教員養成部会 教員免許制度ワーキンググループ(第5回) 配付資料

1.日時

平成17年5月12日(木曜日) 14時~16時30分

2.場所

如水会館 2階 「オリオンルーム」

3.議題

  1. 教員免許制度の改革、とりわけ教員免許更新制の導入について

4.配付資料

5.出席者

委員

 野村主査、門川委員、甲田委員、佐々木委員、渡久山委員、藤崎委員、八尾坂委員、山極委員

文部科学省

 板東審議官、戸渡教職員課長、杉野専門教育課長、勝野視学官 他

6.議事

(1)教員免許制度の改革、とりわけ教員免許更新制の導入について

 事務局から配付資料の説明の後、資料3の論点ごとに自由討議が行われた。主な発言は以下のとおり(○:委員、●:事務局)

委員
 資料3の1の1.で、教員による不祥事や指導力不足教員の記述があるが、その前に、児童生徒理解の不足や教職に対する熱意の低下等の記述があった方が良い。

委員
 大多数の教員は真面目だが、一部に問題教員がいるため、更新制を導入すると安易に結び付けられる虞れがある。これからの時代は、単に頑張っているというだけでは十分でなく、結果を出さなければならない。これが教員評価であり、学校評価である。

委員
 指導力不足教員の問題は、ある程度学校内で解決できるものから、分限処分の対象になるものまである。指導力不足教員の増加を先に記述し、その後に一部教員による不祥事に触れた方が良い。

委員
 兵庫県の校長のエッセイで、「苦闘している教師に吹く世間の風は、非常に強く冷たい。社会も生徒の指導に疲れている教師に、時には激励やねぎらいの言葉をかけてやって欲しい。」というものがある。教員に対する社会的な風当たりが強く、激励よりもバッシングの立場に置かれている。これでは教員としての誇りや喜びを感じられない。現場の教員を励ます記述も必要である。

委員
 子どもの教育は、親と教員、地域社会の三者の信頼と協力なくしては成り立たず、そのためにも教員が頑張らなければならないが、教員のみが批判にさらされている。必要な条件整備の部分に、学校運営体制の見直しや、保護者や地域の学校への理解と協力の確立も含めて、社会全体が学校を支え、教員を励まし、高め合えるような環境をつくらなければならないことを盛り込むべきである。

委員
 教員には、教材解釈力が重要であり、生涯をかけて身に付ける必要がある。多面的・多角的な教材解釈力を身に付けて、初めて子どもが見える部分がある。また、教材研究と同時に子ども研究が絶えず必要となる。子どもの新たな面の発見があり、教材についての解釈や発見がなければ、教員としての職務は全うできない。資質向上のための研修を怠れば、間違った教育をしかねないということを記述する必要がある。また、社会状況が複雑化しているため、教員が十分な時間を持てない現状についての記述も必要である。

委員
 教員の現状において、教科指導、生活指導、進路指導等が増え、多忙感がある。人事考課制度等もあり、事務量が増えている。この結果、教員同士の教え合いや励まし合いが少なくなってきている。職場の中で、後輩が先輩から教わることは大きかったが、その時間が持てず、自分のことだけで手一杯になっている。

委員
 子どもを前にした校内研修が基本であるということが、これまでの議論でも言われている。校内研修の中で、提案授業などをし、力量を高めていかなければならない。

委員
 免許状授与の仕組みの見直しについて、案2とする場合、教職課程修了者に仮免許状が授与され、一定の勤務実績の評価に基づき正規の免許状が授与され、その後に、更新制により免許状の更新の可否を検討するという流れになる。大学において適格性を身に付けさせることは困難であることを理由としているが、そのように言い切って良いのか、慎重な議論が必要である。また、この前提に立つ場合、二種、一種、専修免許状、さらに、専門職大学院における特別な免許状の全てに共通して当てはまることとなる。仮免許状を設けるのではなく、教職課程修了者には正規の免許状を授与し、その免許状について、一定期間経過後に更新の可否を判断するというように、現行制度を前提に考えた方が良い。

委員
 案2の文言から見ると、新たな免許状は一定の有効期限があり更新不可で、その後に正規の免許状が授与されるとあるが、正規の免許状も有効期限付であるため、何が違うのかわからない。正規の免許状の概念がどうなるのかによるが、更新制を導入するのであれば、最初から有効期限付の正規の免許状とする方が良いのではないか。

