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著作権分科会 私的録音録画小委員会(第10回)議事録・配付資料

1. 日時
平成19年8月24日(金曜日)14時〜16時

2. 場所
フロラシオン青山 クレール

3. 出席者
(委員)
石井、井田、大寺、大渕、華頂、亀井、河村、小泉、河野、椎名、津田、筒井、野原、中山、野村、生野、松田、森田の各委員
(文化庁)
高塩次長、吉田審議官、山下著作権課長、亀岡国際課長、川瀬著作物流通推進室長ほか
(オブザーバー)
野方(日本音楽作家団体協議会顧問)

4. 議事次第
(1)  制度の枠組みについて
(2)  その他

5. 資料
資料1   前回の意見概要
資料2 私的録音録画小委員会における議論の整理メモ(1)
資料3 今後の議論の進め方

参考資料1   私的録音録画に関する制度設計について
(※(第6回)議事録・配付資料へリンク)
参考資料2 現行制度の概要について
参考資料3 検討の進め方
(※(第6回)議事録・配付資料へリンク)

6. 議事内容
【中山主査】
 それでは、まだお見えになっていない委員もおられますけど、時間でございますので、ただいまから文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会の第10回を開催いたします。本日もお暑い中お集まり頂きまして、まことにありがとうございます。
 いつもと同じことですけれども、議事に入ります前に、本日の会議の公開につきましては、あらかじめ予定されている議事内容を参照いたしますと、特段非公開にするには及ばないと考えられます。傍聴者の方々には、もう御入場頂いておりますけれども、こういう処置でよろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【中山主査】
 ありがとうございます。
 本日の議事は公開ということにいたしまして、傍聴者の方々はそのまま傍聴をお願いいたします。
 なお、本日は、小六委員が御欠席されておりますけれども、小六委員の申し出によりまして、日本音楽作家団体協議会顧問、野方英樹氏がオブザーバーとして出席されております。
 それでは、議事に入ります。
 まず、事務局から配付資料の説明をお願いいたします。

【木村課長補佐】
 恐れ入ります。本日の配付資料の確認をお願いいたします。本日配付しております議事次第1枚ものの下のほうに配付資料を示させてもらっております。
 資料1でございますが、前回、第9回小委員会の意見の概要資料でございます。資料2でございますが、私的録音録画小委員会における議論の整理メモでございます。なお、この資料には、後ろに3枚ものでございますが、別紙を添付させてもらっております。そして、資料3でございますが、今後の議論の進め方(案)でございます。その他に、参考資料1から3でございますが、これは前回までお配りしたものと同じ資料でございます。資料の配付漏れ等ございませんでしょうか。

【中山主査】
 よろしいでしょうか。

【木村課長補佐】
 ありがとうございます。

【中山主査】
 それでは、初めに議事の段取りについて確認をしておきたいと思います。
 本日は資料2「私的録音録画小委員会における議論の整理メモ(1)」について議論を頂戴したいと思います。
 それでは、まず事務局から、今後の議論の進め方と資料の説明についてお願いいたします。

