認証評価特別委員会(第1回) 議事録

1.日時

平成20年5月30日(金曜日)10時~12時30分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.議題

  • (1)認証評価特別委員会の運営
  • (2)認証評価制度等の状況
  • (3)認証評価機関による評価の実施状況
  • (4)その他

4.配付資料

資料1−1
  第4期中央教育審議会大学分科会について
資料1−2
  認証評価特別委員会の設置について
資料1−3
  中央教育審議会大学分科会認証評価特別委員会名簿
資料1−4
  認証評価特別委員会における委員の業務担当(案)
資料1−5
  評価機関の認証に係る審議の進め方等について
資料1−6
  大学分科会認証評価特別委員会の会議の公開に関する規則(案)
資料2
  認証評価制度等の状況
資料3−1
  大学評価・学位授与機構説明資料(PDF:272KB)
資料3−2
  日本高等教育評価機構説明資料
資料3−3
  大学基準協会説明資料
資料4−1
 大学基準協会における大学基準の新旧対照表
資料4−2
 短期大学評価基準新旧対照表

(机上資料)

  •  認証評価関係資料集

5.出席者

(臨時委員)

長田豊臣委員、森脇道子委員

(専門委員)

江川雅子委員、圓月勝博委員、川嶋太津夫委員、清水一彦委員、杉本和弘委員、丸山文裕委員、森利枝委員、山本眞一委員、和田義博委員

(文部科学省)

清水高等教育局長、磯田私学部長、久保高等教育局担当審議官、藤原高等教育企画課長、中岡大学振興課長、杉野私学行政課長、鈴木高等教育企画官、大西国立大学法人評価委員会室長他

(説明者)

独立行政法人大学評価・学位授与機構 荻上教授、山内教授、財団法人日本高等教育評価機構 佐藤理事長、原野専務理事、財団法人大学基準協会 鈴木大学評価委員会委員長、工藤部長