委員
 これまで、教職課程修了者に対しては仮免許状を授与し、採用試験に合格した者に対して初任者研修を課し、修了者について適格性を判断し、正式の免許状を授与するという仕組みが必要ではないかという意見が出ていた。また、ペーパーティーチャーの保護者が、教員を批判するという現実があり、このため、教員としての力量が十分あるという公証性が必要なのではないかという意見が出された。子どもや保護者、地域の人から尊敬され、信頼されるシステムをつくる場合、どのような形で実現すれば良いのか、議論しなくてはならない。

委員
 更新制については、現行制度を前提に検討しなければ混乱する。養成期間については、修士まで伸ばすのか、あるいは教員養成所をつくって一定の実習を含めたカリキュラムを履修させるのかという形はあるが、これらは多くの国で取り組んでいる。4年の教職課程を修了して、現場に立つというのは少なくなってきている。大学では開放制を前提に教員養成を行なっているため、教職課程を修了すれば、無条件に免許状が授与されるが、直ちに教壇に立たせるかどうかは別の問題である。

委員
 教員採用は、定年退職者数や生徒数に左右され、急増と急減が繰り返される。また、景気が回復すると、民間企業に人材が流れて、受験者を探さなければならないが、採用が厳しい時には、臨時講師にすら採用されない現実がある。今後、採用の急増期が来るが、民間企業の景気が悪ければ、優秀で、多様な人材が入ってくる。また、その逆もある。そのような時、医師のように全員が2年間研修を受ける場が保障されるのであれば良いが、教員は需給関係で保障できないため、仮免許状から本免許状という方式は、教員を志す者を狭めてしまう虞れがある。一方で、教職課程で、どれだけ適格性を確認できるのかだが、それが可能であれば、案2のように複雑な制度にする必要はない。教育が困難で、教員に多くの負担が求められ、給与や処遇が大きく改善されることが期待できない現状で、入り口を狭めることに危惧を感じる。

委員
 新たな免許状を初任者研修とリンクさせるのは、現実的ではない。一つには、私立学校があること、二つ目には、仮に新たな免許状の有効期間が3年間だとすると、3年以上かかって教員になった者は免許が失効してしまい、初任者研修につなげられないためである。一定の有効期限によって、新たな免許状の可能性が狭められるのではないか。

委員
 日本の大学は、各大学が目指す教員像について、明確に答えることができない学長や学部長が多い。教職課程できちんとした教員養成を行い、最小限必要な資質能力を育成する努力をしなければならないが、中学校の教育実習を4週間にした平成10年の改正の際にも抵抗があった。外国のように、長期間、教育実習を行いたいという意見は多いが、実際は難しい。教員養成をきちんと行うとすれば、学部と修士課程の6年間で、教育実習も1年間取り入れるような抜本的な改革をしなければならない。現行の制度について、事後チェックを行うなど、各大学が責任を持って教員養成を行う努力はしなければならないが、今秋までに答申をまとめるというスケジュールを考えると難しい。

事務局
 教員免許状の授与の仕組みの見直しについて、案2を中心に考えた方が良いという意見が多かったため、このような整理とした。平成14年の答申では、更新制を導入できない理由として、免許状授与の際に、適格性を全体として判断していないことから、更新時に適格性を判断する仕組みは制度上取り得ないとされている。このため、教員としての適格性を全体として判断した上で、免許状を授与する仕組みに改めることも含めて検討すれば、この問題点は解消できるのではないかとしている。案2は、自動車の仮免許のように、実地訓練を積んでから本免許として一人立ちするというものではなく、教職課程の修了時点で、適格性も含めた資質能力は身に付いているはずだとして免許を授与するものの、適格性について、十分判定していないため、一定の勤務実績を踏まえた上で、その点を確認し、本免許を授与するというイメージである。

委員
 仮免許状で教壇に立つ多くの教員は、ほとんど本免許状が授与されることになると思われるが、そうなると、仮免許制度を設ける実質的意味がなくなる。大学において教員を養成するということは、大学において教壇に立てる資格を持つ人材を育てるということであり、それにより免許状が授与されるというのが、大学における養成の本来の在り方である。本来の制度に立ち戻って、制度を運用していくことを考えるべきである。当初から正規の免許状を授与し、その免許状に有効期限を付し、更新制を機能させれば良い。

委員
 大学の教職課程のどこで適格性を養成・確認するのか、わからない。例えば、教育実習の評価で見るという可能性はあるが、母校実習であれば必ず単位が取得できることを考えると、適格性が判断されているとは思えない。更新制を前提に免許制度を検討するとなると、養成段階から抜本的な検討が必要である。そこまで検討するのではなく、現行の免許制度のもとで、適格性や専門性が一定程度あって、免許状が授与されていることを前提として、いかなる更新制を設計するかを考えていかなければ難しい。

