量子ビーム

(3)どんな成果があるの?

 平成24年に供用を開始して以来、SACLAの利用はどんどんと広がりを見せ、革新的な研究成果が数々と生み出されてきました。SACLAが発する高品質で極めて明るく短いフラッシュ光は、科学の最先端を切り拓いています。

 例えば、SACLAは植物の光合成メカニズムの解明にも役立っています。
 光合成を行う生命体は約27億年前に出現したと言われますが、そのメカニズムには現在でも未解明の部分が多くあり、近年、光合成の全容解明に向けた研究が進んでいます。平成23年には、SPring-8を用いて、メカニズムの核心となるタンパク質の触媒中心の構造が解明されました。しかし、明らかにされた構造は、SPring-8の強いビームによる損傷を受けている可能性が懸念されたため、平成27年にSACLAを使って改めて構造解明が行われました。これにより、自然状態の触媒中心構造が完全解明されることとなり、世界的にも大きな反響を呼びました。さらに続けて、平成29年には、SACLAを使って光合成の水分解反応過程の構造が世界で初めて解明されました。
 今後は、他の量子ビームも活用することによる更なる研究の進展も期待されます。さらには、このメカニズムを人工的に模倣することで、太陽からの光エネルギーを高効率で利用することが可能となり、私たちが直面するエネルギー問題や環境問題、食糧問題等の諸問題の解決・緩和にも貢献するものと期待されます。



図:タンパク質(光化学系Ⅱ複合体)とその触媒中心の構造

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(4)SACLAのこれから

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科学技術・学術政策局研究開発基盤課量子研究推進室

(科学技術・学術政策局研究開発基盤課量子研究推進室)

-- 登録:平成24年02月 --