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対象機器・記録媒体の範囲について
ア |
現行制度について
資料2参照
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イ |
現行制度の対象機器・記録媒体と機器の分類
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分離型機器 |
一体型機器 |
機器 |
記録媒体 |
専用機器 |
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HDD搭載コンポ
HDDビデオレコーダー
ポータブルオーディオ
レコーダ
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汎用機器
(録音録画が主たる用途) |
ポータブルオーディオ
レコーダ(SDメモリ付き) |
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ポータブルオーディオ
レコーダ |
汎用機器(録音録画が主
たる用途でない) |
パソコン |
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パソコン |
(注) |
− |
現行制度が対象としている機器・記録媒体(資料2参照) |
無印− |
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・ |
現行制度の対象ではないが、検討対象とする可能性がある機器の例 |
・ |
記録媒体については、私的録音録画が主たる用途かそうでないかで分けられないので記載していない |
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ウ |
改善すべき課題と対応策
(ア) |
対象機器について
○ |
現行制度は、私的録音録画に専ら使用され、かつ記録媒体を内蔵しない機器(分離型専用機器)を想定して制度設計を行っている。
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○ |
現在は、
a |
録音録画機能以外の機能(再生機能は除く)を併せ持つ機器(汎用機器) |
b |
記録媒体を内蔵した一体型の機器 |
が主流となりつつあり、この傾向は、ここ数年のうちにより顕著となっている。
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○ |
このようにIT技術の急速な発達に伴い一体型機器や汎用機器を用いて行う録音録画が増加していることを考えれば、これを対象にしないことは、負担の公平性の観点から問題があるところから、対象機器の範囲を見直す必要があると考えるがどうか。
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○ |
専用機器については、記録媒体を内蔵した機器(一体型専用機器)であっても、私的録音録画に専ら使用される専用機器であることに違いはないことから、対象にすることについて課題は少ないと考えられるがどうか。
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○ |
汎用機器については、
a |
ポータブル・オーディオ・レコーダ(iPod、ウォークマン等)に代表されるように、汎用機能を有するが消費者の主たる用途は私的録音録画であるもの と、 |
b |
通常のパソコンのように、消費者の主たる用途が私的録音録画であるとはいえないもの |
に分類されると考えられる。
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○ |
aの場合、例えば専用機器であるポータブル・オーディオ・レコーダと汎用機器ではあるが主たる用途は録音録画であるものとの取り扱いを異なるものとすることは、負担の公平性から問題があることから、これを対象にすることが適切であると考えるがどうか。
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○ |
bの場合、機器の購入者が私的録音録画に供する可能性がかなり低いものもあると考えられることから、補償金の対象とするかどうかは、この論点をどのように整理するかを改めて検討・整理する必要があると考えるがどうか。 |
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(イ) |
対象記録媒体について
現行制度は、録音録画専用の記録媒体を想定した制度設計がされているが、例えば、現状においても、録音用CD−Rは、政令指定の対象になっていない汎用機器(例えば、パソコン)でも使えることなどの制度上の問題が生じている。
これは、記録媒体も汎用化の傾向にあることから生じる制度的課題だと考えられるが、対象記録媒体の範囲を見直す必要があると考えるがどうか。 |
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対象機器・記録媒体の決定方法について
ア |
現行制度
資料2参照
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イ |
現行制度(政令指定方式)の問題点
○ |
専用機器については、現行の政令指定方式の継続又は改善で対応可能と考えられるが、汎用機器については、それが録音録画に用いられるかどうかは、使用されている技術の特定だけではなく、その機器の用途等の要素も考慮して、判断されるべきものであるので、専用機器・専用記録媒体を前提として技術方式により対象を特定する現在の方式では対応が難しい。
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○ |
新たな対象の追加に迅速に対応できない。
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○ |
消費者からみて決定プロセスの透明性が必ずしも確保されていない。
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○ |
技術を指定する現行制度は消費者には理解しづらく、制度への理解を妨げる 一因にもなっている。 |
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ウ |
改善すべき課題と対応策
○ |
仮に汎用機器・記録媒体も対象範囲に加えるとすると現行の政令指定方式では対応できないと考えられ、他の問題点も考慮すると、新たな決定方式を考える必要があると考えるがどうか。
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○ |
例えば、次のような方法により、弾力的に、また迅速かつ透明性ある決定方式にすることは考えられるか。なお、他に適切な方法はあるのか。
例 |
政令で定める基準に照らして、公的な「評価機関」の審議を経て、文化庁が定める |
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(説明) |
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・ |
政令で一般的な基準(例えば、技術、用途)を定め、具体的な対象については評価機関で議論されることとなるため、汎用機器についても利用実態を考慮して判断できる。
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・ |
公的な評価機関は、例えば権利者、製造業者、消費者、学識経験者で構成され、そこで対象範囲が議論され、透明性が確保された決定プロセスにより審議する。
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・ |
政令指定よりも迅速に対応できる。 |
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補償金の支払い義務者
ア |
現行制度
資料2参照
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イ |
現行制度の問題点
○ |
現行制度は、利用者が機器等の購入時に一括して補償金を支払うという特例方式で実際は補償金が支払われているが、これは、機器等を購入した人のほとんどは私的録音録画を行うということを前提にしており、いわば専用機器・専用記録媒体による録音録画を念頭に置いた制度設計と考えられる。
