量子ビーム

(2)何ができるの?

 私たちの身の周りで起こるあらゆる現象は、元をたどれば、原子や分子の並び方や動き方によって決まっています。しかし、そのあまりの小ささや速い動きのため、それを観ることは技術的にとても難しいことでした。

 この困難を乗り越えたのが、SACLAが作り出す「X線自由電子レーザー」です。この光は、X線が持つ短い波長と、レーザーという質の良い光の特長をあわせ持ち、明るさはSPring-8の10億倍にも及ぶほか、10フェムト秒(1フェムト秒は、1,000兆分の1秒)というものすごく短いフラッシュ光を発生させることができます。そのため、SPring-8が原子や分子の動きのない静かな様子をじっくりと観ることが得意なことと比べて、SACLAでは原子や分子が瞬間的かつ微細に動き回る様子を捉えることが得意です。

フェムト秒(1 兆分の1 秒)ごとのコマ送りで分子の中の電荷の動きをとらえるイメージ画像。
図:フェムト秒(fs、1兆分の1秒)ごとのコマ送りで分子の中の電荷(緑色で示した部分)の動きをとらえる

 また、SACLAではSPring-8に隣接していることから、放射光とX線自由電子レーザーという最先端の2つの光が同時に利用できます。このような施設は世界でここにしかありません。SACLAの光を当てた物質の変化の様子をSPring-8で観察するなど、それぞれの光の特長を活かした日本でしかできない独創的な研究が期待されています。


SACLAとSPring-8の光が同時利用可能な相互利用実験施設
写真:SACLAとSPring-8の光が同時に使える「相互利用実験施設」

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(3)どんな成果があるの?

お問合せ先

科学技術・学術政策局研究開発基盤課量子研究推進室

(科学技術・学術政策局研究開発基盤課量子研究推進室)

-- 登録:平成24年02月 --