平成14年3月
今後の国立大学等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議
−目次−
第 | 1章 施設に関する点検・評価の必要性 |
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第 | 2章 点検・評価の基本的視点
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第 | 3章 点検・評価の手法
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第 | 4章 点検・評価を活用する整備システムの構築
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附属資料 | 1 | 国立大学等における施設の整備・活用と点検・評価(概要) | |
2 | 施設の点検・評価に関する取組事例 | ||
3 | 施設の点検・評価に関する取組状況 | ||
参考資料 | 1 | 関係法令の改正 | |
2 | 科学技術基本計画(抜粋) | ||
3 | 国立大学等施設緊急整備5か年計画 | ||
4 | 本報告書に記述している大学審議会等における施設に関する提言等 | ||
5 | 国立学校建物の健全度調査 | ||
6 | 国立学校建物の基準面積 |
(参考) |
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はじめに
国立大学等施設は,次代を担う豊かな人材を育て,より高度な教育研究活動の展開や国際社会に貢献する独創的・先端的な学術研究の推進,研究交流の促進,国際交流の推進,生涯学習社会の実現を図っていく上で基盤を成すものである。
現在,国立大学等においては2,300万m2に及ぶ面積の建物を含む膨大な施設(キャンパス等)を保有しているが,これらのうち,建物に限ってみても一般的に改修が必要とされる建築後25年以上経過した建物が全体の42%(うち大規模な改修を行っていない建物が61%)に及び,老朽化や機能の劣化が進行している。また,かつてない規模での大学改革の進展による大学院の新設,学部・学科の改組等,教育研究の変化,学術研究の進展による研究設備の増加・大型化などに伴い,施設の狭隘化が生じており,施設の老朽化・狭隘化の解消が大きな課題となっている。
このような国立大学等施設を取り巻く課題に対応するための方策を検討するため,本調査研究協力者会議では平成9年3月から,今後の国立大学等施設を着実に整備充実するための基本的課題と具体的な推進方策について審議を進め,平成10年3月報告書「国立大学等施設の整備充実に向けて−未来を拓くキャンパスの創造−」を取りまとめた。
本報告では,国立大学等施設に関し,「大学改革等の高等教育の新たな展開」「学術研究の高度化・多様化」「施設の老朽化・狭隘化の計画的解消」「キャンパス環境の整備」「世界的水準の教育研究にふさわしい施設の整備」等の対応すべき様々な課題を示した上で,今後の国立大学等施設の整備充実のための提言を示している。
文部科学省では,本報告の提言を踏まえ,平成10年度補正予算を皮切りに,独創的・先端的学術研究の推進,大学院重点化等の大学改革推進のための教育研究基盤の整備等の取組を進めるとともに,各国立大学等においても既存施設の有効活用を視点とした整備計画の立案をはじめとした様々な取組がなされている。
また,大学審議会答申を受けた大学改革推進の取組として,国立大学の組織運営体制の確立のため,運営諮問会議,評議会等に関する学校教育法等の改正が行われ,また,大学の教育研究活動等について第三者評価を実施する大学評価・学位授与機構が創設されるなど,大学運営全体についての点検・評価に関する体制整備が進められている状況にある。
国立大学等における再編・統合,「国立大学法人」への移行等,国立大学等を取り巻く状況が大きな変化を迎え,かつ厳しい財政状況のなか,各大学等における教育研究を支える基盤である施設について点検・評価を充実させ,これに基づく施策を展開し,施設の整備充実を図ることは,大学審議会答申において21世紀初頭の大学像として示された「競争的環境の中で個性が輝く大学」を具現化するための重要な取組と位置付けられる。また,施設に関する点検・評価は国立大学等の施設を公的財産として質的に向上させ,有効に活用することにより,国民の理解を得るためにも不可欠な取組である。
本調査研究では,これらの取組を合理的で実効あるものとし,国立大学等施設の整備充実をより一層推進するため,施設に関する点検・評価の充実とその活用が重要との認識のもと,点検・評価を実施するにあたっての視点や点検・評価を活用する施設整備システム等について審議を行い,平成12年3月に「国立大学等施設に関する点検・評価について(中間まとめ)」をとりまとめた。これに基づき各大学においては,施設の点検・評価の実施体制の整備や施設の有効活用等の取り組みが行われているところである。
また,第2期科学技術基本計画に基づき策定された「国立大学等施設緊急整備5か年計画」においても,独創的・先端的な学術研究や創造性豊かな人材育成のための活動拠点である国立大学等施設の重点的・計画的整備を図ることとしており,その実施にあたり,施設の利用状況の点検等を含む適切な調査・評価や既存施設の効率的な利用の促進等を行うこととしている。
一方,大学改革を推進するため,国立大学の法人化に向けた国立大学等の今後の在り方について,組織業務,人事制度,目標・評価,財務会計制度など制度全般についての検討がなされ,平成14年3月に新しい「国立大学法人」像について報告が取りまとめられた。
これらの状況を踏まえ,本調査研究において更なる審議を進め,本報告書をとりまとめた。
本調査研究において審議した施設の点検・評価は,施設の整備充実を図る上で必要とされる基本的な視点,姿勢に立っており,国立大学がどのような設置形態をとるかに関わらず,その必要性が変わるものではない。法人化における財務会計等の新たな制度の中で円滑かつ効果的に進められると考えられる点検・評価の具体的手法及びシステムについても検討を行った。施設の点検・評価は施設整備を行う上で今後さらに重要性を増すものであり,施設の点検・評価の充実と活用は本報告書に基づき進められたい。
-- 登録:平成21年以前 --