第4節 世界に誇れる国づくりに向けて

 21世紀を迎え,急速なグローバル化,情報化が進展する中で,世界に誇れる国づくりに向けて,IT分野における高度な人材を育成するとともに,世界最高水準の科学技術創造立国の実現のため,積極的にITを活用していくことが重要となっています。また,スポーツ分野においても,国際競技力の向上を図るために,ITを活用しています。

1.高度なIT人材の育成の推進

 文部科学省においては,世界をリードする創造的な人材の育成に向けて,高等学校段階において,将来,IT分野の最先端で活躍する高度な人材の育成を推進するとともに,大学などの高等教育機関における,創造性豊かな人材の育成に対する支援を実施しています。

(1)IT人材育成プロジェクト

 高等学校段階からIT関連分野における高度な人材育成を進めていくため,平成16年度から「IT人材育成プロジェクト」を実施しています。具体的には,次のとおりです。

1研究指定校による研究開発

 ITに関する教育を重点的に行っている高等学校を指定し,先進的な教育方法の研究開発を行い,その成果を普及しています(指定は3年間)。
 平成18年度においては,大学や企業研究者を外部講師として招いて指導を受けたり,ITに関する最先端分野の体験学習を取り入れたりするなど,先進的なカリキュラムによる指導を行っています。

2「ICTスクール2006」

 ITに関する知識・技能を有する高校生に,発想力や独創性などを伸ばすきっかけを与えるため,IT分野の最先端で活躍する若手研究者などの指導・助言の下,夏休みに合宿形式で,コンテンツなどの創作活動を行っています。
 平成18年度は8月に大阪で2クラスのスクールを実施しました。全国から約60名の高校生が集い,ネットワークを通じて共同プログラムづくりや独自のキャラクターの作成などの課題に取り組みました。その中で,講師への積極的な質問や互いに教え合うことなどを通じて,ITに関する技術や意欲の更なる向上を目指しました。

▲ICTスクール

(2)専門的で創造性豊かな人材の育成に向けて

 ソフトウェア技術が国民生活を支える基盤となる中で,ソフトウェア分野における人材不足は,我が国の国際競争力に影響を及ぼすことが懸念されます。文部科学省は,この問題に対応するため,平成18年度から「先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム」を実施しています。本プログラムは,大学同士及び企業が連携することにより教育内容・体制を強化した教育拠点を形成し,この拠点において,将来企業などで先導的役割を担うことのできる世界最高水準のソフトウェア技術者の育成を目指すものです(参照:第2部第3章Topics 4)。
 また,一般情報処理教育の充実を図るため,国公私立学校を通じた情報処理教育施設・設備などの整備を行うとともに,大学・高等専門学校で情報処理教育を担当する教員を対象とした講習会や研究集会を開催するなど,教員の資質向上に努めています。

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