【川瀬室長】
 それでは、御説明いたします。
 まず、資料3を御覧頂けますでしょうか。資料の中身を説明する前に、今後の議論の進め方について確認をしておきたいと思っております。
 まず、10月12日に文化審議会著作権分科会が開催を予定されておりまして、そこに各小委員会からそれまでの報告が出てくるわけですが、本小委員会も中間整理ということで報告をしたいと思っております。
 なお、中間整理という名前を付けておりますのは、今まで御審議頂いたことを考えますと、何か一つの方向性を持って報告書に近いような形でまとめるということは、少しまだ時間が足りない気がしますので、中間整理という意味は、合意されたところは合意されたところとして、なお合意されてなくて意見が分かれているところは、両者の意見を並列的に書くことで中間整理という形でまとめさせて頂いて、それをお諮りするようにしたいと思っております。
 それまでの間でございますけれども、本日と次回については私どもでまとめさせて頂きました議論の整理メモの(1)、(2)、いわゆる前半部分と後半部分、後半部分は具体的な制度設計のあり方の問題ですけれども、それについて議論をして頂きまして、その整理メモをもとにしまして、なお説明が必要なところについては説明を加えるなりしまして、いわゆる中間整理という形の案を作らせて頂きまして、それを13日、26日で議論して頂きまして、おまとめ頂ければと思っております。
 なお、9月21日に予定しております法制問題小委員会には、議論の方向性について御報告をさせて頂ければと思っております。
 また、10月12日の分科会が終わりますと、中間整理について御意見をお伺いするようなことで意見募集ということにさせて頂きたいと思います。その後、それを踏まえまして、更に意見が分かれているところにつきましては御検討頂いて、来年の1月に報告書を取りまとめ、その報告書を1月ないしは2月に開催される文化審議会著作権分科会報告書として取りまとめさせて頂ければと思っております。
 それでは、資料2について簡単に御説明をいたします。
 まず、内容としましては、1が私的録音録画問題の解決方法に関する基本的視点、考え方ということでございます。2が、1ページの下ですけれども、著作権法第30条の適用範囲の見直し。それから、4ページが3として補償の必要性。最後に、9ページに4として補償措置の方法についてということでまとめさせて頂いてあります。
 まず、1の基本的な考え方ですけれども、これは(1)、(2)、(3)の3つに分かれまして、(1)は平成4年の補償金制度導入までに至る長い時間の検討の経緯、ないし直前におまとめ頂いた第10小委員会報告書の内容等の視点も大事ではないかということでございます。
 (2)は、平成18年1月に文化審議会著作権分科会でおまとめ頂きました現行制度の問題点、それに続く抜本的な見直しの検討も当然重要な視点ではないかと思っております。
 それから、最後に、制度といいますのは時代の変化に合わせて見直されるべきものであることは当然のことでございまして、その見直しに当たって、本小委員会として123について尊重するということです。1は、私的録音録画については様々な意見があるわけでございますけれども、社会に定着した社会現象でありまして、原則的に尊重すべきものであること。それから、制度の内容を検討するに当たっては、著作権の保護技術や、それから配信事業等の音楽・映像ビジネスの新たな展開などについても充分考慮すること。最後に、仮に補償金制度を維持するとした場合でも、できる限り公正かつ合理的な制度を目指すことを前提にしたいと思っております。
 それから、2が、30条の適用範囲の見直しですが、まず(1)ですけれども、利用形態ごとに実態を調査してみたわけですけれども、それについて整理したのが別紙でございます。別紙を御覧頂けますでしょうか。
 まず、(1)は「利用形態の分類」で、これは前期の小委員会でも分類し、分析をして頂きました。それを踏まえた上で、(2)でございますけれども、「権利者に著しい経済的不利益を生じさせ、著作物の通常の利用を妨げる利用形態との指摘があった形態」でございまして、1が違法複製物や違法サイトからの私的録音録画。次のページをめくって頂きまして、2ですけれども、他人から借りた音楽CDからの私的録音という御指摘がございました。
  1につきましては、これは様々な方に実態を御説明頂きまして、違法配信や利用者の複製の実態が明らかになっております。また、正規商品の流通前に音楽や映画が配信され、複製されるという例も紹介されております。
 ということから、権利者に深刻な被害を与えているというのは明らかではないかということから、30条の適用範囲から除外する意見が大勢であったとさせて頂きました。
 それから、2の他人から借りた音楽CDからの私的録音ですけれども、これは正規品の購入の代替、つまりCDを借りてコピーを取って、そのCDを返すということですから正規品購入の代替品で、これも大きな被害を与えているのではないかという御指摘がございましたけれども、30条の適用範囲を外しても違法状態が放置されるだけであって、除外することについては慎重な意見が大勢であったということだと思います。
 それから、次の指摘としては、「著作物の提供事業として私的録音録画の対価も確保できる可能性があり、補償金との二重取りの懸念から指摘があった形態」でございますけれども、これが1の適法配信事業者から入手した著作物の録音録画物からの私的録音録画、それからレンタル店から借りた音楽CDからの私的録音、それから適法放送のうち有料放送からの録画について御指摘があったと理解しております。
  1の適法配信につきましては、ビジネスモデルの中でいろいろと精査し、レコード会社と配信事業者の契約、それから配信事業者と利用者の契約等から見て、やはり配信事業者の一定の管理の下で私的録音録画が許容されていると考えられまして、それに伴う対価には録音録画の対価も含まれているということもうかがえますので、契約による解決に委ねるほうがいいのではないかということから、30条から除外するのが適当であるというのが大勢でございました。
 一方、レンタル店から借りた音楽CDからの私的録音につきましては、これも説明しましたとおり、ビジネスモデルを精査し、権利者とレンタル事業者との契約、それから次のページですけれども、レンタル店と利用者との契約も精査しましたけれども、契約で録音録画の対価が取られているという確認はできなかったわけでございます。したがって、仮に30条から外すとすると、また新たな利用秩序を構築する必要があるという点もございまして、除外については慎重な意見が多かったとさせていただきました。
 それから、適法放送のうちの有料放送からの録画につきましても、これも映画会社と有線放送事業者の契約、それから有線放送事業者と視聴者との、これは総務大臣の認可制になっていますから契約約款があるわけですけれども、これを精査しましたけれども、録音録画の対価が含まれていることは確認できませんでした。
 以上の点から、2の場合と同様に新たな許諾ルールは困難であるということが分かったわけでございます。
 それを踏まえまして、もとの資料2に戻りまして、2ページですけれども、違法録音録画物、違法サイトからの私的録音録画については、30条から外す課題が少ないのではないかということでございました。
 なお、違法サイトについては概念が分かりにくいという御指摘もございましたので、注釈として下のほうに書いております。
 それで、いわゆる違法録音録画物とか、違法サイトからの件につきましては、ア、イ、ウ、エの観点から除外することが適当であるということがおおむね了承されたと考えております。
 ただ、利用者保護の観点から、全ての場合について30条から適用をなくすのかということでございまして、アとイというように、一定の要件を課す、ないしは罰則の適用の除外するということで条件整備が必要ではないかということでございます。
 ただ、こういう意見に対して、なお慎重な意見がありましたので、それを一番下の段ですけども、アと、それから次のページのイと書いてありますけれども、アは、違法にアップロードしている業者を取り締まればダウンロードまで違法とする必要はないのではないかという御意見がございました。
 また、権利者が被害を受けている実態は理解するけれども、個別具体的に否定をするのではなくて、一般的な制限条項みたいなものを設けて、個別に具体的に違法性を判断するのも一つの考え方ではないか。これはフランス法の昨年の制度改正であった例がありますけれども、そういう意見がございました。
 それから、(3)が「適法配信事業者から入手した著作物等の録音録画物からの私的録音録画」でございますけれども、これはさきの文化審議会著作権分科会のほうからオーバーライド契約というのは原則として有効であるという見解が出されております。
 現状では、権利者と利用者が直接契約を結ぶことは事実上できないわけですから、著作物等の提供者の一定の管理下において許容している場合であれば、提供者と権利者が契約を結ぶことによって対価が確保できるということでございますし、そういうことを仮にしたとしても、利用秩序に混乱は生じないということが考えられます。
 また、2年前の法制問題小委員会から御指摘のあった私的録音録画の対価と補償金の二重取りの懸念も解決するということですから、これについても30条から外すことがいいのではないかということで、おおむね了承されたと理解をしております。
 なお、著作権の保護技術が多様化し、権利者の選択権が拡大すると。これはネットの分野だと思われますけれども、権利制限が権利者に与える不利益の議論を解消する意味で、契約で対応できるのであれば30条の適用から除外してもいいのではないかという意見もございました。
 更に、著作権保護技術とかビジネスモデルの新たな展開によって、そういった利用秩序が混乱せずに権利者が契約によって私的録音録画から使用料を徴収できるということであれば、もう少し積極的に考えると、かえって権利制限がビジネスを阻害する要因にもなるというので、30条を縮小していく必要があるという意見もございました。
 それから、次に補償の必要性でございますけれども、補償の必要性については、まず(1)で「権利者が被る経済的不利益について」整理をした上で、5ページですけれども、(2)「著作権保護技術と権利者が被る経済的不利益の関係について」、これも経済的不利益について整理をし、(1)(2)を踏まえた上で、8ページでございますけれども、(3)として「補償の必要性の有無について」という、こういった論旨で整理させて頂きました。
 4ページに戻って頂けますか。権利者が被る経済的不利益でございますけれども、第10小委員会で一定の結論が出ているわけでございますけれども、更にそのことを踏まえまして、権利者が被る経済的不利益について、更に整理をしたのが(1)でございます。いろいろと御意見が出ましたけれども、権利者の経済的不利益とは何なのかということを法律的に整理したものが、このアとイでございまして、アは、いわゆる私的録音録画のために権利者の許諾を得る必要があるとすれば、そこで支払えたであろう使用料相当分が経済的不利益であるとする、いわゆる権利制限の代償という考え方でございまして、これによりますと、一般論としては権利制限された場合には経済的不利益があるということで、利用形態ごとに具体的にどのような不利益があるかという立証は、必要であるということにはなりません。また、この考え方が、実は第10小委員会の考え方であるということでございます。
 イは、私的録音録画によって、権利者の許諾を得て行われる事業、例えば販売とか配信とか放送等に与えた具体的な経済的損失が経済的不利益であるとする考え方でございます。
 これは著作権法の世界でも、権利者に新たな権利を付与する場合には具体的にどのような損害があるのかということが当然明らかにならないと権利が付与されないわけですけれども、新たな権利を付与すると同じという考え方でございまして、もともと私的録音録画は本来、無償で自由にできるという考えから出発しまして、補償金制度、いわゆる補償金支払義務付きの権利制限を認めるというのは、権利者に新たな権利を付与するのと同じであるということですから、権利付与の前提となる経済的不利益が具体的に立証される必要があるという考え方があるわけでございます。
 いずれにしましても、この委員会でも問題になりました購入した音楽CDからのプレイスシフトやタイムシフト、レンタル業者から借りた音楽CDの私的録音についてどう評価するかというのが、明確にすべきという意見がございました。
 それから、(2)が「著作権保護技術と権利者の被る経済的不利益の関係について」でございますけれども、著作権法の技術的保護手段は、これは著作権法の定義によりまして権利者の意思に基づき用いられるということでございますから、権利者が当該法手段の下で、どのような録音録画が可能かについては、当然承知しているわけでございます。しかしながら、権利者の意思といいますのは、あくまでも技術的保護手段の内容を決める意思でありますので、いわゆる許諾の意思、無償で著作物との利用を認める意思とは違うわけでございます。それはなぜかというと、権利者の録音録画が30条という権利制限の下で行われているわけでして、権利者と利用者の間で利用許諾に関する契約を結べず、使用料の徴収ができないということであれば、技術的保護手段の内容に照らして、経済的不利益の有無を考えていく必要があるのではないかということでございます。
 ただ、この点については複製禁止の場合、それから録音録画回数等に一定の制限があるものの、その範囲内の録音録画が認める場合に分けて考える必要があろうということで、録音録画禁止の場合については、これは録音録画がないわけですから、経済的不利益がない。それから、イの場合については、現状を見ますと、著作権保護技術の多くは私的録音録画自体を制限するというよりも通常の利用者が必要とする利便性は確保しつつ、デジタル録音録画された高品質の録音録画物が30条の範囲を超えて私的領域外に流出するのを抑制するという意味が強いわけでございます。
 ただ、イの場合においても、どのような場合に経済的不利益が生じ、どのような場合に生じないのかについては意見が分かれております。
 まず1の立場は、著作権保護技術の現状、あくまでも現状ですけれども、通常の利用者が必要とする30条の範囲内の録音録画はできるので、3の(1)の基準に戻って経済的不利益等について判断すべきであるという考え方でございます。
  2が、権利者は提供された著作物等がどのような範囲で録音録画されるかを承知の上で提供している。つまり著作権の保護技術というのは権利者の意思に基づいて用いられるものですから、当然自分が提供したものが、例えば何回までコピーされるとか、どのような品質でコピーされるかというのは承知の上で出しているのではないかと。したがって、経済的な不利益は全くないとは言わないけれども、そう重大な不利益はなく、補償の必要性もないという考え方でございます。
 7ページですけれども、こういうように見解が分かれておりますけれども、仮に1の見解に立って、現状では補償の必要性があると判断したとしても、著作権の保護技術がこれから刻々変化するわけでございますから、その内容いかんでは補償が不要になるということも考えられますので、試案として次のような整理を提案させて頂きました。
  1)が、著作権保護技術の効果によって私的録音録画の総体が減少し、一定の水準を下回ったときということで、これは利用者に許された録音録画の回数等が更に厳しく制限されるということで、例えば権利者の不利益か少ないと言われているプレイスシフトやタイムシフトのための回数をより制限する場合ということが考えられます。
 また、2)としては、著作権の保護技術の内容によって権利者の選択肢が広がり、コンテンツごとに関係権利者の総意として権利者が選択権を行使できるようになり、その実態が普及したときということでございます。これは、この委員会の議論でも出ていましたように、権利者によっては、よりコピーをして欲しいという人、それなりにコピーをしてもらってもいいという人と、厳しい制限をしたいという人、色んな人がいるわけですから、そういった権利者の自由な選択権を持つか、それとも厳しい制限を含む幾つかの選択肢から選択できるような場合については、これも権利者に経済的不利益が生じるかもしれないけれども、その経済的不利益は権利者の受忍限度内であって、補償の必要性はないという考え方につながっていくわけでございます。
 ただ、この考え方に対しては、やはり私的録音録画が行われれば、原則として補償の必要性があるのではないかという意見、それから市場が権利者の自由な選択を許さない、ないしはそういったプラットホームを提供している事業者の優越的な地位によって自由な選択肢が制限されるということも考えられるので、権利者の意思だけに補償の要否を委ねるのは問題だとする見解がございました。
  3)については、技術と契約の組み合わせによって利用者の便を損なうことなく個別徴収が可能となった場合ということで、これについては、ほぼ合意が得られたのではないかと思っております。
 なお、仮に保護技術と補償金制度が併存する状態であったとしましても、著作権保護技術の影響度を補償金や、場合によっては対象機器等の特定に反映することについても、おおむね異論はないと考えております。
 それでは、その(1)と(2)を踏まえた上で補償の必要性の有無について検討しました。
 まず、3の(1)のアの考え方ですと、これは経済的不利益の程度が権利者の受忍限度を超えているかによって補償の必要性があるわけでございます。先ほど言いましたように、一般的には経済的不利益があると思われますけれども、それが権利者の受忍限度を超えて初めて補償の必要性が出るわけでございまして、その補償の必要性が出るかどうかという基準ですけれども、これは平成4年当時、つまり現行制度を導入したときの私的録音録画の総体が一つの基準になると。また、諸外国の評価も一つ参考になるのではないかと思われます。
 問題のありましたレンタル業者から借りた音楽CDからの私的録音についても、レンタルは音楽CDの購入の代替手段でございます。レンタルから借りてコピーをして物は返すということですけれども、先ほど実態面で説明しましたように、レンタル料金には録音の対価は含まれないということであれば、友達借りた場合とか図書館から借りた場合と同様に、やはり経済的不利益かあると考えられるという意見が多かったということでございます。
 また、録画については、タイムシフト録画のみならず保存目的の録画の実態も多く、両者が区別しがたい。また、映像作品はごく少数のものでも不利益が大きいと言われていますけれども、そういった保存、それから特定者への録画物の譲渡というものも行われますので、やはり補償の必要性はあるのではないかということで、おおむね了解を得たと考えております。
 ただし、音楽CDのプレイスシフトやタイムシフトについても、経済的不利益があるのはあるんですけれども、その不利益は相対的に低いことについては委員会でも異論がないと思われますので、このような点については補償金の額の設定に当たって考慮事項とすることが考えられます。
 3の(1)のイの場合を考えましても、仮にイの場合ですと、利用形態ごとに経済的不利益を立証していかなければならないということになるわけですけれども、仮に購入した音楽CDからのプレイスシフトのための録音とかタイムシフトの録画が経済的不利益を与えていることが充分立証されていないと考えましても、1人の利用者が行う録音録画は1つの利用形態に限定されないのが普通でございます。例えば、買ったものしかコピーをしないという人は中にはおられるでしょうけれども、全体的には低い割合と思われますので、通常はいろいろなソースからコピーされるということでございます。買ったもののコピーもするし、友達から借りたものもコピーをするし、レンタル屋さんから借りたものもコピーする。場合によっては、中古から買ったもの、それから図書館から借りたものもコピーをするということですから、利用者の行う私的録音録画の全体に着目すれば、やはり経済的不利益があるのではないかという共通理解があると思います。
 このイの場合においても、権利者の受忍限度を超えて補償の必要性があるかどうかについては、やはり平成4年の現行制度導入時の状況が一つの基準になるということでございます。
 なお、著作権保護技術の施されている場合については、これは意見が分かれておりますので、さきに私が説明したとおりということでございます。
 それでは、仮に補償の必要性があるとなった場合に、どのような方法による対応が考えられるのかということでございますけれども、これは(1)の「補償金制度による対応」、それから11ページの(2)の「権利者と録音源・録画源提供者との契約による対応」という2つが考えられるわけでございます。
 まず、「補償金制度による対応」につきましては、これもいろいろと議論しましたけれども、2つに分かれるのではないか。つまり機器・媒体の提供という行為に着目した制度設計。それから、10ページのイですけれども、録音源・録画源の提供に着目にした制度設計があるということでございます。
 これは議論をいろいろされたのですけれども、イの制度設計については、基本的には誰も賛同する方がおられなかったと理解しておりますので、もし仮に補償金制度で対応するということであれば、アの制度だと思われます。そういうことで理解されていると考えております。
 更に、(2)の「権利者と録音源・録画源提供者との契約による対応」でございますけれども、著作権保護技術が発達して、どの程度複製されるのかということが了解されているという状況になってまいりましたので、あらかじめ権利者と著作物等の提供者の間で、それを見越した契約をすることで権利者の利益が確保できるという考え方が基本でございます。
 こういう契約によって権利者の利益が確保される利用実態が増加すれば、相対的に補償金制度の必要性は減少するということであります。ただ、この考えは前述のイのように、著作物等の提供者に補償金の支払義務を課すというところは求めず、あくまで民間同士の契約に委ねることになるわけでございます。ただ、法律的な後押しといいますか、法律的な改正といいますか、前提がなくて民間同士の契約に委ねるということでありますと、ア、イ、ウ、エのいろいろな理由から、やはり契約のみでこの問題が解決できるかについては課題が多いと整理をさせて頂きました。
 以上でございます。

