プロジェクト概要
プロジェクトテーマ/ゴール
読書量が自然と向上する空間があり、豊かな読書体験によって"人を想い 我を磨く"を実現する
湯沢学園は全国に先駆けてできた、保・⼩・中の⼀貫教育システムを進めるコミュニティスクールである。プロジェクトは、コミュニティスクールという特⾊を⽣かした学校図書館をつくり、⼦どもも地域の⼤⼈も共に学び合える場所・仕組みをつくりたいという思いからスタートした。
検討段階では、現状の分析や図書館を活⽤した教育のあり⽅などに関するブレストや勉強会を実施し、地域住⺠と学校関係者の認識のすり合わせを⾏った。また、⼦どもたち・保護者に『夢⾒る学校図書館』アイデアを募集し、町外の図書館視察を⾏うなど、⼦どもたちの図書館像を共有しながらプロジェクトのゴールを策定し、以下の3つの活動を決定、実施した。
背景・課題
• 司書が不在で、学校図書館を利⽤する⼦どもたちが限定的。
• 学校図書館の年間貸出数は、⼩学校は全国平均の半分程度で、中学⽣は年間数冊。
• 中学⽣の教室から学校図書館まで物理的な距離がある。
活動事例
① どこでも本棚図書館に⼊らなくても読書ができる場所をつくり、空き時間に本と触れ合うきっかけを⽣みだすため、町内在住の住⺠から寄贈の本を受け⼊れ、多様なジャンルの本に偶然に出会える本棚を設置。中学⽣の廊下のオープンスペースを活⽤し、中学⽣向けの本を配置することで、中学⽣の⾃⽴的・⾃発的読書を促すよう空間を整備。
② いつでも⾃由研究⼦どもたちの興味・関⼼に基づいた学びを広げる仕掛けとして、イベントを開催してアウトプットを共有する場所をつくり、⼤型⿊板やテーブルなど家具を配置。
③ 図書館の整備・整美居⼼地よく読書ができる空間にするためユニット畳と本棚を設置し、教室以外の居場所や学習スペースとなるよう、レイアウトを変更。
結果、地域住⺠や教員等から約120冊の本が集められ、中学⽣廊下や図書館横のオープンスペースを活⽤した本棚の設置と空間の⼯夫で、⼦どもたちが⾃由に本を⼿に取り、発表できる仕組みがつくられた。また、学校図書館内の環境整備により、放課後の学習スペースや地域住⺠や保護者との談話スペースとして活⽤されるなど、図書館内外の環境が整備されたことによって、本を通した児童・⽣徒の交流や、地域住⺠・保護者・教員等による学び合いや交流が実現された。


事例ポイント1
「どこでも本箱」未利⽤なオープンスペースを活⽤し、地域から集めた寄贈本の本棚を設置
湯沢学園の学校図書館には司書が不在で、図書ボランティアが限定的に活動しているため、学校図書館以外の場所で本を貸し出すことは管理が複雑になるという問題があった。そこで、地域住⺠に⼩中学⽣に読んでもらいたい本の寄贈を、1⼈につき5冊を上限に募集し、寄贈された本は卒業⽣がデザインしたロゴマークをつけ、学校図書館の本と区別が着くように配置した。さらに、ブクログというアプリを使って寄贈本を登録し、誰でもリンクからバーチャル「どこでも本棚」の蔵書内容を⾒られるようにした。

その結果、中学⽣が廊下で⽴ち読みしたり、教室内に本を持ち込み読書をする姿が⾒られるようになった。貸し出し中の本がわかるようになっているため、よく読まれている本が何かを把握することができるようになった。また、学校の教職員が、⾃発的におすすめする本を持参し展⽰するなど、教員側の変化も⾒られた。
事例ポイント2
「いつでも⾃由研究」読書体験を共有する、協働的な学びを促すイベントの企画と空間の⼯夫
読書というインプットから、考えをまとめる「アウトプット」を⾏う体験をつくり、⼦どもたちの興味関⼼に基づいた学びを広げる仕掛けとして、地域の⼤⼈との交流や⼦ども同⼠の協働的な学びを実践するイベントを試験的に開催。読書したものを表現する場となる⼤型⿊板、本の展⽰や閲覧⽤丸テーブルを2つ、児童⽣徒がおすすめの本を展⽰・表現するための⼀箱本棚を造作し、設置した。


その結果、多くの⼩中学⽣が休み時間に⽴ちより、机や⼀箱本棚に展⽰されている本をその場で読んだり、借りたりする姿や、⼤型⿊板に書かれていることを⾒たり、⾃分で考えたことを表現したものを⾃発的に⿊板に貼って誰かに共有しようとする態度の変化が⾒られた。
事例ポイント3
「学校図書館内の環境整備・整美」リラックスできる読書空間で、使いたくなる学校図書館に整備
検討段階で、⼦どもたちに学校図書館のアイデア・デザインを募集したところ、リラックスして⼼地良く読書ができるデザインや、読書が楽しくなるような装飾、漫画コーナーの設置に関する要望が多くを占めた。そこで、学校図書館内における⼯夫として、⼩上がりのジョイント畳とリラックスコーナー⽤の本棚を設置した。

プロジェクトプロセス
検討段階
- 10⽉、11⽉ 実施内容
想いの共有と活動内容・場所の検討

以下の結果より、活動内容と場所の選定を⾏った。
• コアメンバーで現状分析や図書館を活⽤した教育のあり⽅などに関するブレスト&勉強会を実施
• 教育委員会・学校管理職・司書教諭と、現状認識合わせ&意⾒交換
• ⼦どもたちに“夢みる図書館”をアイデアシートに書いてもらう
• 町外の図書館へ⾏き、⼦どもたちの図書館像をアップデート
思考段階
- 12⽉ 実施内容
お⾦をかけず、ものを設置・移動し、⼦どもの反応を観察

• メンバー内で寄贈本を募り、おすすめポイントを添えたポップを作成し、設置
• ⼦どもたちが作成したおすすめ本紹介シートを添えた閲覧コーナーを設置
• 段ボールで掲⽰板や借りてきた畳マットを仮設して、⼦どもたちの反応を観察