないかと考えています。
理数科だけ、美術科だけで進んでいくとどこかで行き詰まることが出てきます。そういう時に、異なる思考プロセスをもつもの同士の考えをぶつけることで、新しいイノベーションが起こり、アイデアが生まれる。そうした「総合知」と言えるものを、学校内の生徒の往来と各教科や先生同士のつながりで刺激を受け、培ってきました。それが現在の柔軟な取組に結びついていると思います。
今年度は先導的改革期Ⅰ期目の最終年度にあたります。今後はめまぐるしく変わる社会に対して学術領域を越えた未来社会を創造するイノベーション人材育成をめざし、先導的改革期Ⅱ期目の申請の準備を進めているところです。
※本記事の情報は取材時点(2024年12月)のものです。
熊本県立第二高等学校
1962年に熊本城内二の丸に開校し、1968年に現在の東町に移転。普通科8クラス、理数科1クラス、県内唯一の美術科1クラスがある。理数科は1969年、美術科は1970年にそれぞれ設置され、県下の高校における理数科教育および美術科教育を先導してきた。2003年に文部科学省のスーパーサイエンスハイスクールの指定を受け、現在は第Ⅴ期(先導的改革Ⅰ期2022~24年)。3学科すべてを融合し、科学的探究力の育成を通して、理系文系の枠を越えたイノベーション人材の育成をめざしている。