【中山主査】
 ありがとうございました。
 それでは、早速議論に入りたいと思いますけれども、整理メモ(1)につきましては、中間整理(案)の段階で若干議論できるかもしれませんけど、実質的には今日で議論を終えたいと思いますので、よろしく御協力をお願いいたします。
 それでは、今の整理メモ(1)について議論をするわけですけれども、大きく分けると4つの項目に分かれておりますので、順番に行いたいと思います。
 まず、最初は1番の「私的録音録画の解決方法に関する基本的視点」、この項目について御意見を頂戴したいと思います。

【華頂委員】
 質問をさせて頂きたいのですけど、別紙の1ページの「利用形態の分類」のアの私的録音と録画が分かれているわけですが、それぞれにアからキまでありますけれども、(ア)、(イ)、(ウ)については、録音のほうがCDで、録画がVHS・DVD、メディアを変えただけで書き振りが同じになっているのですけども、おのずと性格が違うと思うのです。といいますのは、一番下の注1に書いていますように、録画のほうの(ア)、(イ)、(ウ)は、技術的保護手段の回避と私たちは認識しているので、今ここに書くべきことなのかな。これから30条の外に出すわけではないですよね。もう既に外に出ていると認識しているのですが、いかがでしょうか。

【川瀬室長】
 劇場映画がコピーネバーになっていることは承知をしていますけども、表現が問題であれば変えますけれども、ここの認識としては、いわゆるパッケージ商品という意味でVHSとかDVDと使っているだけでございまして、パッケージ商品からのコピーという意味です。だから、表現がまずければ、そこは修正をさせて頂きます。

【華頂委員】
 映画製作者の立場としては、ちょっと気持ち悪いなという感じがしましたので。

【川瀬室長】
 分かりました。

【中山主査】
 要望については、また後で相談してみてください。
 他に何かありますか。

【生野委員】
 (3)の1の表現に関して、「私的録音録画は社会に定着した社会現象であり、原則的には尊重」という箇所ですが、前段の部分に関しては、確かに私的録音録画、特にCDですとか放送からの複製というのは社会に定着した社会現象であるというのは、これまでの議論の整理からも確かにそうだと思います。ただ、後半の「原則的には尊重」については、一般論として、この表現が適当なのかなと思うのです。これまでの議論の過程でも、私的録音録画が、特に実効性の観点等いろいろ制約がある中で、直ちにこれを廃止するのは現実的ではないという話はされたと思うんですが、現在及び将来に向けて、一般論として「原則的には尊重」というのは、表現としていかがなものかなと思います。
 30条の見直しというのは、今回の議論だけでなくて、今後の技術の発展によって権利者への影響の大きさがどうなるのかですとか、有効なDRM技術がどう普及するのか、その度合い、それによる実効性の担保の問題ですとか、それから、提供されるサービスの多様化によるユーザーの利便性の向上、そういったいろいろな観点から権利保護と利用の調和、これを不断に検証、見直ししていかなければいけないと思います。環境の変化によって、不断に検証、見直しをする必要性があるということから考えても、表現にもうちょっと工夫が要るのではないかと思います。
 以上です。

【中山主査】
 そうすると、具体的にはどういう表現がよろしいのでしょうか。

【生野委員】
 よくよく考えたわけではありませんが、先ほど申しましたとおり、直ちに廃止することは現実的ではないとか、違う表現にならないのかなと思います。

【川瀬室長】
 ここで私的録音録画と言っていますのは、あくまでも30条を踏まえた上の録音録画ということではございませんので、もちろん30条が外れたとしても、やはり消費者がコピーをして楽しむことは原則的に尊重されるべきだろうということです。ただ、現在でも消費者が理解する形で、例えば華頂委員がよくおっしゃっていますように、映画の著作物については、1本コピーされることは非常に経済的不利益を与えますので著作権コピー禁止ということになっていますけれども、これは消費者の方も受け入れられているわけでございます。また、携帯向けの配信サービスでもコピー禁止の配信サービスがありますけれども、これも特に社会問題になっているというわけでもございませんので、そういう意味で原則というつもりで書いているわけでございまして、必ずコピーさせなければならないということではございません。

【生野委員】
 今ここに書かれていることは、30条による私的録音録画ではないというお話だったのですか。聞き違えたのかもしれないのですけど、私は30条に基づく私的録音録画の話が前提での議論だと思いましたので。

