京都大学防災研究所は、地球規模あるいは地域特性の強い災害と防災に関わる多種多彩な課題に対して、災害学理の追求を目指した基礎的研究を展開するとともに、現実社会における問題解決を指向した実践的な研究を実施し、安全・安心な社会の構築、世界の安定や持続可能な発展に貢献する次世代の人材育成を目指した活動に取り組んでいます。
本企画展示では当研究所が日々取り組んでいる様々な研究分野について、そして、新たに提唱する「未災学」、気候変動適応研究、国際協働の取り組みについてご紹介します。
また、令和6年能登半島地震については当研究所に在籍しているさまざまな分野の専門家が調査・研究にあたっており、その成果の一部をご紹介します。
鳥取大学乾燥地研究センターは、乾燥地科学分野における共同利用・共同研究拠点として、国内外の研究者とともに乾燥地の諸問題の解決に向けての研究の推進や人材育成を行っています。しかし、研究のルーツは鳥取に広がる鳥取砂丘の研究にあります。鳥取の地で本格的な砂丘研究が開始されたのは、大正12年(1923年)です。鳥取大学農学部の前身である、鳥取高等農業学校に設けられた湖山砂丘試験地で始まった砂防造林の研究が最初で、昨年(2023年)で100年の節目を迎えました。当時の鳥取砂丘を取り巻く状況は、観光地として人々を引き付ける現在の姿とはかけ離れたもので、風が吹けば飛砂が発生する不毛の大地を緑の大地に変えたいというのが、地域の人々の強い願いでした。砂防造林の研究はその願いに応える一歩だったといえます。その後、農学部附属の砂丘利用研究施設も設置され、砂防造林の研究、灌漑研究、そして砂丘農業の研究と、砂丘研究が本格化します。その過程で、国産第1号の回転式散水器、スプリンクラーの開発も行われました。1970年代には砂丘研究の発展を背景に、研究の対象は海外の乾燥地へと向かいます。1990年には農学部附属砂丘利用研究施設は、乾燥地研究センターに改組され、全国共同利用施設となりました。本格的な乾燥地研究がスタートし、2015年には国際乾燥地研究教育機構が設置され、全学をあげての乾燥地研究、教育が体制化されています。
今日、世界中の乾燥地を取り巻く大きな課題として、砂漠化や脆弱な乾燥地農業があり、それに加えて、気候変動が人々の暮らしに深刻な影響を与えています。乾燥地の問題は対岸の火事ではありません。小麦に代表される乾燥地の作物が不作になれば、日本をはじめ世界中が大きな影響を受けますし、東アジアの砂漠化地域で生じる砂塵嵐は黄砂となって日本にも降り注ぎます。鳥取大学が進めてきた砂丘や乾燥地に関わる研究、教育の今日的意義は大変大きなものとなっています。
今回の企画展示では、砂丘研究から乾燥地研究への100年の道のりを、展示パネルや研究成果の実物展示を通じて紹介します。
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