造り付けの家具を活用し、自由な学びと遊びの場を実現する校舎                  【技術的課題解決事例】

南牧村立なんもく学園(群馬県南牧村)

課題

柔軟な学びの空間を作り出したい。また、ただのオープンスペースではなく、様々な機能を持つ空間が積極的に使われるような工夫を行いたい。

取組/解決策

校舎の中央 (ホームベー ス・メディアホール)に配置された造り付けの家具が様々な空間を作り出し、子供たちの学びと遊びのための居場所となっている。
 
義務教育学校 家具 内装木質化 メディアセンター

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概要

群馬県南牧村に所在する南牧村立なんもく学園は、村内の南牧小学校と南牧中学校が統合し、令和6年4月に、児童生徒数20名の義務教育学校として開校している。
小規模校の特徴を生かした、ワンルームを思わせる平面計画が特徴的であり、どこにいても子供たと教員が互いの温かみを感じながら生活することのできる空間となっている。
こうした校舎の中央(ホームベース・メディアホール)に配置されている、造り付けの家具が子供たちの学びと遊びのための居場所となっている。この家具には、荷物ロッカー・本棚・パソコンカウンター・ベンチ・読書スペース・遊具等の機能が集約され、子供たちは自身の活動の目的に合わせた場所で過ごすことができる。
加えて、南牧産の木材を用いて作られた内装・家具は、校舎を使用する子供と教員が木の温かみを感じることができるものとなっている。

ワンルームを思わせる校舎に多様な空間を作り出す家具

屋建の校舎の中央にホームベースとメディアホールが位置し、その周辺を囲むように教科教室等が配置されている。隣接して整備されたアリーナ、多目的ホール兼ランチルーム及びステージは、その用途に応じて間仕切りを無くし、一体的に使用することも可能となっている。また、昇降式のステージは、普段はフロアレベルに格納されており、限られた空間を有効に活用する工夫が施されている。

こうした空間に設けられた造り付け家具は、様々な子供たちの居場所となる。ホームベースに接する場所では荷物ロッカーやカウンターの機能を備えるとともに、家具によって生まれる区画を活かした本棚や展示スペース、活動の場を作り出している。​
また、開かれた共創スペースには「草原」、閉じられた読書スペースには「洞窟」など、各区画には空間のコンセプトを踏まえた名前が付けられ、子供たちは自身の活動の目的に合わせて場所を選択し、過ごすことができる。​
 
ホームベースに接する場所は
​ロッカーとしての機能を持っている。
木のフレームによっていくつも空間が構成され、
本棚や製作物を展示する場となっている​。
壁に囲まれ、落ち着いて読書等の活動を​行うことのできるスペースが整備されている。(洞窟)
家具で空間を区切る設けられた場所は​共創スペースとして活用されている。(草原)
造り付け家具は室内遊具としての機能も持つ​写真左部分は滑り台となっている。​
設計時に行ったワークショップで子供たちから​提案され、ボルダリングスペースが整備されている​。

学校概要

学校名
南牧村立なんもく学園
所在地
群馬県甘楽郡南牧村
全体工期
令和5年6月~6年3月
学校規模
9学級、19人(令和7年4月現在)
敷地面積
 11,689 ㎡
延床面積
   1,976 ㎡
構造
S造1階建
設計
株式会社石井設計

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