【川瀬室長】
 いわゆる私的領域の複製という意味で私的録音録画と使っておりますので、あくまでも30条の中の私的録音録画という意味では使っておりませんので、そういう意味で30条が前提というよりも、仮に30条が撤廃されたとしても、やはりコピーで楽しむというところは当然尊重していくべきではないかと思っております。原則的ということですけど。

【河野委員】
 今のお話を伺っていて思ったのですけど、ここの1番の表題が、私的録音録画問題の解決方法に関する考え方となっていて、書かれている内容は、制度とおっしゃっているのは、恐らく補償金制度のことについて書かれているのだろうと思います。私的録音録画のあり方に関する基本的な視点と、補償金制度をその中でどう考えるのかという視点を、恐らく分けて整理をして頂いたほうが今のようなお話の誤解がなくてよろしいのではないかと考えます。
 その場合に、補償金制度については、この委員会、あるいは前の法制小委でも、将来的には廃止の方向であろう、ですとか、中二階の制度という形にならざるを得ないのではないか、あるいは過渡的な措置だ、という御意見が多々出てきていたように思いますので、補償金制度が時代の変化に合わせて見直されていく方向というのは、将来的・段階的縮小という方向であるということが分かる書き方になっていたほうが良いと思います。

【中山主査】
 その点は、室長いかがでしょうか。

【川瀬室長】
 私どもは、例えば世の中の状況と補償金制度の関係というものを、まずは考えて、プラス将来における考え方はきちっと今回整理して頂きたいと思うのです。ただ、世の中の著作権保護技術の発展とか、それから新しいビジネスの展開が完全に見通せるようなことであれば、廃止に向けてという話ができるわけでございますけれども、一般論としては大体こういう技術がこう進んでいくであろう。また、こういうビジネスがこう展開していくであろうと。そうすれば補償金は必要ないですねということは言えるにしても、それが1つの目標とか、そういったことはなかなか言いにくいのだと思います。したがって、この委員会では、こういう状況になれば補償金制度は要らないということをきちっと書くことによって、ある状況が実現すれば補償金制度は要らないし、また新しいビジネスの展開によれば30条もひょっとしたら要らないと思います。そういうことはきちっと書いたほうがいいと思いますけど、今の段階で将来を踏まえた上で、こうあるべきだということはなかなか書きにくいのではないかと思っております。

【椎名委員】
 僕はこの書き方に賛成でありまして、というのは法制問題小委員会当時に、DRMが補償金制度に取って代わるという主張が強くあった中で、2005年7月28日に開かれた法制問題小委員会では、DRMに集約されていくことは理想ではあるけれども、DRMのコストがまだ高くて、実際それを補償金制度全体のコストと比べたときに、まだまだ現実性がない。もしDRMが補償金制度に代替し得るという主張があるのであれば、そのあたりが解決できることが示されなければならないが、そういう話も出てこない中で、DRMが補償金制度に代替するということは言えないのではないか、というような御意見があったと思います。
 それを受けて、この小委員会においても2006年7月27日の第4回の資料においては、検討の順番として、30条の見直しと、DRMによる対応と、補償金制度の適用という順に検討していくべしと、そういうことが出てきていたのですが、それに対してJEITAの委員から、いったいDRMについて何の話をするんだ?というような御意見があった結果、DRMの話はされないままに、現在補償金制度での対応というところに話がいっていると思います。
 その点で、補償金制度に代替し得るDRMというものに関する共通理解は、法制問題小委員会当時のそれから一歩も先に進んでいないと思いますので、現時点で「補償金制度はDRMに取って代わる」というようにはっきり書けるだけの情報は得られていないのではないかと思います。よって、河野委員のおっしゃるような書き方にはならないと思います。川瀬室長の御意見に賛成です。

【川瀬室長】
 「賛成です」と言われると私も困るのですけれども、私が言いたかったのは、著作権保護技術が30条の必要性、それから補償金制度の必要性に大きな影響を与えるということは、これは間違いのない事実だと思うのです。それは、この小委員会の報告書でも認めざるを得ない。ただ、それは認めつつも、5年後、10年後にどう世の中が変わっていくのかというのは、いろいろな方がいろいろなことをおっしゃいますけれども、それは非常に確実性の高いものであれば、こうあるべきだという提言はできるかもしれないけれども、そういうことがやっぱり言えないのではないか。そうすると、この小委員会で提言できるのは、仮にこういう社会になれば補償金は要らないですとか、30条はもう要らないのではないですかということは言えると思うので、それはきちっと打ち出していけばいいと思うのです。それによって、今回、補償金制度をお認め頂くとすれば、次の世代になったときに、また一から議論をするという無駄が省けますし、この委員会の場できちっとそこを整理して頂ければ、次の段階の議論もすごくやりやすいのではないかと、そういう意味で言っております。

【森田委員】
 論点が少しずれてきているような気がしますが、1の(3)の1の私的録音録画というのが、30条で言うところの私的複製のことなのか、それとも、30条とは関係しない一般的な日常用語として使われているのかが不明確であるという点の指摘を踏まえて、この部分をどうするかというのが最初の問題点であったように思われますので、まずその点をどうするかをはっきりさせたほうがよいと思います。
 そうしますと、先ほどの室長の御発言を踏まえますと、例えば、「一般に私的領域において行われる録音録画行為」とか、「利用行為」とか、30条とは違うということがはっきりする形にすれば、その点の疑義は解消すると思います。そういう形でその問題点は解消させた上で、DRMとの関係については、また後のほうで出てくることですので、そちらで扱うのが適当であろうかと思います。その話とごっちゃにしてしますと(3)の1の用語の問題が飛んでしまうように危惧されましたので、一言申し上げます。

【亀井委員】
 (3)の2の関わりだと思うのですが、先ほど河野委員の御指摘は、恐らくこれからこの制度を見直しして作っていく時代で、何が起きるかというあたりのことを充分に踏まえていこうと、ここでは「充分に考慮」と書かれているのですが、ここで恐らくターゲットとして考えられている補償金制度は、これは多くの権利者団体の方もお認めになるように、いずれなくなるべきもの、それが理想だということには違いはないのだろうと思いますので、そういう流れの中で考えるべきものだということはあっておかしくはないのではないかと。基本的視点の1つではないかと思います。
 以上です。

【石井委員】
 前回も申し上げましたが、私としては今の段階で私的録音録画補償金が将来なくなるものであるという方向は、まだ決め付けられないと思います。
 私は、今の森田先生の整理に大変賛成するのですけれども、まず一般論として私的録音録画、私的なコピーというものを原則的に尊重することはあると思います。その上で、そのときに権利者に対して補償が必要なのか、あるいはDRMによって解決していくべきなのかということは、これはまた次の議論になるのではないか、そう思います。

【中山主査】
 他に御意見ございましたら。−よろしいでしょうか。
 それでは時間の都合もございますので、2番目の「著作権法第30条の適用の範囲の見直しについて」という項目に移りたいと思います。この点につきまして、御意見ございましたら、お願いいたします。

【河野委員】
 意見ではないのですけれども、別紙の3の「適法放送の有料放送からの録画」の事実関係ですけれども、2つ目の丸の2行目、「米国の映画会社が自国の録画に関する法律ルールを」云々というところがあるのですが、これは多分この文脈で当てはまってくる法律ルールというのはないのではないかというのが私の認識で、多分契約上の何らかの要請のお話と法律の話を混同されて書かれているのではないかと思いますので、御確認を頂ければと思います。
 それから、あわせて御確認頂きたいこと、もう1点ですけれども、同じところのフットノートについている視聴者のタイムシフトとフェアユースのところ、「タイムシフト利用はフェアユースで認められる」というのは、そのとおりだと思いますけれども、それ以外は争われていないというのが正しいのではないかと思いますので、あわせて御確認頂ければと思います。

【川瀬室長】
 注釈の2は河野委員のおっしゃるとおりだと思いますので、そこは書き改めさせて頂きます。
 最初につきましては、一応私ども関係者にお話を聞いたのをそのまま書いておりますので、改めて確認をさせて頂いて、必要に応じて修正等をさせて頂きます。

【亀井委員】
 今、別紙について出ましたので、別紙に関して1点発言させて頂きますけど、レンタルCDについて書かれている(3)の2でありますが、3ページでは丸の1つ目の、レンタル業界としては「対価は含まれていないとの認識であることが分かった」というところまでは、確かにそのようにお伺いした記憶がございます。ただ、このときの議論で、私の記憶では小泉委員、それから中山主査もそうおっしゃったのではないかと思うのですが、契約の意思解釈の問題であるとか、あるいは貸与権を作った経緯に照らすと、これは複製への対価が含まれると解釈する余地があるのではないかという御指摘があったという記憶がございますので、そういうものを記録にとどめる必要があるのではないかと思います。私の発言ではございませんので、正しければということでございます。

【中山主査】
 確かに、今の契約の条文の文言と、あと貸与権、あるいは特例法を作ったときの状況等、色んな兼ね合いがあるという議論はあったことはあったと思いますけど。