6.議事

  • (1)座長の選任について審議が行われ、座長に長田委員(学校法人立命館理事長)が選任され、座長代理に森脇委員(自由が丘産能短期大学長)が指名された。
  • (2)事務局より、議題(1)「認証評価特別委員会の運営」について、資料1−1から資料1−6に基づき説明があり、認証評価特別委員会における委員の業務担当、認証評価特別委員会の会議の公開に関する規則について審議が行われ、案のとおり決定された。
  • (3)事務局より、議題(2)「認証評価制度等の状況」について、資料2に基づき、自己点検・評価の実施状況、認証評価の実施状況、大学評価に関する各種提言等について説明があった。
  • (4)議題(3)「認証評価機関による評価の実施状況」について、資料3−1から資料3−3に基づき、認証評価機関から実施状況について説明があった。
    【大学評価・学位授与機構】
    •  当機構における認証評価は、非会員制であり、すべての大学を評価対象として、大学の活動の中で教育活動を中心とした評価を行っている。研究活動に関する評価は、認証評価とは別に大学の希望に応じて実施している。
    •  訪問調査は、平成18年度までは2泊3日の調査期間で、原則、学生が教育を受ける全てのキャンパスを訪問することとしていたが、平成19年度は、申請大学数と評価の作業体制を考慮し、1泊2日の調査期間に変更し、メイン及び近接するキャンパスのみを訪問した。
    •  大学は、認証評価による幾つかの効果を得ているとともに、自己評価力が向上してきていると認識している。教育に対する組織的な取り組みの必要性が認識されるようになってきている。次に、部局間や教員間の壁というようなものが非常に低くなってきている。また、学内の基本的情報の収集、整理、共有化が大幅に進んだと見ている。
    •  評価結果について、特に、指摘事項のフォローアップをシステマティックには行っていないが、多彩な形で、大学の評価後の状況を見る限りでは、多くの大学において評価結果等を活用して、自主的な改善が行われていると考える。
    •  大学の個性を損なわないよう、目的・目標に照らした評価に十分気をつけ、「木を見て森を見ない」評価をしないように心がけている。
    •  当機構の認証評価は、当機構が定めた大学評価基準に則して判断するが、当然ながら、大学設置基準を満たしていなければならない。大学設置基準は大学の最低基準と理解しているが、実際に大学設置基準の判断は、簡単ではないことを経験上痛感している。例えば、校地校舎面積、専任教員数など必要数が明記されているものはわかりやすいが、定性的なものなどについての判断が難しかった。
    •  機関別認証評価では、単科大学では分野別の詳しい評価になりがちであるが、総合大学では非常に広く浅い評価になりがちで、すべての分野には目が届かないこともある。
    2日本高等教育評価機構
    【日本高等教育評価機構】
    •  当機構は会員制であるため、会員大学と、非会員の大学とでは評価手数料に差がある。
    •  評価委員は、ボランティアでお願いしている。今後、何らかのステータスを差し上げなければならないという気がしている。
    •  訪問調査については、大学のキャンパスが分かれている場合は、評価委員全員が全キャンパスに行くわけではなく、メインキャンパスは全員で、それ以外のキャンパスは分担して調査を行っている。
    •  当機構の評価では、各大学が定めた到達目標の内容を確認しているが、評価委員の人数が多くないため、教育研究内容まで十分に検討するに至っていない。
    •  平成20年度は59の私立大学から評価の申請があったが、今後の申請に係るアンケート等の結果では、平成21年度には約80大学、平成22年度には160大学が申請することが想定され、実施に係る体制をどのようにするかが課題である。
    •  評価委員は現在約900人の登録がある。今年度は、そのうち280人にお願いし、、残りの約600人には毎年研修を実施し、レベルアップに努めている。
    •  フォローアップについて、各大学が評価結果を改善に活用するとともに、次の認証評価のクールへ繋ぐことも大切である。
    •  評価を受けた大学の意識の改革、自己評価報告書の質の向上は一体のものであり、文部科学省はじめ大学・団体等を通じて、評価の文化の普及・徹底をお願いしたい。当機構でもセミナー等を実施し普及に努めている。
    •  今後、分野別、専門別の評価を加えるなど、評価基準を改め、多種多様な評価をできる限り画一化しないように進めていきたい。
    •  4年制大学のうち4割が学生定員割れの状況である。定員割れは財政等に密接に絡むため、財務等の基準をどのように評価するかが課題である。
    3大学基準協会
    【大学基準協会】
    •  当協会が行う評価の特徴は4点ある。1点目は達成度評価と水準評価である。2点目は専門分野別の評価と全学事項の評価の総合的な評価である。3点目は大学の継続的改善を求める評価である。4点目は自己改善機能を重視した評価である。
    •  多くの大学で自己点検・評価が必ずしも改善に結びつくものとなっていないため、自己点検・評価の実質化を図る必要がある。自己点検・評価の目的は改善することであるが、認証評価を受審する法的義務を果たすことに置かれているきらいがある。
    •  評価者の知見・識見を高めるよう、評価者研修の充実が必要である。教育の評価では、評価者の主観に委ねざるを得ない部分も少なくなく、評価の質は、評価者の質にかかっていると言っても過言ではない。また、評価者としての経験が適切に評価され、評価者自身のキャリアアップに繋がるような仕組みを構築することも重要である。
    •  評価結果のあり方としては、社会に対する質の保証という観点から、評価結果が多様なステークホルダーに一義的に理解され得るものとなることを重視する必要がある。イギリスにおいては、評価結果のうち、サマリー、評価結果の概要は、大学入学志望の高校生等を意識してわかりやすく作成されているという。全体的に評価結果の読み手の立場をかなり意識しているように思われる。
    •  認証評価は、質保証の観点から、基準への適否を行う認定行為を制度上位置づけることが必要である。法科大学院評価は制度上適格認定を行うが、その他の評価は評価機関独自による評価基準への適合認定を行っているが、単に受ければよいという現状となっている。
    •  同様の学位を授与する専門職大学院と大学院修士課程とで認証評価の義務に差が生じている。例えば、ビジネススクールでは、専門職大学院と、修士課程の専攻が存在し、同様な人材養成の目的を掲げ、MBAの学位を出す大学院であるが、制度上の評価の義務の有無の違いが生じていることは、適切と言えるか。このことは、公共政策分野でも同じである。
    •  機関別と専門職大学院認証評価における評価内容の区別が曖昧である。これまでの中教審答申でも、専門分野別評価の積極的導入も示唆しているが、今後は、学位の質保証の観点から、教育内容・方法、教員組織、学生の学習成果等に焦点を合わせた専門分野別評価を実施していくことが必要と考える。その際、専門分野別評価の大学評価システムへの位置づけ等、現行の大学評価制度との関係性を明確にしていく必要があると考える。あわせて、評価機関の負担軽減という観点も重要である。
    •  認証評価における学習成果の評価に課題がある。現在、ラーニング・アウトカムズと言われる学習評価を重視する傾向が世界的に強まっており、アメリカのスペリングレポートでは、アクレディテーション団体に対して、ラーニング・アウトカムの評価を行うことを要求している。全米において、アセスメントテスト等が普及しつつあるが、先般公表された「学士課程教育の構築についての審議のまとめ」においても、学習成果が強調されている。まずは、大学自身が学習成果の判断の検証に取り組むことが第一であり、認証評価等の第三者評価においては、各大学による学習成果の検証システムの有効性、適切性を評価し、教育の改善にフィードバックされているかということを評価していくことが役割であると考える。
    •  認証評価の基礎となる自己点検・評価に対する財政的支援の一層の充実が必要である。大学は、質の保証を図る上で、自己改革力を一層強化し、PDCAサイクルが有効に機能する体制を作らなければならない。これらの改革を行うための財政支援は極めて重要である。
    •  認証評価の実効性を高めるため、広く社会にその趣旨を浸透させていくことが必要である。大学選択のための受験生の指標、大学卒業生を雇用するための雇用側の指標として、認証評価が機能していくことが期待される。その前提として、評価機関による評価の質の確保が重要である。
  • (5)議題(2)「認証評価制度等の状況」、並びに、議題(3)「認証評価機関による評価の実施状況」について、質疑応答が行われた。

