第3節 開発途上国への協力

1.国際教育協力における取組

 世界には,今なお1億人以上の子どもたちが様々な理由から学校に通うことができず,そのなかで女子が約6割を占めています。また,世界には約8億人の成人非識字者が存在しており,その3分の2が女性です。このような状況を改善するため,国際社会は,1990年(平成10年)にタイのジョムティエンで開催された「万人のための教育世界会議」を期に,すべての人に基礎的な教育の機会を提供する「万人のための教育」(注1)(Education for All:以下EFA)の実現に取り組んでいます。
 2000年(平成12年)4月に開催された世界教育フォーラムにおいては,EFAの実現に向けた「ダカール行動の枠組み」が採択されました。2001年(平成13年)のジェノバ・サミットにおいては,「枠組み」の目標を追求するためEFAの実現に向けた取組を促進させるための方法について提言がまとめられ,この提言は2002年(平成14年)6月のカナナスキス・サミットで報告されました。
 教育支援の強化に向けた国際社会の取組に対し積極的に貢献するため,低所得国に対し5年間で2,500億円以上のODA(注2)を教育分野に支出すること,及び「成長のための基礎教育イニシアティブ(BEGIN:Basic Education for Growth Initiative)」に基づき,基礎教育分野における協力を強化していくことを発表しています。
 また,大学やNGO(非政府組織)などを含めた我が国の知的資源を活用した人づくり支援が求められています。文部科学省では,文部科学大臣決定によって設置された国際教育協力懇談会の報告書(平成14年7月)に基づき,拠点システム構築事業(参照:本章本節2)などの取組を強化してきました(参照:https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kokusai/002/toushin/020801.htm(※国際教育協力懇談会(2001年10月4日〜) 答申へリンク))。
 さらに,平成18年2月から8月まで開催した同懇談会においては,その後の教育協力を巡る国内外の情勢の変化を考慮し,国際社会における責務を果たし,開発途上国の様々な課題をより効果的に解決するために,大学をはじめ,我が国が有する「知」を活かした国際協力の推進に向けて懇談を進め,8月30日に報告を取りまとめました。今後は,報告書で提言された内容を踏まえ,各種施策を実施していく予定です(参照:本章Topics 1)。

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