【川瀬室長】
 その点は主査と御相談させて頂きまして、必要に応じて修正をさせて頂きたいと思います。

【野方オブザーバー】
 3ページの(3)の「適法配信事業者から」というところに関してですが、ここの資料に書かれていることについて問題であるとか、そういうことではないのですけれども、2つ目の丸の最後に、「利用秩序に混乱は生じないと考えられる」とありまして、これは以前、小六委員の意見書のほうで、これを仮に除外した場合のルール作りが円滑に整うかどうかについては重要なポイントであると述べております。そのことについて、実際に私的録音録画を30条の適用の範囲から除外するということになりますと、適用配信事業者のビジネスモデルの範囲内で個人の方が行う複製について、例えば許諾手続ですとか、使用料の支払いを個人のユーザーに求めるのは現実的ではないということになると思うのです。その場合に、配信事業者がこのような制度改正の趣旨をよく理解して、そうした個人の方が果たすべき責任を果たして下さればいいのですけれども、そこで混乱が生じないような何らかの手立てが必要なのではないかと感じております。
 具体的に今このようにということは申し上げられないのですけれども、例えば前回までの制度設計の議論の中でありましたように、補償金であれば支払義務者の方を決める必要がありますので、何の前提もなくして、ここのところの除外をしてしまって果たして大丈夫なのだろうかという不安がございます。
 ですので、この資料はこの資料としていいのかもしれませんが、今後、この点につき何らかの議論をさせて頂いて、最終的な報告書には、そういう趣旨のことを盛り込んで頂きたいという意見でございます。

【井田委員】
 確認ですけども、別紙のほうは一応調査検討した結果、こちらのほうにまとめられたということでよろしいのでしょうか。でありますと、一応いろいろな議論があったことを、ある程度反映した内容にして頂いたほうがいいかなと考えております。
 その意味で、先ほど亀井委員が言われた内容、私も同じことを感じていまして、言わせて頂こうと思っていたのですけど、確かにいろいろ調べた結果というか、ヒアリングした結果はこうであったというのは事実として書いて頂いて結構ですけれども、こういう意見もあった、例えば、小泉委員から、客観的に見て法制度としてどういう利益を保護しているかということが出たというのだったら、そういうことも出たという事実を書いて頂いたほうがいいと思います。御相談されるということですけども、意見として述べさせて頂きます。
 そういう意味で言いますと、(3)の3「適法放送のうち有料放送からの録画」も、先ほど法律ルールが云々とかいろいろ書いておられるのですけど、これはどちらかというと事務局のほうで確認された内容ということで書かれた内容かと思うのですけれども、それも確認があったということであれば書いて頂いて良いのですが、色んな意見が出たということも併記して頂けたらなと。御本人が言っておられないのでどうかと思いますが、例えば河野委員からも出ていましたように、有料放送でも色んな対応があるという御指摘もありましたので、そういうのも入れて頂いたらどうかと考えております。
 そういう意味で言うと、例えば事務局でヒアリングして確認した内容というのがあるのだったら、これは論議された内容というよりは、ヒアリングの資料集みたいな形で、他にもたくさんヒアリングだったり、調査資料があるんですけれども、そちらのほうに入れるという手もあるかと考えます。
 以上です。

【中山主査】
 ありがとうございます。他に御意見ございましたら。どうぞ、津田委員。

【津田委員】
 すみません、また蒸し返すかもしれないのですけど、(2)のエで、「第30条の適用を除外することが適当であることがおおむね了承された」というところの表現が、ちょっと僕は気になっているというか。やっぱり僕自身、違法サイトからのダウンロードを30条の外に置くことは、今後のインターネットの利用形態とか、今の利用者の利用形態を考えると問題を残す可能性があるのではないかという形で懸念を表明させて頂いていたと思うのですが、実際にそこの下に書かれているように、「情を知って」という制限事項ですとか罰則の適用を除外するというところで、実際に利用者的には今と変わらないのではないかという御説明も受けたのですが、でも最初の頃の議論で、それであれば30条の外に置くこと自体も実効性があまりないのではないかという議論もあったと思っていまして、それで悪質な業者を取り締まる目的であれば、その下に書いてある「慎重な意見」のアは僕の意見だと思うのですが、こういう形で本当に送信可能化権の範囲で摘発していくだけで、わざわざ30条をいじることはないのではないかというのは、いまだに僕も意見としては変わらず持っていますし、小泉委員のほうから御提案があったイのただし書きを加えるほうが、むしろ現実的なのではないかと思っているのですが、その上で「おおむね了承された」という形で、本当に18人、参加されている委員の方で、僕1人だけがこれに反対しているのであればおおむね了承されたという感じもするのですけど、その辺はどう思っているのかなというのが1点あります。
 先ほど(3)のお話にもなっていたので、(3)の丸の4つ目にも、30条の適用範囲から除外することかおおむね了承されたと。こちらのほうは今までの議論で、逆にもっと、より色んな委員から、これは意味がないのではないかという疑問が提示されていたと思うのですが、それも「おおむね了承された」という書き方が気になるのでは、そのあたりをどうお考えなのかをお聞きしたいです。
 以上です。

【川瀬室長】
 (2)の点については、私どもとしてはおおむね了承されたのではないかと思っていますけれども、書き方はいろいろとありますので、例えばそういう意見が多かったとか、色んなニュアンスもありますので、多分多かったということであれば間違いではないと思うのです。だから、そこはまた主査と御相談させて頂きたいと思います。

【中山主査】
 もう1つの問題のほうは、そっちも同様ですか。

【川瀬室長】
 配信は、私はおおむね了承されたと感じておりまして、つまり私も冒頭に言いましたように、30条というものが本当に必要なのかどうかと。それから、30条があることによって、かえってビジネスを阻害しているのではないかという御意見もあると思うのです。それは私もよく理解をしておりまして、やはり最初のところで書きましたように、やはり消費者の方が、例えば配信で取ったものを、一定の制限はありますけれどもコピーできる。そこが法律改正によってできなくなるとか、そういった利用秩序が混乱するということは避けなければなりませんけれども、配信の場合については、今のビジネスモデルを考えると、報告書では曖昧なところがあると書いていますけれども、基本的には契約の中で、配信事業者の管理支配の中でコピーがされていることは明白ですし、また対価についても、レンタルとか有料放送の場合には明確といいますか、少なくとも外からは確認できませんけれども、現に契約その他を見れば対価も入っていると考えても差し支えないと認識をしていますけども、反対にどうでしょうかということですけど。

【亀井委員】
 これは恐らく従来私どもが主張していた点を入れて頂いたということで、その点は大変ありがたく思いますし、感謝を申し上げますが、そういう意味で(3)の最後の丸は、恐らく適法配信事業のことだけではなくて、もう少し一般的なことまで含めて言及して頂いているかと思いますので、その点だけ分かるようにして頂けると、なお、ありがたく存じます。

【生野委員】
 最終的には、主査にそのまとめ方をお預けするのですが、違法サイト等からの私的録音録画に関してのまとめ方について、慎重意見として小泉委員と津田委員によるものが、ここに表記されておりますし、それ以外で特に異なる意見は、私は聞いておりません。まとめ方としては、おおむね了承されたというのが、やっぱり事実だと思います。

【中山主査】
 津田委員、そこはよろしいですか。

【津田委員】
 すみません、僕もこういう委員会に出るのが初めてなので、どう決まっていくのかというのが分からないところもあるのですけど、例えばものすごく基本的なとこで、僕はまだ30条をわざわざ変える意味もないと思っていますし、変えたところで、そんなに効果もないと思っているのですが、それをこの委員会の結論として、もう了承されたから変えるんだよとなると、何のために参加しているんだみたいなところあるので、これに対しての、もうちょっと中間的な落としどころみたいなものはないのかなという、これは疑問なんですけど、どうですか。

【中山主査】
 中間的な落としどころですか。この点について、他にお考えがございましたら。

【吉田審議官】
 ただいまの津田委員の御発言でございますけれども、審議会でいろいろと報告書をまとめていく際には、特に対立するような論点が出てきた場合に様々な処理の仕方があるわけでございます。色んな議論を尽くして合意に至る場合から、合意の程度に違いがあるということもございまして、そこは多数意見としてこうだった、少数意見としてこうだったと書き分けることもございます。
 それを受けた私ども文化庁のほうとして、その後どう取り扱っていくか。これは最終的には法律ということで解決をしていくわけでございますから、そこは文化庁と国会、そういったところで、この委員会の意見をどう参酌して法律に持っていくかと、そういう形で取り扱わせて頂くしかないのかなと。審議会の中で、どうしても意見は曲げられないという場合は多々ございますので、それはそれで少数意見という形で、そこはきちっと明記させて頂く形で今、解決させて頂ければと思っております。

【中山主査】
 この点に限らず、この小委員会で扱っているかなりの部分が、なかなか1点にまとめることは難しいかないと思いますけども、今の吉田審議官のおっしゃった方向でまとめていきたいと思いますが、よろしいですか。

