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資料2

公立学校の管理運営の委託について(検討メモ)



設置者管理主義

「学校の設置者は、その設置する学校を管理し、法令に特別の定のある場合を除いては、その学校の経費を負担する」(学校教育法第5条)
   各地方公共団体の教育委員会が、教育活動の事業主体として、学校教育の目的を十分果たすことができるよう、設置する学校を適切に管理し、その運営に責任を負っている。


管理の内容

   教育機関を管理するとは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第23条に例示されているように、
   1  校舎等の施設や設備の整備等の物的管理
2  教職員の任免等の人的管理
3  児童生徒に対する教育活動を効果的に実施するための運営管理
   の3つの側面から、学校教育を営む作用全般に及ぶ。


学校における主体的な運営

   実際に児童生徒の教育活動に当たる学校が、主体的にその目的を効率的、効果的に達成することができるようにするため、各種法令や学校管理規則に基づき、各学校の校長に対し、日常的な教育活動等に関する権限を委ねている。

   公立学校の管理運営については、教育委員会と学校が適切に役割分担し、児童生徒の学校生活や学校における教育活動に対する責任を果たしている。
   このような体制を通じて、子どもの発達段階に応じ、各学校段階ごと、教育の機会均等、教育水準の維持向上、教育の政治的中立性等を確保。

   公立学校の管理運営のあり方については、各学校段階において教育の目的が適切に果たされ、公教育の理念である公共性、公平性、中立性が損なわれることがないよう十分留意し、教育を受ける子どもの立場から、学校運営の安定性・継続性や教育の質が確保されるよう、教育の特質を踏まえた様々な観点からの検討が必要。


【検討に当たっての前提】

   公立学校の管理運営の民間等への委託の是非を検討するに当たっては、次のことについて前提とする必要があるのではないか。

「公の性質を持つ」学校という位置づけ

   ・    学校の事業の性質及びその主体は、公のものであり、一部の者の利益追求を目的とするものではない=「公共性」を有する必要がある。(教育基本法第6条)

   児童生徒に十分かつ適切な教育を行うことができるよう、学校経営の確実性・安定性・継続性が確保される必要がある。

   公教育を担う学校として、一定の教育水準の確保が必要。このため、学校の管理運営に当たっての基準(設置基準等)や教育課程の基準(学習指導要領)が遵守される必要がある。

   幼児児童生徒の教育指導に直接携わる教職員は、教員免許を有することが必要。

   教育に携わる教職員については、政治的党派性を排し、政治的中立性を確保することが必要。(教育基本法第8条、義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法)


「公立学校」という位置づけ

   ・    設置者である地方公共団体(教育委員会)が、学校の教育活動に対して最終的な責任を負う主体となる。

   公立学校は、地方公共団体が設置する「公の施設」であり、学校の運営に係る経費は公費によることが基本。

   政治的中立性に加えて、教育の宗教的中立性により、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動はしてはならない。(憲法第20条、教育基本法第9条)

   憲法の要請である義務教育無償制度により、義務教育については、授業料は徴収しない。(憲法第26条、教育基本法第4条第2項)


【検討の視点】

   具体的に検討を行う場合の視点としては、例えば以下のようなことがある。

(委託の目的)
   現行に比べて、何を改善し、又はどのような課題に対応するため管理運営の委託を行うのか、委託の目的や意義は何か。

(委託事項の検討)
   学校が「公の性質を持つもの」「公教育を担うもの」であるという観点から、委託することが可能な事項又は委託することになじまない事項についてどのように考えるか。
   子どもたちの発達段階に応じた教育にとって望ましいことは何かという観点から、委託することが可能な事項又は委託することになじまない事項についてどのように考えるか。

(一部委託に関する検討)
   特別の目的やニーズに対応するため、管理運営の一部を委託することについてどう考えるか。その際、どのような場合に、どのような事項を委託することが考えられるか。

(包括的委託に関する検討課題)
   仮に、学校の管理運営について、1施設・設備等の学校財産に関する物的管理のほか、2教職員の任免等の人的管理、3児童生徒に対する学校の教育活動等の運営管理を含めて包括的に委託する場合でも、公立学校としての位置づけを踏まえ、受託者の権限や委託の範囲及び限界について、例えば、以下のような課題について検討が必要と考えるがどうか。
 
   教職員の身分
   教職員の任免、服務監督、懲戒、人事等
   委託に関連する国と都道府県、市町村の財政負担のあり方
   児童生徒の単位認定、卒業認定や懲戒など処分性のある行為の行使
   教科指導など学習指導面の委託の可能性
   受託者に対する成果の評価と説明責任
   児童生徒に関する学校事故や学校の安全管理における責任の所在
   児童生徒及び保護者と教育委員会(設置者)との関係
   受託者の業務について教育的観点から不適正な場合の是正措置等

(受託者の範囲)
   受託者の範囲をどのように考えるか。学校の設置主体となり得る学校法人と株式会社等その他民間団体については、異なる考え方をとるべきかどうか。

(学校段階ごとの検討)
   学校段階(幼稚園、小学校、中学校、高等学校(全日制課程と定時制・通信制課程)、盲・聾・養護学校)ごとの特質を踏まえて、委託の実施可能性や委託内容等を検討することが必要かどうか。その際、憲法及び教育基本法の要請から、全ての国民に就学義務が課され、地方公共団体に設置義務を課す小学校、中学校及び盲・聾・養護学校とその他の学校については、異なる考え方をとるべきかどうか。

(私立学校との関係)
   一定の規制の下で公的助成を受けて自主的な学校運営を行っている私立学校制度との均衡について、どのように考えるべきか。また、公立学校と同様の観点から、私立学校の管理運営委託については、どのように考えるべきか。





参考1 公立学校の管理運営の委託について(PDF:38KB)
参考2 学校法人、株式会社及びNPO法人の比較
参考3−1    保育所の管理運営の委託〜三鷹市立東台保育園〜(PDF:11KB)
参考3−2 学校と保育所の設置運営に関する比較
参考4 学校の管理運営に関する最近の主な提言事項(抜粋)
参考5 公立学校に関する現行制度の比較

参考法令



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