スピーカーの点検・調査を通して 改善する快適な音環境整備【技術的課題解決事例】

芦屋市立山手中学校(兵庫県芦屋市)

課題

体育館の音響設備からノイズが発生しているという声が学校教員から挙がっていた。

取組/解決策

体育館でのノイズについて、現地調査・音診断調査を行った。
その結果を受けて修繕工事等を実施し、快適な音環境を実現した。
 
音環境 体育館 中学校

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概要

芦屋市立山手中学校の体育館の音響設備は2020年に設置されたが、設置当初からスピーカーの定常的なノイズが学校教員より指摘されていた。
自治体から専門業者への相談をきっかけに、2023年11月に芦屋市立山手中学校体育館の現地調査及び音診断調査を実施したところ、ノイズの原因は信号経路(配線、接続・設定)の不整合によるものであることが判明した。併せて「可動式バスケットゴールを下ろすとスピーカーの真正面に位置し遮蔽が生じる」ことで音が聞こえにくくなる状況も確認された。さらに、体育館の前方の中央付近で聞こえ方が弱くなる「中抜け」が確認され、音の届き方に偏りが生じていることも明らかになった。加えて、メインスピーカーの金具取付状態の影響により、スピーカーの水平角度の調整が困難な状態であることも確認された。
授業や行事で体育館の音響設備を活用することは一般的である一方、ノイズや聞き取りにくさが見過ごされ常態化しやすい。本事例では、専門業者の現地調査・音診断調査により、音の状態を数値化・可視化することで原因を明確にした。
調査結果を踏まえ、芦屋市立山手中学校では2024年1月に修繕工事を実施。不具合箇所の修繕や音響機器の調整により不具合が改善され、体育館の快適な音環境を実現した。

事例のポイント

芦屋市立山手中学校では、体育館の音響設備において、2020年の設置当初より学校教員から「スピーカーからノイズが発生している」との声が挙がっており、学校から自治体に相談がなされた。これを受け、専門業者による現地調査・音診断調査が実施され、音の異常(ハウリング、ノイズなど)や周波数特性等を測定・判定したうえで、音の状態を数値化・可視化して課題を整理した。
結果として、山手中学校では「不快なノイズ」に加え「場所による聞こえ方」のばらつきが生じていたことが明らかになった。

測定の項目ごとにランク付けされた音診断調査の評価表
調査結果をもとに専門業者から提示された所見及び解決策

不具合の要因① 音響機器の信号経路不整合

音診断の結果、接続端子盤内の接続状態及び音響機器間の音量レベル設定に起因する信号経路の不整合が確認され、これが原因で定常的なノイズや音の歪みが発生していた。
接続端子盤内の結線・接続を是正して信号経路を再整合化するとともに音量レベルを再調整し、ノイズの改善と歪みの無い音声出力を実現した。
 
接続端子盤内の接続状況を確認。
端子盤内の結線・接続を是正した。

不具合の要因② バスケットゴールによる音の遮蔽

可動式バスケットゴールがメインスピーカー前方に位置することで音を遮蔽し、ステージ前の音が聞き取りづらく、場所によって聞こえ方に大きく差が生じている状況が確認された。
音声中心の授業・行事ではゴールを下ろさずに使用する運用を基本としたうえで、アリーナ両側面に当初から設置されていたサブスピーカーを活用し音量バランスを再調整することで、聞こえ方のばらつきの低減を図った。
 
サブスピーカーの音量を大きくしメインスピーカーの音量を補完
メインスピーカーとサブスピーカーの音量バランスを調整

不具合の要因③ メインスピーカーの設置位置による音のばらつき

メインスピーカーの音の届き方に偏りがあり、体育館の前方の中央付近で聞こえ方が弱くなる「中抜け」が確認された。中抜けの改善にはスピーカー角度調整が有効であるが、金具取付状態の影響により水平角度の調整が困難であったため、垂直方向の角度を3度下げる調整により前方エリアの聞こえ方を軽減した。
垂直角度を3度下げて前方エリアの聞こえ方を軽減
体育館全体
体育館全体2
信号不整合が見つかった音響設備
バスケットゴールにより音が遮られたスピーカー 垂直角度を下げて前方エリアの聞こえ方を改善した
当初から設置されていたサブスピーカー 音量バランスをとり音環境を改善した
現地調査・音診断調査の結果を踏まえ、芦屋市立山手中学校では2024年1月に修繕工事を実施した。気づきにくい音の不具合を数値化・可視化することで、原因を明確にするとともに、音響設備の調整や更新により不具合が改善され、体育館の快適な音環境を実現した。
さらに、学校現場からは「ノイズがなくなり、安心して授業が行える様になった」との声も寄せられている。

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