【津田委員】
 では、例えば「(2)の議論はもう終了です」という形で先にいったときに、これはどんどん変わって、それが法制小委員会に上がって、来年の著作権法改正で変わるみたいな形になってしまうのですか。それが了承されたというのであれば。

【川瀬室長】
 先ほど、今後の日程で御説明もしましたように、一応中間整理ということで、この委員会で整理して頂くものにつきましては、広く団体、一般の方も含めて御意見を伺うことになりまして、それを踏まえた上で、更に検討する機会もございますので、今ここでまとめたから、それがそのままということではございませんので、そういった関係者の御意見等も聞いた上で、更に検討を進めればどうかなと思っております。

【中山主査】
 書き方は、今、審議官がおっしゃったようにいろいろあって、最近では少数意見、反対意見を書くことも多いようですけれども、審議会は諮問委員会でして、ここで法律を作るわけではないので、最終的には法制局を通して国会で決まるということですから、仮に少数意見を書いても、書かなくても、あるいは多数意見でも、それは通るという保障は全くないわけですけども、なるべく議事の内容を正確に反映するような報告書にはしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【井田委員】
 先ほどから出ているのと少しダブるところがあるかもしれませんけれども、(3)の「適法配信事業者から入手した著作物等の録音録画物からの私的録音録画について」ですけれども、ここについてはもっといろいろ議論があったのではないでしょうかという話も先ほどありまして、私も同感で、下の丸2つ目にありますような「著作物等の提供者が利用者の録音録画行為も想定し、一定の管理下においてこれを許容しているような場合」、こういう1つの要件に基づいて考えれば、こういうことが考えられるのではないかというまとめ方があるのではないかと考えています。
 したがって、適法配信だけに絞るのではなくて、例えば別紙のほうで、また違う書き方をされているのですけれども、別紙では2ページで、例えば「著作物の提供事業として私的録音録画の対価も確保できる可能性があり、補償金との二重取りの懸念から」云々というのがあって、こういうタイトルのもとに先ほどの要件を置いて、その中に適法配信についてはおおむね云々とか、レンタルについてはどう、有料放送についてはどうというまとめ方をしたほうが、実際に行われた議論の整理としてはふさわしいのではないかと考えておりますけど、いかがでしょうか。

【川瀬室長】
 すみません、別紙の書き方とこっちの書き方は違うということですか。

【井田委員】
 つまり、ここで書かれているのは、大勢だったのは2つあるということで、適法配信ということが書かれて、これに限定されているのですけれども、この資料が議論の整理メモということで言うと、これだけではなかったということで、特に観点としては、一定の管理下においてこれを許容し得るような場合にはという要件で1回ここにまとめてはどうでしょうか。その中に、例えば適法配信も入るだろうし、有料放送についても、こんな議論がありましたレンタルについては、こういう議論がありましたということを整理して頂けたらどうかなと考えました。

【吉田審議官】
 先ほど亀井委員のほうからも、3ページの一番下の丸のことについて、これは適法配信だけではなくて、他の形態にも拡大し得る余地があるものではないだろうかという話があったかと思います。そういった意味で(3)の柱は、このペーパーとしては適法配信事業からということになっていますけれども、ここでのメルクマールというのは、先ほど川瀬のほうからも言っていますけども、コンテンツ提供者の一定の管理下で、それを契約に基づいて録音録画が許容されているものと、こういった形で整理をするならば、それはタイトルとして出てきたほうが適切だったのかもしれません。その中で、現状に対して様々な提供事業がありますけれども、それを分析したものが別紙のほうに出てきているということです。
 その結果として、現状において、そういった契約によって解決するものとしては、とりあえず適法配信事業があるという形で、この資料がありまして、ただ将来につながるものとして、3ページの先ほども紹介しました最後の丸があると。こういう趣旨でございますので、今の井田委員の御意見は、この次の整理をする際に活かさせて頂きたいと思っています。

【野原委員】
 今の議論を蒸し返すようで大変申しわけないのですが、さっき亀井委員がおっしゃって下さった3ページの一番下の丸の意見というのは、多分私の発言を書いて頂いていると思うんですけれども、私の趣旨は、亀井委員も言われるように、(3)の適法配信事業者からのコンテンツに限定して話したわけではありません。この意見は、ぜひこうやって書いて頂きたいと思っておりますけれども、書く場所というか位置づけを、検討頂ければありがたいと思います。
 この資料の書き方では、2の適用範囲の見直しについてコメントしているとしか読めないので、もう少し広い観点で、基本的に30条の範囲をどう考えるかということでコメントしたと思っておりますし、というか著作権のあり方をどうするかということでコメントしましたので、書く場所を検討頂けないでしょうか。よろしくお願いします。

【川瀬室長】
 一瞬混乱をしまして、すみません。良く分かりました。多分そういうような観点から整理をすることについて御異議はないと思いますので、今、井田委員、それから野原委員がおっしゃったような方向で中間整理については書かせて頂くようにしたいと思います。

【中山主査】
 また案を作るときに、そういう工夫をして頂ければと思います。
 他に御意見ございましたら。

【河村委員】
 どなたも手を挙げないので、頭の中でまとまっていたわけではないのですけれども、ちょっと感じたことを申し上げさせて頂きます。
 整理メモの7ページの下ですけれども、上の四角、「保護技術の内容について権利者の選択肢が広がり」云々について、一番下の黒いポツで、「厳しい利用制限の選択肢があるとしても市場がこの方法を受け入れなければ権利者はそうした選択ができないこと」と書かれているのですが、私はその言葉にとても抵抗感を感じまして、市場が受け入れないということを、ここは主語が権利者ですけれども、権利者であれば市場が受け入れないことにも文句が言える−この主語を事業者と換えて考えると、市場が受け入れないことはビジネスとして成り立たないわけですから、文句を言ってもはじまらないわけでして、何かとても抵抗感を感じます。
 この場合は、権利者といえども、ビジネスをする人の立場として言えるのではないでしょうか。市場が受け入れられなかったからビジネスとして成り立たなくて、それで他の方法を選択したのであれば、それは納得した上の積極的な選択と言えるのではないでしょうか。市場が受け入れなかったから、そこを補償しろというのは、うまく理屈が申し上げられないのですけれども、おかしいと感じます。
 すごく卑近な例え話になりますけれども、著作権とは全然別の話かもしれませんけれども、本屋さんが万引きの被害が多いからといって、万引きがほとんど不可能であるような売り方をした場合に、全然本が売れなかったということについて文句は言えないだろうと思うのです。それはやっぱりビジネスとして事業者の方が、市場が受け入れられなかったと文句をいうことはできない。これはその当事者が、それを承知でその方法を貫くかどうかという問題であって、選択肢があっても市場が受け入れないから選択できないというのは非常にわがままな、甘やかされた、保護され過ぎな感じが私はいたします。
 もう1点あるのですが、私はこの文書の書かれた方の意図するところが分からない点なのですが、9ページ、8ページ(3)から続くイのまとめ方が、何をここで結論付けているのかよく分かりません。これは補償の必要性の有無について、3(1)イの場合。「私的録音録画は本来無償で自由にできるものであり、補償金制度は権利者に新たな権利を付与するのと同じであるから、権利付与の前提となる経済的不利益が具体的に立証されることが必要である」という考え方として大変短くまとめてあるわけですけど、そういう考え方をイとして紹介されていると思うのです。
 先ほどの9ページのまとめ方というのは、補償の必要性の有無について、イについてちゃんと論じていると私には思えなくて、イの場合にも「タイムシフトのための録画が権利者に経済的な不利益を与えていることが充分立証されていないとしても」ということの後から、ほとんど意味が分からないのです。一人の利用者が行う私的録音録画は一つの利用形態に限定できないので云々とあり、不利益を生じさせることがあるということについてはおおむね共通理解があるというのは、イについての考え方の共通理解という括りでいうと、理解することができません。イは立証する必要があるという意見が書かれているわけですが、一人の人の利用形態は限定できないというのは当たり前のことで、イについての補償の必要性の有無のまとめとして、私は全然全く納得できないというか、何が結びついているのか分からないという感じがいたします。
 すみません、私の理解がいけないのかもしれません。

【中山主査】
 最初の7ページの下は、こういう意見があったと、むしろ少数意見的に紹介されていると思うのですけれども、この審議会でこうだということでなくて、こういう意見があったということだと思うんです。

