第4節 世界に誇れる国づくりに向けて

2.次世代の「知」を生み出す研究開発及び基盤整備の推進

 情報通信技術は,産業のみならず日常生活までの幅広い社会経済活動に大きな変革をもたらすものであり,国民が安心して安全な生活を送るための重要な基盤となっています。このため,文部科学省は,情報通信分野における創造性ある研究開発の推進や科学技術・学術研究分野の情報化に取り組んでいます。

(1)情報通信分野における創造性あふれる研究開発の推進

 「次世代スーパーコンピュータ」は,今後とも我が国が科学技術・学術研究,産業,医・薬など広範な分野で世界をリードし続けるため,長期的な国家戦略を持って取り組むべき重要技術(国家基幹技術)です。文部科学省は、平成18年度から「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」プロジェクトを開始し,22年度末の稼働(24年の完成)を目指しています(参照:第6章第2節2(4))。また,競争的資金制度である「キーテクノロジー研究開発の推進」をはじめとして,「経済活性化のための研究開発プロジェクト」などの公募型研究を戦略的に進め(参照:第6章第3節2),基礎技術を応用・実用化へと結びつけ,既存技術の限界を打ち破ることを目標に,基礎研究から応用研究への橋渡しに努めています。

(2)科学技術・学術研究分野の情報化

 情報・システム研究機構国立情報学研究所においては,大学・研究機関を接続する学術情報ネットワーク(SINET)の整備や,先端的研究機関を10Gbps(ギガビットパーセカンド)の回線で接続する世界最速レベルの研究ネットワーク「スーパーSINET」の拡充を進めています。また,大学などから発信される多種多様な情報から研究者が必要とする研究情報を統合的に利用することを可能とする「学術コンテンツ・ポータル(GeNii)」を運用しています(参照:http://ge.nii.ac.jp/genii/jsp/index.jsp(※GeNii(NII学術コンテンツ・ポータル)ホームページへリンク))。これらの情報基盤に加えて,「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」プロジェクトの一環として,高速グリッド・コンピューティング(注1)技術の研究開発を進めることにより,最先端学術情報基盤(サイバー・サイエンス・インフラストラクチャ)(注2)の実現を目指しています。

  • (注1)グリッド・コンピューティング
     分散配置された多数のコンピュータや記憶装置などをネットワークに相互に接続して,利用者がどのコンピュータを利用しているのか意識することなく,一体的な利用を可能とするコンピュータシステム。
  • (注2)最先端学術情報基盤(サイバー・サイエンス・インフラストラクチャ)
     我が国の大学等や研究機関が所有しているコンピュータ等の設備,基盤ソフトウェア,コンテンツ及びデータベース,人材,研究グループそのものを超高速ネットワークの上で共有する環境。

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