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○ |
しかしながら、次のような場合には、現行制度では対応できないと考えられる。
・ |
仮に汎用機器等を対象とした場合、個々の利用者の録音録画行為に着目する現在の方式では、専用機器等の場合に比べて、機器等を購入したが著作物等の録音録画を一切しない人の割合が増えることになることから、返還制度の問題点(返還額が少額すぎて実効性のある制度とするのが困難。立証責任は利用者にあること等)がより拡大することになる。
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・ |
第30条の見直しにより、仮に違法サイト等からの録音録画や適法配信からの録音録画が第30条の範囲外になったとすると、著作物等の録音録画を一切しない人に加えて、第30条の対象外になった録音録画しかしない人も返還の対象にせざるを得ず返還制度の問題点がより拡大することになる。 |
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○ |
また、著作権保護技術の強弱やある特定の機器等が私的録音録画に供される割合などを補償金に反映しようとした場合、支払い義務者が利用者では反映しにくいと考えられる。 |
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ウ |
改善すべき課題と対応策
○ |
現行制度は、専用機器・専用記録媒体を前提にした制度であるところから、負担の公平性等の点から、仮に汎用機器等を対象にする場合、イの問題点から現行制度のように利用者が支払い義務者では対応できないと考えられるがどうか。
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○ |
仮に見直すとした場合、選択可能な制度は、我が国以外の国で採用されている製造業者及び輸入業者が支払い義務者になることが適切と考えられるがどうか。
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○ |
なお、製造業者等の支払い義務者とすることの考え方を整理すると次のようになるが、これについて問題はあるか。
・ |
録音録画機器等の提供があることから私的録音録画が行われるとの因果関係がある。
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・ |
著作権法の原則では、利用者が補償金を支払うのが基本であるが、個々の利用者から補償金を徴収するのは事実上困難であり、現行制度においても実質的には製造業者等が補償金を支払っている。
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・ |
今回の制度見直しにより、負担の公平性等の点から汎用機器も対象にせざるを得ないとすれば、返還制度に関する問題点等が拡大するなど現行制度の考え方では対応できないところから、第30条の存在により利益を得ており、現行制度においても実質的に補償金を支払っている製造業者等に著作権保護のために協力を求めることが適切と考えられる。 |
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補償金の額の決定方法
ア |
現行制度
資料2参照
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イ |
現行制度の問題点
現行制度における補償金の決定手続きに大きな問題点はないと思われるが、次のような点で改善の余地があると考えられる。
(ア) |
著作権保護技術の導入により、録音録画の回数等が制限された商品が流通したり、録音録画制限が可能な機器等が販売されている実態がある。著作権保護技術の仕様や仕組みによっては、通常の場合より録音録画が抑制される可能性があるが、そのような仕組みの導入が補償金額の決定にどう与えるかについて考え方が実務上も制度上も整理されていない。
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(イ) |
補償金の額は、認可申請前に関係者が協議し、合意又はほぼ合意された金額が申請される実態にあるが、決定方法の透明性にやや欠ける面がある。 |
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ウ |
対応策
○ |
欧米(例えば、独、スペイン、米国)では、法令で補償金額を決めている例も見られるが、機器等の発展にあわせた柔軟な補償金体系等の構築が困難であり、関係者の協議方式に変更される傾向にあるところから、関係者の協議方式が前提となっている現行制度は原則として維持することでよいか。
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○ |
補償金の決定プロセスの透明化を図るために、例えば現行制度で定められた文化審議会著作権分科会使用料部会(学識経験者のみで構成)の意見を聞くことに代えて、学識経験者と利害関係者で構成された機関(例えば、前述の「評価機関」)の意見を聞くことなど、別の手続きに変更をすることはどうか。
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○ |
著作権保護技術の影響を補償金額に反映させるよう、その旨の根拠規定を定めることではどうか。 |
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補償金管理協会
ア |
現行制度
資料2参照
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イ |
現行制度の問題点
○ |
現行制度は、録音と録画を完全にわけて制度設計をしているが、最近では同一機器において録音と録画ができる機器も販売されていることから、同じ機器等に対し2つの団体から別々に補償金を請求する可能性が生じている。
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○ |
補償金管理協会の事業の一つとして共通目的事業があるが、現行制度では、それぞれの協会が(現実には両協会で調整しているとはいえ)独自に事業を実施している。 |
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ウ |
対応策
同一機器等に対する2つの補償金管理協会からの別々の請求の回避、共通目的事業の合理的・効率的実施、管理経費の削減等を考えると、補償金管理協会は1つにすればいいと考えるがどうか。 |
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共通目的事業のあり方
ア |
現行制度
資料2参照
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イ |
現行制度の問題点
「共通目的事業の内容が十分知られていない。また、権利者のみならず、広く社会全体が利益を受けるような事業への支出も見られる」(文化審議会著作権分科会報告H18.1)の指摘がある。
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ウ |
対応策
○ |
補償金を個々の権利者へ厳密な配分を行うことには限界があるので、権利者全体の利益に資するような共通目的事業を廃止する必要はないと考えるがどうか。
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○ |
ただし、事業内容の検証等を実施した上で、共通目的事業への支出割合を必要に応じ見直すことが必要と考えるがどうか。
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○ |
また、事業の透明性を確保するため、事業内容の公開を義務付ける等の措置が必要と考えるがどうか。 |
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補償金制度の広報のあり方
現行制度では、補償金管理協会に補償金制度の広報義務はないが、広く消費者に補償金制度の仕組みや意義を啓発普及することは必要なことであるので、補償金管理協会に補償金制度の広報義務を課すことでどうか。
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その他
その他改善すべき課題やその対応策はあるか。 |