【河村委員】
 それなら結構です。

【中山主査】
 これはこれでよろしいのではないかと思いますけど、2番目は、室長お願いいたします。

【川瀬室長】
 短い文章でよく分からないということでございましたら、お詫び申し上げます。
 趣旨としましては、購入した音楽CDからのプレイスシフトや放送番号のタイムシフトが、経済的不利益が少ないのではないか、またはないのではないかという一つの考え方として、先ほどのイの場合については、実際に許諾を得て行われている、例えば販売とか配信とか、放送に影響、経済的損害を与えたものが経済的不利益だという立場からすると、買ったもの、つまり自分が経費を出して買ったものからプレイスシフトでコピーすることについてはよく分からないという意見がございました。
 また、経済的不利益がないということではなくて、それはよく説明を受けたけれども理解できないという、充分立証されていないということだと思うんですけども、ただ、他の利用形態−その前に私が説明しましたように、人に着目すると、買ったものからのコピーだけではなくて、例えば友達から借りたり、レンタル屋さんから借りたり、図書館から借りてコピーをされるということですけれども、人から借りたり、業者から借りたりしてコピーする場合には、これはいわゆる代替品ができるわけでございまして、物は返すけれども、そこにデジタル録音物が残ると。そうすると、確かに1対1の関係ではないかもしれません。つまりどういうことかというと、借りた人がコピーをすると。そのコピーをした人が正規品を買わないから経済的損害があるとは1対1の関係では言えないかもしれませんけれども、やはり代替品を入手することよって、何人かに1人は本当は正規品を買ったかもしれないけれども買わなかったということで、これはイの立場に立っても経済的な損害があると言えるのではないかと思っております。
 そうしますと、先ほど言いましたように、利用形態ごとの経済的不利益の有無というよりも、利用者に着目すると様々な音源からコピーがされているわけでして、また録画の場合についてはタイムシフトだけではなく、保存や、それからコピーしたものを人にあげるということも行われるわけですから、そうするとトータル的には経済的不利益があるという共通理解があったのではないかというのが趣旨でございます。

【河野委員】
 実は、私も先ほど河村委員が御指摘頂いたところの文章が、日本語的によく理解できなかったのです。多分その理由は、イの立場というのは前提となる経済的不利益が具体的に立証されることが必要だという立場になるわけですよね。具体的な立証が必要だという立場に立った前提で読んでいるのに、タイムシフトについては「充分立証されていないとしても」といって、そこの立証は、されていないとしても例外扱いで、色んな利用があるから経済的不利益はあるはずだよねと整理されている、なので、多分分かりにくいのだと思います。色んな利用があれば、それは経済的不利益を生じさせていると共通理解があったと書かれていますが、私どもはこのような共有はしておりません。なので、さらにこれはどういうことなんだろうと混乱をしたのではないかと思いますので、おまとめ方をもう一度御検討頂いたほうが良いのではないかと考えます。

【川瀬室長】
 先ほども言いましたように、分かりにくい表現ということであればお詫びをいたします。中間整理にする段階では、今、河野委員から御指摘があった点も具体的にした上で、共通理解があったところについては書かせて頂きたいと思うので、それを少し膨らませた段階で、いま一度、御検討頂ければと思います。

【中山主査】
 そこはちょっと文章上、工夫させて頂きたいと思います。
 他に何かございましたら。

【石井委員】
 すみません、3に入っていますけれど、よろしゅうございますか。

【中山主査】
 3はこれからお願いしたいと思いますけど。では、2はよろしいでしょうか。−では、3の「補償の必要性について」。

【石井委員】
 1点、表記上の確認ですけれども、今、問題になりました7ページですけれども、7ページの下半分に丸が2つありますけれども、この丸はローマ数字の2)に係る丸でしょうか。それとも1)、2)、両方に係る丸でしょうか。私としては、両方に係る丸ではないかと思うのですけれども、そこを確認したいのですが。

【川瀬室長】
 一応、私どもとしては2)の説明のつもりでまとめていますけれども。

【石井委員】
 申し上げたかったのは、「なお、この考え方に対しては、私的録音録画が行われれば原則として補償の必要性があるとする意見」という記述ですが、これは1)のほうの「厳しく制限」されても、この私的録音録画がされるのであれば補償の必要があるのではないかという意見もあったように記憶しているからです。

【川瀬室長】
 分かりました。そこら辺は少し整理させて頂きたいと思います。

【中山主査】
 他に、この「補償の必要性について」、何か御意見がございましたら。

【石井委員】
 具体的に直して頂きたいというわけではないのですけれども、考えを一つ述べておきたいのですが、5ページその他で、購入した音楽CDからのプレイスシフト、それから放送番組からのタイムシフト、この2つはよく並列して書かれているのですけれども、若干意味合いが違ってくると思います。と申しますのは、購入した音楽CDというのは自分の手元にメディアを置いておきまして、繰り返し試聴が可能であるという特徴があります。放送番組というのは、そもそも手元にメディアがありませんで、原則として録画なし、固定物なしの1回のみの視聴という原則がある。そこは全体の表記の中で果たして書き分ける必要があるかどうかはありますけれども、私としては、そういう違いがあると思っているということを申し上げておきます。

【中山主査】
 それでは、亀井委員どうぞ。

【亀井委員】
 先ほどの1)、2)というところが出てまいりましたので、ここの関係で少し意見を述べさせて頂きたいのですが、7ページでございます。
 確かに、事務局から御提案頂いた思案ということでは、録音録画補償金制度が不要になる条件という意味合いで書かれていたという記憶がありますし、ここでも総体が減少しとか、あるいは普及するということがございまして、我が国全体でそうなったときということで書かれているのですが、ここの項を読んでまいりますと、補償の要否で書かれておりますので、これは制度として不要になるかという以前に、技術的保護手段がかけられた場合に補償が不要になるかどうかという文脈で並べることを、まず考えたほうがいいのではないかという意見でございます。したがって、総体であるとか普及であるというのは、実はここで出てくることではないのではないかと思います。
 以上です。

【川瀬室長】
 主査と御相談させて頂きたいと思います。

【中山主査】
 今の御趣旨は、法制度の問題ではなくて、例えば個々の機器ごとにとか、そういう意見とは違うわけですか。

【亀井委員】
 仮に1の見解というのは、保護技術の現状では録音録画できるので、(1)の基準に戻ってという中で、保護技術の現状が変わったらという文脈で書かれているという理解でよろしいでしょうか。そうだとすると、保護技術が変化するものであり、内容いかんでは補償が不要となる場合に、ある著作物について保護技術をかけるかどうかと考えたときに、そういう技術が世の中に存在するときに、それを採用すれば、その著作物については録音録画の補償が不要だということだと思うのですが、制度として、そこで必要かどうかというのは、この段階で議論の流れとして必要があるかどうかというところが、ちょっと分からないということでございます。
 私の理解が多分悪いのだと思うのですが、これは結局、例えば2)ですと、選択権を行使できるようになっていれば補償が不要なのではないかと。実態が普及しているかどうかというのは、必ずしも必要ではないのではないかという趣旨で申し上げているのです。

【中山主査】
 そういう技術ができて、かつ皆さんが仮に使ってなくても、これらの条件を満たすはずだと、こういう趣旨ですね。

【亀井委員】
 仮に使ってなくても、補償の不要という条件は満たすのではないかということです。

【川瀬室長】
 すみません、亀井さんの意図が少しよく分からないのですけれども、私どもとしては制度の、ここは仮に現状では著作権の保護技術が施されているとしても補償の必要性はあるということを前提にして、それではどういう状況になったら補償の必要性がなくなるのかということを検証しているわけですから、例えば今御指摘の2)でも、選択権が行使できるようになって、その実態が普及したときというのは、社会全体にそういうものが普及したときに、日本社会全体がそういうように変化して制度がなくなるという場合を想定しているわけです。
 一番最後で、8ページの尚書きですけれども、ここで言いたいのは、ある日突然普及するわけがないので、例えば部分的にそういうシステムが実現できる。それが徐々に普及していくわけですから、そういった実態が主要な実態になる前には、まずはそういうものができて、それがだんだん普及していくと。その過程では、例えばここにも書いていますように補償金の額で、基本的には減額していってはどうかとか、場合によっては対象機器の特定にも影響があるのではないかと書いておりまして、あくまでもここの1)、2)、3)というのは、日本の社会全体がこういう全体になれば制度は必要ないのではないか。でも、その過程の中では補償金の減額や、そういった対象機器から外してしまうということが必要だというトーンというか、そういうことを前提にして整理をしていることから、今御指摘のような表現にしたつもりですけれども。

【亀井委員】
 その点はそう理解しておりますが、私の違和感は、補償が不要となる場合に、実態が普及すれば、それは制度として意味をなさなくなるということはそのとおりだということで、そう書いて頂いているのですが、今、中山主査から言って頂いたように、実態が普及していなくても特定の録音録画物を作る際に、技術的保護手段が選択をされた結果、それができているという場合には、もはや不要ではないかということで、1においてもという限定がかかった中での話ですので、そこをどう書けばいいのかと言われるなかなか難しいのですけれども、そこが分かりにくいのではないか、違和感があるということを申し上げたわけです。

【川瀬室長】
 後で、また御相談させて頂きまして。中間整理のときには、今、河村委員からの御指摘もございましたように、今回はわりと骨子といいますか、エッセンスだけを書いて、できるだけページを少なくしたものですから、論旨が飛んでいるところもあると思うので、その辺は正確に書いた上で、またお諮りはしたいと思いますので、そういう中で、もう一度検証して頂く、チェックをして頂く、ないしは事前に御趣旨を伺いまして、必要なところは修正をさせて頂きたいと思います。