委員
 適格性の判断については、例えば、1年間では適格性が見えにくいという意見や、小学校の場合は、3年くらいは必要という意見がある。現行制度のもとで、教職課程修了者に免許状を授与し、採用試験で教員に採用し、初任者研修を経て、仮免許から本免許という形ではない更新制であれば良いのか。

委員
 当初の免許状に、有効期限を付すことについて異論はない。免許状は、教員として最小限求められる資質能力を保証するものであり、更新にあたっても、例えば5年後、10年後といった時点で教員に要求される資質能力というものはあるのだろう。それは、研修等を通じて、進化していくものであろうが、その時点で要求される最低限の資質能力というのはあるのであろう。最低限の資質能力が、きちんと備わっているのであれば、更新が認められるべきではないか。その意味で、多くの教員は、結果として免許状が更新されるような形で、運用されるべきなのではないか。

委員
 初任者研修については、1年間で、教員の資質能力は把握できるはずである。しかし、その後の専門性・適格性の判断が期待されることから、更新制が必要であるという発想は理解できる。仮に、免許状の有効期限が5年であれば、その区切りに一定の判断をし、採用や初任者研修とは切り離して考えて良いのではないか。

委員
 新たな免許状でなくても良いのではないか。多くの免許状取得者がいることは良いことであるが、その流れで言うと、案1のハードルを高くした方が良い。入口の所は、現行制度で良い。新たな免許状を創設すると、その後の正規の免許状の授与段階で適格性に問題のある者はふるいにかけられるだろうとの観測を抱かせることとなる。案1の「特段の問題がなければ」の部分については、教員として身に付けなければならない伸びの部分を、更新の要件ではなくても、判断材料の一つとすることは必要なのではないか。

委員
 案2は、基準に達しなければ、免許状が更新されないような記述となっているが、更新毎に一定の具体的基準を設け、その基準に達していれば更新されるという、肯定的な記述にすれば良い。具体的基準は、国が細かく定めるのではなく、教育委員会で、それぞれの実態に応じて弾力的に定めれば良い。基本的には、更新することを前提にすべきである。

委員
 案2の形が良いが、更新されることを前提とすべきである。ただし、現職教員については、すでに現行法で免許を授与され、当時は更新制がなかったのだから、現職教員に適用することを前提にして欲しくない。また、具体的基準に絡めて、上進制や処遇についても検討すべきである。教員は現場で育つという前提で、同僚性や現場の評価、管理職の評価、子どもの評価を入れて、上進制や処遇に結び付けることを検討すべき。

委員
 10年経験者研修の修了者に対して免許法上の優遇も処遇もないが、修了した者とそうでない者との違いをどのような形で見るのか。現場の経験があれば、修得必要単位数が軽減されるということは、経験年数が単位数に換算されるということである。そうであれば、10年経験者研修を修了すれば、それについても単位があっても良い。大学で修得する単位があっても良いし、現職研修等で見合うものがあれば、それによっても上進できるとすれば良いのではないか。

委員
 上進制は上級免許状を取得するための制度であるから、一定の単位を修得しなければならず、経験年数だけで取得できるわけではない。仮に、更新制が機械的に行われるのではないとすれば、上進制と同じように、一定の履修を義務付け、あるいは努力義務の形で行うのが通常ではないか。大枠は国が定めて、各教育委員会が、一定の履修要件を定める。例えば、各教育委員会の判断で、センター等での研修や自己啓発に基づく研修が認められても良い。当然、10年経験者研修を更新制に絡めることもできる。

委員
 例えば、一種免許状から専修免許状を取得する場合、最低在職年数3年で、最低修得単位が15単位となっているが、これは大学院に通わなくても、公開講座でも良い。そのような取組みをする大学院が増え、現職教員が単位修得できる講座を積極的に広げてもらいたい。また、10年経験者研修の特色は、評価が伴っていることであるため、更新制と他の制度との関係における案3に関わるが、それをうまく絡み合わせて、更新制におけるステップアップにつなげて欲しい。

事務局
 更新制の基本的な在り方の案1は、教員としての適格性を欠いている者について更新されないことをベースに考える案である。案2は、次の更新までにレベルアップしていなければ、教員として続けていくことはできないことをベースに考える案である。案2は、一定期間に一定レベルまで達していなければ、その時点で免許を失うことになるので、非常に厳しい基準になる。案1も、特段の問題がなければ良いということではなく、一定のベースを失った時に免許を失うこととなるが、更新制をそれだけで考えるのではなく、上進制や他の研修の努力義務を課すなど、資質向上に向けてのインセンティヴが働くような形をつくるというものである。

