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資料3−3

大学基準協会の大学評価概要と認証評価制度の課題−大学基準協会の4年間の認証評価経験から−

(2008年5月30日 財団法人大学基準協会)

1.大学基準協会の概要

(1)組織の概要

  • 大学基準協会は、アメリカのアクレディテーション団体をモデルに、1947年(昭和22年)、当時の国・公・私立大学46校を発起校として設立された、自立的な大学団体である。発足にあたり本協会は、「会員の自主的努力と相互的援助によってわが国における大学の質的向上をはかる」ことを設立目的に掲げ、1951年(昭和26年)からは本協会への加盟を希望する大学に対し正会員としての適格性を判定するための「適格判定制度」を実施してきた。その後1996年(平成8年)からは、各大学が実施する自己点検・評価を基礎とする大学評価を実施している。現在、正会員大学は321大学、賛助会員は226大学となっている。
  • また、協会は2004年度に機関別認証評価機関としての認証を受け、その後2006年度には短期大学と法科大学院について、2008年4月には経営系専門職大学院について認証評価機関として認証を受けており、現在、4つの認証評価事業を進めている。

(2)大学評価の特徴

1達成度評価と水準評価

  • ■大学の理念・目的・教育目標の達成度の評価と高等教育機関に求められる水準の評価の2つの側面から実施。

2専門分野別の評価と全学事項の評価の総合的評価

  • ■学部、研究科の教育課程、教員組織等の専門的観点から評価する専門分科会と、教育研究組織、図書館、管理運営、事務組織等を全学的観点から評価する全学分科会、さらに当該大学の財務を評価する財務評価分科会をそれぞれ設置し、きめ細かい評価を実施(例、平成19年度は、54大学の評価において、約170分科会を設置、約650名を評価者として委嘱)。

3大学の継続的改善を求める評価

  • ■評価結果提示から3年後に評価結果の改善状況をさらに評価(改善報告書の検討)、その評価結果において再度問題点の指摘がなされれば、次の認証評価時に検証。

4自己改善機能を重視した評価

  • ■本協会の求める大学の自己点検・評価では、教育内容・方法、教員組織、学生の受け入れ、研究活動など大学のあらゆる側面について、現状を把握し、それを分析・評価して、問題点についての改善策まで導き出すことを要請。
  • ■こうした自己点検・評価方式を通じて、大学の教育研究水準の向上を促進させる評価、すなわち自己改善機能を重視した評価を実施。

2.大学基準協会のこれまでの評価実績

 本協会は、4回の認証評価結果を公表してきた。これまでの大学評価及び認証評価実績を示すと以下の通りである。(なお、1996年から2006年度までは正会員になるための加盟判定審査と正会員に対して行われる相互評価の2つのシステムを設けて大学評価を実施していたが、下表はその区別をせず両システムの合計を設置形態別に示したものである。)

表1 認証評価以前の本協会の大学評価実績

  1996年度 1997年度 1998年度 1999年度 2000年度 2001年度 2002年度 2003年度
国立 2 3 3 3 6 4 1 0 22
公立 1 2 3 2 5 4 1 6 24
私立 37 19 23 14 22 29 29 36 209
40 24 29 19 33 37 31 42 255

表2 過去4年間の本協会の認証評価実績

  2004年度 2005年度 2006年度 2007年度
国立 0 1 0 0 1
公立 6 5 3 5 19
私立 28かっこ(1) 19 44 49 140
34かっこ(1) 25 47 54 160かっこ(1)

(2004年度の私立と計で「かっこ(1)」とあるのは、認証評価ではなく相互評価を受けた大学数を外数で示したものである)

 認証評価以降、「保留」(大学基準の適合に関してその判断を保留)とした大学は、2004年度2大学、2006年度1大学、2007年度4大学である。
 「保留」の理由は、1学生の受け入れと財務状況の改善(2004、2006、2007年度)、教育内容・方法、学生生活、管理運営及び自己点検・評価の改善(2004年度)、教員組織の改善(2007年度)、教育内容・方法の改善(2007年度)に関して問題があったことによる。
 2008年度は、大学評価(認証評価)44大学、短期大学認証評価5大学、法科大学院認証評価14法科大学院、経営系専門職大学院認証評価10研究科10専攻から申請がなされ、現在、評価を実施しているところである。

3.これまでの認証評価を踏まえた作業上の問題点や課題等

  • (1)自己点検・評価の実質化の必要性
  • (2)評価者研修の充実の必要性
  • (3)評価結果のあり方とその公表方法

4.認証評価制度の問題点・課題

  • (1)質保証の観点の欠落
  • (2)専門職大学院認証評価の問題
  • (3)機関別認証評価と専門職大学院認証評価における教育課程・教員組織などに対する評価の区別の曖昧性
  • (4)認証評価における「学習成果」の評価の問題
  • (5)認証評価の基礎となる自己点検・評価に対する財政的支援の更なる充実の必要性
  • (6)認証評価制度の周知の必要性