【河野委員】
 多分、今のお話は個々の補償の必要性についてというお話と、補償金制度の存続に対する考え方というところを書き分けて頂ければいいのだろうと思います。
 今まで議論してきた「制度設計について」という資料の中では、1)、2)、3)は、あくまで制度の存続という観点でお話をしてきたことだと思いますが、今回の資料では補償の必要性とされている、多分そこが混在していることが原因なのではないかと思います。
 それで、4ページ目の補償の必要性、ここはタイトルが補償の必要性となっていますので、個々の補償の必要性の話をしているという前提でお話をさせて頂きますけれども、アの最後のポツの尚書きのところが少し分かりづらいのではないかと思います。
 昭和45年の法律制定時は無許諾・無償だったけれど、それは録音録画機器がまだ普及していなかったからとなっていて、第10小委員会のときに、補償金制度を導入するといったときに、無許諾という前提は変えませんと。それでは無償のほうはどうなったのか。全て有償になったのか、一部有償になったのか。政令で定められる機器・媒体を使って記録をする場合にという特定がかかっていますが、これをどう考えるのか。一部有償になったと考えるのか、それとも全て有償になったと考えるのか、その辺の考え方の経緯が、「今日とは状況が違うだけであるとの考えになる」と言われても、よくわかりません。
 アの考え方に立ったとしても、その尚書きの上に「経済的不利益の濃淡はあるものの、経済的不利益が全くないということにはならない」。その濃淡がある中で、重大な経済的損失というメルクマールが1つ出ていますけれども、濃淡の淡の部分について、重大な経済的損失がないと考えられるものについては、一部無償という考え方も考え方として成り立ち得るのではないかと思いますので、そういった点も含めておまとめ頂けるとありがたいと思います。

【河村委員】
 私も、その補償の必要性で、ずっと何回も重ねてきた議論がここにまとめられているとは考えられなくて、私も含めてですが、色んな権利者の方も色んなことをおっしゃったように思うのですが、「法律的な視点からは次のような整理が示された」というイのところは、ひょっとして私が申し上げたわけではないですよね。これはどう示されたのでしょうか。

【亀井委員】
 私も申し上げたような感じがいたします。

【河村委員】
 そうだとしたら、それについて反論が出た。その反論の中に私はすごく納得できないものとかもたくさんあったのですけども、この3行ぐらいにまとめられていて、立証されることが必要であるということだけが何か強調されている、たった3行ですよね。様々な議論の中で、ここにどういう理由で意見が文字になったり、ならなかったりするのか、その辺もよく分かりませんし、私が申し上げたことだけではなくて、権利者の方がいろいろおっしゃって、私はそれに疑問に思ったこともたくさんあったのですが、そういうのが全部、議論の過程において、こんなにきれいにまとめられていたかどうか。私には権利者さんたちがおっしゃっていたようなこととは違うまとめられ方がしているようにも思えますし、目的は同じかもしれませんけれども、こんな分け方で整理が示されたのでしょうか。

【川瀬室長】
 イの意見については、河村委員の意見だとは私どもは考えておりません。事前に権利者、それから利用者の方、それから学識経験者の方から様々な経済的不利益についての御意見が出たことは皆さん御承知のとおりでございます。ただ、その議論を踏まえた上で、森田委員のほうから、アの1行目に書いていますように、法律的な視点から整理が示されたという意味でございまして、森田委員から法的な経済的不利益の考え方について整理をして頂いて、それについてはこの委員会で異論がなかったと私どもは理解しておりまして、その意見をアとイという形で整理をさせて頂いたわけです。
 したがって、私どもの整理としては、様々な経済的不利益についての議論を踏まえた上で、法律的な観点から学識経験者委員に整理して頂き、かつ小委員会でも御承認頂いた仕分けといいますか、それを踏まえて整理をさせて頂いたと思っています。その整理に基づいて経済的不利益を考えると、こういう形になるのではないかということですから、それまでの色んな御意見は法律的な整理に集約されていると理解をしております。

【中山主査】
 それでは、時間も押しておりますので、最後の「補償措置の方法について」という4番目のテーマに入りたいと思います。何か御意見ございましたら、お願いいたします。

【河野委員】
 申しわけございません。4に行く前に、1つだけ3について申し上げさせて下さい。
 著作権保護技術の性質の整理ですけれども、5ページ目、(2)のイですけれども、四角の下の2行目「著作権保護技術の多くは」というところで、「30条の範囲を超えて私的領域外へ流出するのを抑制するという意味が強い」。「保護技術の多くは」となっておりますけれども、私どもの認識では、抑制するという意味合いが強いものは、非常に昔に導入をされた、例えばデジタルオーディオに関連するシリアルコピーマネジメントシステム、世代制限しかできないようなたぐいのものを指すと思われます。現在、使われている著作権保護技術の多くは、むしろ下の1の四角の下にありますように、「著作権保護技術は録音録画回数等の上限を決めるもの」、こういうタイプのほうが今は圧倒的に多いのではないかというのが私どもの認識です。

【川瀬室長】
 抑制といいますのは、今、河野委員のおっしゃった認識と私どもは変わっておりませんで、私どももそれは理解をしています。上限を決めるものであるということですけれども、趣旨としては、いわゆる個人的な利用といいますか、個人的な利用というのは非常に広いわけでして、いわゆる30条で認められた私的使用の範囲についてのコピーは充分確保されていて、どちらかというと、そういった高品質のものを外に出すことについて抑制をする意味合いが強いという意味で使っております。もし誤解を招くような表現であれば、それは改めさせて頂きたいと思います。

【華頂委員】
 今、最近の著作権保護技術は録音録画回数等の上限を決めるものが多いとおっしゃったのですけども、映画の場合は録音録画の回数を制限するものはないです。総務省の地デジの規制で今回決まった9回10個以外は、視聴期間を限定するものか、視聴回数を限定するものです。

【中山主査】
 0回も回数と考えることもできるでしょう。言葉の問題を調整させて頂ければと思います。
 他に何か御意見ございましたら。

【亀井委員】
 4のところで一つ申し上げたいのですが、10ページの一番上の丸でございまして、「補償金制度を採用している全ての国と同様の制度」ということで書き出しているところでございますが、ここは被害妄想的に読んでいるかもしれませんが、最後のところで「機器等の製造業者に一定の責任を負ってもらい権利者と利用者の利益調整をしようとするものである」と書かれてございます。現行制度は、第10小委員会の報告書をもう一度読み直してみましたけれども、一定の責任というのが、直接徴収ができないので、その機器を販売することに上乗せをする。そこにメーカーの協力が必要であると、実現不可欠であるという書き方がしてあります。
 協力に持っていくことが一定の責任という意味では、それはそうなのかもしれませんけれども、ここは各国と同様にという文脈で一定の責任を負ってもらうとなると、我が国の今の制度とは大分違うのではないかという気がいたします。

【中山主査】
 責任という言葉を協力義務に直せばということですか。

【亀井委員】
 我が国においては。

【中山主査】
 そういうことですか。

【亀井委員】
 はい。

【川瀬室長】
 もし誤解を招くようであれば変えるのは構わないのですけども、私どもの意味合いとしては、協力義務も支払義務も義務、いわゆる責任ということなので、何らかの責任を負ってもらうという意味合いなので、必ずしも外国同様に支払義務ということは念頭にはないのですけれども、誤解を招く表現ということであれば、そこは少し表現の工夫はさせて頂きます。

【中山主査】
 我が国に関して言えば、条文どおり書いておけば現状の説明は問題ないと思います。

【亀井委員】
 ここで無用な争いをするつもりはありませんので。

【中山主査】
 他に何かございましたら。−よろしいでしょうか。
 一応、これで色んな意見がございましたけれども、整理メモのその1は、一応議論したことにいたしまして、事務局のほうで大変ではございますけれども、今日の議論を踏まえて整理案を作って頂ければと思います。
 それでは、時間もまいりましたので、本日の討議はこのくらいにしたいと思います。
 次回の小委員会の内容も含めまして、事務局から何か説明がございましたら、お願いいたします。

【川瀬室長】
 本日は長時間ありがとうございました。本日、御提出頂きました論点については、整理をして集約に努めたいと思っております。
 また、何か追加の御意見がございましたら、メール等でお申し付け頂ければ修正等をさせて頂きたいと思っております。
 次回でございますけれども、先ほどの日程案でもお示ししましたように、9月5日、10時から12時まで、会場はこのフロラシオン青山でございますけれども、後半部分の仮に補償の必要性があるとすれば制度設計をどうするかのというところについての整理メモを提出して頂きまして、それに基づいて議論をして頂きたいと思っております。よろしくお願いいたします。

【中山主査】
 議事内容のわりには討論の時間が少ないものですから、もし御意見ございましたら、ぜひ提出をして頂ければと思います。
 それでは、本日はこれをもちまして文化審議会著作権分科会の第10回私的録音録画小委員会を終了させて頂きます。本日はありがとうございました。

─了─

(文化庁長官官房著作権課著作物流通推進室)


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