委員
 案1は、常に学び続け、時代の変化や要請に対応していこうという趣旨になっていないが、一方で、案2のように、細かく基準をつくると、現場の実態に合わなくなる。例えば、5年や10年の間に、全ての教員が、LD/ADHD等を学んだり、カウンセリングマインドを培うなどの研修が求められる。これをきちんとしていれば、教員評価システムも全国で導入されており、心配する必要はない。更新制は、その意図するところは、教員に対する信頼を高めるものにしたら良い。また、非常勤講師等としての勤務実績も換算されるようにすることが適当との記述があるのは良い。需給関係の中で採用は行われるため、どんな素晴らしい者でも教壇には立つのが難しい現実がある。教壇に立たなければ、免許が失効するのではなく、ボランティアや大学での講習の受講など、常に資質を磨いている場合には更新されるという形にして欲しい。

委員
 更新制の基本的な在り方の案1はやや甘く、案2はそのとおり厳しくできるのかという疑問が残る。案1の「特段の問題がなければ」の部分について、更新制を導入するのであれば、一定基準は必要となるので、案2のような厳しい基準ではなく、一定の基準を満たしていれば免許状が更新されるという形が良い。案2の場合、基準が細かくなり、高度になるので、誰が基準を定めるのかという疑問もある。

委員
 更新の基準は、何回更新するかにもよるが、職能や実態に応じて、教育委員会で検討すれば良い。教育委員会は、職能に応じた研修もしているので、可能なのではないか。日本は、大学院での公開講座が少ない。希望する教員が夏期休業等を利用して研修を積めるように、大学に働きかけていく必要がある。

委員
 更新時の対象者は、ある程度多数となるので、そのための条件整備をどうするのか課題がある。条件整備がされていないために、更新できなかったというのは問題である。また、更新の際、基準に満たなければすぐに失効するのではなく、一度失敗しても、チャレンジできる形にすることも大事である。

委員
 現職教員に更新制を適用させるには、様々な課題がある。しかし、現職教員に一切適用しないというのも、更新制に対する期待を考えた時に、失望感を与えてしまうため、努力規定のように緩やかな形で、現職教員が自己研鑽していくという方向に誘導できないか。

委員
 更新制が現職研修と何らかの形でリンクするのはありえるが、現職研修や更新制の運用上の内容は、各教育委員会が判断していくことになるのではないか。10年経験者研修を修了して、一定基準に満たない教員がいるとも思えない。初任者研修では、研修を受講していない者や、一定基準に満たない者がいるため、そのあたりの実態を確認したい。

委員
 更新回数毎に教員の資質に差がある場合、教育委員会にとって、人事配置を考える上で、大きな問題となりうる。資質の高い教員が集まる学校と、そうでない学校をつくることは問題であるとの批判も出てくるため、案2は問題である。子どもについての研究が進んでおり、研修を受けなければ、知識の老朽化・陳腐化が起こってくる。単に研修を受ければ良いのではなく、その後きちんと評価もしなければいけない。校内研修について、子どもや同僚から学ぶということは重要である。更新制について、大学院での学習や教育雑誌への投稿、研究会での発表等が点数化される形とし、それらの取組みの中身を判断した結果、「特段の問題」がないとすることが考えられる。

委員
 私立については、行政研修を義務付けておらず、更新制を直接リンクさせることには無理がある。10年経験者研修等が狙いとしている水準はあるのであろう。それを抽象化し、一定の基準として表現するかどうかは別として、一定のものを求めていく形にしなければ、免許制度としては具合が悪い。10年経験者研修とつなげて考えていけるかどうかについては、検討が必要である。更新制と上進制の関係で、一定の講習修了をもって、更新制における単位認定として扱うことは考えられるが、逆に、上進制における大学の単位認定を、更新制における講習修了と同様に看做していくかどうかは、相互の関係で、検討しなければならない。上進制の場合は、大学における養成の原則に立っているため、大学での単位修得あるいは認定講習という形で、大学を関与させているが、今回の更新制について、同様に大学を関与させるか、単に行政の判断だけで良いとするのかについては、議論した方が良い。