    【委員】

     認証評価による質の保証は、その時点の質を保証するということか、それとも、次の周期までの7年間の質を保証するということか。

    【大学評価・学位授与機構】

     基本的には評価時点の状況の評価である。

    【日本高等教育評価機構】

     評価時点の状況の評価であるが、評価後毎年、各種データを要求し、7年間の質を保証している。

    【大学基準協会】

     7年間の質の保証をする。7年間の中間地点で、中間段階における努力状況を見る。

    【委員】

     評価は、ピアを養成することが重要とのことだが、評価チームの構成として、団体関係者と外部者の編成はどのようになっていて、今後どのような形が望ましいか。

    【大学評価・学位授与機構】

     会員制ではないので、基本的には学協会等からの推薦、学長経験者などにより選考している。

    【大学基準協会】

     教育研究の専門性の評価部分については、専門的な知見、識見に委ねざるを得ないため、大学関係者中心である。全体の評価結果の取りまとめ部分については、大学関係者のほか外部有識者も参画している。

    【日本高等教育評価機構】

     大学関係者中心である。理事長、学長のほか、専門分野の教員、事務職員等から選考している。ただし、判定評価を行う委員会には、大学関係者のほか社会の多方面で活躍する学識経験者も参画している。

    【委員】

     評価結果の公表の前に、大学には意見の申立ての機会があるが、実際に申立てがあったのか。その場合、最終的にお互いどのように納得したのか。

    【日本高等教育評価機構】

     意見申立ての実績がある。大学へは、評価結果の確定までに2度にわたり照会しているとともに、大学関係者、弁護士等で構成する意見申立ての委員会を組織し、大学との話し合いを行っている。

    【大学評価・学位授与機構】

     意見申立ての実績がある。評価途中段階で現時点の評価内容を大学に示し、更に最終的な評価結果案に対して、文書で意見を申し立てることができるよう設定している。基準を満たしてない判定にかかる意見申立てについては、予め設定している意見申立てのための委員会で審査する。

    【大学基準協会】

     意見申立ての実績がある。評価途中段階で現時点の評価内容を大学に示し、更に最終的な評価結果案に対して、文書で意見を申し立てることができるよう設定している。

    【委員】

     教育目標の実現、教育成果の証明に関しての評価を行っているか。

    【大学基準協会】

     15の点検・評価項目各々について、達成しているかどうかを評価している。

    【委員】

     認証評価を受けた大学は、この4カ年度で全体の36パーセントですから、あと3カ年度で残りの6割ぐらいを評価しなければならない。このように評価を受ける大学数が多くなった場合の体制は大丈夫か。また、大丈夫なように実施すれば、評価の質に影響はないか、あるいは、その他の点で無理が生じることがないか。

    【大学基準協会】

     評価者は、会員校から候補者を推薦してもらうが、現在、2,000人近く確保しており、体制としては特に問題はないと思う。しかし、事務組織による対応が十分といえない。これらを勘案し、年間70大学から80大学の評価を行うことは可能と思う。

    【日本高等教育評価機構】

     同じく、評価委員は大丈夫だと思うが、問題は、支援する事務職員の確保である。

    【大学評価・学位授与機構】

     評価をフォローする専任教員1人で20大学程度を担当することが可能だが、当該専任教員の質の確保、人材を養成する必要があると思う。

    【委員】

     各機関のこれまでの経験からみて、自己点検評価には、レベルに相当なばらつきがあるか。

    【大学評価・学位授与機構】

     各大学の自己評価力は年々向上していると思うが、大学により自己評価力の差が大きいことも事実である。

    【日本高等教育評価機構】

     評価を受ける大学に対し、自己点検評価の実施方法等をかなり徹底させているが、ばらつきはある。

    【大学基準協会】

     ばらつきはある。大学は、義務的に自己点検評価を行い、とにかくこれをクリアすれば良いというようなところがある。また、一部の大学では、到達目標を適切に立てていない、期待する成果を適切に見極められていない、長所、問題点を認識できていない、、問題点に対する解決策や改善方策を具体的に示すことができていないといった状況が見受けられ、自己点検・評価そのものが組織的に機能していない。

  • (6)議題(4)その他について、事務局から「認証評価機関からの変更届出」の報告について、資料4−1、4−2に基づき説明があった。

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課国立大学法人評価委員会室

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(高等教育局高等教育企画課国立大学法人評価委員会室)