委員
 ここ数年間、公立では若い教員が少なかったが、私学では若い教員がいると聞く。私学の場合、条件附で採用して、問題がないと判断して、正規採用しているところもある。県によっては、私学の教員に研修を勧めているところもあり、実際に私学の教員も来ていると聞く。更新制については、当然私学の教員も対象となるので、そのような環境があれば、研修の努力ができるのではないか。現状では、校長や教育委員会に黙って大学院等に通っている教員もおり、今後は、大学での研修が勧められるような研修の在り方が必要である。

委員
 大学院で学んでいる教員の意見を聞くと、これまで実践してきた教育に深い教育的意味があったことを知ったり、教育内容について整理できたなど、大学院で学ぶ重要性について述べていた。大学院で学んでも、効果がないという意見がある一方で、そういう効果も実際にあり、今後は、専門職大学院とは別に、大学院問題についても議論しなければならない。

委員
 教員の中には、現場で地味に自己研鑽している者がいるが、これが評価されずに、外部の研修のみで評価されるのは問題であり、自己申告等の手段で救わなければいけない。大学院については、教職に就きながら通える教員は限られるため、公開講座や通信制の大学院をつくり、遠隔教育で履修できるような取組みを進め、教員が教職に差し支えのない形で単位修得ができる環境をつくることも必要である。

委員
 現職教員への更新制の適用については、今後検討しなければならないが、若い教員が研修や研究発表、提案授業等を行なって、免許状を更新していく姿を見れば、現職教員も何もせずにはいられなくなる。若い教員が力を付けて、社会的に評価され、尊敬されることになれば、現職教員はそれ以上の学びをしていくのではないか。

委員
 免許制度を含めて、日本の教員養成の在り方を変えなければならない。4年制大学を卒業して、現場に配属されてから初任者研修を受けることが良いのかどうかを含めて検討しなければならない。養成段階が、今の教育現場の状況に対応した養成をしているのか問題である。研修も、行政研修が必ずしも成功しているとは言えないと同時に、現場の負担が大きい。現場の教員は教職に従事しながら、研修指導も行なっており、研修の条件整備や財政支出をきちんとしなければならない。10年経験者研修の趣旨は良いが、どういう内容で、どういう教員が、どれくらい受けているのか。文部科学省の10年経験者研修の予算は非常に少なく、各県任せになっているため、良い教員を育成できない。

委員
 医師の世界で、医学的な症例について研究発表を行い、学び合いをするように、教員も、教育実践学会のような、学校現場や教育実践に関わる研究発表の場に、大学教員も加わりながら学び合いをすることがあっても良い。このような取組みが各県で行われれば、それを評価に生かすこともでき、研修も受身から主体的なものに変わっていくのではないか。

委員
 ある大学では、土曜日に公開シンポジウムを行い、学生、市民や現職教員が一緒に参加している。教育委員会の指導主事を教授として3年間迎え入れている大学もある。現職研修に学生枠をつくったり、大学の研究事業に現職教員を参加させるなど、相互交流を行なっている教育委員会もある。教員養成について、大学と教育委員会が共同して取り組むとともに、大学教員にも学校現場に入ってもらい、そのことにより、大学も変わっていくという双方向の関係が重要である。

委員
 教員がそのように学び、教員を目指す学生が努力している姿を見ることができれば、社会的に尊敬され、信頼されるようになるのではないか。

委員
 今後、大学は、現職教育にも関わっていくべきである。大学が現職教育に関わると、大学は現場のことを知ることができる。教職課程についても、教育委員会の意見を聞きながらつくるというような相互協力の実績をつくっていかなければ、改革を謳ってもうまくいかない。このような良い取組みを、教員の資質向上連絡協議会等の場で全国に広めていくべきではないか。

委員
 米国では、大学でも研修を行なっているが、更新制や上進制とリンクしたものが多く、大学主導だけでなく、他の機関によるものや自発的なものもある。

委員
 本当に学びたい意欲のある教員の自主的な取組みが、正当に評価される必要がある。これをいかに更新制に結び付けていくかを議論しなければならない。

委員
 自分の利益になる研修には、自己負担でも参加している教員がいるが、それが評価されていない。これについては、研修制度の中にきちんと位置付けることができるようにすべきである。また、学校現場にはゆとりがない。夏休みは自己研修の機会が奪われ、拘束されている。夏休みを含めて週40時間労働であるが、40時間の中で研修の時間を保障するということがなければならない。日本の場合、長期研修のための予算が少ない。現在、外国語教育が熱心になってきており、海外で1~2年間勉強するような研修費用は、国が保障していかなければいけないのではないか。研修についても、抜本的な検討が必要である。

7.閉会

お問合せ先

総合教育政策局教育人材政策課

(総合教育政策局教育人材政策課)